大人も寝返りは重要!寝返りをしないデメリットと解決方法
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
目次
寝ている間に寝返りを打ったことを覚えていますか?
今回は大人も寝返りは重要!寝返りをしないデメリットと解決方法をお話したいと思います。
そもそも寝返り寝返りと言っていますが皆さん寝返りって重要だと思いますか?
寝返りは人間の生理現象です。必ず一晩に約20回くらい寝返りを打つことが体にとって必要なことです。
寝返りの役割と寝返りをしないデメリット
寝返りが私たちの体にどんな役割を果たしているか、そして寝返りをしないとどんなデメリットがあるかをご説明します。
1.体液循環
健康維持には体の中の血液、リンパ液、関節液、こういったものが体の中をうまく循環することが重要です。
それは起きている時ならず寝ている時も大事です。寝返りができれば、寝ている時の体液循環を促すわけです。
夜寝ている間に寝返りができないことは、体液循環がうまくできないことになり、コリの物質が流れなくなり、朝起きた時からの肩こり、首こり、手のしびれ、腰痛、頭痛などにつながる可能性があります。
2.体温調節
もし一方方向だけで寝てしまったら、上向きだと背中に熱がこもり、横向きだと片側に熱がこもります。
体温を寝ている間も自動的にコントロールするためには、覚醒せず、無意識の中で、寝返りにより右向き左向き上向きと体の向きを変えれることが重要です。
夜寝ている間に寝返りができないことで、体温調節ができなくなり、部分的に熱がこもることによって、睡眠の途中に起きてしまうことにつながる可能性があります。
3.姿勢のリセット
日中は体を使って姿勢がどうしても歪んできます。重力が縦にかかるので椎間板も潰れます。
それを一晩寝ることで朝までにリセットして良い姿勢に戻すそのために、椎間板に重力がかからない寝ている状態で、寝返りという体を動かすことが大事なんです。
夜寝ている間に寝返りができないことによって、姿勢がリセットできなくなります。寝る姿勢によっては、椎間板にストレスがかかり続け、朝起きた時に、歪んだままの状態になってしまう可能性があります。
寝返りが打ちにくいマットレスとは?
患者様の中で一晩中寝返りを打たないで同じ方向で行儀よく寝ますという患者様もいました。
寝返りを打たないということはよくありません。しかし中には寝返りがうまくできない方もいらっしゃいます。
その原因は柔らかいマットレスです。
マットレスが柔らかすぎると寝返りを打つどころか、体が沈み込んで轍にはまった車輪のように動けなくなってしまいます。
では、硬ければ硬いほどいいかというとそうではありません。もちろん適度に硬いことはいいことです。
しかし、硬すぎてもダメです。硬すぎると背骨が反張といって反ってしまうので寝返りが逆にしにくくなるんです。
硬すぎず柔らかすぎず適度な硬さが重要です。
畳の上に5センチ程度の綿の布団を敷いた程度が日本人に合うのではないかと言われています。
これは人間工学的に見ても適度な硬さです。
近年流行っている低反発ウレタンのマットレス、いろいろありますが厚くなればなるほどグーンと体が沈み込んでよくないので気をつけてください。
寝返りの打ちにくい枕とは?
どんな枕が寝返りを打ちにくいかというと柔らかい枕や凹凸がある枕です。
柔らかい枕は頭がグラグラ寝てる時にぐらつくので体の中心軸を取りにくく、コロッと寝返りを打つことがしにくいんです。
一方、凹凸の枕は首に当たる部分が少し凹んでいて首にフィットすると言われています。
横が盛り上がって高い中央が低い凹凸の枕、このようなものは横向いた時にはさぞかし合うだろう、上向いた時には高すぎずいいだろうと思うかもしれませんが凹凸があると実際にはスムーズに寝返りはしにくいんです。
当社ではこの実験をしっかり行って検証しています。
寝返りを打ちやすくするためには、高さが一人一人の体に合っていて表面が適度に硬くて平ら、これが寝返りを打つためにはとても重要な条件になるんです。
寝巻き(パジャマ)で寝返りによくないもの
寝巻き(パジャマ)も実は結構重要なんです。
モコモコしたものは生地が摩擦抵抗が大きくて、掛け布団や敷布団やシーツなどと摩擦を起こして寝返りがしにくくなります。
また首にフードがあるものは寝返りの時に首を痛めてしまうので要注意です。
このようにマットレスもしくは布団、枕や寝巻きこんなものまでが寝返りの良し悪しを左右してしまう重要なものなんですね。
特に冬は暖かなパジャマを選びがちですので、以下のコラムで冬のパジャマ選びについて解説しております。
寝返りを打ったことを覚えているのはよくない?
あなたは寝返りをよく打つ方ですか?それともあまり打たない方ですか?
例えばAさんは夜中に何度も目が覚めて自分が寝返りを打っていることをよく覚えています。
朝起きると昨日は5回ぐらい寝返りを打ったなぁということを覚えているわけですね。
次にBさんは夜中一度も目が覚めないので自分が本当に寝返りを打ったかどうかはわかりません。
でも朝起きると寝た時の向きとは違う方向を向いていたり、掛けていた布団が少しずれていたりしてどうも寝返りを打った形跡があるなと気づく。
AさんとBさんどちらが良い眠りでしょうか?
Aさんの方が寝返りを何回ぐらい打ったのか自分でもわかっているのでいいのではないかと思うかもしれませんが、実はBさんの方が良い眠りなんです。
寝返りを打ったことを覚えているということはすなわち眠りが浅いわけですね。
数としてはよくわかって良いのですが、夜中に中途覚醒をして睡眠が分断されてしまうことは決していいことではないんです。
Bさんのように朝まで何回寝返りを打ったかは分からないけれどもどうも動いた痕跡がある、こんな眠りが質の良い睡眠と言えると思います。
寝返りを打っているか調べる方法
ぐっすり寝れているつもりだけれども、本当に自分が寝返りが打てているのか知りたいといった場合に、寝ている時に自分の寝返りを知る方法を大きく分けると2つあると思うんですね。
一つはビデオ撮影、もう一つはスマートフォンのアプリの活用です。
私自身も結構やるんですけれども、ビデオカメラをセットして自分の寝姿勢を赤外線カメラで撮るんですね。
6~7時間であれば十分充電しておけば1回で長いビデオが撮れます。
朝起きて早送りでビデオを見ていただくと、一晩に何回寝返りを打ったのかがあっという間に確認ができるんです。
これ結構面白いのでやってみてください。
ビデオを持っていなかったりそのためにビデオを買うのはちょっとと思う方は、最近は良い精度のアプリも出ていますのでスマートフォンで検索していただいて睡眠アプリを検索してみてください。
その中には寝返りの回数をカウントできるものも出てきていますので、そういったものを使ってある程度は精度高く寝返りを知ることができると思います。
非接触型と言ってスマートフォンを自分の寝ているところの近くに置くだけでも簡単にわかるのでアプリの方も活用してみるとよろしいかと思います。
自分の睡眠の状態を知ること、そこから良い睡眠への一歩が始まると思っています。
是非試してみてください。
寝返りのビデオ解析の研究の紹介
山田朱織枕研究所では、就寝中の睡眠状態のビデオ解析から実際の寝返りの特徴点の観察および定量的評価を行う実験をしたことがありますのでそのプロセスと結果を参考までにご紹介します。
対象は健康なボランティア17名、平均年齢42.5歳、男性9名、女性8名でした。
枕の高さと寝台の沈み込みを調節し、ビデオ撮影を3日間試行しました。
目視にて頭と体、頭体同時の3つのパターンの寝返りの角度から臥位姿勢を判定し、平均寝返り回数と平均寝返り感覚を算出しました。
平均睡眠時間は6時間で、平均寝返り回数は頭24回(5~56回)、体16回(3~47回)あり、頭体同時の平均寝返り回数は15回(2~47回)でありました。
すなわち、頭だけの寝返り数は同時平均寝返り回数より9回多く、体だけの寝返り回数は頭体同時平均寝返り回数よりも1回多かったのです。頭体同時寝返りを男女比較すると、男性平均17回、女性平均13回で、男女間の有意差はありませんでした。
平均寝返り間隔は頭15分、体23分でした。また体と頭の平均寝返り間隔の時間分布をみると、10分以内に次の寝返りが発生する回数は、頭では14回で全寝返り回数の60%、体では9回で全寝返り回数の56%でした。
睡眠時間帯(睡眠前・後半)に分けて寝返り回数を検討すると、頭の平均寝返り回数は前半13回、後半11回で、前半後半での有意差はありませんでした。前半に多い人10名(59%)、後半に多い人7名(41%)でありました。体の平均寝返り回数は前半8回、後半7回で、前半後半での有意差はありませんでした。前半に多い人5名(29%)、後半に多い人11名(65%)、前後半とも同じ人1名(6%)であり、後半に寝返りが多い人が多い傾向がみられました。
睡眠観察の先行研究では一定の寝具条件が定められておらず、そのため選択した寝具(枕や寝台)が結果に影響を与える可能性が考えられます。そのこで私たちは至適睡眠姿勢を保てるように、あらかじめ良い寝具条件を決定することで、睡眠観察を行いました。
(Monthly Book Orthopaedics 2016年9月号 Vol 29(9)「私はこう診る 肩のこり・首の痛み」の掲載論文「肩こりに対する私のアプローチ法「枕の調節―理論と実践」 」山田 朱織ほかより引用しています)
モーションセンサを利用した寝返り動画解析
山田朱織枕研究所では寝返り動画に関してモーションセンサを利用した動作解析を行ったことがありますので、一部ご紹介します。
枕診断士が寝返りを客観的に確認した際の評価がモーションセンサを用いた寝返りの計測データに表れているかの解析を行いました。
枕診断士による客観的な評価についてよくある特徴は以下のようなものです。
特徴 | 概要 |
---|---|
1,寝返りの速さ | ・良い寝返りでは速く、悪いと遅い ・類似の特徴として「重い」と表現される特徴もある |
2,動きのスムーズさ | ・良条件ではスムーズに動作できるが、悪条件ではぎこちない寝返りになる傾向がある ・多く見られる特徴だが、左右どちらかで現れるケースもある |
3,動作の遅れ | ・特に悪条件で頭肩、肩腰、腰膝間の動作に遅れが生じる傾向がある ・多くみられる特徴だが、左右どちらかで現れるケースもある |
4,回転角度 | ・悪条件ではやや腰が90度まで回りきらずに浅い角度で止まってしまう場合が多い ・例外も多い |
5,下肢の反動、開き | ・動き出しに膝で反動をつけたり、膝が開く傾向が一部で見られた ・動き出しが最も力を要するので、大腿部や膝がバラけるのだと考えられる |
6,左右差 | ・左右差があるケースで良条件で左右差が小さくなる傾向が一部にあった |
7,頭が浮く | ・特に枕なしの条件で見られた。これは支えが無いためだと考えられる |
8,かかとが浮く | ・特に方向転換時の特に、悪い寝返りでは足を使うため、浮いてしまう |
寝返り動作データの計測を行い、寝返りの特徴を確認しました。計測は、センサで特徴が出るかの確認のためにセンサを特徴の見える箇所(肩、腰、膝)に取り付けて、寝返り動作の計測を行いました。
寝返り動作に対する枕診断士の評価のうち「肩腰の遅れ」に注目し、センサから得られたデータの解析を行いました。
得られた加速度、角速度のデータから、寝返り動作のフェーズごとの区切りを加え、データを観察しました。
その結果、悪条件でのデータにおいて、肩と腰の速さの違いに遅れを確認することができました。
(論文「モーションセンサを利用した寝返り動作解析 」山田 朱織ほかより引用しています)
寝返りを打ちやすくするにはまず枕を合わせましょう
スムーズな寝返りを打つには睡眠姿勢をよくすることです。睡眠姿勢を整える上で枕がまず重要です。
枕には適切な条件があります。
1、高さがお体格に合っていること
まずは高さが重要です。上向きでは首の姿勢をよくして安定させる。横向きでも高さが合って体が布団と平行になっていることで体の軸がまっすぐお整います。
2、適度な硬さがあること
頭が沈んでいかないように、首がぐらつかずに安定するように適度な硬さが必要です。
3、凹凸がなく平らな形であること
凸凹していると頭がはまったようになったり、運動量が増えて寝返りが打ちづらくなります。
平らな形が丸い頭がコロコロと転がりやすいのです。
4、メンテナンス
お体格の変化や素材の劣化に合わせて適宜枕の調節ができること。
このような条件を整えた枕を使うことが重要です。
山田朱織枕研究所の整形外科枕は、すべての条件を満たした枕
完全オーダーメイドで自身の首の高さに合わせられる
山田朱織枕研究所の枕は正しい枕の4つの条件を満たすようにできています。
ご自身だけでは正しい枕の高さを算出することが難しい!ということもありますので、完全オーダーメイドの「整形外科枕」をご用意しております。
計測では仰向き・横向き・寝返りの3方向での高さを確認し、その中で1番より高さの枕を決定します。
高さや硬さが調整可能で、形は平らになっています。硬さに関しては基本的には一般的な枕に比べて少し硬めにはできていますが、こちらも変更可能です。
オーダーメイド枕ですので、作成した後もお電話やメール、来所での調整が可能な枕となっています。
整形外科枕は本店の神奈川県相模原市にある山田朱織枕研究所にお越しいただくか、
その支店である渋谷店こちらに来ていただければ専門の枕診断士が対面でお客様の寝姿勢を見ながら枕の高さを測り、様々な寝具に関するアドバイスをすることができます。
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オーダーメイド整形外科枕
という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
整形外科枕ドクターズピローならオンラインで購入可能
しかし、遠方だとなかなか新幹線で来るのも大変だと思います。
またお体の具合が悪くてなかなか足を運べないというような何かの自己事情で来所をすることができない方。
そのような方にこの整形外科枕と同じ考え方の新商品「整形外科枕ドクターズピロー」が誕生しました。
このドクターズピローと従来の整形外科枕との一番の大きな違いは枕診断士というプロフェッショナルが対面でお客様の体格や寝姿を見ながら枕を測るのに対して、
ドクターズビローはインターネットで購入していただいてご自分で高さ調節を行うという違いです。
枕カバーであるとか他の違いもありますが一番大きな違いはその計測の仕方です。
でもなかなか自分で測るといっても難しそうという印象をお持ちになるかと思います。
自分でうまく合わせられるか心配という方も簡単に高さが分かるシステムを開発しました。
自動計測システムと言ってwebサイトの中でご身長体重いろいろな条件を入れていただくと適切な高さが算出できます。
これまで6万人以上のお客様に枕を計測したこの経験を元に作ったシステムです。
そこからの微調節であれば比較的簡単にやることができますのでそれを利用をしてみたらいかがでしょうか。
適切な枕の高さを是非試してみてください。まずはネットで気軽に購入可能なドクターズピローがおすすめです。
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