コラム詳細

レム睡眠は“浅い眠り”じゃない。ノンレムと同じくらい大切|整形外科枕での変化と上手な眠り方

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

今回はレム睡眠とノンレム睡眠どっちが大事ですか?っていう話をしていきたいと思います。

レム、ノンレムと聞くとノンレムの深い睡眠が大切と思うかもしれません。

睡眠は1、2、3段階どんどん深睡眠と言って深い睡眠になっていくと言われています。

ぐっすり眠れる深い睡眠ということでノンレムかなというところですか、実はどっちも大切なんですね。

今一度レム、ノンレムについておさいしながら、そこのところを解説していきます。

目次


睡眠についての研究が進んできた

20年ぐらい前に睡眠センターというところに通って研究にしていたんですが、その頃はまだなかなかレム睡眠については分からないことが本当に多かったんです。

枕の研究をもちろんしていたんですが、適切な枕で寝るとレム睡眠が増えるということが私たちの研究で分かったんです。

ですがその増えたレム睡眠って何がいいのと言われると、レム睡眠そのものが何であるかがまだ解明されてなかったので、なかなかその先まで議論がいかなかったんですね。

でも、今は世界的にレム睡眠が何であるかという研究がどんどん進んできているので、いろんなことが分かるようになってきました。

世界的にも睡眠の権威でいらっしゃる筑波大学柳沢教授の著書であるとか、様々なYouTubeの動画とか色々なものを見ながら私もたくさん勉強させていただいて、今こんなことが分かってきたんだというところを少し分かりやすくご説明したいと思います。


レム・ノンレムについて

REM睡眠

英語でRapid Eye Movementの頭文字を取ってレム睡眠と呼んでいます。

これは急速眼球運動という意味です。

寝ているときに瞼の裏で眼球がキョロキョロ動いている状態です。

レム睡眠の特徴

脳の中には大脳という部分があって、大脳の表面の皮質というところでは様々な脳の活動を行っています。

大脳皮質は高い脳の処理を行う時に必要な部分なんですが、レム睡眠時はそこが非常に活発に動いてるんです。

覚醒しているときとそんなに変わらないぐらい、脳が仕事をしているっていうことなんですね。

一方で体は休まってるんです。

脳は活動していて目もキョロキョロ動いているけど、体は休まってるというのがレム睡眠の特徴です。

このレム睡眠のときに記憶の整理をしているといわれています。



NREM睡眠

Non Remということでレムでないものはノンレム睡眠という考え方です。

急速に眼球は動いてない眠りということになります。

ノンレム睡眠の特徴

この時は脳も休んでいます。そして、成長ホルモンが活発に分泌されます。

人間の成長に必要なホルモンですか、子供だけでなく大人にも大事なホルモンです。

免疫力を回復させたり、疲労を回復させる役割があります。


こういったことが今では解明されてきて、レム睡眠・ノンレム睡眠どちらも大事なんだということが分かってきたのです。


レム・ノンレムのパターングラフ


覚醒状態から人は眠りに落ちるとまどろみながら段々深いノンレム睡眠にまずはなります。

この最初の深い眠りがとっても大事だとされています

そこから60分から80分ぐらいでまた段々眠りが浅くなっていってレム睡眠を向えます。

大体このワンサイクルがレム・ノンレムで90分ぐらいとおよそ言われています。

でも、その人によっては一晩の中でのワンサイクルが短くなったり長くなったりパターンが違うこともあります。

大体こんな90分のパターンを3~4回繰り返しながら朝を迎える形になります。

朝になってくると、段々今度は浅い眠りが増えてきて、そして目が覚めるわけです。

こんなサイクルで眠れたらいい睡眠だと思います。

90分のサイクルなので4回繰り返すと6時間、5回繰り返すと7時間半ぐらいの睡眠時間がいいとされています。

そして、このレム睡眠が枕を正しく整えると増えるということも分かってきました。


睡眠障害が及ぼす影響

日本人の5人に1人は睡眠障害を抱えていると言われています。

睡眠不足によって柳沢先生曰く、色々なトラブルが起こってきます。

・メタボ

・癌

・認知症

・メンタル

こういったことが起こってくると結構厳しい状況です。

ただ単に成人病とか癌だから仕方ないということではなくて、大きく眠りが関係しているんだよということを認識していただきたいのです。

より良い睡眠を取ろうという意識の変化、そして良い睡眠を取っていい自分のコンディションを作ることが大事です。

レム・ノンレムの良いサイクルの良い睡眠を取ることが様々な病気の予防に繋がります。

近年分かってきたレム睡眠の重要性をもっともっとこれからも勉強して、また皆さんにお届けしていきたいと思います。


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整形外科枕の有効性の検証

枕がない時、そして適切な高さに調節した整形外科枕を使った時を比較するためレントゲンを撮り、一晩中体にたくさんのモニターをつけて睡眠状態を検査するポリソムノグラフィーという検査機器を用いて枕の有効性を検証しました。


レントゲンでの比較検証


レトゲンで見ても一目瞭然ですが、枕がない時は上を向いて寝ると首が真っすぐになって非常に首に負担がかかっているのが分かります。

横を向いて寝ると枕がないので、頭が下がってしまって非常に首が曲がってしまいます

首が曲がれば首の前にある気道もひねられてしまうので呼吸が苦しくなってしまいます。

一方で適切に枕を整えると、私たちの研究で上向きで首の角度が15度前後になる状態が最適なんですけれども、その15度に近くなっています。

そして、横を向いた時も体の軸が通っていて首が真っすぐの状態です。

敷物と体の軸が平行になるため、首の骨も神経も楽になって気道も楽になるわけです。


上向きと無呼吸の変化


左は上向きの時間の変化と、右は無呼吸の回数の変化を表しています。

上向きで寝ると無呼吸やいびきが起こるので、多くの睡眠の研究者がいびきや無呼吸の患者さんには上向きで寝かせないように横向きで寝ましょうと言っています。

でも、私は上を向いて寝ていても枕がちゃんと体に合っていれば、いびきや無呼吸がひどくならないのではないかという仮説を立てて検証しました。

実際に枕なしで寝ている時と比べて、適切な高さの合ってる枕を使った時は平均上向き時間がなんと倍に伸びているんです。

無呼吸の回数を見てみると、枕がない状態で寝ているよりも適切に高さの合ってる枕を使うとなんと無呼吸の回数が減っているものが大半なんです。

結果的には6例中5例、83%の方が上向きの時間が伸びたけれども無呼吸のが減ったという結果になりました。

つまり、枕の高さを合わせることで横向きにならずとも上向きでも寝れる可能性が示唆されたわけです。


レム・ノンレム睡眠への効果

睡眠センターには備え付けの凹凸の枕があったんですが、患者様が入院してポリソムノグラフィーの検査をする時にいろんな体格の患者様がいる中で、みんな同じ枕で寝かされていたんですね。

これはおかしいということで、夜に病院に来てポリソムノグラフィーの検査を受ける前に枕を1人ずつ計測しました

そして、適切な高さの整形外科枕と凹凸枕を途中で変えてどうなっているか検査をしました。

睡眠の前半で病院の備え付けの枕を使い、後半で整形外科枕を使ったパターン。

逆に睡眠の前半で整形外科枕を使い、後半で病院備え付けの枕を使ったパターンを比較してみました。


レム睡眠とノンレム睡眠を分けて表示しています。

ノンレム睡眠に関しては睡眠の深さのステージごとにも分かれています。

水色の棒が病院の枕、整形外科枕は赤い方です。

レム睡眠は病院の枕より整形外科枕でかなり増えるということが分かります。

そしてステージ1のとても浅い睡眠は整形外科枕で減り、それより深い眠りが整形外科枕は増えています

レム睡眠が整形外科枕で増えていいるのが、優位に意味のある増加ということになりました。

このデータに対して某筑波大学の有名な睡眠の教授にお話を伺ったところ、以下のようなコメントを頂戴しました。

・レム睡眠が増えているということは良い変化だと考えられる

・ノンレム睡眠のステージ1が減っているのも浅い眠りが減っているので良い変化だと考えられる

・ステージ3、4のほとんどが0というのは一般的には考えにくい

(現在はステージは3までになっているが、通常10~20%ほどはあるとのこと)


レム睡眠の解説

・脳が活動的なイメージ

・脳波は低振幅速度の早い波が動いていて夢をよく見る

・眼球が動いている

・バイタルサイン(心拍、血圧、呼吸)が比較的変動している

・脳の活動が活発

・体の筋肉は緩んでいる

このような眠りがレム睡眠です。

レム睡眠では脳が活発に働いていますが、これは記憶の整理、そしてそれを定着させています。

例えばテスト勉強思い出していただくと分かりやすいんですが、夜に一生懸命勉強して詰め込みますよね。

でも、休んでレム睡眠を取らないとその入れた知識が整理されないので翌日のテストの時にすらすらと出てきません。

なので睡眠時間を削って勉強するのではなく、しっかりレム睡眠を取って記憶の整理や定着をしないといけないわけです。

レム睡眠は新生児の場合、全睡眠の50%とも言われています。

成人になると赤ちゃんよりずっと減って25%になると言われています。

どれだけ成長する為にたくさんのことを覚えなきゃいけない新生児の赤ちゃんにとって大事な眠りなのか、人間の生理的に必要な眠りなのかということが分かります。

高齢者ではレム睡眠が減ってノンレム睡眠も減っていきます。

この全てが解明されたわけではありませんが、レム睡眠の重要性というのが今まさにどんどん明らかになっているところです。


レム睡眠は“浅い眠り”じゃない

最後に筑波大学の睡眠の教授がおっしゃってるところでは、レム睡眠は浅い睡眠では決してないんです。

ノンレム睡眠と同様に外的な刺激から隔離された、とても深い睡眠だということが近年分かってきました。

睡眠の前半に深い睡眠が起こりますが、それも重要だけど睡眠の後半に増加するレム睡眠も重要であると言われているんですね。

ですので整形外科枕でレム睡眠が増えるということは、どうも大きな大きな意義がありそうだということになります。

これは非常に驚かれた科学的研究の結果なんですけれども、レム睡眠が5%減ってしまったらなんと総死亡率は13%も上昇してしまうということも世界で分かってきています。

皆さん今回ははちょっと難しい話だったかもしれませんけど、人間にとって重要な意味のあるレム睡眠、これが私たちの整形外科枕を使うと増えるということが科学的研究によって分かったわけです。

皆さん睡眠に興味のある方は是非、整形外科枕を使ってレム睡眠を増やして眠ってみてください。


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