うつ伏せ寝・半うつ伏せ寝の矯正、成功のカギ|適切な枕の解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
半うつぶせ寝の癖が直らない(Dさん、男性・四十八歳)
Dさんは、私にって一生、忘れられない患者さんです。なぜなら二ヵ月もかけて半うつ伏せ寝の癖を矯正することに成功したからです。
その間、思うように効果が上がらず、苦しい時期もありました。しかし、Dさんは最後まで私を信じて、私が指示したとおりに枕調整を続け、多忙ななか、細かく結果を報告してくださいました。そして、ついに困難を乗り越えることができたのです。
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「枕外来のオーダー枕」
私の枕外来には,朝から肩がこる,枕が合わない,何度も目が覚める
オーダーメイド整形外科枕
という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
Dさんは長距離トラックの運転手さんです。深夜、高速道路を何時間も走らなければならない、たいへんな仕事です。そのせいで頭痛や肩こり、腰痛がひどく、思い余って私たちの診療所に来院されました。
私はさっそく枕計測を行いました。Dさんに計測用ベッドの上で横たわっていただき、上向き、横向きそれぞれの高さを決定。次に寝返りの確認をしようとしたときのことです。Dさんが不安そうにおっしゃったのです。
「先生、この姿勢で測ってもダメなんじゃないでしょうか。僕はいつも、もっとうつ伏せに近い状態で寝るのが癖なんですよ」
それならと、いつもどおりの姿勢で寝てもらいました。横向きを通り越して身体が半分以上、マットのほうに倒れ、下側の肩を身体の下に引き込んでいます。典型的な「半うつ伏せ寝」状態でした。
半うつ伏せ寝は、合わない枕や自分の腕の上に頭をのせたときによく起こります。こんな姿勢で寝れば首をひねるし、下敷きになる腕や手にも大きな圧迫がかかります。Dさんの頭痛や肩こりの原因も、この半うつ伏せ寝にあるのかもしれません。
何はさておき、半うつ伏せ寝の矯正が必要でした。そこで私は、うつ伏せ寝の弊害について丁寧に説明し、Dさんの意思を確認することにしました。
「どうしても半うつ伏せ寝でなければ眠れないとおっしゃるなら、しかたありません。でも、正しい姿勢で寝るようにすれば、頭痛も肩こりもよくなる可能性がありますよ。おそらく、半うつ伏せ寝になってしまうのは、現在、使用されている枕が適切ではない、つまり低すぎるか柔らかすぎるためだと思います。枕を替えれば、自然に半うつ伏せ寝もやめられるかもしれません。どうします、挑戦してみますか?」
Dさんは納得してくださいました。そして再計測の後、Dさんの身体に合った整形外科枕ができ上がりました。
ところが一週間後、Dさんから思わぬ凶報が届いたのです。
「せっかくつくっていただいた枕ですが、あの枕で寝るとかえって頭痛がひどくなってしまいます。だから、中身のシートを十五ミリ分だけ抜いて、低くして使っています。これなら何とかうつ伏せで眠れますから。だけど、肩こりも腰痛も治りません」
頭を殴られた気分とは、こういうことでしょう。しかし、私は一生懸命に説得しました。「Dさん、半うつ伏せ寝はやめるとおっしゃっていましたよね。一時的に苦しいことはわかります。だけど、今のままではいつまでたっても楽になりませんよ」
ここからが悪戦苦闘の始まりです。一気に十五ミリも低くしてしまった枕をいきなり元の高さに戻すことはできないので、一週間に三~五ミリずつ戻していくことにしたのです。
さすがにDさんの自宅まで押しかけ、夜中、観察するわけにもいかないので、頻繁に電話連絡を取り合い、細かい報告を受けながらの共同作業です。
新しい症状が出てはいないか、ふたたび頭痛がひどくなったのではないか、今夜はうつ伏せにならず正しいしせいで寝ているだろうか・・・・・。そんなことを考えると私のほうが心配で眠れなくなってしまいそうでした。報告を聞く日は、どきどきしながら受話器をとりました。そして、Dさんの明るい声を聞くと心から安堵したものです。
「今週は五ミリ高くしても慣れてきました。新たな症状?出ていませんよ」
Dさんは、ほんとうに根気よくがんばってくれました。そして二か月後、Dさんの枕はついに計測どおりの高さに戻ったのです。
「先生、元の高さに戻せました!大丈夫です。肩こりもなくなったし、起き抜けに腰が重い感じも、足が冷たい感じもなくなりました。上を向いて眠れるなんて不思議です。先生を信じてよかった!」
受話器を置いたとき、思わず涙がこぼれていました。枕は使い方次第で利器にも凶器にもなるのです。どちらに転ぶかを決定するのは、患者さん本人と私たち専門家の熱意とコミュニケーションであることを、Dさんは私に教えてくださいました。
半うつ伏せ寝矯正、成功のカギ
うつ伏せ寝も半うつ伏せ寝も自分の癖だと思い込んでいる方が多いようですが、じつは枕が合わないため無理にそうなってしまたケースがよくあります。しかし、枕が低すぎたり、柔らかすぎて沈んでしまう場合には、頭を持ち上げようとして自分の肩を引き込んでしまいます。自然、反対側の方が身体の前に倒れる姿勢となり、半うつ伏せ寝が完成します。
適切な枕に調節すれば、うつ伏せ寝も半うつ伏せ寝もしなくてすみます。自然に上向きと横向きで眠ることができるし、寝返りも楽に打てるようになります。ただし、自分の身体に染みついてしまった癖を矯正するのは簡単ではありません。人によっては、新しい枕に慣れるまで一か月も二か月もかかることがあります。一気に矯正しようと思わず、時間をかけて少しずつ慣れていくのがいいでしょう。
出典(枕革命ひと晩で体が変わる、山田朱織、講談社)
ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。
整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
適切な枕に調節すれば、うつ伏せ寝も半うつ伏せ寝もしなくてすみます。本コラムの内容は動画でもお話しています▼
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