世界的に珍しい整形外科医の英語の枕論文を発表
私(山田朱織枕研究所代表:山田朱織)の枕に関する英語論文が2023年2月2日、ザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・セラピー・サイエンスというジャーナルに掲載されました。
私にとっては初めての枕に関する英語論文が世界に公開されたのです。
目次
Changes in neck pain and somatic symptoms before and after the adjustment of the pillow height
枕の高さを調節する前と後で首の痛みと身体化症状が変化したという内容の論文です。
この論文はPubmedという英語論文検索エンジンで探すことができますが、ここに公開されたということは世界中の人が英語で私の論文を探し当てて読んでくださることができるようになったわけです。
[pillow][pillow height]というキーワードで検索すると出てきます。
世界に発信!枕論文~整形外科医による枕と頚部痛の論文は少ない~
整形外科領域の枕論文はごくわずか
2003年当時日本における枕の論文はごくごくわずかでした。
枕で検索しても
・褥瘡用の枕
・手術中のポジション用枕
・赤ちゃんの窒息と枕
・妊婦さんの横向きで寝る時の抱き枕
・ナーシング看護における枕の利用
・整体と枕
などは出てきますが整形外科領域の論文はというと、
MRIの比較、頚椎捻挫の患者さんに対しての枕、枕の素材に関するもののたった3つだったわけです。
頚椎枕のオリジン
世界で初めての首のために枕を整えるという概念のオリジナルは1940年代のルース・ジャクソン先生の研究です。
ルース・ジャクソン先生はアメリカ整形外科学会の初の女性会員で、ルース・ジャクソン・オルソペディック・ソサエティを1983年に設立した 頚椎のエキスパートです。
たくさんの枕に関する論文や書籍があります。
枕に関する海外文献と山田の考え方の比較
左側が海外論文、右側に私の考えを示しています。
国で見てみると海外論文はオーストラリア、韓国、台湾、カナダなどにあり、パラパラと中国やアメリカ、ブラジル、イランなどでも出ているようです。
研究分野としては生理学、人間工学、理学療法、カイロプラクティック、バイオロジカル、サイエンスメディカルエンジニアリングなどの分野が多いようです。もちろん私は整形外科の分野で論文を書きました。
研究者は理学療法士、カイロプラクター、看護師、エンジニアが多いのに対して、私の論文は整形外科医が書いたわけです。
興味の対象は海外の多くの論文は枕のデザイン、快適性、首や頭の圧迫力、そして頚椎の並び、頚部痛や睡眠の質などに注目しております。
一方私は臨床症状、首の痛み、様々な症状、そして睡眠の時の姿勢に着目しました。
対象は多くの海外論文が無症候性の症状のない成人を対象に行っております。20代から40代ぐらいが多かったです。
一方私は有訴者と言って症状がある患者様を対象にしており、10代から80代まで研究を行ってきました。
評価方法は一般的にはVAS痛みの評価、NDI、睡眠調査票、満足度スケールなどを用いていることが多いです。
私も同じようにVASと言って痛みをスケール化して目に見える形にしているもの、NRSというスコア、そしてSSS8という今回の論文で用いた特殊なアンケート方法、またレントゲンやMRIなど画像で検査を行っております。
枕の重要な条件について海外論文は素材、枕の形、頭のところの温度などに着目しており、私は至適高さの枕における寝返りのスムーズさということを実施しています。
枕の高さについての比較ですが、多くの海外論文は例えば5cm、10cm、14cmと5cmぐらいの差で枕を比較しています。
一方で私は5mm違いという桁違いのわずかなミリ数の差で見ております。
枕の形状に関しては海外論文では両サイドが高くて中央が低い枕、凹凸の枕、また首の下が高くて頭の方が低い縦型の凹凸枕を利用していることが多いです。
私は平らな枕が一番だと思っており、寝返りの時に肩が柔軟に動くことができるし首をカーブにする必要はないという風に主張しております。一番重要なのは枕の高さです。
親子2代で枕外来
私と父は親子2代で整形外科医で枕外来を行ってまいりました。
1970年代の父の古いカルテにはちょっと汚い字で見にくいですが枕の記録が映っております。
姿勢、枕が重要だよということを患者様に説明しているわけです。
枕の真理をどうやって後世に残すか
今まで私は新聞や書籍やテレビなどで枕の重要性を訴えてきました。
しかし、それらは時間と共に消えていくものです。
人々の記憶からも消えていくし、書籍が絶版になってしまえばもうその書籍を見る機会を失ってしまうわけです。
テレビもだんだんに古いデータを見ることが不可能になってきますですので、学術論文がないと世界が重要な枕の真理を認知することがでず真実が消え去ってしまうという危機に直面したわけです。
研究プロジェクトチーム・多施設共同研究
今回の英語論文は東大病院22世紀医療センター、岡山県の倉敷成人病センター、そして神奈川県の当院16号整形外科の3つの病院が共同して多施設で行った研究です。
総合的な指揮、そしてデータサイエンス、統計解析、論文調査、計画の実施、実行データ収集、様々な役割分担を行うことで共同して研究を行ったわけです。
当院におきましては当院の受付、看護師、介護スタッフいろいろな専門家が力を合わせて研究の実施から情報収集、そして論文のまとめまで多くの人の手を借りてこの研究が完成しました。
枕の論文の結論
MCIDという特殊な方法です。
臨床的に意義のある最小変化率を用いて研究を行い、結果的には首の痛みが臨床的に意義のある変化をしたグループはもともと頚部痛が強い人々だったということ。
枕を変更して満足度を感じるグループの方が首の痛みと自律神経症状が改善する度合いが大きかったという結論に達しております。
英語論文を通じて伝えたかった事
今回の英語論文で私が伝えたかったことは
枕の高さ調節によって首の痛み、不眠、自律神経症状が改善するという事実
つまり枕は整形外科の治療道具になり得るということです。
そしてこの真実を世界中の臨床家や研究者に知ってもらいたい。
さらには枕を治療道具として使用してもらいたいという意図が込められています。
以上が私の今回の英語論文の意義についてです。
ぜひ皆様のコメントや質問お待ちしております。
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