枕と巻き肩の関係性について
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
今回は、枕と巻き肩についてお話ししたいと思います。
最近、巻き肩っていう言葉よく聞きますね。
お客様からも、自分は巻き肩がひどいので横向きで寝ない方がいいんですか?っていうのはよく聞かれます。
巻き肩は医学用語ではない
そもそも「巻き肩」という言葉は医学用語ではないんです。
病院に行ってあなたは巻き肩ですよって診断されたとか、巻き肩を治せって言われたとか、そんなことはありえません。
巻き肩のほかに、「猫背」や「反り腰」という言葉もよく聞くと思います。
この中で医学的な言葉なのは猫背だけなんです。
猫背は医学的には円背と呼びますが、お背中の丸みが生理的な弯曲を超えた過度な曲がりのことを円背といいます。
他の言葉は医学用語ではないんですね。
なので、あまりこれを過度に信じすぎたり、怖がりすぎたりっていうのはちょっと医学的に言うとおかしいですよということです。
若い方と高齢者の違い
医学用語ではないにしても、肩が前方に出て背中が丸くなっているという状態を巻き肩と一旦定義しましょう。
その上で、比較的若い方と少し高齢の方に分けて考えてみます。
私の医学的な経験やこれまでの研究からすると、高齢者の場合の巻き肩や背中の丸みっていうのは、背中の骨や椎間板が潰れたり、筋肉や関節が硬くなって動きが悪くなったりしてその状態が固まってしまうので、それなりに寝てる時にも影響を受けます。
しかし、例えば20代30代の方は姿勢が悪く巻き肩状態になってたとしても、ちゃんと伸ばすこともできるし、元に戻すこともできます。
よっぽど運動不足で体が固くなってる方でない限りは、普通は元に戻るわけです。
ですので、寝た時に横向いて寝たら巻き肩になってしまうとか、寝方によってなって状態が悪いっていうのは、巻き肩そのものが問題ではなくて、私に言わせれば枕の高さが合ってないんじゃないですか?っていうお話になります。
そもそも、寝てる時っていうのは、右向いたり、左向いたり、上向いたり色々動いて寝返りという動作をしているわけです。
6~7時間ずっと右肩を下にして寝ていて、朝起きたら右肩が巻き肩になっちゃってたなんてことは、医学的に考えるとおかしな話で、それはありえないと思っています。
枕計測に巻き肩は関係ない
私たちが枕計測の時に、巻き肩の人が計測に来た場合に特別に何かを注意するかというと、そんな必要は全くないしやっておりません。
なぜかと言うと、若い方でしたら巻き肩に見えても、実際に寝ると横に体が伸びますので計測方法は何も変わりません。
一方、ご高齢の方でお背中が丸い、背骨に圧迫骨折があるなどで体が硬縮して固くなってる方であっても、上向き横向き寝返りのスムーズさを見て枕の高さを決めていくということは変わりません。
結果的にご高齢の方で姿勢の変化が起こっている場合は、枕の高さが高くなるということはありますが計測方法は若い方と同じなのです。
特別扱いする必要はないので、巻き肩だからと言って心配しなくて大丈夫です。
巻き肩対策におすすめの体操
寝ているときはちゃんと肩は真っすぐに伸びているので心配ありませんが、起きているときに悪い姿勢になっていないかが大事です。
どうしても重力が上からかかってくるので、背中は縮むし肩は前に行くし重みがドンとかかりますね。
こういう立ってる時、座ってる時は、是非次の体操を覚えていてください。
1、丸くなってる背中を胸を起こして真っすぐにする
2、正面向いて両方の肩を横に張り出すようにして胸を広げる
この2つをしっかりやっていただければ、日中の巻き肩対策にもなるかと思います。
巻き肩は医学用語ではありませんが、丸くなってる状態を巻き肩と定義するのであれば、枕の計測には問題ございません。
そして日中はこの体操をやってみてください。
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