しびれ・痛みの原因は絞扼性末梢神経障害それとも首の障害?
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
今回はあなたのしびれや痛みの原因は絞扼性(こうやくせい)の末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)かもしれませんというお話をしたいと思います。
痛みやしびれというのはとてもありふれた誰にでも起こる障害です。
痛みもしびれも経験したことがない人はおそらくいないでしょう。
そのぐらい日常的によくある症状だからこそ、何が原因かということがとても重要になってきます。
絞扼性について
末梢神経障害の「絞扼性」についてなんですが、漢字を見るとなんとなくイメージが浮かぶかもしれません。
末梢神経障害というのは神経を「絞扼する」、締め付けることによって起こる様々な不快な障害や症状です。
別名をトンネル症候群とも呼びます。
神経というのは体のありとあらゆる場所にあります。
その周りには骨、筋肉、靭帯、筋膜など様々な解剖学的な要素がありトンネルのようにその中を神経が走っているわけです。
骨に棘ができたり靭帯が分厚くなってしまったり様々な変化によってトンネルの締め付けが起こると、中に走ってる神経が潰されてしまって障害が起こります。
このような締め付けによって起こる様々な神経の障害、これが絞扼性の末梢神経障害なんです。
4つの絞扼性末梢神経障害
1,手根管症候群
手根管は手首の手のひら側にあります。そこに正中神経という神経が通っています。
正中神経が何らかの要因で圧迫されて絞扼されると、神経が伸びている指先に障害が出ます。
しびれる場所が決まっていて、親指・人差し指・中指・薬指の親指側の半分がしびれます。
症状が出る時間帯に特徴があって、夜中にしびれるんです。
夜しびれて目が覚めて眠れなかったり、朝起きた時にしびれてることに気がつくなんてことがよくあります。
2、肘部管症候群
肘部管の肘にあります。
手のひらを正面に向けて腕を曲げたときに内側の部分が肘部管です。
この肘部管という場所で今度は尺骨神経という神経が圧迫されることで起こります。
肘部管症候群でしびれる場所は、小指・薬指の小指側の半分がしびれます。
ひどいと指の曲げ伸ばしができなくなったり感覚が鈍くなったりします。
3、足根管症候群
足根管は足の付け根です。
内側のくるぶしとの下辺りにあります。
ここで脛骨神経という神経が圧迫されて起こるんです。
足根管症候群では足の裏がしびれたり、土踏まずあたりの筋肉が萎縮して縮まってしまったりします。
4、梨状筋症候群
梨状筋はお尻にある筋肉です。
筋肉の下を走っている坐骨神経という神経を締め付けることで起こります。
お尻が痛かったり足にかけてしびれが出たりということが起こるんです。
末梢神経障害が起こる部位を覚えておいていただければ、どの症候群なのか察しがつくと思います。
いずれの病気も整形外科が専門ですのでこのような症状が出たらお近くの整形外科のクリニックや病院にご相談ください。
診察方法
触診をします
整形外科に行くとまずどの部位がしびれてるのかを触診します。
例えば親指がしびれているとしたら親指の感覚を診るわけです。
症状が出ている親指と反対の手の全く症状のない親指を触って感覚が違うかどうか触診します。
また手根管で締め付けられて神経が傷んでいると、手首を叩くことでビリビリとした痛みが親指に響きます。
これをチネルサインと言いますがこのようなテストも行います。
絞扼性末梢神経障害の診断にとても役立つ診察方法です。
画像診断をします
締め付けている原因が骨なのか靭帯なのかなどを見るためにレントゲン検査・CT検査・MRI検査なども行います。
神経伝導速度検査をします
神経は電気信号で情報を伝えています。
その電気情報が途中で中断されていたり遅れることによって障害があるかどうかを判断できます。
特殊な検査ですので大きな病院や専門外来で行います。
専門の外科もあります
しびれや痛みにお悩みの場合、一度専門の外来に行ってみるといいと思います。
例えば手根管症候群が疑われる場合は整形外科の中でも特に「手の外科」という手を専門にしている外科があるので、そういった看板を掲げてるところですとより
検査や治療がスムーズになるかと思うので行ってみてください。
手術療法
しびれがひどくなって夜寝られないほどになってしまったという場合には手術療法というのがあります。
例えば手根管症候群であれば手根管で締め付けている部分の靭帯を切ることで、締め付けられている神経を解放してあげるといった方法です。
そうすると神経が回復してきて、しびれが取れたり使いづらかった指先が使えるようになったり元に戻っていきます。
適切なタイミングを逃すと障害が残ることもあるので、我慢しすぎないようにしてぜひ専門の外科を受診するようにしてください。
今回は絞扼性末梢神経障害について手根管症候群を中心にお話いたしました。
痛みやしびれにお悩みの方は我慢せず、早く治療を開始して元の元気な状態に戻れるようにしていただければと思います。
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