ぎっくり腰の原因や対処、腰を安静にする寝方を解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
目次
ぎっくり腰の時どうすれば良いですか?
- ・ぎっくり腰ってどうしてなるの?
- ・安静の仕方はどうすればいい?
- ・痛みがある時は動かない方がいい?
- ・運動はしても大丈夫?
- ・繰り返すと聞くけど予防する方法はありますか?
- ・ストレスがぎっくり腰の原因?
今回はこれらの質問にご回答してまいります。
「ぎっくり腰」すなわち急性腰痛症、急激に起こる腰の痛みですね。日本人は国民病とも呼ばれるように多くの方が腰痛を持っています。
ぎっくり腰ってどうしてなるの?
では、ぎっくり腰にどんなときなるかというのを実際に見てみましょう。
このように前かがみで重いものを持ち上げた時。また、そのまま体を捻ってしまう、腰を捻ってしまう時。
このような瞬間的に大きな力が悪い姿勢でかかるときに起こることがよくあります。
しかし、特別負担をかけなくても目が覚めて朝起き上がろうとしたらすでにぎくっとやってしまうとか、靴下を履こう、爪切りをしよう、前屈みになった瞬間になってしまうとか大した原因がないのに起こることもあるんです。
また、一方でただ腰が痛いだけではなくてお尻から足まで痺れが走るとか、指先の力が入らない歩くときにつまずくなど、障害のレベルがひどくなっていく場合には単なるぎっくり腰急性腰痛症ではなく、その背景に何か腰の病気が隠れている可能性もあります。
例えば腰椎椎間板ヘルニア、腰の椎間板が傷んでしまっているとか、それが飛び出してヘルニアになっている、もしくは腰の中の神経の回りが狭い脊柱管狭窄症で神経を締め付けていたりなど、様々な原因がベースにあってそこにより悪い姿勢が加わって急激に痛みが出るということもこれぎっくり腰として表現されることです。
その数は少ないんですが注意しなければいけないのは、このモデルのように腰の中の骨が潰れてしまう圧迫骨折、高齢者であれば骨粗鬆症などが原因で起こってくる場合もありますし、もしかすると背骨にがんが悪性の腫瘍が出来ていてぎっくり腰が起こるなどということも稀ですがありますので、症状が続いている場合にはぜひ専門の医療機関にご相談が必要となります。
痛みがある時は動かない方がいいの?
症状にもよりますがぎっくり腰を起こして急性期といわれる1~3日間くらいの間はしっかりと安静をとることをオススメしています。
寝る姿勢でいること。自分の食事やトイレ以外は起きずにしっかり安静が取れることで改善が早くなると考えています。
もし、仕事も調節が可能であれば急性期の2~3日は休んでいただいて、自宅でしっかりと休んで体を休めてください。
その方が腰の早い回復を促すことができるからです。このタイミングを間違ってしまうと長引いてしまうんです。
運動はしても大丈夫?
よく腰痛になった方が運動して鍛えた方がいいんではないかということを聞きますが、急性腰痛症の時は違います。
急激に痛みが出た時は当所、急性期しっかり安静を取ること。場合にもよりますけれども、だいたい1週間くらいはスポーツは行わず日常生活に徐々に戻していく。
完全に痛みが取れた時点で徐々に徐々に軽い運動から始めていただくのがよろしいかと考えています。
完全に痛みが取れたけど、腰痛は続いている方、特に朝起きた時に一番辛い方におすすめしたい寝たまま行っていただける体操があります。よければご参照ください。
ぎっくり腰はよく繰り返すと聞くけど予防する方法はありますか?
実はこの繰り返すぎっくり腰というのは背景に何らかの腰の病気が隠れていることが多いんです。
この場合はしっかりと予防するためにもその背景にある病気が何であるかをきちっと診断すること。そして、その病気を治療することが何よりもぎっくり腰の予防になります。
また、どうしても治らない腰の病気もありますので、完治はしなくても予防対策を取ることによってうまく腰痛と付き合っていくこと。
腰痛持ちながらも日常生活、学校生活や仕事などの生活が成り立つようにうまく自己コントロールすることが重要と考えています。
安静の仕方はどうすればいいですか?
実はこのように椅子に座ることでは完全な腰の安静は取れないんですね。どうしても座ってても腰は痛いじゃないですか。
ですから安静を取ろうと思ったら横になることが重要です。腰の安静のためには実は適切な上向き横向きで寝れることが大事なんです。
上向きでは枕の高さをその方の適切な高さにきちんと合わせること。全体の背骨がリラックスして腰まで緩むことができます。
特に急性腰痛症を起こした時には、大腰筋という骨盤と腰を結んでいる筋肉を緩めてあげることが大事なので、このように膝の下にロール状の膝下枕を入れていただいて股関節から足を少し曲げる形でリラックスするようにしてください。
山田:どうですか?これだと腰が楽ではないですか?
モデル:すごく腰がリラックスしています。
痛めてしまったぎっくり腰の腰を緩めて筋肉の緊張をとるためには、このように枕の高さを合わせて膝下枕を使うセミファーラー姿勢が有効だと考えています。
以下のコラムで手作りの膝下枕の作り方もご紹介していますのでよろしければご参照ください。
もしくは上を向くこともできないような辛い状況でしたら、このように少し体を横向きにして安定になる位置を探してみてください。少し体を丸めていただいても結構です。
このようにリラックスする形で体を少し丸めると腰が楽になります。
また、急性腰痛症ぎっくり腰を経験した方であればわかると思うんですが、長い間同じ姿勢でいることはどんな人にとっても不可能です。
ですのでぎっくり腰が起こってもどうしても体の向きを変えなければいけない。
その時に枕の高さが適切に合っていれば、ころんと横になるときにも痛めている腰にビーンと神経痛が走らずに軽く横を向くことができます。
スムーズな寝返りができること。これがぎっくり腰の時の安静の時にも必要な条件なんです。ぜひ枕の高さを適切に合わせてやってみてください。
ストレスがぎっくり腰の原因?
実は近年それはとても注目されていることなんです。福島県立医大の脊椎の専門でいらっしゃる教授の大谷晃司先生はこのようにおっしゃっています。
腰痛の発生には心理社会的要因が関与している可能性があるということです。
1980年ぐらいからこの心理社会的要因と腰痛についてさまざまな研究がなされてきていろいろなことがわかってきました。
心理的、要はメンタル気持ちですね。それから社会的というのは家族であったり会社であったり様々な他人との関わり、こういった中で諸々のストレスを受けるというものを心理社会的ストレスと呼んでいます。
心理社会的ストレスを長期間にわたって受けたり、強いストレスを受けることによって人間は痛みに対する感受性が上がってしまう。
本来であればこのくらいの僅かな痛みも感じる側のメンタル心の問題があるとより強く痛みを感じてしまったり、不安になることによってその痛みそのものが心配でならなくなってしまうという現象が起こるんです。
ですから私は最近、当院に何度もギックリ腰を起こして通院される方にこのように質問します。
「もしかしてあなたは精神的ストレスがありませんか?何か悩んでいませんか?腰痛そのものに対するつらい悩み苦しみというのがありますか?」という風に質問しています。
驚くことに多くの方が「なんで先生わかるんですか。私は僕は実は精神的に悩んでいるんです」という回答を頂くことも少なくありません。
このメンタルケア、ストレスを和らげることが一番このぎっくり腰を改善するために重要なことでもあるんです。
ですからメンタルケア、ストレスを改善することでぎっくり腰を治療予防してください。
腰痛の原因の中で何と85%は「非特異的腰痛」と言って原因を確定できない、何が病気の原因なのかをはっきりすることが突き止められない腰痛なんです。
ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。
整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
横になっている時に、スムーズな寝返りができること。これがぎっくり腰の時の安静の時にも必要な条件なんです。ぜひ枕の高さを適切に合わせてみてください。
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「枕外来のオーダー枕」
私の枕外来には,朝から肩がこる,枕が合わない,何度も目が覚める
オーダーメイド整形外科枕
という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
まとめ
- ・ぎっくり腰は、瞬間的に大きな力が悪い姿勢でかかるときに起こることがよくある
- ・一方、大した原因がないのに起こることもある
- ・単なるぎっくり腰急性腰痛症ではなく、その背景に何か腰の病気が隠れている可能性もある。
- ・症状が続いている場合には専門の医療機関にご相談が必要
- ・安静を取ろうと思ったら横になることが重要
- ・ぎっくり腰を起こして急性期といわれる1~3日間くらいの間はしっかりと安静をとることをオススメ
- ・だいたい1週間くらいはスポーツは行わず日常生活に徐々に戻してください。
- ・繰り返すぎっくり腰というのは背景に何らかの腰の病気が隠れていることが多い
- ・腰痛の発生には心理社会的要因が関与している可能性がある
- ・メンタルケア、ストレスを和らげることがぎっくり腰を改善するために重要なこと
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