ストレートネックとは?治し方は?オーダーメイド枕は有効?医師が解説します
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
「ストレートネック」で悩んでいる方は多いです。
16号整形外科に来院する患者様からも毎日のように「私はストレートネックで悩んでます」、「なんとかストレートネックを治したいんです」というようなリクエストをいただくことが多いのです。
その為、ストレートネックというものをしっかりと調査してそのメカニズムや、悩んでいる患者様の症状に対する対策を考えていかなければならないと思い研究を行いました。
そして研究結果を、日本整形外科学会という日本では一番大きな整形外科の医師の集まりである学会で2020年に
[身体化症状を伴う慢性頚部痛 肩こりとレントゲン所見上のストレートネックとの関連]
という発表を行いました。
その知識と情報を基にストレートネックのメカニズムから最終的には治療法や枕の選び方までお話をしていきたいと思います。
目次
ストレートネックとは?
何を見てストレートネックと判断するか
そもそもストレートネックという言葉は、整形外科学会で決めたり学術的、医学的に生まれた言葉ではないと私が調べた範囲では思います。
いつからか首が真っすぐな状態をストレートネックと呼ぶと、首の状態を説明しやすいというところから出てきた表現なのかと思います。
病院ではなくて整体やカイロプラクティックといったところでもよくこの言葉が使われていたという背景があるようです。
「肉眼で見た」「レントゲンで見た」ものをストレートネックと呼びましょうという決まりごとはないのです。
ですがレントゲンを撮るからこそ骨の状態が分かるわけですので、本来はレントゲンでストレートかどうかを判断すべきだと私は思います。
ストレートネックの定義
レントゲンの撮影の仕方や、「レントゲンで撮影した首の骨の角度が何度から何度をストレートネックと呼びましょう」ということが書いてある論文を参考にストレートネックの定義をご紹介します。
しかし、「ストレート」とは、首が本当に真っすぐな状態を言うのか、何度から何度の範囲をストレートネックと呼ぶのか分かりやすい基準があるのかというと非常に難しく、たくさんの海外の論文があり研究者の方がストレートネックについて研究して語っているものを調べてみると、世界共通の定義というのはなかなか見当たらないんです。
全世界統一で何度から何度をストレートネックとしましょうという絶対的な共通認識は現時点ではないのです。
しかしながら、絶対的な共通認識のものではありませんが、今回ご紹介するストレートネックの定義は、一定レベルのジャーナルに発表された内容の論文です。その論文の中に、レントゲンの撮影の仕方が載っていたり、レントゲンで撮影した首の骨の角度が何度から何度をストレートネックと呼びましょうということが書いてあります。そちらを参考に、ストレートネックの定義をご紹介していきます。
ストレートネックの角度
首の骨を横から見た時の骨の解剖をご覧ください。
首の骨は7つあり、一番は特殊な形なので除いて2番目から7番目が首のアライメントと言って首の並びです。
ストレートかどうかを確認するための線を引いていきます。
2番の骨の後ろ側の上(絵で言うと骨の右上の端)と下(絵で言うと骨の右下の端)の2点を取って線を引きます。
下の画像の青い線となります。
次に7番の骨の後ろ側の2点を取って線を引きます。
下の画像の赤い線となります。
ここで生まれたこの角度が何度かを測ることによってストレートネックかどうかがわります。
前弯(ぜんわん)(一般的には良い状態)
交わる2線の角度が-4度より小さく生理的な前弯で正常なカーブがある状態
ストレートネック
交わる2線の角度が-4度から+4度の間の場合をストレートネックと定義しています。
後弯(こうわん)(一般的にはストレートネックよりさらに悪い状態)
交わる2線の角度が+4度より大きく首が後ろに反ってしまった状態
首の並びの全体の角度が異なるということで理解していただければ生理的な良い状態、ストレートネック、後弯の悪い状態という理解が深まるかと思います。
厳密には首のレントゲンを撮影し、このように線を引き、角度を出すことによって、ストレートネックかどうかは判明するわけです。
まずはストレートネックの定義についてご理解いただけましたでしょうか。
ストレートネックのよくある症状と原因とは?
ストレートネックと症状の関係
ストレートネックによくある症状を考えていきましょう。
ストレートネックの時に一般的に感じる肩こり、頭痛、手のしびれ、背中の痛み、凝り、張り感、様々な症状が出ると思いますが、必ずしもストレートネックの人に限ったことではないんです。
なぜなら実際に患者様のレントゲンを撮ってみるとストレートネックの方もいれば、ストレートネックではない綺麗な前弯の全く問題のない首の並びをしている方もいるからです。
ということはストレートネック独特の症状とは言えない可能性が出てきます。
以前から多くの科学者たちがストレートネックの症状について研究を行って色々な結果があるんですが、私が調べた限りストレートネック独特の症状あるとか、ストレートネックと症状は必ずしも相関してるというわけではないという結論の方が多いように見受けるわけです。
私自身も2016年ぐらいからの患者様のカルテや画像なども調べて研究発表を行いました。
結論としては、ストレートネックがあってもなくても症状にはあまり大きな変化がなく頚部痛や肩こりがある。そして、それは適切な枕を使うことで両方とも良くなるという結果だったのです。
ストレートネックだから症状があるということではないのです。
ストレートネックを心配されてくる患者様の悩みは首がストレートに立っていることが問題ではなくて、治療に行ったらストレートネックと言われたり、ストレートネックと自分に起こってる症状が関連あるんではないかと思ってしまうためにストレートネックが怖くなって問題視してるだけなんではないかと思うわけです。
ですのでストレートネックを治すんじゃなくて、自分の辛い症状を治すということが私が一番伝えたいメッセージです。
ストレートネックの原因
「スマホやゲームやパソコンをしているときの悪い姿勢がストレートネックを作る」最近のマスメディアではそのような言われ方が非常に多くて私も心を痛めているんです。
本当にその悪い姿勢が首のストレートを作るのかどうかということが、きちっと科学的に研究された論文というのは私は見たことがありません。
悪い姿勢を取ってることでなんとなくストレートになっていくんじゃないかっていう予測ができるけれども、それを検証しているものは少なくとも私が調べた中ではないんですね。
実際に当院にお越しになる患者様で怪我したことはなく交通事故にも遭ったこともない10歳以下のお子さんがいるんですが、生まれて初めて撮ったレントゲンではすでに首がまっすぐのストレートネットになっていたんです。
これをどう考えるかということですが、生まれつきのストレートネックかもしれないですし、3歳や5歳の時になったのかもしれません。
もしその子が10歳ではなく20歳になって初めてレントゲンを撮ってストレートネックに気づいたとしたら、スマホが原因じゃないかと言われていたかもしれません。
そこが科学的にはわかっていないんです。
そういうレントゲンをたくさん見てきた経験としても、必ずしも姿勢が悪いからストレートネックになるなんてことは決して言えないということです。
ただ1点これだけは言えるという事は「スマホやパソコンをしているときの不良姿勢で肩こりや頭痛や手のしびれといった症状が出る」ということは間違いでないということです。
首がストレートでも正常なカーブでも同じように症状は起こります。そしてその症状は不良姿勢を直すことで改善します。
でもどんなに姿勢を良くしてレントゲンを5年空けて撮ってもストレートネックには変わりはないことがあるわけですので、必ずしも姿勢とストレートネックは関係ないということだけは覚えておいてください。
ストレートネックの診察とレントゲンについて解説します
問診(もんしん)をします
診察でまずとても大事なのが問診です。
いつからどんな症状がどの場所に起こっているのか、続いているのか一時的なものなのか、シビアで辛いのか軽い症状なのか、鈍痛なのか、そういうことをお話をしながら情報を入手すること、これが問診です。
ストレートネックと自称言ってこられる方にもこのお話内容はとても重要です。
触診(しょくしん)をします
問診の次に実際に触って確認していきます。
首を動かしてどのぐらい曲がるのか反れるのか、首を斜めにした時に手に放散と言って神経のひどい障害が出るのか、圧痛点というポイントを押して痛みがあるのかどうか確認していきます。
また手をぐーっと握って力が入るのかどうか、左右の手を同じように触って感覚が正常なのかどうかなど、細かい動きや感覚障害、筋力や痛みの状態を総合的に診ていきます。
でもこれはストレートネックだからやっているわけではないんです。
症状が大事で、肩がこりや首のみや手がしびれなど頚椎症状がありそうだなと思った問診内容から行っている診察内容なのです。
あくまで画像検査でストレートネックなのかどうかが分かるということを念頭において診察を受けていただければと思います。
ストレートネックのレントゲン画像
今回、首の角度を変えながら6方向から撮った6枚のレントゲンをご用意しました。
ストレートネックかどうかが判断できる横向きのレントゲンも含めて6枚のレントゲンにはどんな意味があって撮るのかってことを解説したいと思います。
横向きだけではなく、正面・横向き・前屈・後屈・左斜め・右斜めの6枚のレントゲンを撮ると様々な情報が得られるんです。
正面からのレントゲン画像
首の角度が悪い方に曲がってないかどうか、右左でどこに原因があって悪い場所があるのかどうかがわかります。
横向きからのレントゲン画像
首の全体の並びの状態が確認できます。
静止状態でどこかにズレがないか、骨に棘ができて変形してないか、椎間板が狭くなって潰れてないかどうかということがわかります。
前屈・後屈をしてのレントゲン画像
日常生活では体を動かして首も前後に動かすわけですので、首がダイナミックに動いた時にどこかにズレが起こってないかを確認します。
神経が首の骨の後ろに走ってますので、首がグラグラ揺れてズレが起こってしまったら神経を挟んだり締め付けたりしてしまいます。
左斜め・右斜めからのレントゲン画像
斜め方向のレントゲンで何を見てるいるかというと、首の中には太い脊髄神経がありそこから1本1本枝分かれした神経が出ていく穴があります。
1本1本の神経には番号がついていて、それぞれが肩や腕や指先などを司っています。
もし穴が狭まったり潰れたりするとそこを通っている神経が締め付けられて、その神経が司っている箇所が障害を受けるわけです。
神経の出口の穴は左右にあるので、2方向から撮影し確認します。
6枚のレントゲンにはこれだけ深い意味があるんですね。
そしてストレートネックかどうかは横向きのレントゲンで角度を測って判断するわけです。
パッと見て肉眼でストレートネックを判断するのではなくきちんとレントゲンで観察することも一つ重要ですが、単にストレートネックかどうかということより私が重視しているのは、前後に動いたり斜めからの写真を撮ることで首の中に神経を痛めてしまう悪い原因がないかということを探すことの方が重要なのではないかと考えています。
ストレートネックって治るの?
治療をしたらストレートネックは治る?
これまで何万例と患者様を見てきましたが、しっかりと治療をやったからといってレントゲン上の首の角度はほとんど変わりません。
何年かに1~2人、3年越しにレントゲンを撮ったら良くなってるという例がいないわけではないんですがすごく少ない数です。
ほとんどの方が首の症状が良くなっても、ストレートネックのレントゲン所見(画像)は変わらないことが多いんです。
そこがいわゆるストレートネックが世の中で一人歩きしてしまってる原因になってると思うんです。
治療をすればあなたの自覚症状はきっと良くなると思います。
ストレートネックが治るか治らないかということが問題ではなく、あくまで日常生活を妨げている自覚症状が改善するかどうかが大事なんだというふうに考え方を変えていただけれたらと思います。
では、症状改善を目指して、当院で行ってる治療体系についてお話したいと思います。4つに大きく分けて治療を組み立てています。
日常生活の指導
姿勢指導
パソコンやスマホをしているときに長時間前かがみになって悪い姿勢になっている。
これは悪いと気づきながらも治せないでいる方が結構多いです。
それはなぜかというとどんな姿勢をしたら悪いのか、姿勢を正すためにどんなことを工夫しなきゃいけないのかということが直感的にわかってないからだと思うんです。その方法を具体的に学ぶことが重要です。
「姿勢」は日中と夜を分けて考えてください。
日中は自分の意識が働いてるので、良い姿勢にしようとか悪い姿勢になってるなとか自分で気がつきます。だからこそ自分で治すことができるわけです。
でも、夜寝てる時は完全に意識がないのでどういう格好して寝ようとか悪い姿勢になっているから直さなきゃというような意識は働きません。
そこで大事なのが枕なんです。枕によって睡眠の姿勢が変わってしまいまいます。
適切な高さの枕を使うことで逆に言うと姿勢管理がうまくいくわけです。
意識がない寝ている時にこそ、姿勢管理には寝具が重要だということを患者様に一人一人にお話しするとともに、その具体的な方法もリハビリの先生を通じて教えています。
運動指導
運動と聞くとジョギングを1時間やらなきゃいけないとか、30分間毎日ストレッチしなきゃいけないとか大変なイメージが浮かぶかもしれません。
実はそんなことはなくて、運動は私は1日5分でも3分でもいいと思っています。
朝、夕方、お風呂上りなどほんのわずかな時間でもいいので、ちょっと体を動かす習慣を身につけていただくということが何より大事です。
運動しなきゃいけないと聞いても大変な苦労を伴う運動という風に考えないでください。
投薬
私は最低限なるべくお薬を出したくないんです。なぜなら副作用もあるし高齢の方の場合は体の内臓の器官が衰えている病気もあるからです。
患者様自身もあまり飲みすぎると副作用がちょっと怖いとか、できればそんなに長くは飲みたくないなと思うかもしれません。
ですので必要最低限にするということも大事ですし、どういう薬剤の形を選ぶかってことも大事なんです。
外用剤
湿布や軟膏です。それで症状が取れたら楽ですし、やはり多くの患者様が湿布や軟膏に対しては抵抗感が少ないです。
内服薬
内服薬は血液を返して全身に回ってしまうわけですので、副作用も考えなければいけないし内臓の状態も考えなければいけません。
[鎮痛剤] 痛み止め
[筋弛緩薬] 筋肉の緊張を緩める薬。 筋肉が緊張して首がストレートになっていたりこりや張りが強いという方は、筋肉を緩める薬を飲むことによって緊張が取れて血液循環がうまく回るというようなメカニズムのお薬です。
[ビタミンB12] 末梢神経そのものに栄養をあげて神経を回復させる薬。まずは神経を回復させるためにビタミンを使うというのも一つの方法です。
[抗うつ剤] 肩こりなのに抗うつ剤?と思いませんか?実は肩こりはうつ病の方が非常に多く感じる症状なんです。原因がうつ病だとすれば単に痛み止めを飲んでも治りません。 うつ病を治すお薬を飲むからこそ、うつ病の症状である肩こりが取れるというメカニズムです。
[神経障害性疼痛治療薬 リリカ・トラムセット] 長く肩こりや頭痛が続いてると気持ちが病んできます。いつも痛みや辛さのことを考えるようになってしまい、それを考えている頭の方に障害が起こってきた状態を神経障害性疼といいます。疼痛治療薬が近年出てきています。
注射
ほとんどの方はなかなか注射まですることはありませんが、どうしても患部の緊張が取れないという時にはそこにブロック注射を行います。
筋肉に打ちますがそれが神経の強い症状を抑えてくれて、筋肉の緊張が取れ神経が楽になって痛みから解放されるというものです。
また点滴に神経に有効な薬を入れることで症状が緩和します。
リハビリテーション
物理療法
牽引や温熱療法など器械を使った治療です。
運動療法
理学療法士という専門のスタッフが患者様の一人一人の症状を見ながら適切な姿勢の指導をしたり運動を教えたりします。
セルフチェックってどうするの?
ネットなどで調べてみるとストレートネックのセルフチェックの方法っていうのが色々とあります。
決して全面的に否定をするわけではないんですが、根拠が疑われるようなものから結構いい線いっていていい方法なのかなというのものもあったり見極めるのはとても難しいと思うんです。
ですのであまりにも自覚症状が辛い方はストレートネックをチェックするということではなく、症状のご相談として医療機関を受診することをお勧めしたいと思います。
過去にセルフチェックの方法についてもお話ししているのでよければご参照ください。
ストレートネックになった時のおススメのセルフケア
そもそもストレートネックで症状がある方の場合は誤ったやり方をすると逆に首の痛みが強くなったり、頭痛がひどくなったり、今まで痺れてなかった指まで痺れてしまうなんてことも起こるので体操の仕方がとても重要です。
そこで当院では生活のシーンに合わせてできる3つの体操をおすすめしています。
座ったまま体操
例えばデスクワークの方で朝9時から仕事が始まって1時まで仕事をして、1時間休憩をしてまた夜6時までお仕事をするとします。
座ってる時間長いですよね。立って歩くとしてもお手洗いやランチ休憩くらいでほとんどが座っているかと思います。
そんな座りっぱなしの時に座ったままできる理想の体操、それが座ったまま体操なんです。
立ったまま体操
例えばスーパーのレジで立って仕事をしていたり、接客で一日中店舗の中で立っていたり、あんまり動けなくてじーっとしてることが多い場合に緊張している部分が非常に凝ったり痛みを感じてくる。
そんな時にもちょっとした動きでしっかりと筋肉をほぐしたり運動することができるのが立ったまま体操です。
寝たまま体操
寝てる時は起きてる時と比べると圧倒的に体を動かしてないですね。最低限動かせるのが寝返りという動作です。
一晩に20回から30回打つと言われていますが、6時間寝るとしたら1時間の中では数回しか寝返りしてないわけですから圧倒的にじっとしてる時間が長いわけです。
そんな時に朝目が覚めると肩や腰が凝ってたりということが起こります。
それをほぐすために目が覚めた直後に行う寝たまんまの状態で行える安全な体操、それが寝たまま体操です。
体を動かすことで血液循環が回り、痛い物質凝ってる物質がうまく流れるということが重要です。
適度に動かすということは寝たままでも立ったままでも座ったままでもとても大事ことなんですね。
具体的な方法はそれぞれのコラムや動画をご参照いただいて実際に体操を行ってみてください。
ストレートネックかどうか診てほしい
症状は特にないけどストレートネックかどうかがすごく気になる。それって整形外科で診てもらえるんでしょうか?という質問を時々いただきます。
保険診療の医療機関に行ってもそれは診察や治療の対象とはなりません。
保険診療はあくまでその体に起こった症状であったり、何か日常生活の中で障害が起こったりということでなければ対象とはならないからです。
ストレートネックかどうかの首の状態だけを知りたいということだと、もしかすると自費診療という形で受けるところもあるかもしれませんが、そもそもすべての整形外科医がストレートネックに精通しているわけではないのでリクエストは受けかねますという病院もあるのではないかと思います。
逆に言えば症状があるからこそ病院での診断治療が必要なわけですので、ストレートネックだけを心配する必要は全くないのです。
ストレートネックに合う枕はどんな枕?
柔らかい羽毛の枕や凹凸の低反発枕などいろいろございます。
しかし、そのような枕はストレートネックの方にも良くないし、ストレートネックではない方にも私は良くないと考えています。
今までストレートネックを確認した多くの方に適切な枕を処方してきました。
またオーダーメイド枕の整形外科枕も使っていただくことによって 症状が改善した方がたくさんいらっしゃいます。
この経験をもとに自信を持ってストレートネックの方にはこういう条件の枕を使ってほしいということが言えるんです。
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「枕外来のオーダー枕」
私の枕外来には,朝から肩がこる,枕が合わない,何度も目が覚める
オーダーメイド整形外科枕
という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
枕の3大条件
ストレートネックの方を含めて全ての人に使っていただきたい枕の3大条件があります。
1、体格に合った高さ
2,適度な硬さ
3、平らな形
まずは一人一人の体格に合った高さに合わせること。
そして、頭を乗せて沈み込まない高さが変わらないための適度な硬さも重要です。
また人は寝返りを夜中に何回も打つので、上向きから横向きと体の向きが変わった時にスムーズに寝返りできるためにはフラットな構造も重要です。
寝ているときの首はストレート
寝ている時に、立っているときのように首が湾曲になっていることが正しいと思ってませんか?
首を立っているときと同じような前弯を作るために凹凸の枕がいいと思っている方多いかもしれません。
しかし、実際に私の研究では410人のMRIを撮影して自覚症状が良くなった方々の寝た時の首の状態を見てみると、湾曲にはなっていなくて実はストレートなんです。
世の中の理想と考えられていることと現実は違っていたんです。
適切な枕を使うと首がストレートになり、ほとんどの方の首の角度が約15度前後になっていました。これが真実の結果なんです。
実際に私はこの事実を踏まえ2020年にストレートネックと適切な枕を使った時の症状の改善について日本整形外科学会で発表しました。
ストレートネックの方でもそうでない方でも適切な高さの枕を使うことで症状が同等に改善したという結果が出ています。
ですのでストレートネックだからそれを無理やり湾曲させるために凹凸枕を使わなきゃいけないというのは何の根拠もない理屈だと思っています。
ぜひ改めてこの真実を元に枕の3大条件を満たした枕を使っていただいて、実際に自分の体がどういう風に感じるのかを体験していただければと思います。
ストレートネックにはオーダーメイド枕を使うべき?
そのような方々に毎日アドバイスをしたり、実際に適切に合う枕を処方してまいりました。
手作りで作る枕でもいいし、オーダーメイド枕でもいいし、一人一人の体格その時のコンディションに合ってることが大事なんですね。
寝ているときは首の骨を前弯にする必要はない
立ってる時、座ってる時、起きてる時に首の骨の湾曲が前弯と言って前に緩いカーブを描いているのが正常だから寝てる時もそれになればいいと考えている方いらっしゃるかと思います。
そこから、首の下側がが盛り上がっているような凹凸の枕を見かけるかと思うのですが、それは間違いなんです。
実際に寝てる時に首の中がどうなってるか、レントゲンを撮ったりMRIを撮って確認している医師や研究者は多くはないんですね。
その中でも首の角度がどうあるべきだということは決まっていません。
実際に首の下側が盛り上がっている凹凸の枕を使って首がカーブになったとしても、それが本当に症状を取り除いてくれるのかどうかは根拠が定かではないんです。
逆に私たちは高さの合っている枕を処方することで、一定の角度に首がなりその時の首のストレートの状態で、たくさんの方が肩こり・首こり・頭痛・首の痛み・手のしびれなどの症状が取れているんです。
枕の高さが合っていないとどんなことが起こる?
低すぎるとき
枕が必要な高さよりか低かったら、首の後ろに隙間が空いてしまうので筋肉が緊張してしまいます。
頭を一定の角度にするためにグーッと首に力が入って緊張が取れません。
これでは寝てる間にせっかく疲労回復したいのに回復できないわけです。
高すぎるとき
枕が高すぎると首筋が引っ張られてしまい後頭部の圧迫が強くなります。そもそも寝返りがしにくいです。
寝返りが楽にできなかったら良い睡眠と言えませんので、低すぎる時高すぎる時いずれも問題があるわけです。
体重の変化で高さが変わる
体重の変動で高さが変わるのかということですが、これはとても重要なことです。
私たちのオーダーメイド枕は5mmの高さ調節を行うことで一人一人の体に合わせています。
この5㎜は体重の増減5kg前後を境に変わってくるんですね。
ですので体重がすごく増えてしまった、痩せてしまったという場合にはもう一度自分に合う高さを確認しなければいけません。
手作り枕であればバスタオル3~4枚で5㎜分の厚みになります。 体重が増えると高さが必要になりますし、減ると低くなります。
適宜体の変化に合わせて調節が必要です。
敷物によって高さ調節が必要
枕を微妙に高さ調節して合わせても、敷布団やマットレスが変化したら調節が必要になる場合があります。
例えば布団が柔らかくて重い腰の部分が下がってしまったら、枕が高くなってしまい不具合になってきます。
買い換えた時や経年劣化で表面が痛んで沈み込んでしまった時には適宜枕の高さ調節を行わないと体と枕と寝台が三位一体で合わなくなってまいります。
適切な枕の条件を満たせるのはオーダーメイド枕
枕には重要な高さ・硬さ・平らな形という3大条件があります。
加えて体格や敷物の変化に合わせて調節ができるということが重要です。
それは市販の枕では叶うはずはほとんどありません。
だからこそオーダーメイドで適切な枕を作らなければいけないわけです。
オーダーメイド枕が難しい場合には手作り枕を作って自分の体に合うように調節していただくと良いでしょう。
ストレートネックのレントゲン像と症状変化
ケース1(首の痛みが強くなり手がしびれてしまった40代男性)
40代男性の方ですが、最初のレントゲンを撮った時は症状はありませんでした。
その後、非常に首の痛みが強くなり手がしびれてしまったという状況の時のレントゲンです。
最初の症状のなかった時の首の角度は0度です。これは-4~4度の間なのでストレートネックです。
その後の症状が出てしまった時の角度は-3.9度でした。この時もストレートネックということになります。
ストレートネックということは変わりませんが、症状は全く変わっているわけです。
症状とストレートネックかどうかということは関連がないと考えられます。
ケース2(首のむち打ち症いわゆる頚椎捻挫という状態の女性)
次は女性の方です。
1枚目は症状としては少し肩こりがあるという状態。
2枚目は交通事故に遭って、首のむち打ち症いわゆる頚椎捻挫という状態になり頭痛や首の激痛があるときのレントゲンです。
比較してみると肩こりがあったわずかな症状の時の角度は13度です。これはストレートネックよりもさらに首が後ろに出てしまう後弯の状態です。
また事故によって首の症状が悪化してしまった時の角度は3.7度、ストレートネックの状態です。
すなわちストレートではありますが角度的には症状が悪い時の方が首の弯曲が後弯から少し改善しているのです。
こちらもレントゲン像と症状が一致しないということになります。
ケース3(症状がもろもろ変わる40代女性)
40代の女性の方のレントゲンです。この方は何度か当院に来られて4回レントゲンを撮っています。
最初は背中が痛いと言って来られた時、次は転んでしまって頭痛や首・肩の痛みが出た時、その後症状が改善している時、最後に背中の痛みや頭痛がまた再び出てきてしまった時です。症状がいろいろ変わってます。
では首の角度はどうかというと最初の背中が痛い時の角度は-28.3度です。これは生理的な前弯です。
次に転んでしまって症状が出ている時の角度は-28.5度で最初とほぼ同じような前弯です。
そして症状がなくなった時は-23.8度、これも前弯です。
最後に再び背中や首の頭の痛みが起こってきた時は-36.5度で前弯です。
つまり症状がもろもろ変わっても首の角度はいつも-20~30度で前弯をキープしていたということが言えるわけです。
どの症例を見てもいかに症状とレントゲン上の首の骨の角度が相関しないかということがお分かりいただけるかと思います。
このようなことは決して特殊な症例の方々にあるだけではないんです。
もう日常茶飯事で私が外来をやっている中ではレントゲン像と症状が一致しないことの方がほぼ大半になります。
症状が改善してストレートネックも改善したなんていう例は開業してからほとんど見たことがないくらいです。
大事なことは自覚する症状を改善すること。
ストレートネックの首の角度が怖いとか首の骨の角度を直さなきゃいけないという考え方は正しい考え方ではないんだということです。
今回のストレートネックのコラムがストレートネックと診断された方、ストレートネックを心配されている方に、少しでもお役に立てば幸いに存じます。
是非、ストレートネックのためにも自覚症状のためにもより良いオーダーメイド枕、もしくは手作りの高さの合ってる枕を使うということを試してみてください。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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