エアーベッド・エアーマットレスの枕の高さ調節を解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
今回はエアーベッド・エアーマットレスの時の枕の高さ調節を解説していきたいと思います。
実は以前からエアーベッド・エアーマットレスと枕の兼ね合いや使い方について、患者様やお客様から質問を受けるので、いつかしっかりと実験を行って結果をお話したいなと思っておりました。
今回やっと自宅にエアーベッド・エアーマットレスを用意しまして、自ら寝て実験をしてまいりました。
その結果も踏まえて皆さんにお伝えしたいと思います。
目次
エアーベッド・エアーマットレスってどんなもの?
エアーベッド・エアーマットレスは比較的安価ですし、空気を抜いたり入れたりで場所も取らないからいいかなというイメージがあるんじゃないかなと思います。
ネットでの購入だと3,000円~5,000円ぐらいから販売されているし、買ったものも全部シューっと空気を抜いちゃうとぺっちゃんこになって畳んでしまって収納できるし、自宅にお客さんが来た時だけ膨らませて使ってもらうこともできます。
私としても利便性はいいなって印象があります。
空気なので柔らかそうという感じもあるし、しっかりとパンパンに空気を入れると逆に硬いのかなという印象もあると思います。
そのエアーベッド・エアーマットレスと枕の高さの関係はなかなか難しい問題なのです。整形外科枕のようにお身体に枕の高さを合わせたオーダーメイド枕ならさらに難しい問題になります。
エアーベッド・エアーマットレスの条件と枕の高さ
実験の結果、エアーマットレスの空気の入れ方によって枕の高さを変えなければいけないっていうことが分かったんです。
この調節を知っておけば多少の対応っていうのはできるわけなんですが、限界まで行くと危険があります。
条件1、パンパンに空気を入れた状態
パンパンに空気が入っている硬い状態だったら、その方の至適な高さつまり1番自分のベストな高さでお使いいただけます。
条件2、少し空気を抜いた状態
少し空気を抜いてやや柔らかくしたエアーマットレスの場合には、枕の高さを少し下げて使わなければ適合しなくなります。
条件3、かなり空気を抜いた場合
空気をかなり抜いた柔らかい状態は体が沈み込んでしまうので、枕の高さをどんどん低くしないともう適合が悪くなります。
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「枕外来のオーダー枕」
私の枕外来には,朝から肩がこる,枕が合わない,何度も目が覚める
オーダーメイド整形外科枕
という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
エアーベッド・エアーマットレスの場合、枕の高さを低くする理由
なぜ枕の高さを低くしないといけないかというとそれは寝返りです。
寝返りを打つ時には枕の高さがちゃんと自分に合ってることはもちろんですが、マットレスや布団が適度に硬くないと寝りは打てないんですね。
ですのでエアーベッド・エアーマットレスの空気をどんどん抜くことで腰が沈んでしまうようになると、枕が同じ高さではとても寝りが打てません。
ある程度までは少し枕を低くすればなんとか寝返りができます。
でも、どんどん柔らかくしてしまうと、枕の高さをどんどん低くしたとしても結果的には寝りが打ちにくくなってしまうんです。
そこまでいくと、もうエアーベッド・エアーマットレスと整形外科枕は一緒に使うことはできないのでもう枕を使うのは諦めていただくしかありません。
整形外科枕でエアーベッド・エアーマットレスに実際に寝てみる
では、いつも整形外科枕を7cmで使っているスタッフMさんに実際に寝ていただきましょう。
パンパンに空気の入った状態
息はしやすく、体全体がリラックスできています。
腰が落ち込む感じはなくしっかり支えもあります。
いつもの至適高さで上向きはバッチリ合っているようです。
では横向きはどうでしょう。
下になった肩の圧迫感はなく腰も下がる感じはないようです。
体の軸もほぼほぼ真っすぐでよろしいかと思います。
では寝返りです。
寝返りもスムーズに肩と骨盤ほとんどずれずにコロコロと打てています。
エアーベッド・エアーマットレスでもしっかりと空気を入れて硬さがあれば、高さの合っている枕で寝りがしやすいということが分かりました。
少し空気を抜いた状態
では、エアーベッド・エアーマットレスの空気をちょっと抜いてみます。
至適枕の高さ7㎝のままだと少し喉苦しそうです。
体も一番重い腰やっぱり沈んで沈んで、はまった感じになります。
これではやはり枕が高いということになります。
では、枕の高さを変えることで対応してみましょう。
5㎜高さを下げてみます。
腰の落ち込みは先ほどよりはマシになっているようです。
横向きでも肩と骨盤の落ち込む感じが少しあります。
寝返りをしてみましょう。
少し腰が重いような感じがしますが、一応の枕の高さを下げることで寝返りもなんとかできています。
最初とはやはり違いますね。
かなり空気を抜いた状態
ではさらにエアーベッド・エアーマットレスの空気を抜きます。
かなり体が沈んでしまって、首の角度もすごくついて喉が詰まります。
これではやはり枕が高いのでさらに低くしないといけないので、もう5㎜下げてみます。
そうすると最適な高さから1cmも低くなった状態です。
しかし、これだけではまだ苦しいようです。
寝返りもしてみましょう。
体が重たくなっていて最後まで骨盤が回り切らなくなってしまっています。
覚醒状態であれば自分で力を加減できますが、これでは本当に寝てる時の筋肉の緊張が緩んだ状態では寝返りはかなりできなくなってしまうと思うんですね。
空気を抜きすぎて柔らかくなりすぎると、枕の高さを1㎝下げてもすでに枕とマットレスは合ってないという状態です。
これはエアーベッド・エアーマットに限らず、柔らかいマットレスでも同じことが言えます。
本当に柔らかすぎるマットレスが、どれほど腰や首に負担を与えてしまうかということです。
エアーベッド・エアーマットレスはパンパンに空気を入れて使ってください
今回の実験はエアーベッド・エアーマットレスの硬さと枕の高さということで、いくつか条件を分けてやってみました。
結論
・・・柔らかすぎるエアーベッド・エアーマットレスでは枕の高さ調節をしても、体の沈みが大きいのでどうしても寝りが打ちにくい悪条件になってしまう
実は私はこの悪条件で一晩中寝てみたんです。
朝どうなったかというと。なんと右向きだけでずっと寝ていたようで右の耳や手はしびれるわ、右の坐骨神経痛が出ちゃうわで、半身が非常に辛い症状が出たんです。ひどい状態でした。
本当にそのぐらいつらく症状が出るので、皆さん柔らかすぎるマットレス、特にエアーベッド・エアーマットレスはお気をつけくさい。
使用する時はパンパンに空気を入れて使っていただくことをおすすめしたいと思います。
今回の実験がまた皆さんのお役に立つと幸いです。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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