首が痛くて右向きにしか眠れない方は枕の調節により寝返りが打てるようになります
首が痛くて右向きにしか眠れない(Kさん、男性・八十八歳)
Kさんは四~五年来、私たちの診療所に通っていらっしゃる患者さんです。最愛の奥様を亡くされて三年。現在はひとり暮らしで、身の回りのことはすべて自分でしなければならない境遇です。
Kさんの病気は「変形性脊椎症」、平たく言えば加齢による骨の変形です。年とともに誰にでも起こりうる症状ですが、痛みやしびれなどがあって日常生活に支障をきたすようなら、病気として治療が必要になります。Kさんの場合は、レントゲン検査により、変形してトゲのようになった骨が首や腰の骨の神経を圧迫していることがわかりました。
がんばり屋のKさんは、私がお勧めした入浴中の体操も、毎日の散歩も、かかさずに続けていらっしゃいました。だから腰痛はうまくコントロールできたのですが、どうにも我慢できないのは背中の痛みと頭痛です。
「もう年なんだからしかたないと思っていますよ。だけど、朝から首が痛んだり、頭痛が続くのはつらい。それに、首が痛いものだから、どうしても右向きにしか寝られないんです」
どうやら首の痛みや頭痛の原因は寝返りを打てないことにあるようです。
Kさんはかなり前から、私が指導した「せんべい座布団枕」を自分でつくって使い続けてきました。
しかし、いつのまにか自己流に高さを変えていました。それがいけなかったのかもしれません。私は、Kさんにベッドの上で寝返りをしてもらいながらもう一度計測し、整形外科枕を作成しました。
試しに頭を置いてみたところ、「低い感じがする」と言われます。けれど、慣れていただかなければなりません。
「もちろん最初は違和感があるでしょう。だって、これまでは頭痛が出るほど高い枕を使っていたんですから。とりあえず一週間、我慢してみてください。かならず慣れます」
その一〇日後、八八歳のKさんは二枚つづりの自筆レポートを提出してくださいました。
「低い枕にも、一〇日ほどで何の違和感もなくなりました。枕に頭をつけている感じがなく、表現を変えますと、頭と枕が一体になったようです。(途中略)この枕の愛好家になり、これからの夜を一緒に過ごしたいと思うようになりました。終わり」
首痛、頭痛が解消したのはもちろんのこと、上向きにも、横向きにも、自由に寝返りを打てるようになったと、たいへん感謝してくださいました。
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加齢変形も日常生活の工夫でコントロールできる
整形外科でどんなむずかしい病名を告げられても、日常生活のなかで十分な注意と工夫をしていれば、病名を忘れるくらい快適に過ごすことができるものです。
高齢の患者さんに向かって「年だからねえ、しかたないよ。骨が変形しちゃったら、もう治らないんだから」などと心無いことを口にする医者もいるようです。しかし、骨に変形があるからといって、一年三六五日、痛みやしびれが続くものでしょうか。そんなことはありません。
問題は、変形した骨に、日常生活のさまざまな場面でさらなる負担がかかることです。たとえば、無意識にとってしまう悪い姿勢や無理な姿勢、間違った健康体操、そして気温や気圧の変化など、悪条件が重なったときに症状が出現します。
たいていの病気は、毎日のちょっとした工夫で症状をコントロールできるもの。どんなことをすれば症状が出るかを知り、症状の出現を上手に予防すること。また、症状が出てしまったら、悪化する前にすばやく対処すること。そうした心得こそが大切です。
「もう年だから」などという言葉は禁句です。医者がそんな言葉を口にしてしまったら、患者さんに前向きな希望を与えることなどできません。患者さんにしてみれば、病気に立ち向かおうという気力はくじけ、あきらめばかりが募ってしまうでしょう。
患者さんのほうでも、そんな言葉は絶対に信じないでください。「この病気はかならずコントロールできる」という強い気持ちをもって、心身ともに若々しい元気な高齢者をめざしていただきたいと願っています。
出典(枕革命ひと晩で体が変わる、山田朱織、講談社)
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