第2の心臓ふくらはぎの寝ながらストレッチでこむら返り対策
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
今回は第2の心臓ふくらはぎを鍛えてこむら返り知らずになりましょうという話をしたいと思います。
目次
実践的な寝ながらできるこむら返りに効くストレッチ方法もお教えします。
まずは上半身と下半身の解剖図から、つりのメカニズムを簡単にご説明します。
ふくらはぎが第2の心臓と言われる理由
抗重力筋(こうじゅうりょくきん)とは?
上半身の心臓から出る動脈血と下から戻る静脈血があります。
動脈と静脈は皆さん聞いたことはありますよね。
これは心臓から出て体のすべての部分に行き来しているわけですが、心臓に近い上半身と心臓から遠い下半身に分けて考えてみましょう。
人の寝ている時間は1日の約3分の1です。
ほとんどの時間は立ったり座ったり動いて活動しているわけです。
立っているだけでも上から重力がかかっている状態です。
重力に打ち勝って立ってるわけですのでそれなりに筋肉は力を働いてるわけです。
例えば手を持ち上げるという動作も重力に対して打ち勝って使っている筋肉です。
このような筋肉を抗重力筋と言います。
ふくらはぎからポンプ作用で血液を心臓に戻す
動脈血で流れていった血液は、筋肉の中でたくさん仕事をして筋肉の収縮をして心臓に戻っていきます。
この時、心臓から離れていれば離れているほど戻りにくいわけですね。
心臓の近くならいいけど、遠いところは何かポンプで押し上げて欲しい。そのポンプの役目をするのが抗重力筋の中でも特に立ってる時、歩いてる時に働く2つのふくらはぎの筋肉なのです。
腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋、「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」と言われるこの筋肉が、ポンプ作用で遠い足から血液を心臓まで戻しています。
このことからふくらはぎが第2の心臓と呼ばれているのです。
こむら返りのメカニズム
腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋
太ももの骨、お皿、膝、蓋骨、脛骨、かかとの骨踵骨、これらをつないでいる筋肉がふくらはぎの筋肉です。
ふくらはぎでは2つの筋肉に分かれていて、それが腓腹筋とヒラメ筋です。
腓腹筋は表面にある筋肉でヒラメ筋が奥にある筋肉です。
ヒラメ筋は膝の中の骨にくっついていますが、腓腹筋は大腿骨の太ももからかかとまでついているので膝を曲げ伸ばしすると一緒に動きます。
実は美容師さんやスーパーのレジの方などずっと立ちっぱなしになることが多い方や、歩き回って仕事をするというような方は深層の深いところにあるヒラメ筋がより疲労するんです。
筋肉のセンサーがうまく働かないとこむら返りになる
筋肉の中にある筋紡錘(きんぼうすい)というセンサーと、腱の中にある腱紡錘(けんぼうすい)というセンサーがあります。
この2つがうまく働いて筋肉の伸び縮みを脳に信号として伝えています。
筋肉が縮んでるんだったら伸ばさなきゃいけない、伸びているんだったら縮めなきゃいけないということを脳が正確に判断し、フィードバックをかけて筋肉の伸縮の調節をしているのです。これが健康な状態です。
しかし何らかの病気がある場合、脳や脊髄神経の病気、体の中の血液の成分の異常など色々なことでこの働きがうまくできないと筋肉の伸縮の調節ができなくなります。
筋肉の縮み過ぎがいわゆるこむら返りなわけです。
寝ながらできる足のつりに有効なヒラメ筋のストレッチ
一日中立って仕事をする方や、ウォーキングが好きで長い時間歩いているという方は特に足がつってしまう可能性ありますので、お風呂の入った後や寝る前にしっかりとストレッチをやってください。
腓腹筋とヒラメ筋がありますが、ヒラメ筋を十分にストレッチすることが大事です。
そのためには腓腹筋をまず緩めておかないとできません。
腓腹筋は太ももについている筋肉なので膝を曲げることで緩みます。
ですのでこのストレッチは膝を曲げて行います。
床やベッドに寝てやってみよう
上向きで寝て力を抜いた状態から膝を軽く立てます
これで腓腹筋が緩んだ状態です。
かかとからつま先を膝の方に向けて上に持ち上げます
軽く10回程度ヒラメ筋が伸びてるのを感じながらストレッチをしてください。
壁を使ってやってみよう
軽く膝を曲げた状態でかかとをしっかり壁につけます
かかとをぐっと押し込むように踏み込みます
壁を使うとちょっときつくなりますがより一層しっかりとヒラメ筋がストレッチできます。
タオルを使ってやってみよう
膝を曲げてタオルを足先に引っ掛けます
タオルを引っ張りながら足首をぐぐっと曲げます
足首がしっかりと曲がることによってヒラメ筋のストレッチができます。
タオルでやるのもなかなか気持ちが良いと思います。
必ず膝を曲げた状態でやってください。
ご自宅で簡単にできるストレッチです。
是非、お風呂上りや寝る前にやっていただき足のつりを予防してください。
そして、お風呂の中で温めながら行うマッサージも効果的です。
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