湿布っていつ貼るのがベスト?湿布の効果時間、貼り方とタイミング
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
目次
湿布の正しい使い方・張り方やタイミング
今回は皆さんがよく使う湿布についてです。「湿布はいつ貼るのがいいのか」「どこに貼るのがいいのか」「ベストなタイミングやベストな場所を教えてください」という質問に答えていきたいと思います。
お風呂上りとか「肩や腰が痛いなぁ」という時に貼ったり、スポーツをやって怪我をしたときなどにも貼っている方いらっしゃるかと思います。
実は日本人は湿布剤やパップ剤が好きなんですよね。
皆さんにとってとても身近な湿布というものを、使い方や貼るタイミングまた剥がし方についても意外と盲点。知らないことをも多いのではないでしょうか。お話していきたいと思います。
湿布の使用回数は決まっています
湿布の種類によって使用回数は決まっています。
一日に何枚使っていいか何枚貼るのが効果的かというのが決まってるんですね。
例えば今回用意した青い袋に入っているこのカトレップパップ(帝國製薬)という湿布ですがこれは1日に2回貼る湿布です。
一方モーラステープ(久光製薬)、モーラスパップXR(久光製薬)そしてロキソニンテープ(リードケミカル)と書いてあるものは1日1回でいいという湿布です。
何が違うかというと効果が続く時間が違うわけです。
1日に2枚使う方においては1回の効果時間が約12時間くらいですので、途中で貼り替えて24時間持たせるためには2枚必要なわけですね。
1日1回でいい湿布に関しては効果が24時間続きますので、一度貼ったら24時間貼りっぱなしにしても効果が持続しているというものになります。
1日2回貼るタイプは古くからある湿布なんです。近年は1日1回でいいというものが使いやすいという声があって増えてきております。
ただし、長時間貼ってしまうとかぶれやアレルギー反応が起こることもありますので注意が必要となります。
湿布の使用枚数の上限も決まっています
では次に最大何枚まで貼っていいかというところについてお話したいと思います。
今回はご用意できせんでしたがロコアテープ(大正製薬)というテープ剤の湿布があるんですが、それに関しては1日に最大2枚までしか貼れないという限定がついています。
その他の湿布に関しては概ね1日に複数枚貼ってもいいものになっています。
最大何枚貼れるのかというところですが、首が痛いから首に何枚も腰が痛いから腰に何枚もといって体中湿布だらけにしてもいいのか気になるところかと思います。
私も整形外科医ですがなかなかこの細かいところはよく存じ上げないので、大手製薬メーカーに直接問い合わせてみました。
そうしたところ、もちろん2~3枚貼るのはいいんだけれども9枚10枚貼ったらどうなるかという人体実験のデータはないそうです。
ですのでそんなにたくさんの枚数を貼ってしまうと、もしかすると飲み薬に匹敵するような副作用が出ないとも限りません 。
例えばモーラステープですが、これは20mlという比較的小さなサイズの湿布です。
この会社ではこの湿布を10枚貼ると、およそ飲み薬の1錠分に匹敵すると換算しています。
湿布は皮膚の表面に貼るものなので表面だけ効くと思いがちなんですが、血液の中に入って体全体に回っているものなのです。
そうすると全身的な影響が少なからず起こることがあるので、ベタベタたくさん貼ってしまうことはそれなりに危険があるのだということを知っておいてください。
仮に10枚貼るほど痛みが強かったとしたら、それはそもそも湿布で治療することの限界を超えてしまっていると考えなければいけないわけです。
そこまで痛いんだとすれば何が原因で痛いのかということを知らないといけません。
そのためには我慢せず適切な医療機関にかかって診察を受けることが必要です。
湿布を貼るタイミングのおすすめ
湿布を貼るタイミングですが、お風呂上がりに貼っているという方が結構多いようです。
確かにお風呂上りだと体も綺麗ですし、血流が良くなっているので薬の吸収効果も高いということが言えると思います。
でもどうしても入浴のタイミングまで待てないこともあるかと思います。
日中に痛みが出た時、仕事中痛みが出た時、そういった時にも鞄に一つ持っておけばどんなタイミングでも簡単に貼ることができますね。
ちょっと貼りにくい洋服の中の部分だったらお手洗いなどに湿布を持って行って貼っていただくといいのではないでしょうか。
痛い時に貼るというのと、夜寝る前に痛みを夜間の間に取るために入浴後に貼るというのもひとつの方法かと思います。
湿布の貼り方・貼る位置の解説
では実際に痛い場所にどうやって貼るのかをお見せしたいと思います。
例えば首から肩、腕にかけて右側が痛みやこりがある場合。
今回はロキソニンテープというのを貼っていきます。
首から痛みがきているので原因が首ですからまず首に1枚貼りましょう。
湿布の真ん中を首の右側に当てて両側のセロハンを外していきます。
まず首に1枚貼れました。ここが原因の場所です。
そして肩甲骨も痛いので肩甲骨の真ん中にも貼っておきます。首の神経によっては肩甲骨の内側が痛くなることがあるの
で肩甲骨の内側にも貼っておきます。
あと首の神経の下の方から出ている神経は肩から腕、手先まで痛みやしびれなどを出します。そのために腕の付け根のあたりにも1枚貼っておくと良いでしょう。
何も隙間なく貼る必要はないので原因の首、痛い肩甲骨、そして腕にかけてこのように貼っていただければ効果的かと思います。
湿布を剥がすタイミングのおすすめ
湿布を貼ったらどのぐらい時間が経ったら剥がすようにしていますでしょうか。
夜寝る前に貼って朝起きた時に剥がすという方が多いかもしれませんね。
大手製薬メーカーさんに問い合わせをしてみたところ、1日1回の湿布でしたら24時間効果が続きますので本来だったら24時間貼りっぱなしにできるわけです。
最低限何時間ぐらい貼ったら薬剤の効果が体の中に入っていくのかということに関して実験結果が出ているそうで、その時間はだいたい8時間から12時間ぐらいだそうです。
24時間タイプの湿布でも8時間から12時間ぐらい貼るとほぼほぼ有効な成分は体に入るということなんですね。
ですのでそんな時間をめどに湿布を貼ってみると良いかもしれません。
また一日中貼ってしまったときにちょっとかゆみが出たりとか、剥がした後赤くなってかぶれてしまったという方もいらっしゃいます。
そういう方は比較的皮膚が弱いのかもしれません。
24時間貼りっぱなしにしてしまうとかぶれが起こりやすいです。
そんな方は12時間経つと効果がちゃんと効いていますので、このタイミングで剥がしていただいても良いのではないでしょうか。
皮膚に呼吸できる時間帯を与えてあげることが大事です。
湿布の剥がし方のご紹介
結構湿布剤は肌にピタッとくっ付くので剥がすときに痛くて苦痛なんですという方も多いです。
そこで私が考案した良い方法を教えたいと思います。
それはお風呂の中で濡れた時に剥がせばいいということなんです。
お風呂の中でよーくの湯船に入ってしまって、もしくはシャワーをかけて湿布をよく濡らしてから取っていただくと皮膚が
引っ張られなくて比較的剥がしやすいです。是非試してみてください。
今回は湿布についてもいろいろな使い方の工夫があるというところをお話しさせていただきました。
大手の製薬メーカーさんご協力いただいて丁寧にご回答いただいたことに感謝いたします。
日本人が大好きな湿布剤ですけれども安全に使うということがとても重要なことなので、皆さん勝手な貼り方をせずにしっかりとこの用法用量使い方の注意を読んで使っていただくことをおすすめしたいと思います。
湿布をどこにどんな風に貼るのがいいのかというお話は以下のコラムでご紹介しておりますので、よろしければご参照ください。
本コラムの内容は動画でもお話ししています▼
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