つまずきや転倒の原因と解決方法を解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
今回は9月の30日にBSテレビで草野仁さんの「名医が寄りそう!カラダ若返りTV」という番組で、
私たちを取り上げていただきました。
その時のテーマが「つまずき×枕?」ということで、つまずきが起こってしまう様々な方々の悩みに回答しながらその問題を解決するという内容の番組だったんですね。
大変興味深い内容の番組のテーマでした。
その番組では千葉県から70代の女性のモニター様がつまずきはどうすればいいんですか?というお悩みを抱えて相談に来てくださいました。
その方につまずきの原因を診断し、MRIなどの画像も撮影して何が悪いのかを診断した上で適切なアドバイスをいたしました。
そしたら見る見る症状が改善したんです。
どんな治療をしたかというと実はとっても簡単で1つは「シャキっと3秒姿勢」という姿勢の指導と、もう1つが自分の体に合った枕を使いましょうねという「枕の高さ調節」です。
このたった2つの指導で、しっかりそれを守ってくださった女性の方は様々なご症状が改善してとても喜んでらっしゃいました。
そこで今回はそのつまずきについて原因や解決方法をお話ししたいと思います。
目次
つまずきや転倒の原因
皆さんもつまずくことはたまにあるかもしれませんが、実は高齢になってくるとよりその頻度は増えてきてしまうのです。
つまずきや転倒の原因って何だろうと考えたときに、運動不足で足腰が弱くなっているだけじゃないの?と思うかもしれません。
もちろんそれも1つの大きな原因ではありますがそれだけではないんです。
つまずきや転倒ははたくさんの複合的な要因があって起こります。
内的要因
加齢変化
…筋力低下、姿勢不良、運動不足
年齢と共にやはり筋力が弱ってきます。姿勢も猫背になってしまって悪くなります。
そして運動をあまりしなくなり筋力が落ちたり、バランス能力が悪くなったりすることでつまずいてしまうのです。
身体要素
…心臓、循環器、神経(認知症、パーキンソン病)、筋肉・骨(外傷、変形、骨粗鬆症)
その方の持病としての心臓病や循環器の病気、呼吸器の病気があります。
高齢化社会ですので神経の病気として認知症や、運動能力に非常に影響するパーキンソン病もあります。
また、骨や筋肉の問題です。若い人でも使わなければ衰えますし、交通事故などの外傷でも色々な機能が悪くなることがあります。
そして加齢変化で骨や関節の機能が悪くなったり、筋力が劣れたりすることでもつまずきの原因になるわけです。
薬物
…睡眠薬、抗うつ薬、抗不安薬、降圧剤など
睡眠薬や処方された飲み薬などの副作用として、朝起きた時にふらついてしまうということが起こります。
特に高齢者の場合は体の中にお薬が残りますので、そういったことも起こりやすいんです。
あとは抗うつ薬や抗不安薬といって精神的な病気の薬でも起こります。
また、意外かもしれませんが高血圧の方が飲んでる血圧の薬でも時ふらつきつまずきが起こるんですね。
お薬で治療をしようと思って飲んでいるのに、逆につまずいて怪我をしてしまうのはもったいないです。
外的要素
…段差、障害物など
ちょっとした家の中の段差につまずいたり、床に敷いている布団や冬場のこたつの布団に足を引っかけてつまずいてしまうというような外的な要素からも起こります。
整形外科におけるつまづきや転倒の原因
運動機能の低下
日本整形外科学会ではロコモティブシンドロームという運動能力の衰えについて警告を発しております。
ロコモにならないために体操しましょうというのが日本整形外科学会のホームページにもありますので、あまり聞いたことない方は是非そちらを参考にしてみてください。
首の神経の問題
首と遠い足のつまずきとどう関係あるんだろうと思ってしまうかもしれないんですが、首は要で首の神経がやられると首から下の様々な症状が出るのです。
その症状の中の1つにつまずくという足の症状もあるんです。
首が原因で足が上がらなくなる
ご高齢の方やテレビのモニターなっていただいた患者様もそうだったんですが、歩き方を見ると足が上がってないんですね。
実はその1つの原因が首にあるかもしれません。
首からは脊髄神経が通っているんですが、脳から繋がって足まで通っています。
その一連の長い神経が首で何らか圧迫されてしまうと、神経の栄養状態が悪くなって神経の働きが悪くなってしまいます。
足が突っ張ってしまったり足がダラっとしてしまうというような色々な神経の障害が起こり、足がうまく運べないのでスムーズに足を上げたり下ろしたりという動作ができなくなりつまずきが起こってしまうのです。
テレビでは富山医科薬科大学の整形外科の脊椎専門医であられる川口教授が、このことについて分かりやすくご説明をしてくださってい ました。
当院に来ていただいたそのテレビのモニター様は、実際に首の中の脊髄神経を椎間板のヘルニアが圧迫していたのです。
首が悪くなるとなんと遠くに離れた足の神経が障害されてつまずくということが1つ原因にあるということです。
つまずきや転倒の解決方法
シャキッと3秒姿勢
「シャキッと」と聞くと背筋をピンとするというようなイメージかもしれませんが、まさにそんな感じです。
胸を起こす
肩を横に開く
おへそを引き込む
グっと下っ腹に力を入れるイメージです。
このシャキッと3秒姿勢はどこでもできます。
椅子に座っていても簡単にできますので、思いついた時にいつでもやってください。
この姿勢を整えると何が起こるかというと、首の神経がしっかりといいポジションになって周りの骨や椎間板に当たって悪い刺激を受けるのを予防してくれるんです。
もし首だけをやろうとして胸や腰が悪い姿勢になっていたら、神経は足まで通っていますので全体は良くなりません。
首の姿勢を良くするということは同時に体全体の姿勢がいいということです。
枕の高さを体に合わせる
寝ている時の姿勢では、例えば柔らかい凹凸のウレタン枕で寝てしまうと首がグラグラ揺れてしまいます。
これでは首の中の神経がいい状態になりません。
適切な枕の条件は、硬くて平らで高さが1人1人の体格に合っていることです。
そうすると首がグラグラすることなく、夜間に寝返りを打っても良い姿勢で眠ることができます。
夜間の睡眠姿勢を整えることもとても大事です。
今回は9月30日に放送されたBSテレビ草野仁様の名医が寄りそう!カラダ若返りTVの内容をご紹介しました。
つまずきでお悩みの方はシャキッと3秒姿勢と枕の高さ調節を是非試してみてください。
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