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肩は痛くないのに上がらない…実は首が原因?頚椎症性筋萎縮症(キーガンタイプ)を解説

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

「肩が上がらない=四十肩・五十肩」と考えがちですが、実は首の神経が原因のことがあります。

代表例が頚椎症性筋萎縮症の近位型、いわゆる「キーガンタイプ」です。

その特徴と見分け方を解説いたします。

目次


頚椎症性筋萎縮症(キーガンタイプ)とは?

首の骨(頚椎)や椎間板の変化で神経が圧迫され、運動の信号が弱り筋肉に力が入りにくくなる状態です。

近位型と遠位型の2つに分類され、肩~上腕は近位型、手は遠位型となります。

キーガンタイプは近位型のことを言い、肩~上腕の筋力が低下するので「肩が上がらない」ことが起こります。



典型的な特徴(四十肩との違い)

1、痛みが目立たないのに上がらない

初期に少し痛むことはあっても、やがて痛みは乏しくなり、自力挙上が困難に。

ただし他者が支えるとスッと上がるのがポイント。


2、拘縮(関節が固まる)は起こりにくい

四十肩で見られる“ガチガチ”の凍結肩とは異なり、関節可動域自体は保たれやすい。


3、首のサインが同時に出ることがある

C5–C6(頚椎5–6番)領域に関連するしびれや角度でのビリッとした感覚など、首由来を示す手がかりが伴うことがある。


4、肩疾患の否定が鍵

超音波やMRIで肩の病気を丁寧に除外し、頚椎由来かどうかを確かめます。



どう見分ける?受診の流れ

「肩が痛い」だけでなく、腕~手にまで広がるしびれ・違和感がある場合、首の関与が疑われます。

四十肩・五十肩の治療を続けても改善しないときも、首の評価が重要です。

まずは整形外科で肩と首を総合的に診てもらい、画像検査や超音波で鑑別を進めます。



日常生活で困りやすいこと

三角筋や上腕二頭筋に力が入りにくくなるため、茶碗を口元まで持ち上げられない、食器洗いが難しい、髪をとかせないなどの不自由が起こり得ます。

なかには肩の腱板損傷と頚椎ヘルニア(C5–6)が併存していた例もあり、肩と首の両方を丁寧に診る大切さが分かります。



寝姿勢ケア:枕調節の考え方

治療の主体は医療機関での診断と方針決定ですが、夜間の痛みや不快感の軽減には寝姿勢の見直しも役立ちます。

当院でも診断や治療の一環として「枕外来」で適切な枕の指導を行っています。

枕の当て方

頭の下から肩口ギリギリまで差し込むと首が安定。離れていると不安定になりやすい。


高さ確認の3ポイント

上向き・横向き・寝返りで最終高さを決める(目安:女性平均6cm、男性平均7cm)。


四十肩との見分けの一助

肩~前腕~手先まで痛みが広がる場合は、単なる四十肩ではなく頚椎由来の可能性に注意。



まとめ

「肩は痛くないのに上がらない」「他人が支えると上がる」「首のしびれ感がある」――こうした組み合わせでは、頚椎症性筋萎縮症(キーガンタイプ)を念頭に置きましょう。

自己判断でストレッチを続けるより、まずは整形外科で肩と首の両面を評価してもらうこと。

そのうえで日常では寝姿勢(枕の当て方・高さ)を整えると、夜間の不快感の軽減やリハビリ着手のしやすさにつながります。



ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善

山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。

整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。

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  • 診察をしている山田朱織

    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
    睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
    普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
    できるだけそのままお伝えしております。


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