ロール状はダメ?タオル枕の正しい作り方
16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えします。
整形外科の外来でお話を聞いていると患者様から「タオルで作るタオル枕は良いのですか?悪いのですか?」という質問を受けますのでこのような質問の回答を説明していきたいと思います。
タオルを使用すること自体は問題はありません。しかし使い方が問題なんです。
どのようにタオルを使って枕にするかというところで「良いのか」「悪いのか」差が出てきますので具体的にお話をしたいと思います。
目次
タオルをロール状にしたタオル枕だと首が不安定になる
仰向けに寝るときにタオルをロール状に巻いて、「ロール状のタオル枕を首の下に置いて寝る」という情報が一般的によく聞きますし、ご来院いただいた患者様もやっていらっしゃる方もいるのですが、私は整形外科医として反対です。
なぜなら首の後ろに置いて上向きで寝るときは首をなんとなく支えるような形にはなりますが、長時間(夜寝るような長い時間)その姿勢を続けて寝ることは良いことではありません。
顎があがり、頭が下がり、少々上を向かせられているような姿勢になります。上を見上げる姿勢を続けてしまうことは、首にとってよい姿勢とはいえません。特に症状がない方でも症状がでてしまったり、頚椎症を代表する首が悪い患者様にとっては、行ってはいけない姿勢なのです。
さらに、横を向いたり寝返りを打つ時にも、大変、首が不安定になります。
人間は上向きだけで一晩中寝るわけではないので、横を向いたり寝返りを打つときのことも考えておかなければなりません。
首の下が高い枕も良いとは言えない
また国内でも、海外でも、首の後ろにロール状に置く枕から波及して、このように首の下を支える「頚椎サポート枕」とか「頚椎用ロール状枕」というものが出てきています。このような枕で寝ると、顎があがり頭が下がり上を向かせられるような上向き姿勢となります。
バスタオルを丸めて作る枕に近しい考え方なんですけれども、やはり医学的に根拠はまだ確立されていません。
ですので上向きのみを考えて首の後ろをサポートするということだけにとらわれていては、寝るときに使う枕としては不具合だと私は考えています。
ロール状のタオル枕を作って寝てみる
まずタオルを二つに折ったぐらいで平らにします。
この中にさらにロールにしたタオルを入れてくるくると巻いていってください。
上向きでまず見てみましょう。
確かに首に対してロール状の枕は首の形状をとっているように見えます。
しかし、人間の首が前弯といって前に緩いカーブを描いているのは立っている時や座っている時の姿勢なんです。
私の研究では寝た時には首の骨は実はストレートになっていますので、そもそもこのように首の丸いカーブに枕を合わせるという必要はありません。
山田:どうですか?首はお楽ですか?
モデル:首はフィットしている感じはしますが、動きづらそうですね。
首のカーブにピタッと枕が当たっている感じというのはするんですけれども、少しでも動こうとすると動きづらいというのを感じます。
では左向きになってみてください。
顎から頭が斜めに下がってしまいます。
首の下だけが高いことによって頭側が下がってしまって首姿勢がとても悪くなってしまうんです。
山田:左の肩圧迫感ないですか?
モデル:左の肩の圧迫が強いです。だんだんしびれも出てきました。
ロール状のタオル枕では首の神経を圧迫してしまう
このように下になっている側の手にしびれを感じたり、だんだん手が握力がなくなって力が入らなくなってきます。
首の下側になっている神経が圧迫するとこのようなことが起こってくるんです。
ですので横向きでの首姿勢はとても悪いと言わざるを得ません。
では寝返りを打ってみてください。
寝返りが非常に打ちづらそうなのが分かりますよね。
このように首下だけが高いことによって頭の位置が悪くなると、全体の体としての軸がバランスが崩れてしまうので寝返りが大変打ちにくくなります。
タオルは平らに重ねて枕を作っていただきたい
バスタオルや大判のタオルケットなどを使っていただいて一枚一枚このように層状に平らに何枚も重ねることで、一人一人のお体に合った高さを枕として実現することが重要なんです。
決してロール状に巻くのではなく平らに作ってください。
そして高さが合うということがとにかく大事なので適当に何枚かで作るのではなく、自分の体に合ったところまで高さを足していくんだということをやってほしいんです。
平らにタオルを重ねた枕で寝てみる
山田:上向きで首のフィット感どうでしょうか?
モデル:全体的に枕がフィットされている感じがします。
このように層状にタオルを重ねることで適切なこの高さが実現できると、首の後ろがフィット感もありますし呼吸がとても楽になります。
後頭部もリラックスできて頭から首肩の力は抜けてリラックスできています。これが良い上向きです。
では横向き左向きをしてください。
横を向いた時も顎・鼻・おでこまで体の横向きの軸が一直線になって寝ている布団の面と平行になります。
頭が落ちることがないと首の緊張が取れてリラックスします。
山田:呼吸も楽ですか?
モデル:息もしやすいです。
山田:先ほどつらかった左の肩の圧迫感はどうでしょうか?
モデル:肩の圧迫も感じないです。
横向きでも首から肩にかけてリラックスできています。
では最後に寝返りを確認してみます。
寝返りも肩と骨盤が一緒に寝返りが打てている。
このようにスムーズな寝返りが打てるということが寝ている間にはとても重要なことなんです。
夜ぐっすり眠って意識がないんだけれども、知らないうちに右左に体の向きを変えられることがスムーズな良い寝返りと考えますのでそれも実現できていることが分かります。
今回はタオルで作る平らな高さの合った枕とロール型の首の下にのみ当てる枕、この2つを両方体験していただきました。
山田:いかがでしたか?
モデル:圧倒的にこの平らの枕の方がすごく楽でした。
タオルで作るタオル枕なら平らに重ねてください
山田:どんな点が良かったですか?
モデル:まず上向きの時には息がスーッとしやすかったです。横に向いた時には肩の圧迫もなく楽になりましたし、最後には寝返りも軽くスムーズに打てました。
寝返りがスムーズに打てるということがとても重要なことなんです。
夜間はどうしても右左上向きと体の向きを変えないと朝疲労感が残ってしまうので是非この寝返りをしやすいためにもロール状枕はやめていただいて、しっかりと平らで高さの合ったタオルで作る枕を是非試してみてください。
ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善
山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。
整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。
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