16号整形外科の診察|右肩甲骨のしびれの診察結果を解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
今回は枕研究所スタッフのMさんが最近、「首痛や肩甲骨がしびれる」ということで山田先生の診察を受けましたのでその様子をお届けいたします。
問診でご症状を聞き取っていきます
山田:いつもどんな悩みがあるんですか?
患者M:最近、朝起きたら右の肩甲骨当たりがしびれが出ます。
山田:しびれですね。痛みっていうよりも「しびれ」ってことですね?
患者M:そうですね。痛みというよりはしびれですね。
あとは首の右側が痛かったりします。
山田:同じ右側が痛いってことですね。いつ頃から症状は出てますか?
患者M:そうですね、3 ヶ月前ぐらいからですね。
山田:今までにも同じ症状ってあったことありますか?
患者M:1年前ぐらいにもあって、それがなんとなく続いていて最近その症状が悪くなってきた感じです。
山田:軽い痛みは以前からあったということですね。自分でその悪くなった原因みたいのわかりますか?
患者M:ちょっと検討がつかないです。
山田:わかりました。今、仕事って結構忙しいんですかね?
患者M:はい。忙しいです。仕事としては、デスクワークが多いですね。
山田:デスクワークですね。何時間ぐらいパソコンに向かってますか?
患者M:大体そうですね、5~6時間ぐらいは向かってると思います。
山田:最近パソコンの画面の高さが変わったとか、椅子の高さが変わったとか、生活上、姿勢上の変化みたいのはないですか?
患者M:ないです。
山田:ないですね。次の症状があるかどうか教えてください。頭痛は?
患者M:頭痛はないです。
山田:めまいは?
患者M:めまいはたまにあります。
山田:吐き気は?
患者M:吐き気はないです。
山田:では同じ右側の手がしびれたりとか物が持てない感じとかはないですか?
患者:腕や手は大丈夫です。
山田:大丈夫ですね。今までに交通事故とか首を怪我したとかはないですか?
患者M:ないです。
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触診で身体各部を確認していきます
首・肩甲骨を診ていきます
山田:では首の診察しますね。ゆっくり上を向きますよ。首痛いですか?
患者M:ちょっと痛いです。
山田:どこかに響きますか?
患者M:ちょっと右の肩甲骨に響きます。
山田:こういう風な姿勢をするだけで肩甲骨に響いてしまう?
患者M:ちょっと響きます。
山田:それをちょっと右に倒すとなおさら響きますか?
患者M:同じぐらいです。
山田:同じぐらい。手の方にビリビリってきたりはしませんか?
患者M:手は来てないです。
山田:手は来てないですね。左にはどうですか?
患者M:左は大丈夫です。
山田:大丈夫ですね。では下を向きます。首の角度を大体30°、下の動きはそんなに悪くないんですよ。
ただ上を向いたり、ちょっと右に倒すと肩甲骨辺りに響くっていうのは首の神経の根元の障害なんですね。
次に神経の根元を押していきます。これ痛いですか?
患者M:痛いです。
山田:痛いですね。左は痛くないですか?
患者M:そんなに痛くないです。
山田:大丈夫ですね。 少し後ろにきてる首の神経の出てるところを触っていきます。どうですか?
患者M:ちょっと痛いです。
山田:ちょっと痛い、これは?
患者M:大丈夫です。
山田:ここは?
患者M:ここはちょっと痛いです。
山田:1番辛いのは肩甲骨の内側ってことですよね?この辺押すとやっぱり少し痛いですか?
患者M:痛いです。そこが一番痛いです。
山田:これ1番痛いですね。ここは?
患者M:ちょっとだけ痛いです。
山田:ちょっとだけ痛い、この辺はどうですか?
患者M:真ん中は大丈夫です。
山田:この真ん中に背骨があって、その横の支えてる筋肉はそんなに辛くはないですね。逆に左はどうですか?
患者M:左は全然痛くないです。
山田:どこを押しても痛くはないですか?
患者M:痛くないです。
山田:全く右と左で違いますよね。この片側にだけ出る症状っていうのが、神経の根元の障害で根症状というものの可能性が高いです。
最初にやった上向きや少し斜め後ろに傾けて肩甲骨に響いていくっていうのも神経の根元の障害です。
もっとひどくなると手にビリビリときたり、しびれがきたり、手の症状が出ますけどその一歩手前が肩甲骨の周りが痛いということです。
実際に肩甲骨そのものは三角の形してますが、特に左右で腫れたりとかどちらかが形が変形して飛び出しているとか、赤くなったり熱を持ったりっていう極所の症状は全然ないですか?
患者M:それはないです。
手の感覚を確認していきます
山田:では、これから左右の手の障害を見ていきますね。
右の肩甲骨が痛いので、右の手の症状が出るといけないんですが、手に思いっきり力を入れていただきます。
指先を広げてグっと力入れます。
山田:大丈夫です。では次に右の感触と左の感触は同じですか?
患者M:ちょっと右が強い感じがしますけど。
山田:右が 強い?ビリビリする感じ?
患者M:そうかもしれないです。
山田:もう1回いきます。左を10とすると、少し敏感なので11、12とかいう感覚ですかね?
患者M:はい。わずかな感じです。
山田:それでは反射を見ていきます。このように叩くと手がピクッと動く。これは正常な反射ですので心配ないです。
指をこのように跳ねても異常に他の指が動くようなことはないので異常の反射は出ていません。
このように手がピンピンと動くのは正常な証拠です。
では指4本でこれ握ってください。
山田:28kgということで、正常範囲内です。じゃあ反対です。右利きですか?
患者M:右利きです。
山田:反対も27kgということで正常範囲内ですので問題ないです。
ではこのように神経を叩いた時、指先にビリビリ響いたりしますか?
患者M:ちょっと小指が響きます。
山田:小指に響く?これは痛いですか?
患者M:痛いです。
山田:痛いですね。これは響かないですか?
患者M:これは大丈夫です。
山田:こちらは響きますか?
患者M:大丈夫です。
山田:大丈夫ですね。これでは?
患者M:大丈夫です。
山田:これ押すと痛いですか?
患者M:そんな痛くないです。
山田:痛くないですね。これも明らかに右だけですよね。
右はちょっと痛いし叩いても響く。健康な神経は響かないので、このようにビンビン叩いて指先に響くっていうのは神経の根元が悪い可能性があるということです。
レントゲン検査の結果を解説していきます
山田:肩甲骨っていうのは、これ肩関節って言うんですけども、肩の腕の骨に対して相対しているこの形の骨を肩甲骨と言います。
正面から見てるのと真横から見てるんですけれども、どちらから見ても肩甲骨の形とっても綺麗で、骨に変形と言って形が悪くなったり、関節との隙間が狭くなったり、トゲができたり、生まれつきの形の異常があったり、一切そういうものがないです。
横から見ても幅もちゃんとあって、表面上何も問題がないんですね。
なので肩甲骨は直接の症状からしてもレントゲンからしても異常はないと思ってください。
じゃあ、一方で首の方です。
首は結構曲がってますよね。
患者M:そうですね。
山田:首が右に傾いてます。ご本人の右側と左側ですが右に極端に傾いているんです。左右どちらかが悪いとそちらに曲がってしまったり、それを避けるように曲がったりっていう横曲がりが起こってくることがあります。
横から見ていただくと、今35歳なんですけれども首の骨がすでに変形が始まっています。
1つずつの首の骨っていうのは、7つですね。
このように四角であってほしいんですけど、よく見ると下が湾曲化し歪な形になっていますね。
また、首の骨が2番と3番がくっついてます。
これは癒合と言うんですが、本当は分れてなきゃいけないんですけど骨と骨が一塊にくっついてるみたいです。
患者M:生まれつきなんですか?
山田:はい、おそらく生まれつきでしょう。交通事故や首の怪我がなければくっつくことはないので、生まれた時からの1つの異常があるということです。
そして4番目、5番目、6番目、いずれも骨の形がすでに悪くなってる。35歳という年齢では少し早い変化が出ています。
全部で7つあるんですけど、7番の骨が1番まともで綺麗な正常な形で、それに比べるとなんとなく歪みがあって骨の形が悪いっていうのはお分かりになりますよね。
患者M:はい、見て分かりますね。
山田:これはずっとこうだったわけではなく、例えば10代とか20代ぐらいまでは綺麗だったんだけど、その後変化が起こってきてる。
本来であれば40歳過ぎてから起こるような変化が、もうすでに今の年齢で起こってるということです。
で、ここからが重要です。
これは普通に真っすぐにしている姿勢ですが、前後動いた時を見てみると6番と7番というところから首が極端に後ろに曲がるんですね。
グラグラと揺れてしまうで、お辞儀をしたりするときにいつも6番と7番の間の6・7という椎間板から首が動いてるんです。
頭の重さ何kgだか知っていますか?
患者M:4~5kgありますね。
山田:そうです。大体4~5㎏の重さが7cm前・後ろに倒れると約20kgぐらいの頭の重さになると言われています。ですので真っすぐの状態から前かがみになったときに、3~4倍ぐらいの頭の重さがかかり、6番と7番の椎間板でグラグラ揺れてしまうんです。
そうすると首の後ろの大事な神経を痛めてしまうんですね。
神経は、太い神経がありそこから枝がたくさん出てきます。
この6番7番というところは、後ろに7番神経っていうのが出るんです。
まさに7番は肩甲骨の内側にくるので、そこがやられると肩甲骨に障害を出すんですね。
神経というのは司っている場所が決まっていて、ちょうど7番神経が肩甲骨の内側を司っているので、いつも痛いところと首の骨がグラグラ椎間板が痛んでるところとは一致してるということになるわけです。
斜めに見てみましょう。
首の太い神経から1本1本枝が出ていますが、レントゲンには神経は写りませんので出てくるところの穴だけが写っています。
この穴から1本ずつ出るので、もし穴が小さくなったら神経を根元で痛めてしまうんですが、幸いなことに右側も左側も穴が潰れるほどの変形はさすがに若いのでまだ起っていないという状況です。
では、なぜこれだけ症状が出るのか。
骨に原因がないとるすと、今度は椎間板が問題になるんですね。
椎間板はレントゲンには写らないのでわかりません。
またそれが右に飛び出してるのか左に飛び出してるのかはレントゲンのように正面から撮っただけではわからないので頭の上から覗くように見ないと左右がわかんないですね。
なのでMRIが必要です。
診察のまとめ
山田:今日のここまでの診断で分かったことは、首の中に1箇所癒合と言って骨がくっついてるところが元々あったということ。
それが痛みの原因には直接はなっていないと思います。
ただ首の中でグラグラしている6番と7番があり、そこがグラつくことによって典型的な肩甲骨の内側の痛みが出ている。
だからこの1ヶ月間、肩甲骨がしびれるなと思っていたのは、悪い姿勢を取ることで首の神経が引っ張られ、さらにそこの肩甲骨内側の神経が元々悪いために障害が起こりやすかったということが考えられます。
ですので首姿勢を良くすること。
寝る時も起きてる時も首がグラグラしないような良い姿勢を取ることがまず第1に重要です。
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という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
患者M:はい、わかりました。
山田:診断を受けてみて今日はいかがでしたか?ご自分の肩甲骨の痛みが何が原因か分かりましたね。
患者M:やはりどこが悪くて肩甲骨に症状が出てるっていうのが不安だったのでひとまず原因がわかってきてすっきりした気分です。
山田:あとは症状が取れればいいですけど、今以上に姿勢っていうことを気をつけながらやっていきましょう。
あまりひどいと薬を出したり、注射をしたりってこともできますが、まずは寝る時と起きてる時の首の姿勢です。
寝る時は適切な枕を使っていると思うので、やっぱり起きてる時のパソコンに向かう不良姿勢を正すことがまず第一に大事です。
それをやりつつ今後、MRIという精密検査をして首の中に頸椎椎間板ヘルニアがないかどうかを確認するという次のステップに進んでいきましょう。
次回はMRIを撮影している様子をお届けいたします。
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