殿様枕症候群|高くて硬い枕は脳卒中の原因なのか実験します
今回は殿様枕症候群について、高くて硬い枕は脳卒中の原因になるということを前回は論文をご紹介したり、どういうメカニズムで起こるかということをお話してまいりました。
実際に高い枕で寝るとどうなるか今回は実験をしてみたいと思います。
殿様枕症候群とは?
殿様枕症候群は脳卒中が起こる原因である特発性椎骨動脈解離という病気が起こりやすいというものでした。
首のところにある椎骨動脈という動脈が高い枕をすることで引っ張られ、そして寝返りという回旋運動で血管が切れてしまうというということです。
実際に論文の中で使われているのは12cmと15cmの枕だそうです。
論文を読んでみると、その1人1人の被験者様が自分が家で使っている枕を頭を乗せないで測った時に12cmとか15cmということらしいのですが、頭が乗っかると実際には潰れますよね。
論文の書かれた田中先生たちのグループは、潰れた時の高さが本来の最初の高さより半分以上潰れてしまうものは柔らかい、半分も潰れないものを硬い枕と読んでいます。
しかし、私の定義ではとてもとても半分までいかなくても3分の2になるのもかなり柔らかいと考えています。
整形外科枕で高さ実験
論文の中で使われていた12㎝と15cmを整形外科枕で作ってみるとこんな感じになりました。
12cmと15cmですが高すぎますよね。
今回は普段整形外科枕を7cmで使っているスタッフに実際に寝ていただき体験していただきます。
論文では上向きだけを言っていますが、実際に血管が切れるっていうのが寝返りを打った時だそうなのでその寝返りも体験していただきます。
いつもの高さ
まずはいつもの7cmの枕から始めてみます。
上向きで大事なことは喉が苦しくないこと、後頭部から肩にかけて不快なほど硬く感じないこと、そして枕の角が当たって痛くないことです。
息もしやすく後頭部も硬くはないようです。
角も当たらずお楽なようです。
次に横向きになっていただきます。
おでこ、鼻の頭、胸までがほぼ一直線となり、寝ている画正面と平行になっているので横向きもぴったりです。
肩の圧迫感やお顔の圧迫感もないようです。
右と左の首筋が引っ張られるような違和感も出ていません。
では寝返りをしてみましょう。
右左に動いていただきます。
肩と骨盤がブレずにスムーズです。ぎこちない感じはありません。
12㎝
では整形外科枕を重ねて12㎝にしてみます。
上向きでは先ほどと比べてかなり喉が詰まって苦しそうです。
後頭部や首の当たりも強く硬いようです。
そして後頭部頭の後ろの血管が引っ張られている感じがします。
おそらく突っ張ってるのは首の筋肉で感じることなんですが、筋肉が突っ張るということはその中にある血管もやはり突っ張るということです。
では横向きお願いします。
明らかに12cmの枕では頭が持ち上がって、体の軸が乱れてしまいます。
完全にこれでは高すぎるという状況に見受けられます。
頭が高く、胸が落ちて、また骨盤で上がるという湾曲化すると、軸が一直線ではなくなるのでおそらく寝返りもしにくいはずです。
では寝りしてみてください。
かなり寝返りはやりづらそうです。
肩が先に寝返りして骨盤が後から追いかけてくる感じになっています。
大きな力を骨盤で出さないと最後まで寝返りができないということが起こります。
12cmの枕厳しそうですね。
では、もっと厳しい条件15cmいきます。
15㎝
もはやこれは枕とは呼べない世界になってきてます。
12㎝よりもさらに首の後ろが突っ張ってしまいます。
見た目からしても血管切れるっていのがなんか分かるような気がします。
喉もかなり苦しいようです。
横向きお願いします。
もう横を向いた瞬間に耳が痛くなっています。
耳や頬、顔面が圧迫されてしまいます。
肩が浮いてきて圧迫はないですが、下になってる首筋が突っ張っています。
逆の上の首筋も圧迫されています。
首にかなり負担が出ているようです。
これではおそらく短時間しかいられないと思います。
では寝返りお願いします。
体がきこちない動きになっています。
上半身と下半身がばらけてしまっていて軸が通っていません。
一生懸命力を入れないと体の向きを変えられなくなってしまっています。
とても寝返りと呼べない状況です。
おそらく朝を起きると枕がずれてしまったり、完全に飛んでしまって頭が落っこっちゃうんじゃないかなと予想されます。
合ない枕を使うと朝起きた時枕がなくなっているはずです。
そのような枕は寝る前から体に合ってなかったんだとご判断ください。
殿様枕症候群ということで、枕が高くなると血管が切れて出血してしまって脳卒中が起こるリスクが高いということが今回の実験で分かりました。
この論文は大変有意義で内科のみならず整形外科のドクターもとても興味を持って読んでいらっしゃるようです。
是非このような素晴らしい論文が多くの一般の方々に示唆となり、枕選びに貢献していただければすごく嬉しいと私も一整形外科医として思ところです。
皆さん高すぎる枕は危険ですので、お体格に合った高さの枕を使いましょう。
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