マットレス・布団・枕の「三位一体」でひどい肩こりを治す方法|整形外科医が寝具3大条件と天地替えまで解説
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
「枕を変えたのに肩こりが治らない」「マットレスを新調したら逆に悪化した」「病院でいくら治療しても翌朝にはまた肩がこっている」——そのような声を外来でよく耳にします。
原因はほぼ決まっています。枕だけ、あるいはマットレスだけを変えても、もう一方が合っていなければ肩こりは解消しません。枕・マットレス(布団)・自分の体、この3つが「三位一体」で初めて正しい寝姿勢が作られるからです。
このコラムでは、難治性肩こりとは何か・医療的治療の限界と寝具の役割・布団とマットレスの3大条件・天地替えの方法・枕との適合調整まで、整形外科医の立場から一気に解説します。
目次
難治性肩こりとはどんなものか

重症のひどい肩こりを医学的に「難治性肩こり」と呼びます。どういう状態かというと、ポイントは3つあります。
難治性肩こりの3つの定義
①自覚症状として「ひどい」と感じている
肩こりを持っている方が自覚症状として「ひどい」と感じている状態。
②医師から見て明らかな原因がある
医師から見て強い原因、何か悪い原因があって慢性的に強い肩こりが起こっているケース。
③長期間続いている
すごく長期間この症状が続いているケース。長い間症状が続くと身体的な辛さのみならず、精神的にもまいってきてしまいます。メンタルも含めた難治性の肩こりとなっていくからです。
難治性の肩こりで悩んでいる方、どうか諦めないでください。「医療×寝具」という2本立てのアプローチで、ほとんどのケースで改善できます。
医療で治す部分と寝具で治す部分
まず私は整形外科医なので、医学的にその方の肩こりが何か原因があって起こってるのかどうかを判断しなければいけません。医療で治せる部分と、寝具の調節で治せる部分をきちっと見極めた上で、治療計画を立てることがすごく重要です。
患者様を診た時には、どんな身体症状か・病歴・いつからどう痛いか・どのぐらいの期間か・どんなタイミングか・どんな時に悪化するか・これまでの治療と有効性——こういったお話を詳しくお伺いします。
中には整形の肩こりだけでなく、背景に様々な合併症があることもあります。内科・耳鼻科・眼科・泌尿器科など他の科の病気を背景に持っていて、それと肩こりが関連していることもあります。更年期障害や心臓病(狭心症・高血圧)と肩こりの関連は意外に深いのです。
そして医療的な治療(内服薬・注射・リハビリテーション)を丁寧に行っても、合わない寝具で寝続ければ毎朝症状がリセットされてしまいます。だからこそ、寝具を見直すことが難治性肩こり改善の「最後のピース」になることが多いのです。
なぜ枕だけ・マットレスだけ変えても治らないのか——「三位一体」という考え方
枕を変えれば良い睡眠がとれる、マットレスを変えれば解決する——そう考えてしまいがちです。しかし実際には、枕とマットレス(または布団)と自分の体、この3つが同時に合っていないと肩こりは改善しません。
たとえば、整形外科枕を計測・作成しても、その下にあるマットレスが20年物のへたったものであれば、枕単体がどれだけ精密に調整されていても正しい寝姿勢は作れません。逆に、マットレスを新調しても枕が古く劣化していれば、同じことが起こります。
人は一晩に6〜8時間を寝台の上で過ごします。この間、姿勢が悪ければ首・肩・腰に毎晩負荷がかかり続けます。逆に寝具が体に合っていれば、毎晩6〜8時間かけて首・肩の緊張がリセットされていきます。病院やクリニックで1〜2時間の治療を受けても、帰宅後に合っていない寝具で8時間過ごせば、翌朝には元に戻ってしまいます。治療の効果を台無しにするほど、寝具の影響は大きいのです。

▶ 枕・マットレスの「三位一体」、土台となる枕の条件を知っていますか?
マットレスが整っていても、枕の高さが体に合っていなければ肩こりは改善しません。正しい枕には3大条件があります。
- ちょうどいい高さ——体格によって5mm単位で異なる。「高め・低め」ではなく「あなただけの高さ」
- フラットな形状と硬さ——凹凸枕は寝返りを妨げる。平らで適度な硬さが寝返りをスムーズにする
- メンテナンス——体の変化・マットレスのへたりに合わせて枕も調整が必要
体に合った正しい枕を使うことで、睡眠時のトラブルや起床時の不調を回避することができます。あなたの体に合った高さを計測して、正しい枕をお使いください。
正しい枕の3大条件を確認する →へたったマットレスが枕の効果を台無しにするメカニズム

マットレスや布団は、毎晩同じ位置で使われ続けます。人は無意識にほぼ同じ場所で寝るため、最も体重のかかる腰・背中の部分だけが集中して汗を吸い、素材が傷んでいきます。
その結果、使用部分だけが沈んで段差が生まれます。この「轍(わだち)」のような凹みに体がはまり込んでしまうと、枕の高さや硬さの調整がどれだけ正確でも、腰が沈んだ分だけ「相対的に枕が高すぎる状態」になってしまいます。
枕をきちっと体に合うものを選んだとしても、マットレスが古かったり体に合っていないと枕の効果は台無しになります。
実際に確認:腰の沈み込みと寝返りへの影響

実際に長年使ったマットレスに仰向けで寝てみると、最も重い腰の部分がじわじわと沈み込んでいくのがわかります。腰の後ろに隙間ができ、背骨がくの字に曲がった状態です。

この状態では首の角度も変化します。腰が沈んで相対的に頭が持ち上がることで、どんなに正確に合わせた枕でも「低すぎる状態」になり、首や肩に余分な緊張が生まれます。これが「枕を変えたのに肩こりが治らない」最大の原因です。

腰が沈み込んだ状態では、寝返りのたびに腰で大きな力を出してから上半身が追いかけるという不自然な動きになります。この腰への過負荷が、朝起きたときの腰痛・背中の張り・肩こりの慢性化につながります。本来の良い寝返りとは、肩と腰が同時に軽くコロリと転がれる状態です。これができるのは、マットレスが適切な硬さを保っているときだけです。
今すぐできる対処法:天地替え・裏表替えの正しいやり方
まずはマットレスや布団を買い替える前に試せる対処法があります。天地替え(頭と足の向きを入れ替える)と裏表替え(両面使えるものを裏返す)です。

天地替えをすると、これまで腰が当たっていた場所に足が来るため、劣化の少ない部分で腰を支えられるようになります。実際に試したモデルからは「腰の沈んだ感じがなくなった」「背中全体が面で支えられる感じ」という声がありました。

寝返りも「コロコロとスムーズに打てる」状態になります。
天地替え・裏表替えの推奨頻度
3ヶ月に1回、最低でも6ヶ月に1回を目安に実施してください。特定の場所への体圧と汗の集中を防ぎ、素材の偏った劣化を遅らせることができます。ただしこれはあくまで予防策・応急処置です。すでに大きくへたってしまったマットレスを元に戻すことはできないため、使用10年を超えたものは買い替えを検討してください。
また、枕を計測所で合わせた場合は、必ず自宅のマットレスの上で再確認してください。計測所と自宅のマットレスの硬さが違えば、枕の高さも変わります。計測所より自宅のマットレスが柔らかい場合は枕を低めに、硬い場合は高めに調整が必要です。
マットレスを新調したのに肩こりが悪化するケース——枕側の問題

逆のパターンもあります。マットレスを新調したのに肩こりが悪化するケースです。この場合、原因は枕側にある可能性が高いです。
たとえば全層ウレタン製の枕を7〜8年使い続けると、素材がへたって本来の高さや硬さを失います。新しくて適切な硬さのマットレスの上で、つぶれた枕を使えば、首の角度が崩れて肩こりが悪化します。
枕とマットレスは「三位一体(枕・マットレス・自分の体)」の考え方でセットで見直すことが解決の近道です。どちらか一方が劣化していれば、もう一方をどれだけ良いものにしても効果は半減します。
肩こりを治すための布団・マットレス3大条件
条件1:腰が沈まない硬さ
最も重要な条件が「硬さ」です。基準はシンプルです——「腰が沈まず、寝返りが軽くスムーズに打てること」です。
腰が沈み込むと背骨がくの字に曲がり、首・肩への負担が増します。また寝返りが重くなることで睡眠が浅くなり、肩や首の筋緊張が翌朝まで残ります。迷ったときは「硬め」を選ぶことが失敗の少ない選択です。
条件2:表面が平ら
「表面が平らなのは当然では?」と思うかもしれませんが、実は見落とされがちな重要条件です。長年の使用で汗を吸い込んだ部分だけ素材が傷み、凹凸が生まれます。また布団では内部の綿が偏ることもあります。体が溝にはまり込んでしまうと、スムーズな寝返りができなくなります。表面の平らさは、スムーズな寝返りを支える土台です。
条件3:通気性・保温性・保湿性に優れた素材
睡眠中も体は体温調節を行っており、寝具の素材がこれを助けるかどうかが快眠の質に直結します。通気性・保温性・保湿性のバランスに優れた素材を選ぶことで、布団内の温度が適切に保たれ、寝返りのたびに熱と湿気が逃げる環境が整います。

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寝具見直しの具体的な手順(6ステップ)
「どこから手をつければいいかわからない」という方のために、肩こり改善のための寝具見直し手順をまとめます。
| ステップ | 確認・行動内容 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| ① | マットレス・布団の使用年数を確認 | 10年以上→買い替えを検討。20年超→即交換 |
| ② | 腰の沈み込みを確認 | 仰向けで寝たとき腰が沈んで背骨がくの字になるなら要交換 |
| ③ | 表面の凹凸・段差を確認 | よく寝る場所に明確な凹みがある→天地替えまたは買い替え |
| ④ | 天地替えを試みる | 3〜6ヶ月に1回。改善しなければ買い替えのサイン |
| ⑤ | 新しいマットレスを実際に寝て選ぶ | 店頭で仰向け・横向き・寝返りを必ず確認。硬めを基準に |
| ⑥ | 枕の高さを再調整する | マットレスを変えると枕の適切な高さが変わる。必ず再確認 |
難治性のひどい肩こりで悩んでいる方、どうか枕だけでなく布団・マットレスという寝台全体を丁寧に見直してみてください。寝具の3大条件(硬さ・平ら・素材)を整えることが、肩こり改善への確実な一歩です。
マットレスを整えたら、次は枕の高さを「正しく」合わせてください
寝具見直しの最終ステップは「枕の高さの再調整」です。マットレスが変わると枕の適切な高さも変わります。
正しい枕の3大条件——①ちょうどいい高さ ②フラットな形状と硬さ ③メンテナンス
この3条件を、あなたの体に合わせて整える方法を詳しく解説しています。
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よくある質問(FAQ)
Q 枕を変えたら首や肩が痛くなりました。枕が原因ですか?
必ずしも枕だけが原因ではありません。自宅のマットレスの硬さが計測所・店頭と異なる場合、枕の適切な高さも変わります。まず「今使っているマットレスが適切な硬さか」「へたっていないか」を確認してください。マットレスに問題があれば天地替えを試み、それでも改善しなければ枕の高さ調整を行います。
Q マットレスが合わないと肩こりになりますか?
なります。マットレスがへたって腰が沈むと、背骨が「くの字」に曲がり、首・肩への負担が増します。また腰の沈み込みによって寝返りが重くなり、睡眠中の筋緊張が高まることで朝の肩こり・首こりにつながります。
Q 起きたら肩こりがひどいのはなぜですか?
睡眠中に首・肩への負担がかかり続けているサインです。考えられる原因は①枕が高すぎる・低すぎる、②マットレスがへたって腰が沈み首の角度がずれている、③寝返りが打てていない(腰の沈み込みによる)、の3点です。特に「朝だけひどい・昼以降は楽になる」というパターンは、寝具が原因である可能性が高いです。
Q 枕とマットレスはどちらを先に見直すべきですか?
先にマットレスの状態を確認してください。マットレスが土台になるため、ここが崩れていれば枕をどれだけ精密に調整しても正しい寝姿勢は作れません。マットレスが適切な硬さを保っている場合に初めて、枕の高さ・硬さの調整が意味を持ちます。
Q 天地替えをすれば肩こりは改善しますか?
へたりの程度が軽い場合は改善することがあります。天地替えで腰の当たる場所が変わり、劣化の少ない部分が使われるようになるため、腰の沈み込みが軽減し寝返りがスムーズになります。ただし、10年以上使用して大きくへたったマットレスでは効果が限定的です。天地替えをしても改善しない場合は買い替えのタイミングです。
Q マットレスを変えたら枕も変える必要がありますか?
変える必要はありませんが、必ず枕の高さを再確認・再調整してください。マットレスの硬さが変わると腰の沈み込みが変わり、それに伴って枕の適切な高さも変わります。新しいマットレスが古いものより硬い場合は枕を高めに、柔らかい場合は低めに調整する必要があります。枕とマットレスはセットで寝姿勢を作るものです。
Q 整形外科枕を作ったのにまだ肩こりが続きます。どうすればいいですか?
まず自宅のマットレスのへたり具合を確認してください。計測所と自宅のマットレスの硬さが違う場合、枕の高さを微調整する必要があります(自宅が柔らかければ枕を低く、硬ければ高く)。また、枕の高さ調整をしても改善しない場合は、マットレス自体の買い替えが必要なサインです。

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16号整形外科院長 医学博士
㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
できるだけそのままお伝えしております。
本コラムの内容は動画でもお話しています(寝具編)▼
枕とマットレスの「三位一体」について詳しく解説した動画▼
医療×オーダーメイド枕の考え方を解説した動画▼
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