硬い・柔らかいマットレスに合わせた枕の高さ調節方法|整形外科枕の使い方を解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
今回は整形外科枕と、硬い敷物・柔らかい敷物との調節の仕方について解説します。
整形外科枕を計測所で測ったときの感触と、ご自宅に帰って実際に寝てみた感触が「なんとなく違う」と感じた経験はありませんか?それは多くの場合、計測所と自宅のマットレスの硬さが異なることが原因です。
体と枕とマットレス(敷物)は三位一体で寝る姿勢を決定します。マットレスの硬さが変われば、同じ枕でも頭の位置が変わるため、枕の高さ・硬さの調節が必要になります。
目次
なぜマットレスの硬さで枕の感触が変わるのか
枕の高さは「頭の位置」を決めます。しかし頭の位置は枕だけで決まるのではありません。マットレスの硬さによって腰がどれだけ沈むかが変わり、それによって体全体の高さが変わります。その結果、同じ枕でも「高く感じる・低く感じる」という差が生まれます。
人の体重は腰部分が最も重く、マットレスへの沈み込みが一番大きくなります。この腰の沈み具合が、頭の相対的な位置を決定づけます。
| マットレスの硬さ | 腰の沈み込み | 頭の相対位置 | 枕の感触 | 必要な調整 |
|---|---|---|---|---|
| 硬すぎる | ほぼ沈まない | 落ち込む | 低すぎる・高さが足りない | 枕を高くする |
| 適切な硬さ | わずかに沈む | 自然な位置 | 計測時と同じ感触 | 調整不要 |
| 柔らかすぎる/へたり | 大きく沈む | 持ち上がる | 高すぎる・喉が苦しい | 枕を低くする |
硬いマットレスのとき:枕を高くする

計測所より自宅のマットレスが硬い場合、腰が沈まないため体全体が持ち上がり、頭が相対的に落ち込んでしまいます。その結果、枕の高さが足りなく感じます。
硬いマットレスの上では背中が反ったような姿勢になり、腰の後ろに隙間ができて体がこわばりやすくなります。
▶ 対処法:枕に高さを足す
整形外科枕の場合、中の5mmシートを1枚追加して高さを上げてください。硬すぎる場合は表面に薄手の敷きパッドを追加することで多少の緩和が期待できますが、根本解決は硬さが適切なマットレスへの買い替えです。
柔らかいマットレス(またはへたったマットレス)のとき:枕を低くする

自宅のマットレスが柔らかい場合、または長年使ってへたっている場合は、最も重い腰の部分が大きく沈み込みます。腰が沈むと、比較的軽い頭は落ちずに相対的に高くなります。その結果、枕が高すぎる状態になります。
枕が高すぎると顎が胸の方向に下がり、喉が苦しくなります。また後頭部への圧迫感も生まれます。
▶ 対処法:枕を低くする
整形外科枕の場合、中の5mmシートを一番下から1枚抜いて高さを下げてください。これで改善するようであれば、マットレスの柔らかさが枕に影響していた証拠です。
高さ調節をしてもまだ合わない場合:枕の表面の硬さも調整する
5mmシートの増減(高さ調整)をしてもまだ不具合が残る場合は、枕の表面の硬さを変える調整もあわせて行ってください。
高さと硬さは別の要素です。硬いマットレスの上では体が全体的にこわばりやすいため、枕の表面もやや柔らかめに調整することで首への当たりが和らぐことがあります。逆に柔らかいマットレスで体が沈み込んでいる状態では、枕の表面をやや硬めにすることで頭の安定感が増します。
マットレス自体に問題があるケース

枕の高さや硬さをいろいろ調整しても、どうしても合わない感じが残る場合はマットレス自体を見直す必要があります。
硬すぎるマットレスは表面に柔らかい敷きパッドを乗せることで緩和できます。しかし、柔らかすぎるマットレスや経年劣化でへたってしまったマットレスは、上に何かを乗せても根本的には解消できません。実験でも、へたったマットレスの上に硬いマットレスを重ねても腰の沈み込みはほぼ変わらないことが確認されています。
柔らかすぎる・へたったマットレスをお使いの場合は、残念ながら買い替えを検討していただくことを推奨します。マットレスの寿命は一般的に10〜15年です。
硬さの違い別・調節方法まとめ
| 状況 | 枕の感触 | まず試すこと | それでも改善しない場合 |
|---|---|---|---|
| マットレスが硬すぎる | 枕が低く感じる 頭が落ち込む |
5mmシートを1枚追加して高くする | 枕表面の硬さをやや柔らかめに調整 または敷きパッド追加 |
| マットレスが柔らかすぎる/へたっている | 枕が高く感じる 喉が苦しい |
5mmシートを1枚抜いて低くする | 枕表面の硬さを調整 それでも合わなければマットレス買い替えを検討 |
| 計測所と同じ硬さのマットレス | 計測時と同じ感触 | 調整不要 | — |
枕のみならずマットレスの硬さが体にとって非常に重要です。枕・マットレス・体の三位一体で寝姿勢を考えていただければと思います。
よくある質問(FAQ)— マットレスと枕の調節
Q 硬いマットレスに合う枕の高さはどのくらいですか?
硬いマットレスでは腰が沈まないため体全体が高い位置に保たれ、頭が相対的に落ち込みます。そのため通常より枕を高め(5mmシート1枚追加が目安)に調整する必要があります。「枕が低くて頭が落ちる感じ」「首の後ろに隙間ができる感じ」があれば高さ不足のサインです。
Q 柔らかいマットレスに合う枕の高さはどのくらいですか?
柔らかいマットレスでは腰が深く沈み、頭が相対的に高い位置になるため通常より枕を低め(5mmシートを1枚抜くが目安)に調整してください。「枕が高くて喉が苦しい」「顎が下がって息がしにくい」という場合は枕が高すぎるサインです。
Q マットレスが硬いとき、どうすれば体への負担を減らせますか?
表面に薄手の柔らかい敷きパッドを追加することで、当たりを和らげることができます。ただしこれはあくまで応急処置です。枕の高さも硬いマットレスに合わせて高めに調整してください。根本的には「体圧を適切に分散しながら腰が沈まない、適切な硬さのマットレス」に替えることが最善です。
Q 整形外科枕が合わないと感じるのはなぜですか?
計測所と自宅のマットレスの硬さが異なる場合、枕の感触が変わります。自宅のマットレスが計測所より柔らかければ枕が高すぎる状態に、硬ければ低すぎる状態になります。まず自宅のマットレスの硬さを確認し、このページの調節方法に従って5mmシートの枚数を調整してみてください。それでも改善しない場合は計測所にご相談ください。
Q 高反発マットレスと低反発マットレス、枕との相性はどう違いますか?
低反発マットレスは時間とともに腰の沈み込みが増すため、使い始めは問題なくても時間が経つにつれて枕が「高すぎる状態」になっていきます。高反発マットレスは低反発より沈み込みが少ない分、枕との調整幅が小さく済みます。どちらの場合も、仰向けで寝た直後と30分後で枕の感触が変わるようであれば、5mmシートの調整が必要です。
Q 入院中(病院のベッド)でも整形外科枕は使えますか?
使えますが、病院のマットレスは一般的に硬めのものが多いため、枕の高さを自宅より高め(5mmシート追加)に調整する必要がある場合がほとんどです。入院前に調整用の5mmシートを余分に持参しておくことをお勧めします。

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「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」
16号整形外科院長 医学博士
㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
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