突然の背中・肩甲骨の痛みの原因は首!?部位別症状と原因を解説
背中の痛み、肩甲骨の痛みは首が原因かも
ある日突然出現した「背中の痛み」「肩甲骨の痛み」についてお話をしたいと思います。
実は背中の痛みや肩甲骨の痛みは、背中や肩甲骨が原因ではなくて、首が原因かもしれないのです。
目次
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
患者様との診察室でのやり取りを例に挙げて説明していきます。
山田:今日はどうされましたか?
患者:背中が痛いんです。昨日ぶつけたわけでもないのに何でしょうか。
山田:昨日強い運動をしたとか、重労働したわけでもないのに背中が痛くなってしまったのですか?
患者:はい。そうなんです。
山田:背中をちょっと見せてくださいね。どの辺りが痛いのですか?
患者:この辺りが痛みます。
山田:肩甲骨の内側ですね。
患者:はい。
山田:いつも左が痛いのですか?
患者:左側の時もあれば、右側の時もありますし、片側の時もあれば両側の時もあります。
「突然、背中や肩甲骨が痛い」となったら思い出してください。
背中は痛いけど首は痛くない。でも、首が原因のこともあるのです。
その理由についてお話をしていきたいと思います。
山田:こうやって肩甲骨のあたりを押すと痛いですか?
患者:痛いです。
山田:痛いですね。
肩甲骨の周りを押すと痛い
さらに、この患者様の首を触ってみると
山田:首も押してみます。これどうですか?痛いですか?
患者:すごく痛いです。
自覚症状が首になくても、肩甲骨に強い痛みを感じる場合は原因が首であることが少なくないんです。
なぜなら首からはたくさんの神経が出ています。首の神経の模型を横において、横から見るとこんな感じの状態です。
右と左、本管の太い神経からたくさんの枝が出て、その枝の一部分が背中に回ってきているんです。
首の神経には1番~8番まで番号が付いています。番号それぞれに神経をつかさどる場所が違います。
背中に回ってきている首の神経の番号は5番~8番です。
首の何番の神経がやられると、背中・肩甲骨のどこが痛いかが決まっている
東北中央病院の院長先生であり整形外科医である田中靖久先生は、首に関して長い間研究をされてきた専門家です。
田中先生の研究によると首の手術をした患者様、手術前にあった症状と手術後に改善した症状、何番の首の手術するとどの部位が楽になったかということを一つずつ丁寧に見られて、どの神経がどこをつかさどっているかということを解明されました。
首の神経の5番、6番、7番、8番の神経は背中の部位をつかさどっているんです。
5番の首の神経がやられれば下記の絵の5の肩のあたり、6番神経がやられれば絵の6の肩のあたり、7番の首の神経、8番の首の神経がやられれば肩甲骨の背骨のすぐ脇のあたり。そして、さらに広範囲に8番のつかさどっている場所が痛くなります。
このようにどの番号の首の神経がやられると、どこが痛くなるかということが概ね決まっています。
ですので、背中が痛い。いつまで経っても背中の痛みが取れないと思う方は、背中の治療ではなくて首の治療、首の神経を回復させないと良くならない可能性があります。
首の骨をレントゲンで解説します
一つ患者様の例をご紹介します。こちらをご覧ください。
これは70代の女性の横向きのレントゲンです。
このレントゲン画像の頚椎の(骨の番号の)5番、6番、7番はこの患者様の一番痛い部位なんです。
頚椎の(骨の番号の)4番と5番、5番と6番の間の椎間板が潰れて首が変形しています。
さらに潰れた頚椎椎間板の上と下には骨にトゲができてしまっています。
結果として首の神経の6番、7番、8番を圧迫するため、肩甲骨周囲に痛みをうったえて来院しました。
このように首のどの番号の神経が圧迫されているかによって、症状が出るところが決まってくるのです。
全身のレントゲン写真を見てみると、沢山の骨が背骨が潰れてしまって姿勢が悪くなっているのがわかります。
この患者様のような姿勢不良の方には日中の姿勢指導も重要ですが、寝ているときの姿勢指導も必要になってきます。
首の神経を積極的に回復させることが必要
起きている時の姿勢を良くすることも重要ですが、寝ている時の姿勢を良くすることも同じかそれ以上に重要なことです。
人間の首は寝ているときにだけ重力から解放されます。睡眠時間は、神経を休ませることができるチャンスタイムなのです。
寝ている時は無意識のうちに悪い寝姿勢をとってしまうことがあります。悪い寝姿勢によって、首の神経が痛みつけられ、朝から症状が出てしまうということがあります。
逆に首の神経によい姿勢で寝ていれば、朝起きた時に神経が回復できて朝から症状が発症しないばかりではなく、十分な回復によって、日中も症状がでないということもあるのです。
寝ている時の姿勢は寝具環境で決まります。寝具環境を整えて夜間、寝ている間に首の神経を積極的に回復させましょう。
首の神経を回復させれば、背中・肩甲骨の痛みもとれる可能性があります。
寝姿勢が悪くなってしまうので適切な枕が重要
寝具環境を整える第一歩であり、最も有効な方法は適切な枕を使うことです。首の神経にとっての良い枕は、適切に整えなければなりません。枕の調節がとても重要になるんです。レントゲン画像の患者様も枕を調節して毎晩眠るようになってから、背中の痛みがほぼ消失し改善しました。
さて、今回の説明でいかに首の傷害が上背部、背中の上のほうや肩甲骨に障害を生じるかということがわかっていただけたかと思います。
もしあなたが自分で背中が痛い、肩甲骨が痛いなと思って長く悩んでいるとすれば、整形外科医を受診して背中や肩甲骨のこの部位が痛いということを訴えてください。
尚且つもし首から肩、腕の方まで症状があるとか、肩こりや首が痛いということもあれば一緒に説明を加えてください。
以下のコラムでは「背中の痛みは首が原因かもしれません」からもう一歩踏み込んで、右と左の背中の痛みそれぞれの原因が首の左右それぞれから起こっているのかについて詳しく説明すると共に、その対処方法をお話ししております。よろしければご参照ください。
背中、特に上背部といって上の方の背中の痛みの原因がもし首の病気、首の症状であれば適切な枕を使うことで非常に良くなる可能性があります。
整形外科医開発の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を販売しています。レントゲン画像の患者様もオーダーメイド枕の整形外科枕を使って毎晩眠るようになってから、背中の痛みがほぼ消失し改善しました。
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