コラム詳細

整形外科医が考える正しい眠りのための寝室づくり

世の中に「安眠」「快眠」「熟睡」など、質の良い睡眠を表現する言葉はたくさんありますが、私はあえて「正眠」という言葉を使いたいと考えています。

一言で説明すれば読んで字のごとく「正しい眠り」という意味ですが、私はこの言葉にたくさんの願いを込めます。正しい寝姿勢、正しい寝具、正しい生活習慣、眠りに関する正しい知識と理解・・・・・。

正しい眠りとは何か、残念ながら、まだすべてが解明されてはいません。これからどんどん検証されていくのでしょう。多くの場合、本人が心地よく感じる状態は、心にとっても身体にとっても心地よいものです。しかし、快適だから、好きだから、安楽だからといった感覚的な理由ばかりを優先してしまうと、思わぬ落とし穴が待っていることもあります。ときには自分の好き嫌いや気持ちよさを離れ、専門家の意見に耳を傾けて、正しい眠り方をめざしていただきたいと思います。睡眠環境の見直しも大切です。

この本では枕を中心に話を進めてきましたが、睡眠環境を決定するのは、もちろん枕や寝具だけではありません。大きく寝室全体を見回してみれば、眠りを阻害していた要因や、もっと改善できるところがいくらでも見つかるものです。

私は、「正眠」のための環境づくりの一環として、理想的な寝室を考えてみました。もちろん「理想」ですから、なかなか実現のむずかしい部分もありますが、あなたの寝室チェックの参考にはなると思いますので、最後にご紹介します。

①位置ー部屋の向きは東南の角部屋がいちばん。朝、東から昇る太陽の光は、生体リズムを覚醒状態にセットしてくれる最大の刺激となります。また南向きの暖かい部屋は、身体が温まりやすいので、活動をスムーズに開始させてくれます。

②音ー寝室の防音には十分、心がけてください。寝入り端の騒音は、入眠障害の大きな原因のひとつです。気密性の高い窓とドアが必要です。

③入浴ー就寝前の入浴は心身をリラックスさせ、眠りやすくさせてくれます。シャワーではなく、かならず浴槽のなかで湯に浸かってください。ただし、湯が熱いと交感神経が刺激され、かえって眠れなくなるので、お湯の温度はぬるめの四〇度前後がいいでしょう。お湯のなかで、肩や肘の関節をゆっくり動かす体操も有効です。湯冷めをしないためにも、寝室内に入浴スペースがあれば最高。日本ではほとんど見かけませんが、欧米では浴槽を備えた寝室はさほど珍しいものではありません。

④ベッドマットー体圧を分散しながらも、身体全体をしっかりと支えてくれるマットや布団を整えてください。ポイントは寝返りの打ちやすさです。

⑤ベッドー足腰に痛みがある方には、畳に布団敷きより、床から高さのあるベッドを選ぶほうがいいでしょう。朝、起き上がるとき、膝や腰にかかる負担が小さいからです。もし「寝腰」が起こったら、一度、痛い側の腰が下になるよう横になってから起き上がると楽です。右向き、左向きどちらの場合でも起き上がれるよう、ベッドの左右はあけておきましょう。床からの高さがあれば、寝具に湿気がこもりにくいし、塵や埃が舞い上がっても吸い込みにくいという利点もあります。

⑥枕ー枕の三大条件を満たすジャストフィットの枕は不可欠です。

⑦掛け布団とパジャマー組み合わせに注意してください。ネル地のパジャマと毛足の長い毛布、重い布団など組み合わせると、摩擦抵抗が大きくなるため、寝返りが打ちにくくなってしまいます。

⑧膝枕ー「寝腰」が起こりやすい方は、ベッドサイドに膝枕を用意しておくと便利です。膝の下に敷き、膝を立てるための三角形の枕です。目が覚めたら、一五分間、膝立て姿勢で休むと「寝腰」をやわらげることができます。ただし、寝入る前から使ってはいけません。寝返りが打てなくなります。

⑨膝枕台ー就寝中、膝枕を置いておくための台。目が覚めてすぐ膝枕を入れるため、いちいち起き上がらなくてもいいように手が届く場所に置きましょう。

⑩照明ー温かくやわらかい光の白熱灯を、あまり高くない位置に二、三ヵ所、間接照明として取り入れます。JISの規格では、寝室照明は合計して一〇~三〇ルクスが最適とされています。読書用のスタンドなどは明るめのものを別に設置するといいでしょう。

⑪スリッパー近年、扁平足障害の人が増えています。足の裏が真っ平らになると、起床後、ベッドから下りて足を着くとき、痛みが走ることがあります。寝室が二階の場合は、階段を下りるときにも痛みます。そんなときでも、スリッパを履いていれば土踏まずを支えてくれるので、つらい思いをしなくてすみます。重症の方は専門病院でオーダーメイドの装具を作成するのが最良です。

⑫アロマセラピーーいい香りは脳に働きかけて入眠を促進し、熟睡度を上げてくれます。そのため、アロマセラピーは最近、医療現場でも取り入れられるようになりました。睡眠薬との大きな違いは、起き抜けのだるさや頭痛といった副作用がほとんど見られないことです。ただし、ロウソクの火にかけて使用するアロマランプは火事だけでなく、炭素である精油が焦げつく原因となります。陶器のディフューザーにしみ込ませ、枕のすぐ脇、つまり鼻に近いところにセットするのがいちばん有効です。

こうして考えてみると、睡眠と覚醒には、体調や心理状態だけではなく、視覚、聴覚、嗅覚、など五感の刺激が大きくかかわっていることがわかります。ハイテク全盛時代にあっても、私たち人間が心ゆくまで、正しく休息するためには、やはり生物本来の感覚を大切にした環境づくりが必要なのでしょう。

出典(枕革命ひと晩で体が変わる、山田朱織、講談社)

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