あぐら・座敷・うつ伏せで足がしびれる原因と見分け方|整形外科医が診察で確認すること
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

この記事でわかること
- あぐら・座敷・うつ伏せでのしびれが「一時的なもの」か「腰が原因」かの見分け方
- 整形外科での問診・触診・神経検査で確認する4つのポイント
- 坐骨神経痛が疑われる場合に受診すべきタイミング
目次
一時的なしびれと腰が原因のしびれ:見分ける3つのポイント
あぐらや座敷での正座中に足がしびれることは誰にでも起こります。これは血流の一時的な低下によるもので、立ち上がって数分以内に解消されるのが通常です。
しかし次の3つに当てはまる場合は、腰の神経(坐骨神経)が関係している可能性があります。
以下では、実際の診察事例をもとに整形外科でどう確認していくかをご紹介します。
診察事例:座敷でランチを食べた後に急にしびれが出た

今回は「左足の外側がずっとしびれている」という患者様の診察の様子をお届けします。
山田:こんにちは。今日はどうされましたか?
患者:左足の外側がずっとなんかしびれてですね。
山田:左の足だけですか?
患者:はい。実はお昼に座敷であぐらをかいてランチを食べてたんです。10分~20分ぐらい座ってましたかね。それで帰るときに立ち上がったら足がしびれてたんですよ。
山田:はい。それで?
患者:まあいわゆる正座しててしびれるのと同じだと思ったので、そのまま立ち上がって帰ってきたんですけど2時間経っても3時間経ってもしびれが取れないので、なんかおかしいなと思って診てもらいにきました。
山田:それじゃあ今回、足のしびれは今始まったことなんですけれども、同じ症状を何回も以前から繰り返してるってことはありますか?
患者:いや、ないですね。普通に正座した時に1~2分はしびれてることありますけど、それですぐ治るのでこんなに何時間も続いてるのは初めてです。
山田:足のしびれの多くの原因としては、腰から来ることが考えられるんですけど例えばすごく以前の学生時代からとかそういう頃から腰痛があったっていうのはありますか?
患者:そうですね。たまに腰痛になることもあったんですけどそんなにひどくなくて、私ラグビーをしているんですが始めて結構トレーニングをするようになってからは腰痛はほぼなくなりましたね。
足のしびれが出る兆候はあったのか
山田:足がしびれてきたのはごくごく最近なんですけれども、少し前例えば1週間ぐらい前からなんか足のしびれの兆候、もしくは何か負担をかけたみたいなことないですか?
患者:そういう意味でいくと、先週末の日曜日にラグビーの試合がありまして、その時に後ろから走ってきた選手に思いっきりぶつかられてしまって、腰から肋骨の辺りですかね。後ろから来たもので全然見てなかったんで、一瞬倒れてすごく痛かったんですね。
山田:転んでしまったってことですね?
患者:そうですね。倒れて転びました。
山田:実に転んだその時になんかギグっとなったとか、あんまりはっきりは覚えてないですか?
患者:そうですね。骨がおかしくなったとかそういう感じはなかったんですけど。かなり痛みはありました。
山田:その後の帰り道とかに腰から足の違和感、しびれや痛みはなかったですか?
患者:そういうのは全然なかったですね。
山田:どうもそのラグビーで痛めたっていうのもやはり1つのきっかけになってた可能性はあるかなと思います。それでないと、座っていて特別何かしてないのに急激に症状が起こるっていうのはおかしいので、そういった前もっての症状が関係してくることもあるんですよ。お話よくわかったので、これから診察をします。
問診で確認したポイント
- しびれが2〜3時間以上続いている(正座・あぐらの一時的なしびれではない)
- 片足(左足)のみにしびれが出ている
- 1週間前にラグビーで腰に衝撃を受けた経緯がある
- 過去にも腰痛の経験あり
整形外科が診察で確認すること
腰と足の触診
山田:では、こちらのベッドにまず最初うつ伏せになってください。腰の骨1つずつを押していくので痛かったら教えてください。どうですか?
患者:そんなに痛くはないです。
山田:これどうですか?
患者:なんか少し響くような感じがします。
山田:下の方途と少し違いますね。3番とか4番あたりが腰の中でも痛いところです。お尻を押します。痛みはどうですか?

患者:少し痛いです。
山田:少し痛いですね。こっちは?
患者:そっちは痛くないです。
山田:右は痛くないけど、左が痛いですね。では足を押していきます。
患者:(特定部位で)痛いです。
山田:痛いですね。さっき痛いって仰った腰の4番目の辺りからずっと足に坐骨神経というのがあって、痛みが出てるってことは神経痛があると判断します。では上向きお願いします。じゃあ足を上げていくので力抜いててください。ちょっと左足が上げにくいですね。
患者:足がやっぱり痛いですね。
山田:お尻から太ももの裏あたりですか?
患者:そうです。
触診で確認したポイント
- 腰椎3〜4番を押すと左側に響く感じ(右側は正常)
- 左のお尻(坐骨神経の走行部位)に押したときの痛みあり
- 足を上げるとお尻〜太ももの裏に痛みが走る(坐骨神経痛の典型的な所見)
運動神経の確認

山田:では次に運動神経の能力と感覚神経を診ていきます。まずはしびれていない右側の足です。足首から足を起こすようにしてぐーっと力入れてください。力正常に入りますね。今度は下に蹴ります。では一旦力抜いて、反対の左側で同じようにやっていきます。

ぐっと力入れてください。ちょっと右ほど力入らないですよね。
患者:そうですね。
山田:今度は指先です。ぐっと力入れてください。
親指はちょっと弱いんですけどまあまあ入ってますね。他の指先はやっぱり力が落ちているので、例えば日常生活の中でつま先立ちをするなどという指先に力入れるっていうのちょっと弱い感じとかしますか?
患者:生活上そうですねちょっと軽く走ってみようと思ったら左足はなんか蹴れない感じです。
山田:蹴れない感じですね。やはり上げるのが弱いですね。
運動神経の確認で判明したこと
- 右足と比べて左足の足首を上げる力が低下
- 足の指(特に親指以外の4本)を上げる・下げる力が落ちている
- 患者自身も「左足で蹴れない感じ」を自覚
- → 腰椎からの神経圧迫による運動神経への影響と判断
感覚神経の確認

山田:ではこれから感覚を見ていきます。触ってるところの感覚が違うか教えてください。まず足の甲を触ります。どうですか?
患者:なんかはい右と左で左はやっぱり全然違いますね。
山田:右がはっきり分かるのを10とすると左はいくつですか?
患者:その半分ぐらいですかね。
山田:はい。では足の外側触ります。右10とすると左はいくつですか?
患者:さっきよりはちょっと感覚ありますけど、6か7ぐらいですかね。
山田:6か7ぐらい。では足の脛を触ります。右10とすると左はいくつですか?
患者:それも6か7ぐらいです。
山田:では太もも触ります。この辺はどうですか?
患者:そんなに変わらないですけど、やっぱりちょっと左は違和感あります。
山田:膜をかぶってるようのは感じですかね。では足の内側はどうですか?
患者:それは全然変わらないです。
山田:はい、よくわかりました。足の力と感覚を診るとやはり腰の座骨神経領域に症状があります。この感覚を司ってるところも神経の番号によって症状の出る場所が異なってくるので、神経で言うと4番とか5番あたりが悪いのかなという推測です。
後はちょっと画像検査ですね。今回の足の症状は原因が腰からとなっていると考えられるので、まずは腰のレントゲンを取りましょう。レントゲンは骨を移すものですので、骨以外の重要な椎間板であるとかその後ろに走ってる神経というのは見えないので、MRI検査もしてさらに詳しく診たいと思います。
感覚神経の確認で判明したこと
- 足の甲:右10に対して左は約5(半分の感覚)
- 足の外側・すね:右10に対して左は6〜7
- 足の内側:左右差なし(内側の感覚神経は正常)
- → 感覚の低下パターンから腰椎4〜5番の神経圧迫と推測
- → 次のステップとして腰のレントゲン・MRI検査を実施
腰のしびれに関係する睡眠姿勢と枕
腰の神経圧迫が原因の足のしびれには、日中の姿勢だけでなく睡眠中の姿勢も影響します。
- うつ伏せ寝は避ける:腰が強く反った状態になり、椎間板・神経への負担が増します
- 仰向けで膝下枕を使う:膝の下にクッションを置くことで腰の反りが緩和されます
- 横向きで寝る場合:膝の間にクッションを挟むと骨盤が安定し、腰への負担が減ります
また、首・肩の睡眠姿勢が悪いと脊椎全体への負担につながります。高さの合ったオーダーメイド枕で首をしっかり支えることも、腰の負担軽減に有効です。
足のしびれ・痛み・つりの原因全般については、こちらのコラムもあわせてご覧ください。
→ 足が痛い・しびれる・つる…その原因は「足」ではなく「腰」?整形外科医が見分け方を解説
よくある質問
あぐらをかいた後に足がしびれた場合、どう判断すればいいですか?
数分以内に改善するなら、圧迫による一時的なしびれです。しかし2〜3時間経っても取れない、歩くと足に力が入りにくい、片足だけしびれているなどの場合は、腰の神経(坐骨神経)が関係している可能性があります。特に直前に腰へ衝撃があった場合は整形外科を受診してください。
正座・あぐらのしびれと坐骨神経痛のしびれの違いは何ですか?
正座・あぐらによる一時的なしびれは、立ち上がって数分以内に解消されます。坐骨神経痛によるしびれは姿勢を変えても2〜3時間以上続き、足に力が入りにくい・右と左で感覚が違うなどの症状を伴います。片足のみに出るケースが多いのも特徴です。
うつ伏せで寝ると足や太ももがしびれるのはなぜですか?
うつ伏せ姿勢は腰が反った状態になるため、腰の椎間板や神経に負担がかかります。特に腰椎4〜5番の神経が圧迫されると、足の甲・外側・太ももにしびれや感覚の鈍さが現れることがあります。繰り返す場合は整形外科を受診してください。
足のしびれの原因が腰かどうか、整形外科では何を確認しますか?
(1)問診:しびれの継続時間・片足か両足か・腰への衝撃の有無、(2)触診:腰椎各番号を押したときの痛みの確認・お尻〜足の神経痛の有無、(3)運動神経の確認:足首や足の指を動かす力の左右差、(4)感覚神経の確認:足の甲・外側・すねの感覚の鈍さ、の4項目を確認します。
足がしびれる場合、どんな枕・寝姿勢が腰に良いですか?
腰の神経圧迫が原因の場合、うつ伏せ寝は避けることが基本です。仰向けで膝の下に枕(膝下枕)を置くことで腰の負担が軽減されます。横向きで寝る場合は膝の間にクッションを挟むと骨盤が安定します。首・肩への負担も腰痛に影響するため、高さの合ったオーダーメイド枕も有効です。

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「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」
16号整形外科院長 医学博士
㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
できるだけそのままお伝えしております。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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