腰椎椎間板ヘルニア患者の治療について解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
急に足のしびれが出たということで診察に訪れた患者様。
前回の診察で足のしびれは腰からくる坐骨神経痛の疑いが出てきました。
さらに詳しく検査するためレントゲンとMRIを撮り、その診断結果とこれからの治療について山田先生がお話しします。
画像診断の結果
山田:レントゲンとMRIを撮っていただいて、明らかに足のしびれは腰から来てるっていうことが分かりました。
MRIで私が疑っていた腰椎椎間板ヘルニアが実はやっぱりあったんです。
患者:そうですか。
山田:こちらご覧ください。覚えてらっしゃいますかね、2015年ぐらいに一度当院に腰痛でいらしたことがあったんですね。
患者:はい。
山田:その時の画像と比較させていただいて見ていただきます。
体を横から見てる写真です。寝て撮っていただいたMRIを縦に起こして見ています。
腰は5つ骨があります。1番2番3番4番5番となっているんですが、横から見るとあんまりはっきり悪いところって いうのはないんですよ。
椎間板は白いのが水気があって綺麗なところ、黒くなってくると質が悪くなっているんですが、これだけでは後ろに走ってる神経を特別圧迫するようなものは見えないんです。
しかし、これを頭の上からの向きでMRI画像を見てみると悪いところが見えてきます。
断面で切り出した写真です。
これは3番と4番の椎間板のところを見てるんですが、2015年の画像では全く何も問題はありませんでした。
椎間板はとても綺麗な状態ですが、現在どうなっているかっていうとかなり黒いところが出てきてますよね。
椎間板の1部分が水気がさらになくなって質が悪くなってきてるんですね。
椎間板の質が悪くなってくると弾力性がなくなるので潰れてまります。
潰れたものはどこかにはみ出します。
こちら見ていただくと左側の矢印の示す部分ですね。
2015年にはなかったんですが、これが明らかに飛び出している。
椎間板が出っ張ることをヘルニアと言います。
ですので左の足に行く神経を圧迫するようなヘルニアが今回飛び出してしまったということです。
よく見ると薄っすら中が白いのが分かります。
この白い部分があるのは比較的椎間板ヘルニアが新しく起こった可能性があるということを物語っています。
今回のラグビーでなったかどうかは分かりませんが、比較的最近なったのではないかということがわかるのです。
2015年当時ではなくて、近年近いところでどこかでヘルニアが飛び出してしまった。
そしてこれはなかなか元に戻すってことは難しいです。
たまに偶然そういう風なことが起こって良くなることもありますがほぼほぼ難しいことです。
ですがヘルニアによって局所に起こっている炎症が取れて、本人が1番辛い足のしびれの症状が改善すればヘルニアを持ったままでも大丈夫です。
ただし1つだけ条件があってそれは足の力が戻ること。
足の力が戻らないと歩いていて、つま先が突っかかってしまって転んじゃったりとか、やりたいラグビーがつま先立ちできないとか色々支障が出るので、筋力が比較的1ヶ月前後ぐらいで戻ってくるかどうかがポイントとなります。
そんな風にしてこれから治療を始めていきたいと思います。何かご質問ありますか?
患者:その神経が圧迫されてるわけですよね。それが戻らなくても痛みは取れたりするものなんですか?
山田:はい。この出っ張ったことによって神経が刺激を受けて痛みが出ます。
神経には健康状態というのがあって、痛い・しびれるって感じているのと、麻痺が起るっていうかなり悪い状態があります。
麻痺が起こってしまって戻らないともうその神経は死んでしまうんですが、一時的に痛みがあっても麻痺さえ起らなければ炎症が収まると神経は自力で回復してくるんですね。
それを1ヶ月ぐらいの間待つと、その間できればお薬も使いたいと思います。
患者:はい。分りました。
治療について
山田:これからの治療なんですけれども、可能であればできれば1ヶ月ぐらいお薬を使いたいんです。
飲み薬と点的療法ですね。
診察で診るとやっぱり足の力が落ちてることを考えると、中等度悪いということになるので点滴をお勧めします。
患者:はい。わかりました。
山田:2週間ぐらい来れる時でいいので点滴に来てください。
患者:はい。わかりました。
山田:お薬の名前はちょっと難しいけどノイロトロピンというお薬とメチコバールっていうお薬を点滴したいと思います。
それからラグビーは今はダメです。ラグビーはしないでください。
普通の日常生活はいいけれども、過度に腰を使うようなこと、重たいものを下から持つとか腰回りが冷えることは注意してください。
患者:はい。わかりました。
山田:あと生活の中で何か心配なことありますか?
患者:そうですね。お風呂は入った方がいいですか?
山田:お風呂は入った方がいいですね。温めていただく方が回復が早いです。
患者:今はストレッチとかはあんまりしない方がいいんですか?
山田:腰に負担のかけるストレッチはやめていただいて、手足を硬くならない程度のゆったりしたストレッチを5分程度朝夕やっていただくのは構いません。
患者:はい。分かりました。
座っているときの姿勢
山田:お仕事は何ですか?
患者:仕事は結構デスクワークが中心ですね。
山田:重いものを持つことはないですか?
患者:あまりないですね。
山田:あとずっと座りっぱなしというのも良くないんですよ。
座ってると腰回りの血流が悪くなるので、たまにデスクワークの途中で体操したり軽く上にストレッチして伸びてみたり、時には立ち上がってみたりっていう腰を動かすことは適度にやってください。
椅子に座るっていう姿勢もとても大事だし、寝る時の姿勢も大事です。
まず椅子に座るときの姿勢をお教えしますね。
いつもクッションとか使ってないですか?
患者:いや、使ってないですね。
山田:どうしても長く座ってると悪い姿勢になります。
できればちょっとしたクッションでいいので、これを腰の背骨のくびれてる辺りにしっかり入れていただいて、お尻をグッと後ろに詰めて座ってください。
骨盤から上半身まで1本の軸が通るようにまっすぐ座っていただくといいです。
骨盤がずるずると前に滑り出すような時はしっかり座り直してください。
寝ているときの姿勢
山田:では寝る時の姿勢です。予約の際にお話ししたんですけど、いつも使ってる枕はお持ちくださいましたか?
患者:はい。これです。
山田:これですか。あらら。これですね良くない点がいくつかあります。
まず素材ですがウレタンですよね。
患者:はい。そうです。
山田:柔らかい素材のものは寝てから簡単に枕の形が変わってしまいます。
それから枕の形が高い方と低い方がありますが、どうやって当ててますか?
患者:高くなっている方を首に当てています。
山田:首の後ろに当ててますね。これは首の後ろを支えてるってことには確かになるんですが、人間一晩中じっと寝てるわけではないんですよ。
右を向いたり左を向たり体を動かすことが大事で、寝返りという観点からはこういう凹凸枕っていうのはよくないと私考えております。
ですので平らで、とても大事なことは高さが合ってることが大事なんですね。
1人1人の体格に高さを合わせた枕を使っていただきたいんです。
お家にある簡単な素材でもできるし、整形外科枕というものもございますので、その指導も医学療法士がさせていただきたいと思います。
枕と腰って遠くて関係ないように思いますか?
患者:そうですね。
山田:でも寝返りがスムーズにできると、腰に負担がかかんないんですよ。
なのでヘルニアがありますから、より寝ている6~7時間腰に負担をかけないためにも枕はとっても大事なんですね。
枕には大事な3つの条件というのがあって、1番大事なのが患者様1人1人の体にあった高さなんですね。
それから表面が平らな形。平らが一番寝返りが打ちやすいんです。
そしてお持ちいただいた枕のように柔らかいとだめで、比較的硬くて高さが維持できないといけません。
そんな風に枕を整えることが睡眠中の腰に負担をかけず早い回復に繋がります。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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