16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
寝ている時の足や膝の痛みについて
今日は当院にお越しになる患者様が日頃よく訴えられる症状、辛い症状について焦点を当ててその病気や症状の原因、理由。
そしてそれに対する対処方法を解説していきたいと考えます。
しかし、この情報はあくまで一つの参考にしてください。私たち医師は患者様を診察して触診したり色々なお話を聞いたり、実際に診察やテストをする中で画像も見て総合的に判断して診断を下し、そして治療を組み立てます。
でも、今日はあくまで一般的な症状に対してこんなことが考えられますよ、まずこのようなことから注意してくださいということを申し上げますので早合点に自分の症状はこれだ、病気はこれだと決めつけず一つの参考にしていただければと思います。
では始めていきましょう。
足や膝の痛みにも枕は有効?
今回はこの質問に回答していきましょう。
一口に足と言ってもこの股関節という足の付け根から太もも、膝、脹脛(ふくらはぎ)、そして指先まで足というのはとても広い範囲を司っています。
ですのでどの部分が痛いのかによっても診断や対処方法は変わってきます。
まず最も頻度の多い症状としては膝が痛いというのと、脹脛(ふくらはぎ)から足の裏側の痛みというのに今回は焦点を当てて解説をしていきたいと思います。
膝が夜間に痛い。これは膝の中に何か変形が起こっていて、寝ている時に動くことによって痛みが出ることがあります。
これを睡眠姿勢を整えることによって膝にかかる負担を取ってあげると改善することがあるんです。
一方でお尻から膝裏、足までの全体の痛みや痺れ。坐骨神経痛というものが考えられるんですが、この痛みについても寝る姿勢を整え、骨盤、腰が楽に寝返りがうてるように寝具環境を整えると症状が改善することがあります。
座骨神経痛については以下のコラムでも詳しくご説明しております。
ですので夜間に痛い、もしくは朝起きた時に辛い。
このような症状の方は今から説明することを是非注意して行ってみて頂ければと考えています。
では、今日は患者様のモデルになっていただく方にお越しいただいて分かりやすく解説していきたいと思います。
山田:今日はどうされましたか?
患者:1週間前から左の膝が寝ていても痛くなりました。特に寝返りをうつと痛いのでご相談に伺いました。
山田:寝てる時に膝が痛いわけですね。それによって目が覚めてしまうこともありますか?
患者:あります。
山田:これまでにもお膝の痛みっていうのはありましたか?
患者:はい。1年ぐらい前から階段を上るときに膝が痛いなって気づいていたんです。ひどくなかったものですから様子を見ていました。
寝るときに痛くなりだしたのは最近のことなので心配になり伺いました。
山田:以前は階段を上る時や下りる時、長く歩いたりすると痛かったり、立ち上がる時に痛かったりということもありますか?
患者:あります。それが最近では寝ていても痛くなってきたので伺いました。
山田:わかりました。2つご質問があります。まず家の中は洋式スタイルですか?それとも和式スタイルですか?
患者:基本的には洋式で椅子とテーブルを使ってるんですが、冬の間はどうしても寒くなりますのでこたつを使用しています。
こたつに入ると正座したり横座りするのでやっぱり痛みが強くなったと思います。
山田:もう一つの質問です。いつも運動するように心がけていますか?
患者:はい。なるべく家の周りを歩いたり運動は気をつけているのですが、最近は腰痛の方も持病であるものですからあまり外に外出して歩くっていうのが苦痛になってきまして大して歩いてないですね。
山田:わかりました。その洋式和式のことであるとか運動についても後でアドバイスをしたいと思います。では診察をしますので靴を脱いでベッドの上に上がってください。
今から膝の診察をします。
お膝の左側ということですが、二本の足をよくそろえてみると間に指が二本入る隙間が開いています。これはお膝がO脚と言ってだんだん内側に曲がってきているからです。
これが年齢変形の始まりですね。はい曲げてみましょう。最後までよく曲がりますね。曲げたときに最後まで曲げるとちょっと痛みますか?
患者:はい。
山田:では膝を立てます。押しているところが痛いか教えてください。左膝の関節の内側を押します。
患者:痛いです。
山田:かなり痛みがありますね。次に先ほどの少し下あたり。ここも痛いですか?
患者:そこも痛いです。
山田:ここは鵞足(がんそく)といって筋肉と骨がくっついている場所です。膝のお皿の上あたり、こちらはどうですか?
患者:先ほどよりは痛みはないです。
山田:お皿の骨と太ももの骨の間には関節があります。膝の外側、こちらも痛みますか?
患者:少し痛いです。
山田:見せていただくと少しだけお水が関節の中に溜まっている関節水腫というのがあると、内側と外側の関節の軟骨、半月板という部分がどうもを痛みが出ている原因だと思います。
お膝を大きく曲げて曲げたままぐるぐる回すように動かします。これは痛いですか?
患者:そこまで痛みはないです。
山田:足を伸ばします。手で押さえているので足を上に上げるように力をぐーっと入れてください。はい結構です。わかりました。膝に少し水も溜まっていて炎症もあるようです。
そんなにひどい変形ではないし、動きが悪いということもないのでまず年齢的な変形の始まった変形性膝関節症が疑われます。あとはレントゲンを撮って確認します。
変形性膝関節症という診断をつけました
今日、患者さんを拝見して私はレントゲンと所見を含めて変形性膝関節症という診断をつけました。こちら日本整形外科学会のホームページより引用した図を見ていただくと
正常な膝の関節では半月板と言われる軟骨が綺麗に大腿骨太ももと、脛骨膝下の骨の表面を覆うような形で存在しています。
一方、変形が進んで異常になってくると、この関節が狭くなり、半月板が削れてきて薄くなり、最終的にはなくなってしまって骨と骨同士がぶつかって強い痛みを出すようになります。
骨に穴が開いたり、膝の中にたくさん水が溜まったり、炎症が強くなっていきます。
基本的な注意としては良く温めて冷やさないこと。一方でよく動かして膝を固めないこと。
安静と運動のバランスは、症状が強い時には強い運動や階段運動などは負担になることもありますので、医師に相談してください。
睡眠時のアドバイス
夜間痛、寝ていて膝が痛い。今日の患者様のように寝返りをうつと膝が痛いと言うことをよく聞きます。
このような時には寝返りをしやすい寝具環境を整えること。一人一人の体格に合わせた正しい枕を使用すること。
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私の枕外来には,朝から肩がこる,枕が合わない,何度も目が覚める
という患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
体格によって適合する高さが違います。
オーダーメイド整形外科枕
ベッドや布団を寝返りしやすい硬さのものを選ぶこと。
さらに掛物を軽くしたり、
パジャマも寝返りしやすいようなタイプの物にすることが重要です。
寝るときに緩めの締め付けすぎないサポーターを使用するのも有効だと考えます。かぶれなければ湿布などの外用剤も有効です。貼る場所は痛いと感じるところで良いでしょう。
湿布の貼り方や貼るタイミングなどは以下のコラムでご説明しています。よろしければご参照ください。
プラスアルファのアドバイスです。和式の生活は膝にとでも良くないのでできれば洋式スタイルにしてください。椅子とテーブルを使うこと。できれば洋式のベッドを使うこと。
お手洗いも和式ではなく洋式にすることなどが有用です。
膝のぶらぶら運動を教えます
最後に膝のぶらぶら運動を教えます。ベッドの端や椅子に腰かけて足が床から少しだけ浮くようにしてください。そしたらお膝を軽くぶらぶらと振ります。
右も左もどちらもやっていただいていいですが、できれば片方を10回ぐらいぶらぶら振ります。
終わったら反対もぶらぶら振ってください。とっても簡単なんです。テレビを見ながらでもできます。これを1日3回、朝昼晩と10回ずつ行いましょう。
何をしているかと言うと膝の中には関節の水があります。これを潤滑させる。うまく流して膝の中の炎症を抑えるためにはこのぶらぶら運動がとても有効です。毎日やってください。
ぶらぶら振っているときは片方の足は下についていても大丈夫です。是非、試してください。
ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。
整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
寝ていて膝が痛い。寝返りをうつと膝が痛いと言う時には寝返りをしやすい寝具環境を整えましょう。具体的には適切な高さの枕を使うこと、ベッドや布団の硬さ、掛物を軽くすること。
寝巻を寝返りしやすいようなタイプの物にすることが重要です。
本コラムの内容は動画でもお話しています▼
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