クリニックの役割分担とチームワークで多方面から治療ができる
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
整形外科医山田朱織が本音を語ります。
「整形外科クリニックの役割分担とチームワーク」ということでお話をしていきたいと考えています。
前回の第1弾で「3分医療では私の目指す医療は難しい」というお話をしてまいりました。
例えば腰痛の患者様1人をとっても多くの情報、多くの所見を取りきちっと診断して治療してさらには予防していきたいのに、なかなか3分間では医者1人が対応するのでは間に合わないということをつぶやきました。
でも呟いてばかりいても仕方ないわけで、それに対する対処療法や対応策を考えていかなきゃいけないわけです。
そこで今回のテーマの役割分担とチームワークというのが1つの解決策です。
役割分担で解決する
私どものような開業医の整形外科クリニックにおいては20数名のスタッフがおります。
大きく分けると受付のスタッフ、診療部のスタッフ、レントゲンやMRIを撮る画像検査のスタッフ、そしてリハビリテーションです。
リハビリテーションの中には2つあって、理学療法士という国家資格を持ったスタッフと、物理療法という器械の治療を担当しているスタッフがおります。
これらのスタッフと医師がチーム一丸となって、3分間では決して対応しきれない患者様に対して様々な対応をしていくことが重要なのです。
それが患者様の治療、症状を改善したり気持ちを和らげたり、結果的にその方が改善していって病院に来なくても良いようになっていくために必要なことだと考えております。
チームワークで解決する
受付から患者様の様子を確認・共有
受付がどうして医療のチームワークの1つなのかというと、受付のスタッフの方は実は患者様がクリニック入口から入ってくるところから様子をチェックしているんですね。
今日は杖を持たないで足元が悪そうだなとか、いつもとは違って腰がより痛そうだとか、膝がいつも痛い方なのに今日は足首を痛そうに歩いているとか、待合室にいる様子を見ても1人では座っても辛そうとか、一人で立ち上がる時も辛そうなど、来院して待合室にいる段階で患者様の様子を確認しあまりひどいと診療部に情報をくれるんです。
〇〇さんは今日とても辛そうなので何か対応しますか?とか、今日は1人ではなくご家族の方も付き添いで来ているので一緒にお話を聞きたいようですなど、様々な情報を提供してくれます。
一旦患者様が診療室に入ると、3分間では私が全てのお話・状況を聞くことはできません。
ですので受付のスタッフや診療部の看護師や看護助手のスタッフを含めてチームで患者様の状況を確認するのです。
例えば前回の診察から今回までで良くなっているのか悪くなってしまったのか、最近はどんなことがあったのか。
確認するのは症状だけではありません。
ご本人の家庭状況の変化、内科にかかってる方であれば糖尿病が悪くなっていないか、血圧が高くなって変動していないか、またお薬が増えているのか減っているかどうか、こんなことも実は重要なんです。
高齢化社会に伴い整形外科の患者様は決して整形外科だけに来ているわけではありません。
内科の病気、耳鼻科の病気、様々な病気を合併しているケースも多く、そういったところでどんな治療をされているのか、そして治療がうまくいってるのかどうかは整形の病気にも関わってくることが多いからです。
薬の飲み合わせというのも重要で、内科で新しい薬が増えてしまったとか飲んでいた薬をやめたなどという場合も 当院で出すお薬との兼ね合いというのがございますので、できれば薬が変わった時などは最新情報を入手したいと考えています。
診察の情報整理の時短・工夫で解決する
実際に診察台に上がって診察をする際には、1人では立てなかったり移動できない方もいますのでその場合はスタッフが補助をします。
またお注射も寝てやるのではなく、立ったままやる方が楽な場合もありその見極めを私が診察室に入る前に全て完了しておいてくれれば時短ができるわけです。
また、いくつかの部屋を使い分けることによって別の部屋であらかじめ患者様のお話をきっちり聞いてそれを電子カルテに整理しておくと、診察の最初に私がそれを数秒間で一気に読んで患者様から直接お話を聞かなくても重要なポイントは即座に理解できるわけです。
ですので私の前に看護助手さんがしっかりと患者様の様子を聞いて・書いて・伝えてくれることが重要となってきます。
画像検査で解決する
では診察をしてレントゲンやMRIを追加で撮らなければいけないという場合、なかなかお痛みがあったり症状があることでレントゲンの台に乗ることができなかったり、MRIの検査は長時間じっとしていないといけないが途中で辛なってきてしまった。
このような時は、すぐに技師さんから連絡が入ります。
こんな状況なので今日は撮影が十分できませんでしたとか、撮影を中断して診療室に戻りたいようですとか、また状況が良くなって患者さんはこんな風に言葉をかけてくれました。
そんな報告をいただくことで私が医師として対応する患者様の直接見れる状況のみならず、どんな背景でこのクリニックの中で動いてるのか患者様が何を考えているのか、こんなことも情報が回ってくるわけです。
それらの情報を全て統合して考えることが次の治療に役に立つわけですね。
リハビリテーションで解決する
いよいよ治療となると、もちろん診療室の中で行うお薬の投薬と注射治療、点滴治療、様々な治療がありますが、これだけではほとんど効果半分と考えていいかもしれません。
残る半分重要なことは、整形外科ですから体の使い方、痛みを出さない使い方です。
姿勢を整えたり筋力を蓄積することで、しっかりと痛みがない生活ができる体にしていくこと。
そのためにはリハビリテーションが重要です。
リハビリテーションは大きく分けて理学療法というリハビリの先生がついて個人で20分間教える個別療法と、器械を使って温めたり電気治療などを行う物理療法とあります。
ここでは単に治療するだけではなくて患者様から細かい日々の状況、家での状態、外を歩く時、外出する時どんな状況なのか、介護保険を使っている方であればデイサービスに行った時にどんな状況なのか、細かく理学療法や物理療法のスタッフが話を聞いてくれます。
実際にその中から医師が判断しなければいけないことは、各スタッフが医師に伝達をしてくれるので重要な事に関しては次の診察でまたアドバイスをするというフィードバックができるわけです。
多方面から患者様を診て多方面から治療ができる
全体的な流れで見てみると1つのクリニックに足を踏み込んだ途端にチームワークが一気に動き始め、1人の患者様を取り巻く治療が多方面から行われていくわけです。
3分間、診療室に入って治療するだけではない、私たちがチームワークで働く中で多方面から患者様を診て、多方面からの治療ができる、これが最大のメリットです。
長くなりましたが、この3分診療ではうまくいかない治療をどうやったらうまく進めることができるか、1つの工夫として医療スタッフの役割分担とチームワークがあるという話を今回はお伝えしました。
これからもいろいろ考えてまだまだ呟いていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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