コラム詳細

変形性股関節症がある方へ―快適な睡眠が痛みを和らげる鍵になる

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。

今回は変形性股関節症や先天性股関節脱臼などの診断を受けた方、またそのご家族やご友人がいる方に、ぜひ知っておいていただきたいお話です。

前回のコラムでは変形性股関節症とはどんな病体なのか説明しました。

今回はその変形性股関節症の方がどんな風に寝ると良いのかというところを解説していきます。

前回のコラム

変形性股関節症についての解説

目次


なぜ睡眠が大切なのか?

このような股関節の病気を抱える方にとって、「痛み」や「こわばり」は日常生活に大きな影響を及ぼします。

その一方で、良い睡眠をとることが痛みの感じ方を軽くするという事実をご存じでしょうか?

変形性股関節症があっても、夜ぐっすりと眠れるようになれば痛みに対する感じ方が弱くなって、結果的に日中の生活も痛みが和らいだ生活が出来るということに結びついていくのです。

だからこそ、「睡眠の姿勢」や「寝具の選び方」はとても大切なのです。

私は睡眠もとても大事な治療の一部だと思っています。



整形外科でもあまり教えてもらえない「寝る姿勢」

なかなか整形外科の領域でも睡眠の姿勢を指導しているケースは少ないんですね。

「良い睡眠を取った方がいいですよ」とは言われるけど、具体的にはそれをどうしていいか分からないというお声は多いです。

ただ、大前提として知っておいていただきたいのは1人1人の症状、病体、病気の進行度合いは違うので、今回のやり方をやってみてもお辛かったらしっかりと主治医の先生と相談してください。



"今日からできる"変形性股関節症に良い寝方

上向きで寝ると楽になる方が多い

変形性股関節症の方は上向きで寝ると結構寝やすくなるんです。

それは何故かというと、上向きで寝ると体重を背中で受けるので、股関節にはそれほど圧迫がかからないからなんです。

ただそのためには枕が体に合っていて、適度な硬さの敷物でないといけませんので注意してください。

もし上向きになると股関節が痛くなくて楽だなと思える方は、上向きから寝てみるのがおすすめです。


横向きは"痛くない側"で寝る

変形性股関症は、左右どちらかの片側が痛い方と両側に進行していてどちらも痛い方といらっしゃいます。

よく患者様から伺うのは、右が痛いとやっぱり右向きで寝るのが辛い。

当然右向きで出れば右側に体重がかかり圧迫されるわけですから、痛い方をわざわざ下にする必要はなく反対向きで寝て圧迫しないようにすることが大事です。

ごく稀にですが、右側が悪いのになぜか右向きで寝た方が楽という方もいます。

それならそれで、楽なのであれば症状がある側を下にして寝ていただいても構いません。

なぜなら、人間は寝ている間でも痛みが出てきて辛かったらそれを回避するため、痛い方に圧がかからないように動いて体の向きを変えることができるからです。

なので大事なのは、上向き・右向き・左向きで股関節の痛みが楽に感じる向きを見つけて、その体勢で寝るようにすると良いと思います。


"痛みで覚醒せず"に寝返りが打てること

寝ている間は人は寝返りを打ちますが、楽な向きで寝たとしても寝ている間に痛い側が下になっていることもあるわけです。

大事なことはその時に、いかにスムーズに眠ったままできるかということです。

例えば、途中で下になっている股関節が痛くなってきて目が覚めて、体を起こして向き変えてまた寝る。

これでは1度覚醒してしまっていて、さらにはそこから眠れなくなってしまう方もいます。

覚醒せずにスムーズな寝返りを打つ為には、体格に合った適切な枕が重要なのです。



"寝返りが要"打ちやすくするための枕の条件

1、体格に合った高さ

2、適度な硬さ

3、表面が平ら

この3つが整えば寝返りがスムーズにできるので、変形性股関節症の方でも股関節に負担をかけなくて済みます。

もし柔らかくてフカフカした高さが全く本人の体に合ってない枕で寝たらどうなるでしょうか。

腰・股関節がひねってしまって大きな力で寝返りを打ちます。


これだと股関節を持ち上げたりして非常に体を動かしにくいわけです。

体に合っている枕だと、体の軸が真っすぐになり腰・股関節をひねらずに体全体で軽く動けます。



変形性股関節症に大事な枕以外の寝具

抱き枕を使うと股関節が楽になる


股関節が悪い方は横向きで抱き枕を足に挟んで寝ると、股関節が緩んで楽になります

また上向きで膝の下に置いて、足を曲げて寝るのも股関節には良いです。

ただ寝返りの観点からすると注意が必要です。

寝ているときに抱き枕が邪魔で体が動けなくなってしまうと良くありません。

ウトウトしてきたらコロコロ落として外したり、ベッドの端にあってつらい時だけ使うという風に邪魔にならないように使ってください。


腰が沈みこまない敷物

股関節が緩むためには、適度な硬さが必要です。

低反発マットレスのように腰がぐーっと沈み込むようなものはダメです。

寝返りが打ちにくくなってしまいます。


軽い掛物

掛け布団は軽くて温かい羽毛が良いです。

軽いと足にまとわりつかずにスムーズな寝返りが打てます。



寝る前の睡眠対策

1、寝る前にストレッチ

決して痛いほどはやらないでください。

軽く寝る前にほぐれるように、股関節も含め体全体的なストレッチをゆっくりやっていただいてから寝ると良いです。


2、寝る前に体を温める

基本的に変形性股関節っていうのは満性疾患ですので温めていただきたいんです。

冬の寒い時期はもちろんですが、夏場もクーラーで冷えやすいので長ズボンで寝たり冷やさないように注意してください。


3、睡眠の質アップ

寝る前に心身ともにリラックスすることが大事です。

快適に眠れる部屋の温度や、部屋が明るいと実はメラトニンという眠りホルモンが出ませんのでしっかり暗くする。

またアロマを使って香りでリラックスするなど、眠りの質を上げるということも意識してみてください。


変形性股関節症の状態・進行度がありますので一口には言えませんが、ぐっすり眠れるようになれば朝の目覚めもよくなり日中の活動も楽になるかと思いますので、是非やってみてください。



ドクター考案の『整形外科枕』による症状の改善

山田朱織枕研究所では整形外科枕という、睡眠姿勢によるさまざまな症状の改善を目的としたオーダーメイド枕を提供しています。

整形外科枕は16号整形外科の山田朱織医師監修のもと、開発されました。

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  • 診察をしている山田朱織

    「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

    16号整形外科院長 医学博士
    ㈱山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
    治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、
    睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
    普段から診察室で患者様にお伝えしていることを
    できるだけそのままお伝えしております。


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