正しい枕の必要性|枕外来の整形外科医が解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
目次
皆さんは、睡眠時になぜ枕が必要か知っていますか?この記事を読んでいる人のなかには、「枕なしでもいいのではないか?」「枕なんてどれも同じじゃない?」などと思っている人もいるかもしれません。
しかし睡眠時に適切な姿勢を保ち、首に負担がかからないようにするためには枕が必要です。
正しい枕が必要な理由
枕はどれでもいいというわけではなく、体にあった「正しい枕」を使う必要があります。逆に、体に合わない枕を使っていると、朝起きると肩がこっている、頭痛がする、手がしびれるといった体の不調につながります。
また夜中に身体の下敷きになった肩が痛くて目が覚める、寝心地が悪くて枕を外す、うつぶせになったり、手を敷いたりして寝る......などの睡眠時のトラブルも不適切な枕が引き起こしている可能性も。
それでは、正しい枕の条件とはどのようなものでしょう。私たちの結論をお伝えします。
正しい枕の3大条件
正しい枕はおもに以下の3つの条件を満たしているものです。
1. ちょうどいい高さであること
横になると首を休めることができますが、そのときに重要なのが枕の高さです。
私たちは、一人一人に最適な枕の高さがあることを経験と研究からつきとめました。 慎重に、正確に、ジャストサイズの枕を選ぶ必要があります。
適合する高さは個人の体格によって変わってきます。
横向きの体制で寝た場合、上向きの体制で寝た場合、それぞれで首の骨や筋肉がリラックスできて、かつ寝るときに深い呼吸ができる姿勢から枕の高さを計測します。
横向きで寝る場合、額から鼻、顎、胸の真ん中までの一直線が寝具面と平行であるべきです。
そして上向きで寝る場合は、約15度前後の前傾がある状態のときに適合した高さになります。上向きの15度前後での前傾は頸椎椎間孔(神経の出口)が広がると同時に、気道が確保されるためです。
横向きでの計測と上向きでの計測結果で5mm程度の差がある方はいらっしゃいます。高さの条件は、3つの条件のなかでもとくに重要なので、できるだけその5mmの範囲におさまるジャストサイズの高さの枕を使ってください。
2. フラットな形状で、高さを維持する素材であること
自然な寝返りと首(頚椎)の安定は、枕の形状と素材で決まります。
形状は、寝返りを阻害しないための凸凹のないもの(フラットなもの)が良いです。寝たときに頭が沈み込む素材や、仰向け時に顎が上がる形状では、睡眠時、 首に負担がかかります。
また、ジャストサイズの高さを保つ素材であることも正しい枕の鍵。
ちなみに、当社の販売する「整形外科枕」では素材にウレタンを利用しています。
3. メンテナンスをしっかりすること
ジャストサイズでフラット構造の枕を入手したとしても、枕を使う人の体型や枕の状態は一定ではありません。寝る人の体格変化や枕の形状変化に応じて、適宜見直していくことが必要です。
そのような変化に適宜対応するための定期的なメンテナンスが不可欠です。
体格変化への対応
体重の増減(目安は5kg前後)、あるいは加齢による姿勢変化(いわゆる猫背など)に応じて、生涯、枕の高さを見直して再調整していく必要があります。
素材の経年劣化への対応
当社枕では素材にウレタンを利用していますが、どのような素材でも一定の劣化はあります。それにより枕の高さが変化してしまうので枕の交換が必要となります。
交換の時期は個人差(使い方や汗の量など)がありますが、当社では2~6年を目安としています。
正しい枕の条件をまとめると以下の通りです。
1.[ちょうどいい高さ] 個々人にあわせた枕の高さ
2.[フラットで形を維持する素材] 寝返りを阻害しないための凸凹のない形状
3.[メンテナンス] 上記1,2を継続的に保ち続けるためのメンテナンス
山田朱織枕研究所の「整形外科枕」について
オーダーメイド枕の「整形外科枕」は、16号整形外科の枕外来のノウハウを使い、院長である山田朱織が研究開発した枕です。
「整形外科枕」は上向き、横向き、そして寝返りがよい状態を保ち続けるための構造になっています。整形外科枕についてもっと知りたい方は「整形外科枕」商品概要をご覧ください。
▲寝返りを阻害しないためのフラット構造
▲硬さおよびフラット構造を維持する内部構造
体に合わない枕を使う弊害
体に対して高すぎる枕や低すぎる枕を使っていると、どのような弊害が生じるのでしょうか。
もしかすると、朝起きてすぐの頭痛や改善しない肩こりは、体に合わない枕のせいかもしれません。
上の図は、体に合わない枕を使って寝続けると、首の神経にどのような影響が起きるかを解説した図です。
枕が高すぎたり低すぎたりすると首の骨と骨の間を通っている神経である頸神経が、出口で圧迫されてしまいます。その結果、朝起きた時の頭痛や肩こり、首こり、手のしびれなどにつながってしまうのです。
また夜中に身体の下敷きになった肩が痛くて目が覚める、寝心地が悪くて枕を外す、うつぶせになったり、手を敷いたりして寝るなど......睡眠中に体に負担をかける体制を取ってしまうのも、枕が原因の場合があります。
よく売られている枕の種類とその効果について
「S字カーブを維持する枕」や「凹凸のある枕」などさまざまな種類の枕が売られています。医学的に、それらの枕のもつ効果はどのようなものなのでしょうか。
首のS字カーブを維持する枕
首のS字カーブを維持する枕やオーダーメイド枕がたくさん販売されています。
しかし、実は16号整形外科の枕外来での調べでは、症状が改善した枕の高さで寝た状態のレントゲン画像を確認すると、首の骨がストレートになっていることがわかります。首の骨がストレートになることによって、骨と骨の間に余裕を持たせることができます。これは整形外科での治療のひとつである、首の牽引と通ずるものがあるのではないかと考えています。
立った状態や座った状態での首のS字カーブは頭の重さを支えるためのクッションの役割をはたしていると考えられますが、寝ている状態においては、クッションの機能は不要で、いかに休ませることができるかが重要です。
したがって、首のS字カーブを維持するというコンセプトは間違っているのです。
ちなみに、寝た状態で首がストレートであるということから、ストレートネックでいいんですか?と聞かれることもあります。そもそも、ストレートネックと肩こり等の症状との関連があるのかどうかは医学的には解明されていません。ストレートネックの方でも症状がない方はたくさんいらっしゃいます。
少なくとも、寝ている状態では頸椎はストレートであるべき、これが整形外科医山田朱織の結論です。
凹凸の枕や、内容物が偏る枕だと寝返りが打ちづらい
世の中には首の形にそった縦方向に凹凸の枕や、上向き、横向きで寝るのに最適といって売られている横方向に凹凸の枕など、たくさんの枕が販売されています。
しかし枕を考えるうえでは、静止状態を考えるのはもちろん重要ですが、同時に動いている状態(=寝返りをすること)についても考えるべきです。
寝返りは無意識で行われるべきであり、寝返りしていることを意識している時点で覚醒して(起きて)しまっています。寝返りが楽にできる状態ではじめて、無意識のまま寝返りができるようになります。
無意識下での寝返りは、フラットな構造でしか実現はできません。寝返りの点で言えば、凹凸は寝返りを妨げるものでしかありません。
また、見た目がフラットであるだけでは駄目で、頭を置いた時にもフラットであり続ける硬さも重要なのです。さらには見た目がフラットであり、かつある程度の硬さがあろうとも、内容物が偏ってしまうような枕では凹凸があるものと変わりません。
したがって、構造的にはフラットなシート状の構造でしか楽な寝返りは実現することができないと考えています。
正しい枕はオーダーメイドでなければならない
3大条件のうちのひとつ「ちょうどいい高さ」の枕を手に入れるためには、体格(身長、体重、肩幅等、実は顔の大きさも影響する)考慮し、しっかりと計測してつくる必要があります。
正しい枕=「オーダーメイド枕」ともいえるのです。
適切な高さの枕を使うことによって、朝起きた時の肩こりや頭痛、手のシビレや、いびき、無呼吸が改善することがあるのです。
枕売り場などで適当に好みだけで選んだり、数種類の高さしか品揃えのない商品の中から枕を選ぶということは、実はとても危険を含んでいます。
オーダーメイド枕の選び方
ここで疑問に感じる方もあるでしょう。「私はオーダーメイドで作った枕が合わなかった......」と。もしくは、「世の中にはたくさんオーダーメイド枕や高機能の枕があって、何を基準にどう選べばいいかわからない......」という声もよく耳にします。
重要なのは、何を指標に計測したか。つまりオーダーメイドの根拠です。オーダーメイドであればなんでもいいというものではないのです。ぜひ以下の内容をよくお読みいただき、賢く枕を選んでください
オーダーメイド枕をつくるための計測方法
正しい枕の計測方法は医学的に検証され、健康な方はもちろん、症状がある方の症状改善の実績がある計測でなければなりません。
この画像のようにレントゲン撮影をした場合、枕の高さの違いで骨が楽な状態を示していることがわかります。
さらに、上向きと横向きが同じ高さになる方もいれば、そうでない方も少なからずいらっしゃいます。一般の方にも5mm程度の差がある方はいらっしゃいますし、背中の曲がったおばあちゃんや、肩幅の広い男性は大きく違うことも。
その場合は、「寝返り」のしやすさを考慮して枕の高さを決めていきます。
起きている状態でも寝返りがしやすいということは、力を入れずに寝返りができるということです。だから、就寝時でも力が入れずに寝返りができれば、目を覚ますことなく寝返りができるといえます。これは深い睡眠が続けるうえでとても重要です。
就寝時の寝返りは通常20回~30回程度行われるのがよいといわれています。
寝返りには、一般的に「体液(血液・リンパ液・関節液)循環」「体温調整」「体圧分散」の意味があると言われていますが、整形外科医である山田朱織はさらに、「脊椎の修復(背骨を整える)」の役割もあるのではないかと提唱しています。
この夜間の寝返りと、枕の計測時の(覚醒状態)での寝返りに大きな相関性があると考えており、計測方法として重視しています。
正しい枕を計測できる枕診断士
正しい枕の計測(代表の山田朱織が2003年に特許出願し、2023年に存続期間満了となった「マクラの高さの調整方法」(第4024152号))のもと、弊社の整形外科枕を計測できるのは、入社から半年以上を経過し、数か月におよぶ様々な研修と、山田医師から直接指導と、社内認定を受けた枕診断士®のみです。このスタッフ達は、枕の計測のみならず、寝具や睡眠環境に関する多くの知識を有し、山田医師と同様にお客様に様々なアドバイス・サポートを行っております。枕診断士/マクラ診断士は、弊社の登録商標です。(登録番号第4920647号)
アフターサポート・会員制度
整形外科枕は、ご利用頂くお客様の身体状況、睡眠環境の変化等に応じて、適宜メンテナンスが必要です。また、整形外科枕は毎日使用するものですので、使い続けることによって経年劣化は必ず起きてしまいます。
整形外科枕は、変化に応じてメンテナンスをしながら、最長6年間同じ枕を使い続けていく事が可能な会員制度を整えております。
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