耳の後ろが痛い?それは後頭神経痛かもしれません
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
今回は首の後ろが痛い?それは後頭神経痛かもしれませんということについてお話をしていきたいと思います。
目次
耳の後ろというのが今回のキーワードで、後頭神経痛は整形外科にも患者様がよく来る病態なんです。
後頭神経とは?
脳の痛みとは違い、脳から出た末梢神経の痛みというところをまず理解してください。これには3つあります。
大後頭神経(だいこうとうしんけい)
小後頭神経(しょうこうとうしんけい)
大耳介神経(だいじかいしんけい)
後頭ですので頭の後ろの方の大きいのと小さいの、そして耳介ですから耳のあたりだなという予測がつきますね。
末梢神経は両側にあるんですが、頭の中央に近いところにある大きな神経が大後頭神経です。首の後ろ側にもあります。
その大後頭神経の隣にあるのが小後頭神経で、外側の耳の近くにあるのが大耳介神経です。
よく患者様が頭が痛い時に、首の後ろから頭の上をなぞる様にこの辺りですという言い方をされるんですがまさにその通りで、神経の通り道に沿って痛いってことが起こるんです。
ですのでもし耳の後ろが痛い場合は大耳介神経の可能性があるということです。
後頭神経痛と一緒に起こる症状
後頭神経痛は筋緊張性頭痛や肩こりや首こりと一緒に起こることが多く、関連性がある痛みなんです。
肩こりは日本人の女性の第1位、男性の第2位と言われるぐらいポピュラーな国民病ですね。
ですので後頭神経痛も皆さんによく起こる可能性がある病態なんだというふうにご理解ください。
後頭神経痛の痛みの特徴
頭を横から見て耳の下にあるのが大耳介神経、耳よりも上の近くに走っているのが小後頭神経、もっと頭の上の方まで走っているのが大後頭神経です。
後頭神経痛は顔面には痛みが出ないというのが特徴なんです。
もし目の周りが痛いとか、頭の頭皮やおでこ辺りがピリピリ痛いとか顎の付近が痛いなど顔面の方に症状がある場合は別の神経痛なんです。
三叉神経、眼神経、顎神経、などが原因の可能性があります。
後頭神経痛は片側に起こる場合と、同時に両方が痛くなる場合もあります。
そして神経に沿って痛みが出ることが多いです。
数秒から数分、チクチクっと痛くなるんですが、そんなに1~2時間続くということはないです。
しかし、ひどいと針が刺すように痛いとか、グリグリえぐられるように痛いというこよも起こります。
また、頭皮への刺激に注意してください。
例えばくしで髪の毛を梳くみたいなことをちょっと強めにやってしまうと、神経痛がある時は響いてより症状が悪くなることもあるんです。
後頭神経痛ではない痛み
もしも後頭部をバットでガーンと殴られるような痛みがあった場合、これはあまり後頭神経痛の特徴ではありません。
このような場合は脳の問題を考えなければいけません。
脳外科や神経内科に掛かってMRIやCTを撮りしっかりと脳の病気を鑑別することをおすすめします。
脳卒中やくも膜下出血などという病気が背景にある可能性も否定できません。
後頭神経痛の痛みの特徴をきちっと知ることである程度ご自分でも鑑別できると思います。
頻回に起こるとすればやはりしっかりと専門の科にかかることが重要です。
後頭神経痛が起こる原因
後頭神経が何らかの別の病態によって刺激されると起こります。
怪我(むち打ち症)
交通事故でむち打ちになって後頭神経に刺激がいくことによって後頭神経痛が起こってしまうことあります。
手術
首の手術などの外科的な処置で後頭神経に触れてしまって起こることがあります。
感染症ヘルペス
帯状疱疹と言ってウイルスが神経の中に存在することによって、それが刺激となって痛みが起こるヘルペスという感染症があるんですが、そこから大後頭神経痛が起こることもあります。
関節リウマチ、変形性頚椎症
整形外科の領域なんですが、首自体に何か病気があり首がグラグラしたり骨が変形して形が変わって神経に刺激を与えてしまうようなことが起こるとこ後頭神経痛になることもあります。
後頭神経痛の治療
では後頭神経痛の方の治療についてお話をします。ほとんどが薬物治療と言ってお薬の治療が中心となってきます。
消炎鎮痛剤
ロキソニンやボルタレンなどの痛み止めです。
たくさんの種類の消炎鎮痛剤があるんですが、まずは第1選択で使ってみる可能性が高いです。
末梢神経改善薬
ビタミンBやEを使うことが多いです。メチコバールとかビタメジンといった薬があります。
筋緊張緩和薬
後頭神経痛は筋肉の締め付けによって起こることが多いので筋肉の緊張を取る薬です。筋弛緩薬ともいいます。
テルネリンやミオナールという薬があります。
抗不安薬
後頭神経痛を起こしてくるとどうしても不安になってしまい、その不安がより痛みを強くするということがあります。
不安を取り除くための抗不安薬を使うこともあるんです。
デパスやリーゼといった薬があります。
神経痛治療薬
神経痛がどんどんひどくなると頭がこの痛みを強固に覚えてしまって、いつも痛みから逃れることができなくなってしまいます。
神経痛そのものの改善薬としてリリカやサインバルターというお薬があります。
ブロック注射
薬物療法と併用、もしくは薬物療法が効かない時に行う治療としてブロック注射を打つこともあります。
局所麻酔と炎症を止めるお薬を後頭部に打つという治療ですが、結構これはよく効きます。こちらは整形外科やペインクリニックなどで行っております。
ストレス解消
最後に当たり前のことなんですが重要なのがストレスを解消することです。
ストレスがあると痛みをより強く感じてしまいます。
後頭神経痛が朝起きている場合
後頭神経痛がもし朝起きた時から起こるとしたら、その原因は枕にあるかもしれません。
柔らかい枕や高さが合っていない枕で寝ると首がグラグラします。
このぐらつきだけでも後頭神経を挟んでしまって痛みが出ることがあるんです。
朝起きた途端に後頭部が痛い、耳の後ろが痛い、耳の前が痛いというようなことが起こってしまっているとすれば、あなたの枕が体に合っていない可能性が高いと思います。
その場合は枕の高さを適切に自分の一人一人の体格に合わせてください。
そして適度な硬さで首を支えて、表面は寝返りがスムーズにしやすいように平らなことが大事です。
様々な原因から後頭神経痛は起こります。
ただ単に頭の後ろが痛いということで我慢せず、しっかりと整形外科や神経内科で診断をしていただくということも重要になります。
朝起こっている方は枕も是非試してみてください。
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