毎日きちんと寝ているのに疲れが取れない、朝起きるのが辛いと感じる方は多いでしょう。 睡眠効率を正しく計算することで、睡眠の質を数値で把握できます。
睡眠効率の計算方法を知れば、現在の睡眠状態を客観的に評価し、改善点を見つけることに役立つでしょう。 また、個人に合った最適な睡眠時間を把握することで、日中のパフォーマンス向上にもつながります。
睡眠の悩みを解決したい方に向けて、睡眠効率の基本的な計算方法から、質の高い睡眠を実現するためのポイントまで詳しく解説いたします。
睡眠効率とは?基本的な仕組みを理解しよう

現代人の多くが抱える睡眠に関する悩み。「なかなか寝つけない」「朝起きても疲れが取れない」といった症状は、睡眠効率の低下が原因かもしれません。
睡眠効率は、医学的に睡眠の質を評価する重要な指標です。布団の中にいる時間と実際に眠っていた時間の比率を表し、睡眠状態を客観的に把握できます。適切な睡眠効率を維持することで、日中のパフォーマンス向上や健康維持に繋がるとされています。
ここでは、睡眠効率の正しい計算方法から、理想的な数値の目安、改善方法まで詳しく解説していきます。
睡眠効率が表す意味と重要性
睡眠効率とは、布団に入っていた時間に対する実際の睡眠時間の割合を指します。例えば、8時間布団の中にいて6時間しか眠れなかった場合、睡眠効率は75%となります。
この指標が重要な理由は、単純な睡眠時間だけでは測れない睡眠の質を数値化できるからです。長時間布団にいても、実際に眠れていなければ体の回復は期待できません。睡眠効率を把握することで、本当に質の高い睡眠を取れているかを判断できます。
また、睡眠効率の低下は「寝床=不眠」という条件反射を作り出し、慢性的な不眠症の原因にもなりかねません。そのため、睡眠の問題を抱えている方にとって、睡眠効率の改善は根本的な解決策となるのです。
睡眠の質を判断する指標としての役割
睡眠効率は、睡眠ポリグラフ検査(一晩かけて脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸・いびき・酸素飽和度などを測定する検査)に代わる簡便な睡眠評価方法として注目されています。病院での専門的な検査を受けなくても、日常的に睡眠の状態を把握できます。
良質な睡眠の判断基準として、寝つきの良さ、夜中の覚醒回数、朝の目覚めの良さなどがありますが、これらを総合的に数値化したものが睡眠効率といえます。
特に、入眠潜時(眠りに入るまでの時間)や中途覚醒の影響を含めて評価できるため、睡眠の全体像を把握する上で有効な指標となっています。
加齢とともに睡眠効率は自然に低下する傾向があります。高齢者では入眠潜時の延長や中途覚醒の増加により、若年者と比べて睡眠効率が下がることが知られています。そのため、年齢に応じた適切な目標値を設定することが重要です。
参照元:高齢者の睡眠と睡眠障害
睡眠効率85%以上が理想!あなたの数値は?
健康的な睡眠効率の目安は85%以上とされています。
「睡眠効率85%」とは、ベッドにいた時間のうち、実際に眠っていた時間の割合が85%だったという意味です。ベッドに8時間いたら、眠ったのは6時間48分、起きていたのは1時間12分になります。
この状態であれば、寝つきの問題や過度な中途覚醒もなく、質の高い睡眠が取れているといえるでしょう。
睡眠効率の計算に必要な4つの時間データ
睡眠効率を正確に計算するためには、以下の4つの時間データを記録する必要があります。これらのデータは睡眠日誌をつけることで把握できます。
就床時間
就床時間はベッドや布団に入った時刻から起き上がった時刻までの総時間を指します。単純に寝室に入った時間ではなく、実際に寝床に横になった時間が重要なポイントです。
睡眠時間
睡眠時間は実際に眠っていた時間の合計で、就床時間から入眠潜時と中途覚醒時間を差し引いた時間となります。眠りについてから最終的に目覚めるまでの純粋な睡眠時間を意味しています。
入眠潜時
入眠潜時とはベッドに入ってから実際に眠りにつくまでにかかった時間です。一般的には10〜20分程度とされており、この時間が長いほど寝つきに時間がかかったことを表します。ストレスや環境要因によって大きく変動する項目でもあります。
中途覚醒時間
中途覚醒時間は、入眠後に目が覚めていた時間の合計です。トイレに起きた時間や、物音で目が覚めた時間などが含まれます。年齢が上がるにつれて中途覚醒は増加する傾向があり、睡眠効率に大きく影響する要素の一つです。
実際の計算例
実際に眠っていた時間÷布団に横になっていた時間×100
例えば、23時にベッドに入り、朝6時30分に起きた場合を考えてみます。就床時間は7時間30分(450分)となります。しかし、実際に眠りについたのは23時20分で、夜中に1回トイレで起きて10分間覚醒していたとすると、実際の睡眠時間は6時間50分(410分)となります。
この場合の睡眠効率は、410分 ÷ 450分 × 100 = 91.1%となります。85%以上であるため、良好な睡眠効率といえるでしょう。
別の例として、睡眠効率が低い場合も見てみましょう。22時にベッドに入り、朝7時に起きた場合、就床時間は9時間(540分)です。しかし、なかなか寝つけずに入眠まで1時間かかり、夜中に3回計40分間覚醒していた場合、実際の睡眠時間は7時間20分(440分)となります。
この場合の睡眠効率は、440分 ÷ 540分 × 100 = 81.5%となり、合格ラインの85%を下回ります。このような場合は、就寝時間を遅らせたり、睡眠環境を見直したりする必要があるかもしれません。
就床時間と睡眠時間の違いとは
就床時間と睡眠時間の違いを正しく理解することは、睡眠効率の正確な計算において極めて重要です。この2つの概念を混同すると、自分の睡眠状況を正しく把握できません。
就床時間とは、文字通りベッドや布団に入っている時間の総計を指します。睡眠アプリなどでは「入床時刻」から「起床時刻」までの時間として記録されることが多く、実際に眠っていない時間も含まれています。読書をしていた時間、スマートフォンを見ていた時間、なかなか寝つけずに横になっていた時間もすべて就床時間に含まれるのです。
一方、睡眠時間は実際に眠っていた時間のみを指します。就床時間から入眠潜時(寝つくまでの時間)と中途覚醒時間(夜中に起きていた時間)を差し引いた、純粋な睡眠の時間です。睡眠の質を評価する際には、この実際の睡眠時間が重要な指標となります。
例えば、8時間ベッドにいても実際に眠っていたのが6時間だった場合、就床時間は8時間、睡眠時間は6時間ということになります。この違いを理解することで、睡眠効率の計算や睡眠習慣の改善に役立てることができるでしょう。
健康的な睡眠効率の目安と判断基準
睡眠効率85%以上が合格点とされる理由は、この数値を下回ると睡眠の質に問題がある可能性が高くなるからです。
一般的な目安としては、以下のように示されています。
- 85%以上:良好
-
寝つきが良く、中途覚醒も少ない理想的な状態です。日中の眠気もほとんどなく、活動的に過ごせます。
- 80-84%:やや注意が必要
-
軽度の睡眠の問題がある可能性があります。生活習慣の見直しや睡眠環境の改善を検討してください。
- 80%未満:改善が必要
-
不眠症などの睡眠障害が疑われます。就寝時間を調整したり、専門医への相談を検討することをおすすめします。
ただし、睡眠効率が95~100%に近い数値が続く場合は注意が必要です。これは慢性的な睡眠不足により「倒れ込むように眠っている」状態の可能性があり、総睡眠時間の確保も合わせて確認する必要があります。
睡眠効率が低い場合に現れるサイン
睡眠効率の低下は、身体や精神にさまざまな影響を与えます。以下のような症状が現れた場合は、睡眠効率の改善を検討してください。
日中の症状
- 強い眠気や集中力の低下
- 仕事や勉強のパフォーマンス低下
- イライラしやすくなる
- 記憶力や判断力の衰え
夜間の症状
- 寝つきが悪い(30分以上かかる)
- 夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒(予定より早く目覚める)
- 朝起きても疲れが取れない
身体的な症状
- 免疫力の低下(風邪をひきやすい)
- 頭痛や倦怠感
- 食欲不振や消化不良
参照元:不眠症(睡眠障害)|こころの情報サイト、不眠症|厚生労働省
睡眠効率の低下は、単なる疲労だけでなく、健康全般に深刻な影響を与える可能性があるため、早めの対策が重要です。
年齢別の最適な睡眠時間を詳しく解説

健康的な生活を送るためには、自分の年齢に適した睡眠時間を確保することが大切です。厚生労働省は2023年に「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定し、成人・高齢者・こどもの年代別に推奨睡眠時間を設定しました。
年齢によって必要な睡眠時間が異なる理由はなぜでしょうか。体内時計やホルモン分泌の変化、日中の活動量などが大きく影響しているのです。では、具体的にはどのような睡眠時間が推奨されているのか、それぞれの根拠とともに詳しく見ていきましょう。
成人に推奨される6〜8時間の根拠
厚生労働省の睡眠ガイド2023では、成人の適正な睡眠時間を6〜8時間としており、少なくとも1日6時間以上の睡眠時間確保が推奨されています。
国立がん研究センターの多目的コホート研究では、約10万人を平均約20年間追跡調査した結果、男性では、睡眠時間7時間の人が最も死亡率が低いことが判明しています。女性でも、睡眠時間7時間の人は比較的死亡率が低くなっています。
複数の自己申告に基づく調査研究から、7時間前後の睡眠時間の人が、生活習慣病やうつ病の発症及び死亡に至るリスクが最も低いことが報告されています。
一方で、睡眠時間が極端に短いことによる健康リスクも明らかになっています。
日本の男性労働者を対象に14年間追跡した調査結果では、睡眠が1日6時間を下回る場合、7〜8時間睡眠の人に比べ、心筋梗塞や狭心症といった心血管疾患にかかるリスクが約4.95倍に増加することが報告されています。
また、6時間未満の睡眠を続けると、死亡リスクが有意に上がるとの研究結果もあります。
近年の研究から、睡眠時間が著しく短い人では、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、認知症、うつ病といったさまざまな健康障害のリスクが上昇することが示されています。
高齢者の睡眠時間が短くなる理由
高齢者の睡眠障害は、さまざまな要因が重なって起こります。
まず、加齢に伴う生理的な変化により、必要な睡眠時間は徐々に減少していきます。15歳頃は約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6時間半、65歳では約6時間と短くなります。
この変化の主な原因は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量減少という報告があります。また、基礎代謝の低下などにより、眠ることで補うべきエネルギー量も減ることも要因の一つとされています。
高齢者特有の身体的変化も睡眠に影響を与えています。夜間頻尿や慢性疼痛、かゆみを伴う疾患なども不眠の原因となります。
日中の活動量の減少も重要な要因です。退職や社会的交流の減少により外出機会が減ると、メラトニンの分泌量がさらに低下し、不眠につながりやすくなります。そのため、意識的に太陽の光を浴び、適度な運動を心がけることが推奨されています。
参照元:高齢者の睡眠障害とケア
子どもや学生が必要とする睡眠時間
成長期の子どもにとって睡眠は、身長の伸びや脳の発達に欠かせない要素です。米国睡眠医学会が推奨する年齢別睡眠時間は、1〜2歳児で11〜14時間、3〜5歳児で10〜13時間、小学生で9〜12時間、中学・高校生で8〜10時間となっています。
子どもの睡眠時間が重要な理由は、成長ホルモンの分泌にあります。睡眠中に分泌される成長ホルモンは骨や筋肉の成長に作用するため、睡眠時間が不足すると身長の伸びが抑制される可能性があります。
また、記憶力を司る脳の海馬の成長にも睡眠は重要で、睡眠時間の長い子どもほど海馬の体積が大きいことが研究で明らかになっています。
学力面への影響も見逃せません。睡眠には、成長や記憶(学習)の定着・強化など、環境への適応能力を高める役割があるため、睡眠の質が低下すると、悪影響を及ぼす可能性があります。
逆に睡眠時間をしっかり取ることで記憶力の向上が期待できます。睡眠中に脳は情報を整理し、その日に得た体験や知識を定着させる作業を行うからです。
しかし現実には、スマートフォンやゲームの普及、勉強や習い事による就寝時間の遅れなどにより、子どもの睡眠時間は不足傾向にあります。保護者は寝室環境の整備や、規則正しい生活リズムの確立に努めることが重要といえるでしょう。
参照元:こども睡眠|厚生労働省
睡眠効率を正確に測定する3つの方法
睡眠効率を把握することは、睡眠の質を改善するために重要です。
睡眠効率を測定する方法には、手動記録から最新テクノロジーまで様々なアプローチがあります。主な測定方法として、睡眠日記での記録、スマートフォンアプリの活用、ウェアラブル端末による自動測定の3つの手法が挙げられるでしょう。
それぞれに特徴があり、自分のライフスタイルや目的に応じて選択することが大切といえます。
睡眠日記での手動記録のやり方
睡眠日記は、普段の睡眠の長さや規則性といった睡眠状態を把握するのに有用な方法です。眠りの悩みがあるときに、ベッドに入った時間、眠りについた時間、途中で目が覚めた時間、目を覚ましてベッドから出た時間などを記録することができます。
記録方法は比較的簡単で、横になっていた時間帯は矢印を記入し、実際に眠っていた時間帯は塗りつぶします。ぐっすり眠っていた時間帯は濃い色、うとうとしていた時間帯は薄い色や斜線にするなどして区別すると、より詳細に把握できるとされています。日中に横になったり、仮眠やうたた寝をした場合も忘れずに記録することが推奨されます。
毎朝起きたときに、その夜の様子を思い出しながら記載するのがコツです。2~3日だけではなく、2週間程度毎日継続することが大切といわれています。睡眠効率の計算には、この記録が役立ちます。
スマートフォンアプリを活用した測定
スマートフォンアプリを使った睡眠測定は、手軽に始められる方法として注目されています。加速度センサーやマイクなどを使って、睡眠時間や睡眠の質、いびきの有無などを自動的に検知し、グラフや数値で表示してくれます。これにより自分の睡眠リズムを把握し、質の良い睡眠をとるためのヒントを得られるでしょう。
睡眠アプリの多くは、スマホを枕元に置くだけで自動的に睡眠をトラッキングしてくれます。寝ている間の呼吸音や体の動きをスマホのセンサーが感知して、データとして記録する仕組みです。現在では多くの睡眠アプリが提供されており、機能性や使いやすさを基準に選択することが可能です。
多くのアプリでは、睡眠時間、睡眠の深さ、寝返りの回数、いびきの有無などを記録し、わかりやすいグラフやチャートで表示してくれます。ただし、スマートフォンアプリの測定結果は、測定環境によって数値が変動する可能性があり、結果を過信しすぎないことも重要とされています。
おすすめ睡眠アプリと選び方のポイント
睡眠アプリを選ぶ際は、対応OSの確認が必要です。iPhoneはiOS、Android端末はAndroid OSと、それぞれに対応しているアプリでなければ使用することができません。現在スマートウォッチを使っている方は、連携可能なアプリを選ぶと使いやすさが増して便利になります。
人気の睡眠アプリには、Pokémon Sleep、Sleep Cycle、熟睡アラーム、いびきラボなどがあります。Sleep Cycleは眠りの浅いタイミングでアラームを鳴らしてくれるスマート目覚まし機能が特徴です。熟睡アラームは日本で開発されたアプリで、睡眠効率の表示機能があり、就床時間に対する睡眠時間の割合を確認できます。
アプリ選びのポイントは、自身の目的に合わせることです。睡眠の質を改善したい場合は睡眠の質を詳細に分析する機能があるもの、いびきが気になる場合は録音・分析機能があるものを選ぶとよいでしょう。無料版でも十分使えるアプリが多いため、まずは無料版から始めてみることをおすすめします。
Apple WatchやFitbitで自動測定
Apple WatchやFitbitなどのウェアラブル端末を使った睡眠測定は、より正確なデータを取得したい人におすすめです。手首に装着したまま就寝すると、心拍数や体の動きから睡眠のサイクルや深さを測定できます。これらのデバイスは、装着したまま就寝すると自動的に睡眠を検出します。
Apple WatchのwatchOS 9以降では、睡眠アプリが大幅に進化を遂げています。睡眠ステージごとのグラフや各段階の時間詳細を確認でき、一部のモデルでは睡眠時無呼吸の検知機能も搭載されました。Fitbitでは睡眠スコアを1〜100点の範囲で評価します。
これらのウェアラブル端末の利点は、日常生活に溶け込みながら継続的な測定が可能なことです。電池の持続時間も改善されており、FitbitのSense 2では最大6日間、Apple Watch Ultra 2では低電力モードで最大72時間の使用が可能となっています。
ウェアラブル端末の精度と使い方
ウェアラブル端末の睡眠測定精度は、日々進化しており、多くのユーザーが満足するレベルに達しているとされています。
Apple、Google(Fitbit)、Garminなどの主要メーカーでは、覚醒、レム睡眠やノンレム睡眠(浅い、深い)の状態を可視化してくれるため、睡眠分析に役立てることができます。搭載されているセンサーによって、心拍数や体の動きから睡眠状態を推定する仕組みです。
正確な測定のためには、ぴったりとフィットしたリストバンドでデバイスを装着した状態で就寝することが重要です。バンドが緩んでいる時などは測定できない場合もありますが、多少の誤差はあるものの目安としては十分に満足できるレベルといえるでしょう。毎朝デバイスを同期すると、睡眠スコアなどのデータを確認できます。
睡眠効率を90%以上に改善する実践法
睡眠効率90%以上を達成するには、単に寝る時間を増やすだけでは不十分です。質の高い睡眠を確保するためには、3つの柱を意識することが重要とされています。
- 就寝前の準備、
- 睡眠環境の最適化、
- 起床時間の固定
これらの要素は相互に関連しており、総合的なアプローチが効果的といえるでしょう。
睡眠効率が85%未満の場合は改善の余地があり、90%以上であれば非常に良好な状態と言えるでしょう。ただし、100%に近い場合は睡眠不足の可能性があるため、適切な範囲での効率化を目指すことが大切です。
具体的な改善策を段階的に実践することで、理想的な睡眠効率を実現できるでしょう。
就寝30分前からの準備で入眠を早める
就寝前の準備は、スムーズな入眠を促すために欠かせません。就寝の30分前からリラックスできる環境を整え、体と心を睡眠モードに切り替えることが重要です。この時間帯には、明るい照明やスマートフォン、パソコンなどの強い光を避け、暖色系の間接照明を使用することが推奨されます。
深部体温の調節も入眠に大きく影響します。就寝の2〜3時間前に40℃以下のぬるめのお風呂に20〜30分ゆっくりとつかることで、その後の体温低下により自然な眠気が促されるとされています。42℃以上の熱いお湯は交感神経を活性化させて寝付きが悪くなる可能性があるため注意が必要です。
カフェインやアルコール、ニコチンなどの刺激物の摂取も控えましょう。特にカフェインの覚醒作用は強力で数時間持続するため、できれば夕方以降は控えることが望ましいといえます。就寝前に小腹が空いた場合は、ぬるめの牛乳やハーブティーなど、カフェインを含まない温かい飲み物を就寝30分前までに摂取するのがよいでしょう。
参照元:良質な睡眠のための環境づくり、心身の疲労を解消しましょう|東京都保健医療局
睡眠環境を整えて中途覚醒を減らす
快適な睡眠環境の確保は、中途覚醒を減らし睡眠効率を向上させるために重要です。特に寝室の温度、湿度、光、音の4つの要素を適切に調整することが求められます。
体温調節をスムーズに行うため、これらの環境条件を睡眠に適した状態に整備することで、寝つきやすく質の良い睡眠を得ることができるでしょう。
温度と湿度の管理は特に重要で、厚生労働省の睡眠指針によると、室温は夏は高めで冬は低めとなるものの概ね13〜29℃の範囲に収まるようにし、寝具の内部は33℃前後になるよう調整することが推奨されています。湿度については40〜60%程度が良いとされており、高すぎると発汗による放熱が行われにくくなり、低すぎると喉や鼻の渇きを引き起こす可能性があります。
光環境については、明るい光は覚醒を促すため、遮光カーテンを使って光を遮断することが大切です。音についても、特に人の話し声は大きな覚醒作用があるため、寝室ではテレビや音楽を消し、必要に応じて耳栓の使用も検討しましょう。
寝具も重要で、マットレスや布団は必要以上に身体が沈みこまないもの、枕は自分に合うものを選ぶことが推奨されます。
参照元:快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係
起床時間を固定して睡眠リズムを安定
起床時間の固定は、体内時計を整え睡眠リズムを安定させるために最も重要な要素の一つです。
人間の体には約24時間周期の体内時計が備わっており、この体内時計によって睡眠・覚醒のリズムが調整されています。起床時間がバラバラだと体内時計が狂い、体が時差ボケの状態になってしまいます。
体内時計をリセットするためには、朝に太陽光を浴びることが必要です。朝の光を浴びないと体内時計がリセットされず、時刻が徐々に後ろにずれてしまいます。毎朝同じ時刻に起きて午前中に太陽の光を浴びることで、眠りを誘うメラトニンが光を認識してから14〜16時間後に適切に分泌されるようになります。
週末も含めて起床時間を固定することが重要です。週末に寝坊すると体内時計が簡単に夜型に戻ってしまうため、パフォーマンスの低下を防ぐためにも可能な限り起床時間は動かさないようにしましょう。起床後は朝食を1時間以内に摂取し、糖質とタンパク質を組み合わせた食事で内臓の体内時計もリセットすることが推奨されます。
参照元:体内時計|厚生労働省
30分で眠れない時の対処法
布団に入って30分以上眠れない場合は、無理に寝床にとどまらず、思い切って一度寝床から出ることが推奨されます。
眠れない経験を繰り返すことで、脳が「ベッド=眠れない場所」と記憶してしまい、不眠が慢性化してしまう恐れがあるためです。寝床から出たら、眠れない悩みから距離を置けるよう、リラックスできる活動に時間を当ててみましょう。
リラックス活動としては、本を静かに読む、軽いストレッチをする、深呼吸をするなど、心が落ち着くことであれば何でも構いません。
腹式呼吸も効果的な方法の一つとされています。楽な姿勢で横になり、「フーッ」と口から息を吐き、心の中で「1、2、3」と数えながら3秒間息を吐き、お腹がへこむのを意識します。
その後、鼻から自然に息を吸います。呼吸に意識を向けるだけで、気がついたら眠っていたということもあります。眠気が戻ってきたら、改めて布団に入り直しましょう。
睡眠効率の改善に役立つ生活習慣や睡眠環境
睡眠効率の改善によって、どれほどの変化を期待できるのでしょうか。生活習慣や睡眠環境を見直すことで、睡眠効率の向上が期待できます。
これらの変化は数値として明確に表れ、日常生活の質向上につながるとされています。どのような取り組みが効果的とされているのか、睡眠効率改善の可能性を探ってみましょう。
生活習慣見直しで睡眠効率の改善を目指す
睡眠効率の改善において、生活習慣の見直しは非常に効果的とされています。起床時刻を毎日同じ時間に固定し、就床時刻を「眠気が来てから」に調整することで、睡眠効率が改善することがあります。
また、就寝1~2時間前の照明を落とし、カフェインを夕方以降は控える取り組みも効果的とされます。寝床をスマホや動画視聴以外の用途に使わず、眠れない時は一度ベッドを離れることにより、効率的な睡眠パターンが確立されることもあります。これらは継続的な取り組みが重要となります。
睡眠環境の改善で睡眠効率向上が期待できる
睡眠環境の改善による睡眠効率の向上も、数値として明確に現れるとされています。温度や湿度の調整や、寝具は通気性の良いものに変更することで、中途覚醒が減少する可能性があります。
冬場では室温を20℃前後に保ち、適切な加湿を行うことで、のどの乾燥による夜間覚醒が減り、同様の改善が見られたとされます。
さらに、就寝約1時間前の入浴や、冷却枕の使用による体温調節も効果的とされており、これらの環境調整により深い睡眠が得られやすくなるといわれています。
参照元:快眠と生活習慣|厚生労働省
睡眠効率向上がもたらす健康への良い影響
睡眠効率の向上は、単に眠りの質を改善するだけでなく、日中のパフォーマンスや健康状態にも良い影響をもたらすとされています。
十分な睡眠により脳の機能が回復し、集中力や判断力の向上が期待できるほか、免疫システムの正常な働きもサポートされるといわれています。
日中の集中力と作業効率の向上
睡眠効率の改善により、日中の集中力と作業効率に良い影響が期待できます。
十分な睡眠を確保することで、脳の活動によって蓄積した廃棄物や有害物質が睡眠中に排除され、集中力、注意力、判断力などの認知機能が向上するといわれています。
参照元:仕事のパフォーマンスと睡眠の関係性について教えてください。|独立行政法人中小企業基盤整備機構
厚生労働省の資料によると、睡眠不足の場合作業効率が低下する傾向があり、人は起床後およそ12~13時間までは十分に覚醒した状態で作業を行えますが、15時間を超えると酒気帯び運転と同程度まで作業効率が低下することが明らかになっています。
一方で、適切な睡眠を取った場合は、情報処理能力や創造性の向上が期待でき、レム睡眠段階では新たなアイデアや視点を生み出すプロセスが進行するといわれています。
免疫力アップと病気予防への寄与
睡眠効率の向上は免疫力の維持・向上にも寄与するとされています。
睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上眠る人と比べて風邪にかかるリスクが約3倍高いと報告されています。さらに、睡眠が6時間未満になると唾液中のIgA(免疫物質)が減少することも分かっています。
また、十分な時間眠っていても、眠りの質が悪ければ感染リスクは上がります。健康な男女153人を対象に睡眠の質を調べ、その後に風邪ウイルスを鼻に投与した研究では、睡眠の質が高い人ほど発症率が低かったと報告されています。
