後縦靭帯骨化症(OPLL)と枕選びを解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
目次
今回は後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこつかしょう)と診断された方の枕について枕選びについてお話をしたいと思います。
後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこつかしょう)とは?
首の後ろ側に靭帯(じんたい)といって筋があります。
その筋は本来柔らかいものなんですが、それが骨のように硬くなってしまうというちょっと怖いイメージの病気です。
聞きなれない病気かもしれませんが実はそんなに稀な病気ではないんです。
当院のような整形外科でレントゲンを撮ると3%ぐらいの方にはこの後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこつかしょう)が見つかるんです。
男性女性の割合を見てみると2倍男性の方が多いんいいですね。実は若い方にもこれが見つかることもあります。
遺伝性の可能性もあると言われていて、もしご兄弟に後縦靭帯骨化症が見つかると3%ではなく30%の割合で別の兄弟にも同じ病気があると言われるぐらい家族性は高いと言われています。
後縦靭帯骨化症と他の病気との関連性
実はこの後縦靱帯骨化症、単独の病気ではなくて様々な病気との関連も指摘されています。
性ホルモンの異常、肥満、カルシウムやビタミン D の異常とも絡んでいたり、また糖尿病の方や老化の一つとして高齢者に見つかることもあります。
なので単独の病気と考えずにこれらの病気を指摘された方も、少しこの後縦靭帯骨化症を念頭において調べてみるの重要なことかもしれません。
後縦靭帯骨化症が起こるメカニズム
後縦靭帯骨化症という病気について解剖学的に首の構造をご説明します。
首には靭帯と言って筋があってこの靭帯が適度に首を安定化させてくれている機造です。
これは体を横から見た図です。
首がありますね。この首は医学的には頚椎と呼びますがこの頚椎を拡大してみると横向きでこんな風に見えます。
この黒く見えている番号が付いているところが首の骨です。
この骨のすぐ後ろには細い筋があるんですが後縦靱帯骨化症の方はその筋がとても分厚くなって骨化、つまり骨のように硬くなってしまった状態です。
ただの一本線だった筋が分厚くなって骨化した状態が一つ二つある方もいれば、上から下までずーっと繋がってしまう場合もあるんです。
より広範に広くより分厚くなってくると靭帯が広がって中の神経の通り道が狭くなってしまいます。
首の骨の中を上から見た図です。
骨には一定の大きさがあり、この中に後縦靭帯骨化症が分厚くなれば中の神経が締め付けられてしまいます。
正常な人と比べて後縦靭帯骨化症の人では神経がとても小さくなってしまい首の条件が悪いということがわかります。
後縦靭帯骨化症になると出る症状
もし軽い小さな後縦靱帯骨化症であれば何の症状も出ない方や、肩こり、少し首から頭が痛い、軽く手がしびれるなど軽症の方、また重篤になってくると手足が使えなくなってくる場合もあります。
重篤になってくると
・ボタンをかけることができない
・箸を使ってご飯を食べることができない
・ペットボトルのキャップを開けられない
・お札が数えられない
このような様々な手の障害が起こってきます。
もっとひどくなると足が突っ張って歩けないとかお小水や便の出が悪くなるなど様々なとても怖い症状も出てしまうんですね。
胸にも腰にも後縦靭帯骨化症が起こりますが重篤な問題を生じるのは首なんです。なぜなら首が最も細いからです。
細い中で神経が靭帯骨化症によって締め付けられてしまうので障害が大きくなるわけですね。
ですので後縦靭帯骨化症と診断されたら手術をする前であれば適切な日常生活の姿勢の管理がとても重要になります。
後縦靭帯骨化症の方も適切な枕で首に良い条件を整えることが重要
このような少し特殊な後縦靱帯骨化症と診断されたの方から外来で私が一番よく相談を受けること、それは実は枕なんです。
後縦靱帯骨化症と診断されたからには何か特殊な枕を使わなきゃいけないと思い結構枕に悩んでいらっしゃるんです。
大事なことは後縦靭帯骨化症の方もそうでない方も同じで体格にぴったり合った高さの枕を使うことなんです。
適切な高さそしてしっかりと硬くて表面が平らな枕を使っていただければ、たとえ首の中に靭帯骨化があったとしても上向き横向き寝返りどの体位になっても楽にぐっすりと眠ることができるんです。
枕の高さ調節こそが後縦靱帯骨化症の方にも重要なポイントだということを覚えておいてください。
他の首の病気の場合も枕は重要です
頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症、頚部脊柱管狭窄症など様々な首の病気があるかと思いますが、そのような方も後縦靭帯骨化症と同じように枕の高さを整えて平らで硬い枕を使うことが重要になってまいります。
決して病気によって異なる枕を使うのではなく、お体に合った枕を使うことが大事です。
正しい枕を選んでいただき、快適な眠りそしてなるべく症状を発症しないように首の正しい管理を行っていただければ幸いです。
是非、今晩からやってみてください。
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整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
首が安定した良い状態を作るには枕が適切に合っているかが重要です。
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