高齢者の足のつりに対する予防と対策
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
今回は高齢者の足のつりの原因と対処方法ということで、若い方とお年を召した方のこの違いについてもちょっと注目しながら考えていきたいと思います。
若い方とご高齢の方とでは体の中の構造や行動も変わってきます。
高齢者の方のほうが足のつりがおこりやすいのです。
内科的・整形外科的身体状況
ご高齢の方はどうしてもつりの頻度がアップしてしまいます。
当院に来る患者様でも、一晩に3回も4回も足がつって目が覚めるというのがほぼ毎日のように起こるという方もいらっしゃいます。
10代、20代の方でそこまで頻度が高く足がつるというのはあまり聞いたことがありません。
これには2つの体の中の問題というのがあって、内科的な身体状況と整形外科的な身体状況というふうに分けられると思うんですね。
内科的
糖尿病、腎臓病、動脈硬化、呼吸器疾患、脳の病気、体の中の水分やミネラルバランス
年齢とともに様々な体の中の臓器の機能が少しずつ低下することでベースが悪くなるんですね。
腎臓病なんかは代表的なものです。
体の中のいらない老廃物をお小水と一緒に体の外に出すことはとても大事なことです。
しかし、腎臓の機能が悪ければ体の中にいらない成分がたくさん溜まってしまい適度に循環させることができなくなります。
また脳の病気になれば片方に麻痺が起こったり、関節や筋肉が十分動かせなくて体が固まってしまうのでつりやすいということも起こります。
要は内臓的なベースが全体的にダウンすることでより足がつりやすくなってしまうんです。
整形外科的
骨、関節、筋肉、神経の退行変性
骨や関節や椎間板や軟骨など体を構成している組織がだんだん老化して悪くなっていくことを退行変性と言います。
例えば腰ですと骨が5つありますが、5つの骨の後ろには大事な脊髄神経という神経が通っています。
骨に棘ができる骨棘や、椎間板という軟骨が後ろに飛び出してしまう椎間板のヘルニアなどで神経に悪い刺激を与えてしまうと、筋肉の伸び縮みをさせる脳からの信号がうまく伝わらなくなり足がつるというメカニズムです。
こういった体の組織の変化が加齢とともに起きてくるので、高齢者の方ほど足がつりやすいわけです。
足のつり対策
1、水分摂取
寝る前にしっかり水分補給
2、ミネラル摂取
マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラルが摂れる食事
3、薬
内服、湿布を患部に貼る
4、温める
お風呂、電気毛布、湯たんぽ、ホットカイロ
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「洗える電気敷き毛布」
電気毛布には掛け毛布と敷毛布があります。
山田朱織院長がすすめる電気敷き毛布
私は電気敷毛布を推奨しています。
理由は上にかけると寝返りが悪くなる可能性がありますが、
下に敷けば寝返りを妨げないからです。
5、運動
筋肉を動かして熱を生産し、余分な水分を体から出す
このような対処方法がありますが、高齢者となるとこれが全てできるわけではないんですね。
特に薬については持病を持っている場合には使えない薬もあります。
湿布ですら制限されている方もいらっしゃいます。
また、水分摂取や食事についても腎臓病や肝臓病、高血圧や糖尿病があるといった方々は制限をされていることがあるので中々難しいところです。
高齢者でも安全にできるつり予防
持病で先生から制限されていることとは関係ない安全な対処方法をご紹介します。
入浴中の体操
お風呂の中で節々を軽く動かします。特に足がつる方は膝や足首、股関節の動かすと効果的です。
寝る前のストレッチ
ヘビーにやる必要はないので、軽く足腰などよくつる箇所をストレッチすると夜間のつりを和らげてくれます。
長ズボンやレッグウォーマーを穿く
腰から下を冷やさないようにすること。
夏でも冷房や扇風機を使っている場合には注意が必要です。
寝返りの打ちやすい寝具
適度に腰や足を動かす寝返りがスムーズにできるような寝具環境を整えること。
ベッド、敷布団、上掛け、もちろん一番重要なのは体格に合った枕です。
コロコロと寝返りができれば全体的に血液循環が良くなります。
ご高齢者の方の足のつりについて色々な問題点から解決方法まで解説いたしました。
できれば安全な方法でしっかりと今晩の足のつりを予防していただければと思います。是非、試してみてください。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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