肩のトラブル解説!整形外科医が教える原因!肩以外病気が原因の可能性も?
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
今回は"肩のトラブル"についてお話します。実は肩のトラブルについては奥が深いんです。
整形外科でかれこれ30年やってきている私でも、これは何だろう?整形外科の病気ではないんではないか?と思うことがあります。
はじめに
「肩が痛い」と来院される方の中には、実は肩関節そのものが原因ではないケースが含まれます。
整形外科の現場でも、場所や痛み方、時間帯によっては「他科疾患」を疑うことが少なくありません。
私が診察した患者様の中で20数年前、鎖骨の上あたり(肺の頂部近く)の痛みとしびれで来院した方が、最終的に肺がん(パンコースト腫瘍)と診断された例がございました。
肩という言葉の範囲は広く、首〜肩甲部、鎖骨周辺、胸部に及ぶこともあるため、思い込みを捨てて丁寧に確認する姿勢が重要です。

「肩の痛み=肩関節」とは限らない

肩周囲の痛みは、五十肩や石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症、頚椎症、関節リウマチなど整形外科領域が多い一方、心筋梗塞、胆のう炎・胆石、膵炎、パーキンソン病、さらには肺がん(パンコースト腫瘍)など、内臓・神経の疾患でも生じます。
だからこそ、「痛みの場所」「出方」「増悪する動作」「安静時の痛みの有無」など、症状の文脈を医療者と共有することが早期発見につながります。

受診科を見極める6つのチェックポイント
整形外科や他科を判断するうえで、次の6点が目安になります。
1、部位
首〜肩甲部、鎖骨、胸部など広く確認する。
2、局所所見
発赤・腫脹・圧痛・左右差・熱感。
3、安静時痛/運動痛
動かすと痛いなら整形外科の頻度が高く、何もしなくてもズキズキ痛む場合は内臓疾患を疑う。
4、合併症・持病・家族歴
診断の大きなヒント。
5、経過
出たり引いたり、特定動作でのみ、急速悪化など。
6、検査
血液、X線、MRIなど。
これらを踏まえて、まずは整形外科で評価を受ければ適切な科へ橋渡しができます。

整形外科で多い原因/他科で多い原因
整形外科
五十肩、石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症、頚椎症、関節リウマチなど
他科で多いもの
心筋梗塞(心臓内科・外科)、胆のう炎・胆石・膵炎(消化器内科・外科)、パーキンソン病(神経内科)、肺がん・パンコースト腫瘍(呼吸器科・胸部外科)など
自己判断が難しい場合は、遠回りに見えても「まず整形外科」で問題ありません。

まず整形外科へ—診断から治療へ
痛みの位置を具体的に指差せるようにしておく、発症時期や誘因、夜間や安静時の痛みの有無、内科的な既往歴を伝える準備をしましょう。
痛みの由来が肩関節や頚椎など運動器にある場合は、適切な保存療法やリハビリ、必要に応じた処置へと進みます。
他方、内科・外科疾患の兆候があれば、その場で然るべき専門科への紹介が行われます。

睡眠姿勢と枕の基本
肩・頚部の痛みでは「夜間の痛みの強さ」「寝返りのしにくさ」など、睡眠中の姿勢が症状に影響することがあります。
山田朱織枕研究所では、頚椎の通気・神経出口の確保に配慮しつつ、上向きは約15度前後の前傾、横向きは顔面〜胸の中心が寝具面と平行になる高さを、5mm刻みで合わせるSSS法(Set-up for Spinal Sleep)に基づいて枕を計測・調整します。
計測データに立脚した調整を行い、適切な当て方(首の付け根にしっかり当て、頭と首を十分に預ける)も重視しています。
症状の本態が整形外科由来であれば、睡眠中の負担軽減にもつながります。

まとめ
肩の痛みは「肩だけの問題」と決めつけないことが大切です。
痛む部位の広さ、安静時痛の有無、既往歴などをヒントに、まずは整形外科で評価を受けましょう。
必要に応じて他科と連携し、原因に応じた治療を迅速に開始する—それが回復への近道です。
睡眠中の姿勢や枕の当て方・高さも見直す価値があります。

ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。
整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
 - 「枕外来のオーダー枕」- 私の枕外来には,朝から肩がこる,枕が合わない,何度も目が覚める 今すぐ計測予約する
 という患者様が沢山来院します。
 好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、
 体格によって適合する高さが違います。
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  「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」16号整形外科院長 医学博士 
 ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
 治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
 睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
 普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
 できるだけそのままお伝えしております。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼

