山田朱織枕研究所

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  • 2018年12月1日に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、ピアザ淡海(滋賀県立県民センター)にて行われました第11回日本運動器疼痛学会において山田朱織医師が「難治性肩こり・頸部痛および身体化症状に対する枕調節の有効性検討―Somatic Symptom Scale-8を用いて―」を発表いたしました。

    演題名:「難治性肩こり・頸部痛および身体化症状に対する枕調節の有効性検討―Somatic Symptom Scale-8を用いて―」

    セッション名:一般演題12 頚肩上肢痛

    演題番号:O-70

    発表形式:口演

    発表日時:2018年12月2日(日) 13:30~14:20

    難治性肩こり・頸部痛の原因の1つ心理社会的ストレスが、身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼ぶ。肩こり、胃腸不調、背部痛・腰痛、腕・脚・関節痛、頭痛、胸痛・息切れ、めまい、疲れ・元気がない、睡眠支障があり、睡眠中の枕調節による症状改善を検討した。 方法は肩こり・頸部痛を主訴に来院した患者84名(平均年齢50.1歳、男24名、女60名)、罹患期間平均104ヶ月を解析した。身体化の程度を把握する自記式質問票Somatic Symptom Scale-8(以下SSS-8 : 8点以上=中等度, 12点以上=重度, 16点以上=最重度)を施行し8点以上を対象とした。枕を至適高さに調節し、使用開始後2週間後と3か月後の肩こり・頸部痛のNRSとSSS-8を評価しWilcoxonの符号付順序検定を施行した。 2週間後/3ヵ月後の結果はSSS-8は-4.0/-5.0(p<0.001)と有意な改善を認めた。ベースラインのSSS-8重症度別群(中度群39例, 重度群20例, 最重度群:25例)間に、性・年齢・BMI・喫煙率などの背景情報に差はなかった。中等度群、重度群、最重度群の前後変化では-1.0/-3.0, -3.5/-5.0, -6.0/-7.0(p<0.001)とベースラインのSSS-8重症度が高いほど改善度合いが高い傾向にあった。またNRSは-2.0/-3.0 (p<0.001)と著明改善を認め、症状改善度は79%/82%、満足度は83%/88%であった。 本結果より枕調節によって肩こり・頸部痛と身体化症状が軽快し、高い自覚的改善度と治療満足度が得られる可能性が示唆された。

    論文・寄稿 第11回日本運動器疼痛学会|難治性肩こり・頸部痛および身体化症状に対する枕調節の有効性検討―Somatic Symptom Scale-8を用いて―
  • 2018年9月8日に山形国際ホテルにて行われました山形県運動器疼痛研究会(第8回)において山田朱織医師が「慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー」として発表いたしました。

    日時 : 2018年9月8日(土)
    場所 : 山形国際ホテル(山形県)
    発表者 : 山田朱織
    演題名 :「慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号18-1481)

    概要は下記の通りとなっております。
    (S)(SS)山形県運動器疼痛研究会(第8回)
    (1) 田中 靖久
    (2) 平成30年9月8日(土) 17:00~19:10
    (3) 山形国際ホテル(山形県), 80名
    (4)
    1.
    中高年の肩痛ー薬物療法を含めてー [9] S
    医療法人社団丹心会吉岡病院科長
    村 成幸

    2.
    慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー [13] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 田中 靖久
    〒990-8510 山形県山形市和合町3-2-5
    公立学校共済組合東北中央病院
    (023-623-5111)
    (8) 認定番号18-1481, 30.6.11受付
    論文・寄稿 山形県運動器疼痛研究会(第8回)|慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー
  • 2018年7月13日に札幌コンベンションセンターにて行われました日本睡眠学会第43回定期学術集会において山田朱織医師が「睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み」として発表いたしました。

    日時 : 2018年7月13日(金)
    場所 : 札幌コンベンションセンター(北海道)
    発表者 : 山田朱織
    演題名 :「睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み」

    抄録
    睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み
    16号整形外科 山田朱織
    重症-中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP治療が有効であるのは一般的である。しかしいびき・無呼吸を主訴に当院に来院する患者は「CPAPの必要性はわかるが、装着感が不快で外す」「CPAP以外の治療はないか」と訴える傾向にある。そこでCPAP治療以外の治療として、当院では整形外科の視点から睡眠姿勢に着目し、頸椎のアライメントを枕の高さで調節し無呼吸改善の有効性を検討した。当院で開発した整形外科枕とその調節方法SSS法を含め、同意が得られた2つのパイロット研究結果を発表したい。
    1)2003.11.~2004.2.にPSG検査を施行した8例(男性5例、女性3例、平均年齢41.2歳)において、1晩の睡眠の前半は枕なし、後半に整形外科枕を使用して検査を行った。各体位における睡眠時間および仰臥位におけるAHIを観察した。結果は、8例中6例(75%)において仰臥位睡眠時間が延長、平均仰臥位時間は枕なしで81.2分、整形外科枕で164.4分であった(p=0.013)。また8例中5例(62.5%)が仰臥位におけるAHIが減少した(p=0.12)。
    2)2004.11.~2005.10. にPSG検査を施行した19例(男性17例、女性2例、平均年齢43.1歳)において、1晩の睡眠の前半は病院枕、後半に整形外科枕を使用して検査を行った。AHI、最低SaO2、睡眠Stageを観察した。結果は、AHIは40.5±25.8→31.6±21.5(p=0.044)と有意に低下した。最低SaO2は変化なかった(p=0.85)。睡眠Stageは、stage1が47.1±23.8→32.4±17.3(p<0.001)と有意に減少、stage3+4が0.8±1.3→0.2±0.7(p<0.01)で有意に減少し、stage REMが7.0±6.4→25.7±7.9(p<0.0001)と有意に増加した。
    本研究では枕調節法を用いれば仰臥位でも無呼吸が起こりにくい傾向が考えられた。また整形外科枕はAHI、睡眠Stage1の改善により、SASにもある程度の効果が得られると考えられた。今後は、SASの原因別・重症度別に整形外科枕の有用性を検討し、更なる適応を見極めていきたい。

    発表はシンポジウム形式が取られました。
    「Beyond CPAP Therapy CPAP以外の治療方法を再考する!」
    2018年7月13日(金)15:00~16:30/G会場(204会議室)
    ■ オーガナイザー:吉村 力 (福岡大学医学部衛生・公衆衛生学講座/福岡大学病院呼吸器内科)
    趣旨
    閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療として、重症ー中等症の患者に対してCPAP治療が有効であるのは誰もが納得するところである。しかしながら、CPAP治療以外の治療としてマウスピース、耳鼻科的手術、減量、体位療法、ナステントなどの治療の有効性もはっきりしてきており、どのような方にCPAP治療以外の治療が役立つのかを考えたい。本シンポジウム開催により、皆さんとテーラーメイド治療として、各治療の有効性、安全性などを考えたい。

    ■ 座長:安藤 眞一 (九州大学病院 睡眠時無呼吸センター)
    吉村 力 (福岡大学医学部衛生・公衆衛生学講座/福岡大学病院呼吸器内科)

    S27-1「OSASにおいてOral Applianceはどこまで効くのか?」
    ■ 演者:梅本 丈二 (福岡大学病院歯科口腔外科)

    S27-2「OSASにおいて耳鼻科手術はどこまで有効か?」
    ■ 演者:北村 拓朗 (産業医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科)

    S27-3「OSASの適切な減量方法は如何にすべきか?」
    ■ 演者:吉村 力 (福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学講座/福岡大学病院 呼吸器内科)

    S27-4「体位療法はどこまで効くのか?枕、テニスボールなどを使用した研究を解析する」
    ■ 演者:後平 泰信 (医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院循環器内科/
    国家公務員共済組合連合会虎の門病院睡眠呼吸器科)

    S27-5「睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み」
    ■ 演者:山田 朱織 (16号整形外科)

    S27-6「Nasopharyngeal Airway Stent (NAS)の有効性を探る!」
    ■ 演者:佐藤 誠 (筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構)
    論文・寄稿 日本睡眠学会第43回定期学術集会|睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み
  • 2018年5月26日(土)に第6回睡眠姿勢研究会を開催致しました。

    日時 : 2018年5月26日(土)
    場所 : ANAクラウンプラザ神戸(兵庫県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:睡眠姿勢と疼痛、睡眠障害について考える
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号18-0379)



    概要は下記の通りとなっております。
    睡眠姿勢研究会(第6回)
    (1) 山田 朱織
    (2) 平成30年5月26日(土) 18:30~21:00
    (3) ANAクラウンプラザ神戸(兵庫県), 40名
    (4)
    1.
    睡眠姿勢と疼痛、睡眠障害について考える [1]
    16号整形外科院長
    山田 朱織

    2.
    頸肩の愁訴と脊椎アライメントについて [7]
    和歌山医大教授
    川上 守
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 橘高 愛貴 〔参加事前申込・要〕
    〒252-0021 神奈川県相模原市中央区高根1丁目3-7
    16号整形外科
    (042-776-2211)
    (8) 認定番号18-0379, 30.2.11受付
    論文・寄稿 睡眠姿勢研究会|睡眠姿勢と疼痛、睡眠障害について考える
  • 2018年4月12日に神戸国際展示場で行われます第47回日本脊椎脊髄病学会学術集会において山田朱織医師が「難治性頚部痛・肩こりに対する枕による睡眠中の頚椎アライメント管理の有効性 ―Somatic Symptom Scale-8を用いて―」としてポスター発表をいたしました。

    日時 : 2018年4月12日(木)
    場所 : 神戸国際展示場(兵庫県)
    発表者 : 山田朱織
    演題名 : 難治性頚部痛・肩こりに対する枕による睡眠中の頚椎アライメント管理の有効性 ―Somatic Symptom Scale-8を用いて―

    抄録本文
    【はじめに】難治性の頚部痛・肩こりの原因は、患者の身体的ストレスと心理社会的ストレスの複合と考えられる。心理社会的ストレスが身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼び、肩こりの他に胃腸不調、背部痛・腰痛、腕・脚・関節痛、頭痛、胸痛・息切れ、めまい、疲れ・元気がない、睡眠支障が挙げられる。枕調節による睡眠中の頚椎アライメント管理を行い、頚部痛・肩こりと随伴する身体化症状が改善するか検討した。【対象と方法】頚部痛・肩こりを主訴に来院した患者で連続登録した95名、最終的に評価可能であった84名(平均年齢50.1歳、男24名、女60名)を解析した。罹患期間は平均104ヶ月、同症状で複数の整形外科や他科に受診していたのは60人であった。身体化の程度を把握する自記式質問票Somatic Symptom Scale.001)と著明改善を認め、症状改善度は79%/82%、満足度は83%/88%であった。【まとめ】本結果より枕調節による睡眠中の頚椎アライメント管理によって、頚部痛・肩こりおよび複数の身体化症状が軽快し、かつ高い自覚的改善度と治療満足度が得られる可能性が示唆された。
    論文・寄稿 日本脊椎脊髄病学会学術集会|難治性頚部痛・肩こりに対する枕による睡眠中の頚椎アライメント管理の有効性
  • 2017年7月16日、17日に京王プラザホテル(新宿)で行われます第30回日本臨床整形外科学会学術集会において山田朱織医師が指定演題シンポジウム「肩こり」に対する治療戦略にて発表を行います。

    日時 : 2017年7月16日(日)
    場所 : 京王プラザホテル(東京都)
    演者 : 山田朱織(シンポジウム)
    タイトル:「肩こり」に対する治療戦略

    第30回日本臨床整形外科学会学術集会
    論文・寄稿 日本臨床整形外科学会学術集会|「肩こり」に対する治療戦略
  • 2017年6月29日、30日にパシフィコ横浜で行われます日本睡眠学会第42回定期学術集会において山田朱織医師が一般演題に採択されました。

    日時 : 2017年6月30日(金)
    場所 : パシフィコ横浜(神奈川県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:不眠など身体化症状を伴う頸部痛・肩こりを有する患者に対する枕調節の有効性―SomaticSymptom Scale-8を用いて―

    日本睡眠学会第42回定期学術集会

    論文・寄稿 日本睡眠学会「不眠など身体化症状を伴う頸部痛・肩こりを有する患者に対する枕調節の有効性―SomaticSymptom Scale-8を用いて―」
  • 2017年5月20日(土)に第5回睡眠姿勢研究会を開催致します。
    整形外科医の先生方につきましてご興味がある方は是非お問い合わせください。

    日時 : 2017年5月20日(土)
    場所 : 仙台勝山館(宮城県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:難治性肩こりに第一選択すべき保存治療 枕調節の理論と実践
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号17-0211)



    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)睡眠姿勢研究会(第5回)
    (1) 山田 朱織
    (2) 平成29年5月20日(土) 18:30~20:30
    (3) 仙台勝山館(宮城県), 30名
    (4) 難治性肩こりに第一選択すべき保存治療 枕調節の理論と実践[7][8] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    変性頸椎由来の痛みと麻痺
    公立学校共済組合東北中央病院 病院長
    田中 靖久
    (5) 2演題1単位
    (6) 1,000円
    (7) 橘高 愛貴 〔参加事前申込・要〕
    〒252-0021 神奈川県相模原市中央区高根1丁目3-7
    16号整形外科
    (042-776-2211)
    (8) 認定番号17-0211, 28.11.26受付
    論文・寄稿 睡眠姿勢研究会「難治性肩こりに第一選択すべき保存治療 枕調節の理論と実践」
  • 2017年4月22日(土)に開催されます第221回広島県臨床整形外科医会研修講演会にて代表の山田朱織医師が講演をすることになりました。

    日時 : 2017年4月22日(土)
    場所 : 広島県医師会館(広島県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:難治性肩こりに第一選択すべき保存治療ー枕調節の理論と実践ー
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号17-0125)

    概要は下記の通りとなっております。
    広島県臨床整形外科医会研修講演会(第221回)
    (1) 菅田 巌
    (2) 平成29年4月22日(土) 18:30~20:30
    (3) 広島県医師会館(広島県), 500名
    (4)
    1.難治性肩こりに第一選択すべき保存治療ー枕調節の理論と実践ー [7][9]
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    2.臨床現場で実践できるテリパラチドの効果的な使い方 [1][4]
    秋田大助教
    野坂 光司
    (5) 1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 原田 英男
    〒731-0111 広島県広島市安佐南区東野2-21-20
    原田リハビリ整形外科
    (082-870-5555)
    (8) 認定番号17-0125, 28.11.11受付
    論文・寄稿 難治性肩こりに第一選択すべき保存治療ー枕調節の理論と実践ー(広島県臨床整形外科医会研修講演会)
  • 2017年3月11日(土)に開催されます大阪市立大学整形外科開業医会(市整会学術講演会)にて代表の山田朱織医師が講演をすることになりました。

    日時 : 2017年3月11日(土)
    場所 : ホテルモントレグラスミア(大阪府)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践-至適臥位姿勢解明を目指して-
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-3456)

    主に大阪市立大学整形外科出身の開業医の先生方にお集まりいただけるとのことです。


    概要は下記の通りとなっております。
    (R)(SS)大阪市立大学整形外科開業医会(市整会学術講演会)
    (1) 天野 祐一
    (2) 平成29年3月11日(土) 17:00~19:30
    (3) ホテルモントレグラスミア(大阪府), 100名
    (4) 1.リウマチ診療における最新の知見 [6][10] R
    阪大運動器バイオマテリアル学准教授
    冨田 哲也
    2.肩こりに対する枕調節の理論と実践-至適臥位姿勢解明を目指して- [7][9] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5)1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 小竹 志郎
    〒631-0003 奈良県奈良県奈良市中登美が丘6-3-3
    こたけ整形外科
    (0742-52-7779)
    (8) 認定番号16-3456, 28.11.4受付
    論文・寄稿 肩こりに対する枕調節の理論と実践-至適臥位姿勢解明を目指して-(大阪市立大学整形外科開業医会)
  • 皮膚科女性ドクター向けにポーラファルマ様が主催の美肌caféセミナーにて山田朱織の講演会を行わせて頂きました。

    当日は、関西地区の皮膚科女性ドクターの会員様が80名以上お集まり頂きまして、山田朱織の講演をご拝聴頂きました。
    肩コリや睡眠の質の改善に効果的な枕調節について、枕の作り方の実践的な解説も含めた内容となっていましたが、皮膚科の先生方はとても熱心なご様子で、その後の情報交換会でも個別のご相談も多くいただきました。
    山田朱織は整形外科医ですが、睡眠の改善という意味では皮膚科の領域と重なる部分が少なからずあるのではないかと思います。

    講演概要
    日時:2017年 2月18日(土)18:30開始 (18:00開場) 
    場所:ザ・リッツ・カールトン大阪
    演題:「肩こりに第一選択すべき保存治療 ~枕調節の理論と実践~」
    演者:山田朱織

    美肌café活動とは
    ポーラファルマでは、医師として、女性として、いつまでも輝いて活躍していただきたいという思いを込めて、皮膚科女性ドクターのコミュニティをサポートしています。現在、約1,200名のドクターが参加しており、会員誌「美肌Café通信」を通じて診療のお役立ち情報、最新美容科学情報、女性のヘルスケア情報、各地域の女性医師会活動などの情報を発信しています。また、「美肌Caféセミナー」や交流会の開催などにより、スキンケア等の情報提供やドクター同士のコミュニケーション、ネットワークづくりの支援を行っています。
    2015年は東京、大阪にて2回の講演会を実施しました。メイクサービスの提供・講演内容を実感できる体験ブースの設置と他の講演会と一線を画す内容となっております。
    引用:https://www.pola-pharma.co.jp/company/csr/csr02.html
    論文・寄稿 美肌caféにて講演「肩こりに第一選択すべき保存治療―枕調節の理論と実践―」
  • Monthly Book Orthopaedics 2016年9月号 Vol 29(9)「私はこう診る 肩のこり・首の痛み」に論文が掲載されました。



    肩こりに対する私のアプローチ法「枕の調節―理論と実践」 山田 朱織ほか
    肩こり・首の痛みに対する保存的治療の1つとして,就寝中使用する枕の調節について,これまで検証してきた理論を概説し実践方法を示す.

    共著となっております。
    東大22世紀医療センター特任教授 松平浩先生
    倉敷成人病センター 整形部長 戸田巌雄先生
    東京工科大学 名誉教授 星徹先生
    16号整形外科 院長 山田朱織
    論文・寄稿 Monthly Book Orthopaedics 2016年9月号 Vol 29(9)
  • 日時 : 2016年9月10日(土)
    場所 : エーザイ(株)大阪コミュニケーションオフィス
    演者 : 山田朱織
    タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践 -至適臥位姿勢解明を目指して
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-1631)

    整形外科・神経内科・耳鼻科の先生の中で、肩こりに興味のある先生方にお集まり頂けるとのことです。


    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)肩こり研究会(第12回)
    (1) 梶 龍兒
    (2) 平成28年9月10日(土) 15:30~18:30
    (3) エーザイ(株) 大阪コミュニケーションオフィス(大阪府), 80名
    (4) 肩こりに対する枕調節の理論と実践 -至適臥位姿勢解明を目指して-[1][9] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5) 1単位
    (6) 1,000円
    (7) 細野 昇
    〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島4-2-78
    JCHO大阪病院
    (06-6441-5451 内7007)
    (8) 認定番号16-1631, 28.6.29受付
    論文・寄稿 2016年9月10日(土)第12回肩こり研究会
  • 2016年7月20日(水)
    第401回相模医学会
    場所:相模女子大学グリーンホール多目的ホール
    演者:山田朱織
    タイトル:「不眠症対策について~整形外科医の立場から~」

    相模原市医師会が主催する医師、医療従事者向けの講演会でございました。
    精神科医、耳鼻科医、内科医、整形外科医という各科を代表した先生による講演がございましたが、今回、山田朱織は整形外科医を代表して発表を致しました。

    論文・寄稿 2016年7月20日(水) 第401回相模医学会「睡眠障害」
  • 2016年5月20日(金)
    第7回町田市整形外科カンファレンス&学術講演会
    場所:ホテルラポール千寿閣
    演者:山田朱織 タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-0286)

    概要は下記の通りとなっております。
    (Re)町田市整形外科カンファレンス(第7回)
    (1) 石原 裕和
    (2) 平成28年5月20日(金) 19:00~21:00
    (3) ホテル ラポール千寿閣(神奈川県), 50名
    (4)
    1. 肩こりに対する枕調節の理論と実践 [9][13] Re
    16号整形外科院長、山田朱織枕研究所所長
    山田 朱織
    2. 骨粗鬆症の診断と治療 [4]
    北里大主任教授
    高相 晶士
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 石原 裕和
    〒194-0023 東京都町田市旭町2-15-41
    町田市民病院
    (042-722-2230 内042-720-5680)
    (8) 認定番号16-0286, 28.2.18受付
    論文・寄稿 2016年5月20日(金) 第7回町田市整形外科カンファレンス&学術講演会
  • 日時:2016年5月14日(土)-
    場所:パシフィコ横浜
    ポスター発表:山田朱織
    タイトル:就寝中の寝返りのビデオ解析による特徴点の基礎評価―運動器疼痛管理に役立つ至適睡眠姿勢での検討―

    16号整形外科 山田朱織    東京工科大学 星徹  
    東京大学大学院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント 岡敬之 松平浩

    目的
    睡眠障害は疼痛遷延の危険因子であり、運動器疼痛の管理には良質な睡眠が不可欠で、その重要な要素のひとつに就寝中の寝返りがある。寝返りの目的は体液循環、体温調節、脊椎リアライメント等といわれるが、すべてのメカニズムが解明されてはいない。また寝返りの定義や判定基準も一定の共通見解がない。我々は経験医療として、症状を改善する「スムーズな寝返り」を実現する寝具の調節方法Setup for Spinal Sleep Total(SSS-T)を確立した。モーションキャプチャを用いた寝返り動作の4D解析で、至適睡眠姿勢すなわちスムーズな寝返り(回転動作)を定量的に評価し本学会で2010,2013年に発表した。しかしこれらは覚醒状態でのシミュレーションベースの検討であったため、本研究では睡眠状態のリアルなビデオ解析から、実際の寝返りの特徴点の観察および定量的評価を行った。



    対象・方法
    対象は健康なボランティア17名、平均年齢42.5歳、男性9名女性8名であった。SSS-T法(Fig1.)を用いて枕の高さと寝台の沈込を調節した。調節したMAKURAinBED(Fing2.)に寝てビデオ撮影を3日間施行した。目視にて頭と体、頭体同時の3つのパターンについて観察し(Fig3-1.) 、寝返りの角度から臥位姿勢を判定し(Fig3-2.)、 その時間と位置を記録し平均寝返り回数(T)と平均寝返り間隔(TI)を算出した。



    結果
    結果1.平均睡眠時間は6時間で、Tは頭24(5-56)回、体16(3-47)回あり、頭体同時Tは15(2-47)回であった。すなわち、頭のみの寝返り数は頭体同時Tより9回多く、体のみの寝返り数は頭体同時Tよりも1回多かった。頭体同時寝返りを男女比較すると、男性平均17回、女性平均13回で、男女間の有意差はなかった。
    結果2.TIは頭15分、体23分であった。寝返り間隔の時間分布をみると、10分以内に次の寝返りが発生する回数は、頭は14回で全寝返り回数の60%、体は9回で56%であった。寝返り間隔の時間分布を平均的な例、多い例、少ない例について示す。とくに寝返りの多い例では10分以内の寝返りの割合が大きかった。頭のほうが体よりその傾向が強かった。
    結果3.睡眠時間帯(睡眠前半・後半)に分けて寝返り回数を検討すると、頭のTは前半13回、後半11回で、前半に多い例10名(59%)、後半に多い例7名(41%)であった。体のTは前半8回、後半7回で、前半に多い例5名(29%)、後半に多い例11名(65%)、前後半とも同じは1名(6%)であった。いづれも有意差は認めなかった。



    まとめ
    ・我々がこれまで覚醒時に回転動作として動作解析してきた寝返りについて、実際の睡眠中の体動として寝返りをビデオ解析した。先行する睡眠観察研究において一定の寝具条件はなく、選択した寝具(枕や寝台)が結果に影響を与える可能性も考えられる。そこで我々は臨床症状の改善を検証してきたSSS-T法で寝具条件を決定することで、就寝中の至適睡眠姿勢における観察を行った。
    ・睡眠医学において Tは20回前後といわれるが寝返りの定義や頭・体等の身体部位や回転角度の判定基準はない。今回は頭、体。頭体同時に分けて観察したが頭は前記の範囲内であり、体・頭体同時はこれより少ない結果となった。男女の有意差はなく、個人差は大きかった。TIは10分以内が頭、体とも約6割となった。
    ・睡眠は生理学的に2種類の眠りすなわちレム睡眠とノンレム睡眠があるが、ノンレム睡眠からレム睡眠への移行が体動の粗大な動きすなわち寝返りを契機に生じることがあり、両者は関与していると考えられている。明け方にノンレム睡眠が減少しレム睡眠が増加し覚醒するため、寝返りが増加する傾向があるという。今回の結果でも睡眠の前後半の比較で、有意差はないものの、睡眠の後半で体の寝返りが増加する例が多い傾向がみられた。
    ・「寝返り」の研究はリハビリテーション医学と睡眠医学の2つの分野で散見されるが、そのとらえ方や解析方法には大きな差がある。前者では寝返りを覚醒時の「体位変換」や「回転動作」ととらえ運動解析が主である。一方後者では寝返りを睡眠中の「体動」とくに体幹四肢に及ぶ粗大な動きととらえ、生理学的解析(脳波や筋電図等)が主である。我々は覚醒時に最もスムーズな回転動作ができる枕調節を行うことで、就寝中に生理学的にも至適な体動(寝返り)ができるのではないかと仮説を立てている。しかし寝返りのメカニズム等が解明されていないため、本研究では第1歩として寝返りを頭と体に分けて回転角度を定義し観察し、特徴点を定量化し寝返りの基礎評価を示した。
    論文・寄稿 2016年5月14日(土)第89回日本整形外科学会学術総会
  • 日時 : 2016年5月14日(土)
    場所 : ヨコハマプラザホテル
    演者 : 山田朱織 タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-0256)

    睡眠姿勢研究会は現在、「日本整形外科学会学術総会」会期中に、16号整形外科院長・株式会社山田朱織枕研究所代表「山田朱織(やまだしゅおり)」主催により実施しております。主に提携病院の先生方を集めて実施しております。
    2013年から開始した「睡眠姿勢研究会」は4回目となり、今回、公益財団法人日本整形外科学会に認定されました。(認定番号16-0256)

    概要は下記の通りとなっております。

    主催者名1:山田朱織(16号整形外科)
    主催者名2:戸田巌雄(倉敷成人病センター)
    日程:平成28年5月14日(土)
    会場:ヨコハマプラザホテル
    会場収容人員:60名
    開催地(都道府県):神奈川県
    分野:[7] 脊椎・脊髄疾患(1単位)

    演題1:肩こりに対する枕調節の理論と実践 (16号整形外科院長 山田朱織)
    <サマリー>
    肩こりの病態、診断、治療は確立されていない。我々は臥位姿勢における枕の高さを寝返りが最もスムーズになるよう調節し、臨床症状の改善を統計学的に検証してきた。画像検査ではX-Pによる臥位全脊椎骨盤アライメント観察、MRIを用いた頚椎頚髄評価、モーションキャプチャシステムを用いた寝返り動作解析を行ってきた。これまでに明らかとなった枕調節の理論を概説し、また実践方法を紹介する。


    演題2:姿勢、骨盤の傾きを再考する
    東大附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座長 特任准教授 松平浩

    概要は下記の通りとなっております。
    睡眠姿勢研究会(第4回)
    (1) 山田 朱織
    (2) 平成28年5月14日(土) 19:30~21:10
    (3) ヨコハマプラザホテル(神奈川県), 60名
    (4)
    肩こりに対する枕調節の理論と実践[7]
    16号整形外科院長
    山田 朱織

    姿勢、骨盤の傾きを再考する
    東大附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座長 特任教授
    松平 浩
    (5)
    2演題1単位
    (6) 1,000円
    (7) 橘高 愛貴 〔参加事前申込・要〕
    〒252-0021 神奈川県相模原市中央区高根1丁目3-7
    16号整形外科
    (042-776-2211)
    (8) 認定番号16-0256, 28.2.15受付
    論文・寄稿 2016年5月14日(土)第4回 睡眠姿勢研究会
  • 日時 : 2015年11月22日(日)
    タイトル : 第37回日本関節運動学的アプローチ(AKA)医学会学術集会
    場所:姫路市市民会館大ホール
    教育研修講演1「至適睡眠姿勢の解明へ 寝具による全脊椎骨盤アライメント調整より」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号15-1513)

    概要は下記の通りとなっております。
    (S)(SS)(Re)日本AKA医学会学術集会(第37回)
    (1) 平野 裕司
    (2) 平成27年11月22日(日) 09:30~18:00
    (3) 姫路市市民会館大ホール(兵庫県), 800名
    (4)
    1.
    至適睡眠姿勢の解明へ 寝具による全脊椎骨盤アライメント調整より [7][11] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織

    2.
    運動器疾患に対する関節運動学的アプローチによる診断と治療 [8][13] Re
    日本関節運動学的アプローチ医学会会頭
    博田 節夫

    3.
    スポーツ選手への指導を患者指導に生かす 外旋・屈曲動作の進め [2][13] S
    九州共立大スポーツ学科准教授
    木寺 英史
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2),(演題3)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 平野 裕司 〔参加事前申込・要〕
    〒672-8079 兵庫県姫路市飾磨区今在家4丁目25-1
    ひまわり整形外科
    (079-243-2000)
    (8) 認定番号15-1513, 27.5.18受付
    論文・寄稿 第37回日本関節運動学的アプローチ(AKA)医学会学術集会
  • 2015年06月号(58巻 07号) 整形・災害外科~肩こりを考える~金原出版

    企 画 : 松平 浩
    松平浩先生のご紹介、腰痛対策などについて東京大学東大病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座のページをぜひご覧ください。

    「肩こりに対する枕調節の意義」が掲載されました。
    本文のみ抜粋致します。全文(本文および図表)希望の場合は論文をお買い求めください。
    金原出版様購入ページ

    「肩こりを考える」                16号整形外科 山田朱織
    ―肩こりに対する枕調節の意義―
    Ⅰ.現代の慢性肩こりに対する新しい解釈と治療の必要性
    Ⅱ. 経験的医療から得た知見
    Ⅲ. 枕の条件と調節方法
     1.枕の3大条件
     2.枕の調節方法(SSS法)
    3.至適枕と体格の重相関
    Ⅳ.臨床効果
    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    1.至適枕における頚椎および頚髄アライメント
    2.矢状面脊椎骨盤アライメントSSPA
    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    Ⅵ. 肩こりの治療における枕調節の意義
    ________________________________________
    要旨
    現代の慢性肩こりは非特異的肩こり、つまり脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの状態とも考えられる。当院では肩こりの患者にスムーズな寝返りが可能となる枕調節を行い、脊椎症状と身体化症状の改善をみてきた。このメカニズムの解明のために静的および動的臥位姿勢の解析を行った。静的臥位姿勢はMRIで至適枕における仰臥位頚椎傾斜角、クモ膜下腔前後径を計測し、X-Pで臥位矢状面脊椎骨盤アライメントを観察した。結果、頚椎・頚髄アライメント、脊椎骨盤アライメントの基準が分かった。動的臥位姿勢はモーションキャプチャの動作解析を行い、寝返りの定量化とスムーズな寝返りにおける仮想体軸の可視化が可能となった。脊椎アライメントと仮想体軸を比較すると、頭頚部仮想体軸と仰臥位頚椎傾斜角の近似、胸腰椎部仮想体軸と臥位のC7PLが平行に近づいた。枕調節の意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるよう決定することである。

    Ⅰ. 現代の肩こりの新しい解釈と治療の必要性
     厚生労働省の国民生活基礎調査の公表されている最も古い平成7年の結果と最新の平成25年の結果を比較しても、いずれも肩こりは日本国民の有訴者数女性1位、男性2位であり変化がなかった。この事実からも20年以上、肩こりに関する研究や治療は非常に遅れていると考えざるを得ない。21世紀、日本国民の肩こりに対する戦略的な治療の確立を目指して、1日も早く実践的に取り組む必要性を感じる。松平らは、肩こりの病因を的確に突き止め整合性をもって解釈する新しい理論が今必要であると警鐘をならしている1)。2000年ごろから全世界で非特異性腰痛という分類が確立され2)3)4)、腰痛治療にパラダイムシフトが起こりつつある。2大国民病の一方である肩こりも非特異的肩こりとよぶべき病態で、運動器にかかる身体的な負荷による脊椎dysfunctionと脳の機能異常すなわち脳dysfunctionの状態と解釈できるとされている5)6)。脳dysfunctionとは、心理社会的ストレスが身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼び、一般的には明確な器質的異常を伴わない状態である。脊椎dysfunctionが長期間継続したり、あるいは短期間でも他の身体化症状を持っている患者等では脳のdysfunctionが起こりやすいと考えられている。
     我々が行っている肩こりの治療とは、睡眠中使用する寝具によって頭部、脊椎骨盤、下肢の臥位姿勢を調節することで、脳~脊髄、末梢神経のアライメントを至適状態にし、脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの改善を目指すものである。高岸ら7)がまとめた肩こりの治療法によれば、非症候性肩こりには日常生活指導の中で不良姿勢の改善が挙げられている。河合8)は、頚椎は頭部と躯幹を連結するという役割を担うゆえに、わずかな変化にも異常を自覚し防御する機構が備わっている指摘し、微細な誘因の除去が肩こり再発の予防に必要であるとしている。特に習慣になっている日常生活の姿勢、動作、寝具環境の見直しを挙げている。しかし、いずれも臥位姿勢の至適アライメントや調節方法について詳細は言及していない。現在に至るまで、整形外科において臥位姿勢の研究は殆ど行われてこなかった。
    本稿では、我々の解析により分かってきた枕を用いた臥位姿勢調節による脊椎dysfunctionの改善メカニズムについて述べる。

    Ⅱ.経験的医療から得た知見
     当院では1971年から35年以上、約5万人の肩こりを含めた頚部症状を訴える患者に対し、寝返りが最もスムーズになるよう枕の高さ調節を行い、症状が改善することを経験してきた9)10)11)。肩こりについては慢性かつ難治症例が多く、問診では20~30年肩こりが継続していると訴える症例や、肩こりのみならず多数の身体化症状を訴える症例、肩こりを主訴に何軒もドクターショッピングを繰返してきた症例も少なくない。外来では、患者の自宅から持参させた玄関マットやタオルケットなどの素材を使用して、臥位で枕の高さを個々の体格や症状に合わせて調節してきた。患者の症状を診ながら微調節を繰り返し、また中長期的に体格変化に合わせて再調整を行い、症状の改善を継続的に観察してきた。このような作業を繰り返すことにより調節方法を確立し、調節精度を高め、至適枕の条件を確立した。その結果、至適枕を用いた臥位姿勢調節により肩こり、頚部痛、肩上肢痛といった脊椎症状のみならず頭痛、眩暈、不眠など身体化症状の改善が見られた。
     以下、経験的医療から導いた事実すなわち「枕の高さ調節によりスムーズな寝返りが可能な臥位姿勢で眠ると、臨床症状が改善する」ことについて、そのメカニズムを類推し、臥位姿勢の静的および動的解析を行い検証してきた方法と結論を解説する。

    Ⅲ.枕の条件と調節方法
    頸椎症状を訴える患者の枕調節を行ってきた経験から、枕の条件の設定と調節方法の体系化を図ってきた。

    1.枕の3大条件
    至適枕の3大条件は次のように考える。第1は体格に適合した枕の高さである。仰臥位と側臥位の両方に適合する1つの高さを決定する。第2は決定した高さが終夜使用中に5mm以上変化しない適度な硬さである。第3は体格変化や加齢に伴い適宜再調整を行うことである。我々が研究に使用している枕は、縦25cm×横50cm×高さ5mmピッチで厳密に調節を行うためウレタンやポリエチレンのシートを組み合わせた積層構造である。表面は平らな形状である。

    2.枕の調節方法(SSS法)
    枕の調節方法SSS(Set-up for Spinal Sleep)法12)は3つのプロセスからなる。X-PやMRIで確認できればより正確であるが、外来診療では肉眼的に体表面で判断する。第1に仰臥位で両上下肢を伸展位で脱力させる。枕の高さを5mmピッチで変更しながら、頸椎の前傾が15度前後で、患者が呼気、吸気とも楽に感じること、後頭部の感触が不快でないこと、後頸部の筋緊張が弛緩することを聴取しながら高さを調節する。第2に左右側臥位の確認であるが、まず仰臥位で両前腕を前胸部上にクロスして右手を左鎖骨、左手を右鎖骨に触れ、両股関節60度前後、両膝100度前後に屈曲した寝返りの回転ポジションをとり、左右に回転し側臥位になる。額・鼻・顎・胸骨を通る頭頸部の中心線と臥床面が平行になるよう高さ調節する。患者の左右の胸鎖乳頭筋、肩甲挙筋等の攣れ感を聴取することも有益である。左右の最適高さに差がある場合は、次の寝返りで決定する。第3に寝返りのスムーズさを確認する。仰臥位で寝返りの回転ポジションをとり、左右に2~3回回転し、寝返りのスムーズさを比較する。目視におけるスムーズとは、中心軸に対し頭部、胸部、骨盤が同期的に回転する状態である。逆にスムーズでないとは、各部に位相差が生じる状態である。胸部の肩峰と骨盤の大転子をメルクマールに注視すると、いずれかに遅れが生じるか、または遅れを筋力で補正しようと大きな力を入れたり、反動をつけるなどぎこちない動きが観察される。最もスムーズに寝返りができる枕の高さが至適枕である(図1)。患者宅から持参させた素材を折りたたみ積層構造にしても代用可能である。

    3.至適枕と体格の重相関
    2003-2012年にSSS法で調節した成人男女30,252人の、体格(身長、体重)と枕の高さの相関を示す。重相関係数0.79と高値を示し、身長体重が増加するほど枕が高くなることが示された(図2)。男女別では体格の比較的小さな女性は枕が相対的に低めで、体格の比較的大きな男性は高めの傾向がみられる。年齢別でみると60歳以上では身長体重が少ないにも関わらず枕の高さが非常に高い例が散見される。円背による後弯変形や関節硬縮により高い枕が必要になる。

    Ⅳ. 臨床効果
    当院に2004~2013年に来院し頚椎疾患で枕調節を行った患者410例(男性195例、女性215例。14~93歳、平均50.5歳)のカルテデータを後ろ向きに調査、解析した。患者の主訴である「広義の肩こり」と「身体化症状」、および他覚所見について、至適枕使用前後で改善者数/有訴者数(改善者数率、以下IR)を用い評価した。また自覚症状を、2(自覚症状強)、1(自覚症状軽)、0(自覚症状無)の3段階のスコアで回答させ、枕使用前後の有意差検定を行った。他覚所見は、枕使用前後の計測値間で有意差検定を行った。至適枕の平均使用期間は110.9日であった。
    広義の肩こりは①頸肩こり②頚部痛③肩上肢痛の3症状、身体化症状は④頭痛⑤眩暈⑥不眠の3症状、他覚所見は①頸椎ROM伸展②頸椎ROM屈曲③圧痛点数④Spurling test⑤上肢筋力⑥上肢知覚の6項目である。結果を改善者数/有訴者数、改善者数率 IR(%)、枕使用前後のスコアおよび計測値の平均値、P値を示す。例数不足で検定できないものは―とする。全体では自覚症状①頸肩こり78/110、70.9、P<0.01②頚部痛153/201、76.1、P<0.01③肩上肢痛66/81、78.6、P<0.01、身体化症状④頭痛37/57、64.9、P<0.01⑤眩暈15/23、65.2、P<0.01⑥不眠20/26、76.9、P<0.01、他覚所見①ROM伸展84/194、43.3、P>0.05②ROM屈曲80/187、42.8、P<0.05③圧痛点数102/161、63.4、P<0.01④Spurling test 17/21、65.4、P<0.05⑤上肢筋力2/5、40.0、7、P>0.05⑥上肢知覚17/35、48.6、P>0.05であった。図3に、有訴者数、改善者数、改善者数率、スコアおよび計測値の平均値と有意差検定結果を示す。
    自覚症状においては、頚椎疾患の患者が主訴として肩こりの3症状を訴えた割合は、81-201人/410人、すべてIR70%以上となった(図3-1)。身体化症状の3症状を訴えた割合は、23-57人/410人、IR60%以上となった。肩こりの3症状と身体化症状の3症状すべては有意に改善した。一方、他覚所見は異常を認めた項目の軽快または消失を改善としたがIR40-65%であり、ROM、圧痛点数、Spurling testのみ有意に改善した。
    MRI所見別では、頚椎椎間板変性を認めた96例において自覚症状の①②③④、他覚所見の②、頚椎椎間板膨隆・ヘルニアを認めた194例において自覚症状の①②③④⑤、他覚所見の②③④、頚部脊柱菅狭窄を認めた58例において自覚症状の①②③、他覚所見の③において有意に改善した。頚椎椎間板ヘルニアを認めた症例が最も肩こりの3症状を訴える有訴者数が多く、改善者数率も80%以上と高値を示した(図3-2-A~C)。
    年代別にみると、自覚症状は肩こりの3症状および身体化症状の眩暈、不眠は加齢とともに有訴者数が増加し、改善者数率も増加する傾向があるが、他覚所見は加齢に伴う一定の傾向は認めなかった(図4)。
    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    至適枕を用いて最もスムーズな寝返りになるよう臥位姿勢調節を行うことで、肩こりと身体化症状が改善されることを示した。これにより至適枕により調節される至適臥位姿勢の存在が示唆される。
    臥位姿勢は静的臥位姿勢と動的臥位姿勢に分けられる。静的臥位姿勢は仰臥位および側臥位であり、動的臥位姿勢は寝返りである。理論的には、側臥位すなわち冠状面アライメントにおいては側彎角0度、冠状面バランス0cmが基準であるが、仰臥位すなわち矢状面アライメントについては基準がない。至適臥位姿勢の解明のためには至適仰臥位すなわち矢状面アライメントの基準を見つける必要がある。そのために静的臥位姿勢の解析としてX-PとMRIの画像解析と、動的臥位姿勢の解析としてモーションキャプチャによる寝返り動作解析を行った。
    1.至適枕における頸椎および頸髄アライメント
    まず始めに頚椎および頚髄の矢状面アライメントを解析した。仰臥位頚椎傾斜角とは、仰臥位頚椎の矢状面アライメントの指標の1つとして当院で考案した角度である。大後頭孔前縁中点と第7頚椎の椎体後面を結ぶ線と、臥床面のなす角である。正常例のみならず関節リウマチの環軸椎亜脱臼例においても延髄~頚髄のアライメントとして評価できる(図5)。

    当院で2004~2013年に来院した頚椎疾患の患者410例、14~93歳、平均50.5歳を対象に、至適枕における頸椎アライメントをMRIで観察した。仰臥位頚椎傾斜角(度)は、全体平均18.1、男性18.1、女性18.1と差がなく、年齢別では40代をピークに17.1 ~18.9と経度の山型の分布になったが有意差は認めなかった。MRI所見別に頚椎椎間板変性、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄を比較しても、17.9~19.2と有意差は認めなかった(図6)。以上の結果より、仰臥位頚椎傾斜角は男女、年齢、疾患の別によらず、普遍的な一定の角度である可能性が示唆された。
    仰臥位において頚椎のアライメントを調節することは、同時に頚髄のアライメントを調節することに他ならない。大後頭孔を通過する延髄、頚髄も一定の角度で安定化することは、脳脊髄症状改善のメカニズムの1つとも考えられ、病変部のくも膜下腔前後径の計測を行った。病変部高位の症例数は延べC2/3は44例、C3/4は210例、C4/5は309例、C5/6は375例、C6/7は342例であった。各高位の枕無/至適枕のくも膜下腔前後径(mm)は、C2/3は8.98/9.16、C3/4は9.19/9.41、C4/5は9.17/9.55、C5/6は8.84/9.34、C6/7は9.19/9.54ですべての高位で至適枕においてくも膜下腔は増加した(P<0.01)。差分はC2/3は0.18、C3/4は0.22、C4/5は0.39、C5/6は0.50、C6/7は0.45となり、下位頸椎であるC5/6,6/7の増加が大きかった(図7-1)。男女とも至適枕で優位に増大した。年代別では20代のC3/4、30代のC3/4,70代のC2/3を除く全てに有意差を認めた。MRI所見別では頚部椎間板変性、頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄のいずれも下位頚椎病変部のほうが増加の割合が大きかった(図7-2)。特徴的なのは頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄の最狭窄部C5/6において最大の増大0.54、0.41を認めた。至適枕使用時の静的仰臥位姿勢においては頚髄が前後の病変要素から圧迫を受けずに安静が保たれる可能性が考えられた。
    頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、円背例の枕無と至適枕の頚髄アライメントおよびくも膜下腔のMRI像を示す(図8)。

    2.矢状面脊椎骨盤アライメント
     次に頚胸腰椎、骨盤の矢状面アライメントを解析した。至適枕における矢状面脊椎骨盤アライメントSagittal Spino.01)となった(図9)。年代別にみると、SBは立位で80代を除く全ての年齢がマイナスバランスであったが、臥位では全年齢で0からプラスバランスになった。石原指数は全年齢で立位より臥位で低値となった。臥位では0代~60代で0に近く、70代、80代で急に高値となった。TKは40代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。70代、80代では立位臥位とも高値となった。LLは全年齢で立位より臥位で低値となった。PTは全年齢で立位より臥位が低値となった13)。SSPAの立位・臥位比較をX-P像で示す(図10)。
    至適臥位姿勢が立位姿勢と比較して弯曲が減少し直線化に近づくことが明らかになった。立位における正常脊椎の矢状面の弯曲は柔軟な運動性の獲得と、軸方向への耐荷重性能すなわち直立位を維持するための剛性と安定性を供給しているという14)。一方、臥位においては脊椎にかかる軸方向の負荷はなく、運動も寝返りという回転方向になるため、石原指数、胸椎後弯角、腰椎前弯角の減少による脊椎の直線化傾向は、寝返りの回転中心の偏心が減少し寝返りがし易くなる理想的な変化と考えられる。年齢別の特徴として、70代80代では椎間板変性、脊椎変形や圧迫骨折により円背、亀背や関節拘縮等が生じると、臥位においてSB高値、石原指数高値、TK高値、PT高値など、変形のない年齢と比較しSSPAに差異が生じることがわかった。スムーズな寝返りのためには、年齢と個人の変形を考慮して、至適仰臥位すなわちSSPAを調節することが必要である。
    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    目視で行ってきた寝返り動作を定量的に判定するために、モーションキャプチャシステムVicon8を用いて解析を行った。被験者は16名、枕は至適枕、枕無、高枕の3条件、寝台は適(適度な硬さのマット)と悪(柔らかいマット)の2条件とした。頭、肩、骨盤、下肢に光学式マーカー37個を装着し、光学式赤外線カメラ18台で寝返り動作を撮影しマーカーの軌跡データを取得した。コンピュータ解析を行い速度と加速度を求めた。さらに高速フーリエ変換(FFT)により周波数スペクトル解析を行い、スムーズさを表す低周波数成分とスムーズさがない状態を表す高周波数成分に分離し定量化した。図11に1例を示す。速度グラフでは良条件では、寝返り動作中である円内の波形は比較的スムーズであるが、悪条件ではスムーズさがないことが分かる。全数では周波数スペクトルで低周波成分を求めると良条件では平均0.193(19.3%)、悪条件では平均0.168(16.8%)、P<0.01となり有意に変化し定量的判定が可能となった15)16)。
    次に寝返りの回転中心である仮想体軸を可視化した。仮想体軸は、頭、肩、骨盤の各4個のマーカーの中心点を通る線と定義した。頭の中心と肩の中心を結んだ線を頭頚部仮想体軸、肩の中心と骨盤の中心を結んだ線を胸腰椎骨盤仮想体軸と呼ぶ。胸腰椎骨盤仮想体軸を頭側に直線的に延長した線と頭頸部仮想体軸のなす角を、頭頚部体軸角とした。被験者16名の周波数スペクトル解析で定量的に判定したスムーズな寝返りにおける頭頚部体軸角は18.1±3.71 度となり、X-P解析の仰臥位頚椎傾斜角16.8±5.36に近似した(P=0.15)。
    一方、胸腰椎骨盤仮想体軸を、X-P解析の臥位の基準線であるC7 plumb line(C7PL)と比較した。胸腰椎骨盤仮想体軸の起始点からC7PLに下ろした垂線の距離(体軸-PL間距離)と、仮想体軸とC7PLのなす角(体軸-PL角)を計測した。体軸-PL間距離は0~3.0mm、体軸-PL角は-1.58±5.54 °となり、仮想体軸とC7PLはほぼ一致又は平行に近づいた。スムーズな寝返りにおいて、胸腰椎骨盤仮想体軸が臥床面に平行になることが示された。
    以上の結果より、モーションキャプチャ解析における寝返りの回転中心となる頭頚部および胸腰椎骨盤仮想体軸は、X-P解析の人体における頚胸腰椎骨盤の矢状面アライメントに近似する可能性が示唆された。
    Ⅵ. 肩こりの治療における枕調節の意義
    至適枕による臥位姿勢調節について静的臥位姿勢と動的臥位姿勢の観点から解析した結果、枕の高さ調節を行う意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるように決定することであると考える。個々の体格変化や加齢変形、症状推移という変動要素を加味して、適宜再調節が必要なことを強調したい。その結果、寝返りが最もスムーズに行える仰臥位と側臥位において、頭部から頸椎のアライメント、脊椎骨盤アライメントが立位とは異なる一定の基準を持ち、脳から頚髄が安静を保つことで、慢性の肩こりにおける脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの両者の症状軽減がみられるのではないかと考える。本稿で示したのは肩こりの脊椎dysfunctionに対する有効性メカニズムを解明するための第1歩である至適臥位姿勢の解析結果である。今後は筋肉や末梢神経、自律神経についても解析する必要がある。さらには脳dysfunctionの解明のための中枢へのアプローチも行っていきたい。
    文献
    1)松平浩ほか:腰痛と肩こりの実態、危険因子と新たな視点に立った解釈案.日本臨牀72(2):244-250,2014.
    2)Koes,B.W.,et al.:An updated overview of clinical guidelines for management of non-specific low back pain in primary care. Eur Spine J.19:2075-2094,2010.
    3)Krismer, M., van Tulder, M.: Low back pain(non-specific).Best Pract Res Clin Rheumatol.21:77-91,2007.
    4)松平浩ほか:新たな視点に立った腰痛の原因,危険因子,分類.MB Orthop.25(7):7-13,2012
    5)松平浩:心理社会的ストレスに伴う脳dysfunctionを介した身体化としての腰痛と肩こり.日本心療内科学会誌.17(suppl):59,2013.
    6)Fujii T et al: Associations between neck and shoulder discomfort(Katakori) and job
    demand, job control,and worksite support. Mod Rheumatol.23(6):1198-1204,2013.
    7)高岸憲二ら:肩こりの治療.MB Orthopaedics19:16-19,2006
    8)河合伸也:肩こりの治療のポイント-肩こりの治療指針.クリニシアン44:499-504,1997
    9)山田朱織ほか:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法.東日本整災会誌18:460-465,2006.
    10)山田朱織ほか:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価.東日本整災会誌18:466-471, 2006.
    11)山田朱織ほか:枕調節による肩こり治療.リウマチ科.38(1):64-70,2007.
    12) 山田朱織ほか:頸の姿勢異常と枕.脊椎脊髄ジャーナル.21(12): 1233-1240,2008.
    13) 山田朱織ほか:臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント. J.Spine Res.5(6):944-950,2014.
    14)平泉裕:脊椎矢状面アライメント.脊椎脊髄.18:733-749,2007.
    15) 石澤利晃ほか:モーションキャプチャデータを用いた寝返りのスムーズさに関する分析:第12回SICEシステムインテグレーション部門講演会2M2-4, 2011.
    16)Akinori Sekiguchi et al: Feature Analysis of Turn Over Motion for Adjustment of Pillow Height. 8th International Conference on Humanized Systems (ICHS 2012):405-410,2012.
    発表論文:本論文は2014.2.名古屋脊椎グループ(NSG)頚椎セミナーで既発表
    論文・寄稿 整形・災害外科2015年06月号~肩こりを考える~掲載内容
  • 2015年06月号(58巻 07号)
    整形・災害外科~肩こりを考える~金原出版

    企 画 松平 浩
    松平浩先生のご紹介、腰痛対策などについて東京大学東大病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座のページをぜひご覧ください。

    「肩こりに対する枕調節の意義」が掲載されました。
    本文のみ抜粋致します。全文(本文および図表)希望の場合は論文をお買い求めください。金原出版様購入ページ

    「肩こりを考える」
    16号整形外科 山田朱織
    ―肩こりに対する枕調節の意義―
    Ⅰ.現代の慢性肩こりに対する新しい解釈と治療の必要性
    Ⅱ.経験的医療から得た知見
    Ⅲ.枕の条件と調節方法
    1.枕の3大条件
    2.枕の調節方法(SSS法)
    3.至適枕と体格の重相関
    Ⅳ.臨床効果
    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    1.至適枕における頚椎および頚髄アライメント
    2.矢状面脊椎骨盤アライメントSSPA
    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    Ⅵ.肩こりの治療における枕調節の意義
    ________________________________________
    要旨
    現代の慢性肩こりは非特異的肩こり、つまり脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの状態とも考えられる。当院では肩こりの患者にスムーズな寝返りが可能となる枕調節を行い、脊椎症状と身体化症状の改善をみてきた。このメカニズムの解明のために静的および動的臥位姿勢の解析を行った。静的臥位姿勢はMRIで至適枕における仰臥位頚椎傾斜角、クモ膜下腔前後径を計測し、X-Pで臥位矢状面脊椎骨盤アライメントを観察した。結果、頚椎・頚髄アライメント、脊椎骨盤アライメントの基準が分かった。動的臥位姿勢はモーションキャプチャの動作解析を行い、寝返りの定量化とスムーズな寝返りにおける仮想体軸の可視化が可能となった。脊椎アライメントと仮想体軸を比較すると、頭頚部仮想体軸と仰臥位頚椎傾斜角の近似、胸腰椎部仮想体軸と臥位のC7PLが平行に近づいた。枕調節の意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるよう決定することである。

    Ⅰ. 現代の肩こりの新しい解釈と治療の必要性
    厚生労働省の国民生活基礎調査の公表されている最も古い平成7年の結果と最新の平成25年の結果を比較しても、いずれも肩こりは日本国民の有訴者数女性1位、男性2位であり変化がなかった。この事実からも20年以上、肩こりに関する研究や治療は非常に遅れていると考えざるを得ない。21世紀、日本国民の肩こりに対する戦略的な治療の確立を目指して、1日も早く実践的に取り組む必要性を感じる。松平らは、肩こりの病因を的確に突き止め整合性をもって解釈する新しい理論が今必要であると警鐘をならしている1)。2000年ごろから全世界で非特異性腰痛という分類が確立され2)3)4)、腰痛治療にパラダイムシフトが起こりつつある。2大国民病の一方である肩こりも非特異的肩こりとよぶべき病態で、運動器にかかる身体的な負荷による脊椎dysfunctionと脳の機能異常すなわち脳dysfunctionの状態と解釈できるとされている5)6)。脳dysfunctionとは、心理社会的ストレスが身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼び、一般的には明確な器質的異常を伴わない状態である。脊椎dysfunctionが長期間継続したり、あるいは短期間でも他の身体化症状を持っている患者等では脳のdysfunctionが起こりやすいと考えられている。
    我々が行っている肩こりの治療とは、睡眠中使用する寝具によって頭部、脊椎骨盤、下肢の臥位姿勢を調節することで、脳~脊髄、末梢神経のアライメントを至適状態にし、脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの改善を目指すものである。高岸ら7)がまとめた肩こりの治療法によれば、非症候性肩こりには日常生活指導の中で不良姿勢の改善が挙げられている。河合8)は、頚椎は頭部と躯幹を連結するという役割を担うゆえに、わずかな変化にも異常を自覚し防御する機構が備わっている指摘し、微細な誘因の除去が肩こり再発の予防に必要であるとしている。特に習慣になっている日常生活の姿勢、動作、寝具環境の見直しを挙げている。しかし、いずれも臥位姿勢の至適アライメントや調節方法について詳細は言及していない。現在に至るまで、整形外科において臥位姿勢の研究は殆ど行われてこなかった。
    本稿では、我々の解析により分かってきた枕を用いた臥位姿勢調節による脊椎dysfunctionの改善メカニズムについて述べる。

    Ⅱ.経験的医療から得た知見
    当院では1971年から35年以上、約5万人の肩こりを含めた頚部症状を訴える患者に対し、寝返りが最もスムーズになるよう枕の高さ調節を行い、症状が改善することを経験してきた9)10)11)。肩こりについては慢性かつ難治症例が多く、問診では20~30年肩こりが継続していると訴える症例や、肩こりのみならず多数の身体化症状を訴える症例、肩こりを主訴に何軒もドクターショッピングを繰返してきた症例も少なくない。外来では、患者の自宅から持参させた玄関マットやタオルケットなどの素材を使用して、臥位で枕の高さを個々の体格や症状に合わせて調節してきた。患者の症状を診ながら微調節を繰り返し、また中長期的に体格変化に合わせて再調整を行い、症状の改善を継続的に観察してきた。このような作業を繰り返すことにより調節方法を確立し、調節精度を高め、至適枕の条件を確立した。その結果、至適枕を用いた臥位姿勢調節により肩こり、頚部痛、肩上肢痛といった脊椎症状のみならず頭痛、眩暈、不眠など身体化症状の改善が見られた。
    以下、経験的医療から導いた事実すなわち「枕の高さ調節によりスムーズな寝返りが可能な臥位姿勢で眠ると、臨床症状が改善する」ことについて、そのメカニズムを類推し、臥位姿勢の静的および動的解析を行い検証してきた方法と結論を解説する。

    Ⅲ.枕の条件と調節方法
    頸椎症状を訴える患者の枕調節を行ってきた経験から、枕の条件の設定と調節方法の体系化を図ってきた。

    1.枕の3大条件
    至適枕の3大条件は次のように考える。第1は体格に適合した枕の高さである。仰臥位と側臥位の両方に適合する1つの高さを決定する。第2は決定した高さが終夜使用中に5mm以上変化しない適度な硬さである。第3は体格変化や加齢に伴い適宜再調整を行うことである。我々が研究に使用している枕は、縦25cm×横50cm×高さ5mmピッチで厳密に調節を行うためウレタンやポリエチレンのシートを組み合わせた積層構造である。表面は平らな形状である。

    2.枕の調節方法(SSS法)
    枕の調節方法SSS(Set-up for Spinal Sleep)法12)は3つのプロセスからなる。X-PやMRIで確認できればより正確であるが、外来診療では肉眼的に体表面で判断する。第1に仰臥位で両上下肢を伸展位で脱力させる。枕の高さを5mmピッチで変更しながら、頸椎の前傾が15度前後で、患者が呼気、吸気とも楽に感じること、後頭部の感触が不快でないこと、後頸部の筋緊張が弛緩することを聴取しながら高さを調節する。第2に左右側臥位の確認であるが、まず仰臥位で両前腕を前胸部上にクロスして右手を左鎖骨、左手を右鎖骨に触れ、両股関節60度前後、両膝100度前後に屈曲した寝返りの回転ポジションをとり、左右に回転し側臥位になる。額・鼻・顎・胸骨を通る頭頸部の中心線と臥床面が平行になるよう高さ調節する。患者の左右の胸鎖乳頭筋、肩甲挙筋等の攣れ感を聴取することも有益である。左右の最適高さに差がある場合は、次の寝返りで決定する。第3に寝返りのスムーズさを確認する。仰臥位で寝返りの回転ポジションをとり、左右に2~3回回転し、寝返りのスムーズさを比較する。目視におけるスムーズとは、中心軸に対し頭部、胸部、骨盤が同期的に回転する状態である。逆にスムーズでないとは、各部に位相差が生じる状態である。胸部の肩峰と骨盤の大転子をメルクマールに注視すると、いずれかに遅れが生じるか、または遅れを筋力で補正しようと大きな力を入れたり、反動をつけるなどぎこちない動きが観察される。最もスムーズに寝返りができる枕の高さが至適枕である(図1)。患者宅から持参させた素材を折りたたみ積層構造にしても代用可能である。

    3.至適枕と体格の重相関
    2003-2012年にSSS法で調節した成人男女30,252人の、体格(身長、体重)と枕の高さの相関を示す。重相関係数0.79と高値を示し、身長体重が増加するほど枕が高くなることが示された(図2)。男女別では体格の比較的小さな女性は枕が相対的に低めで、体格の比較的大きな男性は高めの傾向がみられる。年齢別でみると60歳以上では身長体重が少ないにも関わらず枕の高さが非常に高い例が散見される。円背による後弯変形や関節硬縮により高い枕が必要になる。

    Ⅳ. 臨床効果
    当院に2004~2013年に来院し頚椎疾患で枕調節を行った患者410例(男性195例、女性215例。14~93歳、平均50.5歳)のカルテデータを後ろ向きに調査、解析した。患者の主訴である「広義の肩こり」と「身体化症状」、および他覚所見について、至適枕使用前後で改善者数/有訴者数(改善者数率、以下IR)を用い評価した。また自覚症状を、2(自覚症状強)、1(自覚症状軽)、0(自覚症状無)の3段階のスコアで回答させ、枕使用前後の有意差検定を行った。他覚所見は、枕使用前後の計測値間で有意差検定を行った。至適枕の平均使用期間は110.9日であった。
    広義の肩こりは①頸肩こり②頚部痛③肩上肢痛の3症状、身体化症状は④頭痛⑤眩暈⑥不眠の3症状、他覚所見は①頸椎ROM伸展②頸椎ROM屈曲③圧痛点数④Spurling test⑤上肢筋力⑥上肢知覚の6項目である。結果を改善者数/有訴者数、改善者数率 IR(%)、枕使用前後のスコアおよび計測値の平均値、P値を示す。例数不足で検定できないものは―とする。全体では自覚症状①頸肩こり78/110、70.9、P<0.01②頚部痛153/201、76.1、P<0.01③肩上肢痛66/81、78.6、P<0.01、身体化症状④頭痛37/57、64.9、P<0.01⑤眩暈15/23、65.2、P<0.01⑥不眠20/26、76.9、P<0.01、他覚所見①ROM伸展84/194、43.3、P>0.05②ROM屈曲80/187、42.8、P<0.05③圧痛点数102/161、63.4、P<0.01④Spurling test 17/21、65.4、P<0.05⑤上肢筋力2/5、40.0、7、P>0.05⑥上肢知覚17/35、48.6、P>0.05であった。図3に、有訴者数、改善者数、改善者数率、スコアおよび計測値の平均値と有意差検定結果を示す。
    自覚症状においては、頚椎疾患の患者が主訴として肩こりの3症状を訴えた割合は、81-201人/410人、すべてIR70%以上となった(図3-1)。身体化症状の3症状を訴えた割合は、23-57人/410人、IR60%以上となった。肩こりの3症状と身体化症状の3症状すべては有意に改善した。一方、他覚所見は異常を認めた項目の軽快または消失を改善としたがIR40-65%であり、ROM、圧痛点数、Spurling testのみ有意に改善した。
    MRI所見別では、頚椎椎間板変性を認めた96例において自覚症状の①②③④、他覚所見の②、頚椎椎間板膨隆・ヘルニアを認めた194例において自覚症状の①②③④⑤、他覚所見の②③④、頚部脊柱菅狭窄を認めた58例において自覚症状の①②③、他覚所見の③において有意に改善した。頚椎椎間板ヘルニアを認めた症例が最も肩こりの3症状を訴える有訴者数が多く、改善者数率も80%以上と高値を示した(図3-2-A~C)。
    年代別にみると、自覚症状は肩こりの3症状および身体化症状の眩暈、不眠は加齢とともに有訴者数が増加し、改善者数率も増加する傾向があるが、他覚所見は加齢に伴う一定の傾向は認めなかった(図4)。

    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    至適枕を用いて最もスムーズな寝返りになるよう臥位姿勢調節を行うことで、肩こりと身体化症状が改善されることを示した。これにより至適枕により調節される至適臥位姿勢の存在が示唆される。
    臥位姿勢は静的臥位姿勢と動的臥位姿勢に分けられる。静的臥位姿勢は仰臥位および側臥位であり、動的臥位姿勢は寝返りである。理論的には、側臥位すなわち冠状面アライメントにおいては側彎角0度、冠状面バランス0cmが基準であるが、仰臥位すなわち矢状面アライメントについては基準がない。至適臥位姿勢の解明のためには至適仰臥位すなわち矢状面アライメントの基準を見つける必要がある。そのために静的臥位姿勢の解析としてX-PとMRIの画像解析と、動的臥位姿勢の解析としてモーションキャプチャによる寝返り動作解析を行った。

    1.至適枕における頸椎および頸髄アライメント
    まず始めに頚椎および頚髄の矢状面アライメントを解析した。仰臥位頚椎傾斜角とは、仰臥位頚椎の矢状面アライメントの指標の1つとして当院で考案した角度である。大後頭孔前縁中点と第7頚椎の椎体後面を結ぶ線と、臥床面のなす角である。正常例のみならず関節リウマチの環軸椎亜脱臼例においても延髄~頚髄のアライメントとして評価できる(図5)。
    当院で2004~2013年に来院した頚椎疾患の患者410例、14~93歳、平均50.5歳を対象に、至適枕における頸椎アライメントをMRIで観察した。仰臥位頚椎傾斜角(度)は、全体平均18.1、男性18.1、女性18.1と差がなく、年齢別では40代をピークに17.1 ~18.9と経度の山型の分布になったが有意差は認めなかった。MRI所見別に頚椎椎間板変性、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄を比較しても、17.9~19.2と有意差は認めなかった(図6)。以上の結果より、仰臥位頚椎傾斜角は男女、年齢、疾患の別によらず、普遍的な一定の角度である可能性が示唆された。
    仰臥位において頚椎のアライメントを調節することは、同時に頚髄のアライメントを調節することに他ならない。大後頭孔を通過する延髄、頚髄も一定の角度で安定化することは、脳脊髄症状改善のメカニズムの1つとも考えられ、病変部のくも膜下腔前後径の計測を行った。病変部高位の症例数は延べC2/3は44例、C3/4は210例、C4/5は309例、C5/6は375例、C6/7は342例であった。各高位の枕無/至適枕のくも膜下腔前後径(mm)は、C2/3は8.98/9.16、C3/4は9.19/9.41、C4/5は9.17/9.55、C5/6は8.84/9.34、C6/7は9.19/9.54ですべての高位で至適枕においてくも膜下腔は増加した(P<0.01)。差分はC2/3は0.18、C3/4は0.22、C4/5は0.39、C5/6は0.50、C6/7は0.45となり、下位頸椎であるC5/6,6/7の増加が大きかった(図7-1)。男女とも至適枕で優位に増大した。年代別では20代のC3/4、30代のC3/4,70代のC2/3を除く全てに有意差を認めた。MRI所見別では頚部椎間板変性、頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄のいずれも下位頚椎病変部のほうが増加の割合が大きかった(図7-2)。特徴的なのは頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄の最狭窄部C5/6において最大の増大0.54、0.41を認めた。至適枕使用時の静的仰臥位姿勢においては頚髄が前後の病変要素から圧迫を受けずに安静が保たれる可能性が考えられた。
    頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、円背例の枕無と至適枕の頚髄アライメントおよびくも膜下腔のMRI像を示す(図8)。

    2.矢状面脊椎骨盤アライメント
    次に頚胸腰椎、骨盤の矢状面アライメントを解析した。至適枕における矢状面脊椎骨盤アライメントSagittal Spino.01)となった(図9)。年代別にみると、SBは立位で80代を除く全ての年齢がマイナスバランスであったが、臥位では全年齢で0からプラスバランスになった。石原指数は全年齢で立位より臥位で低値となった。臥位では0代~60代で0に近く、70代、80代で急に高値となった。TKは40代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。70代、80代では立位臥位とも高値となった。LLは全年齢で立位より臥位で低値となった。PTは全年齢で立位より臥位が低値となった13)。SSPAの立位・臥位比較をX-P像で示す(図10)。
    至適臥位姿勢が立位姿勢と比較して弯曲が減少し直線化に近づくことが明らかになった。立位における正常脊椎の矢状面の弯曲は柔軟な運動性の獲得と、軸方向への耐荷重性能すなわち直立位を維持するための剛性と安定性を供給しているという14)。一方、臥位においては脊椎にかかる軸方向の負荷はなく、運動も寝返りという回転方向になるため、石原指数、胸椎後弯角、腰椎前弯角の減少による脊椎の直線化傾向は、寝返りの回転中心の偏心が減少し寝返りがし易くなる理想的な変化と考えられる。年齢別の特徴として、70代80代では椎間板変性、脊椎変形や圧迫骨折により円背、亀背や関節拘縮等が生じると、臥位においてSB高値、石原指数高値、TK高値、PT高値など、変形のない年齢と比較しSSPAに差異が生じることがわかった。スムーズな寝返りのためには、年齢と個人の変形を考慮して、至適仰臥位すなわちSSPAを調節することが必要である。

    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    目視で行ってきた寝返り動作を定量的に判定するために、モーションキャプチャシステムVicon8を用いて解析を行った。被験者は16名、枕は至適枕、枕無、高枕の3条件、寝台は適(適度な硬さのマット)と悪(柔らかいマット)の2条件とした。頭、肩、骨盤、下肢に光学式マーカー37個を装着し、光学式赤外線カメラ18台で寝返り動作を撮影しマーカーの軌跡データを取得した。コンピュータ解析を行い速度と加速度を求めた。さらに高速フーリエ変換(FFT)により周波数スペクトル解析を行い、スムーズさを表す低周波数成分とスムーズさがない状態を表す高周波数成分に分離し定量化した。図11に1例を示す。速度グラフでは良条件では、寝返り動作中である円内の波形は比較的スムーズであるが、悪条件ではスムーズさがないことが分かる。全数では周波数スペクトルで低周波成分を求めると良条件では平均0.193(19.3%)、悪条件では平均0.168(16.8%)、P<0.01となり有意に変化し定量的判定が可能となった15)16)。
    次に寝返りの回転中心である仮想体軸を可視化した。仮想体軸は、頭、肩、骨盤の各4個のマーカーの中心点を通る線と定義した。頭の中心と肩の中心を結んだ線を頭頚部仮想体軸、肩の中心と骨盤の中心を結んだ線を胸腰椎骨盤仮想体軸と呼ぶ。胸腰椎骨盤仮想体軸を頭側に直線的に延長した線と頭頸部仮想体軸のなす角を、頭頚部体軸角とした。被験者16名の周波数スペクトル解析で定量的に判定したスムーズな寝返りにおける頭頚部体軸角は18.1±3.71 度となり、X-P解析の仰臥位頚椎傾斜角16.8±5.36に近似した(P=0.15)。
    一方、胸腰椎骨盤仮想体軸を、X-P解析の臥位の基準線であるC7 plumb line(C7PL)と比較した。胸腰椎骨盤仮想体軸の起始点からC7PLに下ろした垂線の距離(体軸-PL間距離)と、仮想体軸とC7PLのなす角(体軸-PL角)を計測した。体軸-PL間距離は0~3.0mm、体軸-PL角は-1.58±5.54 °となり、仮想体軸とC7PLはほぼ一致又は平行に近づいた。スムーズな寝返りにおいて、胸腰椎骨盤仮想体軸が臥床面に平行になることが示された。
    以上の結果より、モーションキャプチャ解析における寝返りの回転中心となる頭頚部および胸腰椎骨盤仮想体軸は、X-P解析の人体における頚胸腰椎骨盤の矢状面アライメントに近似する可能性が示唆された。

    Ⅵ. 肩こりの治療における枕調節の意義
    至適枕による臥位姿勢調節について静的臥位姿勢と動的臥位姿勢の観点から解析した結果、枕の高さ調節を行う意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるように決定することであると考える。個々の体格変化や加齢変形、症状推移という変動要素を加味して、適宜再調節が必要なことを強調したい。その結果、寝返りが最もスムーズに行える仰臥位と側臥位において、頭部から頸椎のアライメント、脊椎骨盤アライメントが立位とは異なる一定の基準を持ち、脳から頚髄が安静を保つことで、慢性の肩こりにおける脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの両者の症状軽減がみられるのではないかと考える。本稿で示したのは肩こりの脊椎dysfunctionに対する有効性メカニズムを解明するための第1歩である至適臥位姿勢の解析結果である。今後は筋肉や末梢神経、自律神経についても解析する必要がある。さらには脳dysfunctionの解明のための中枢へのアプローチも行っていきたい。

    文献
    1)松平浩ほか:腰痛と肩こりの実態、危険因子と新たな視点に立った解釈案.日本臨牀72(2):244-250,2014.
    2)Koes,B.W.,et al.:An updated overview of clinical guidelines for management of non-specific low back pain in primary care. Eur Spine J.19:2075-2094,2010.
    3)Krismer, M., van Tulder, M.: Low back pain(non-specific).Best Pract Res Clin Rheumatol.21:77-91,2007.
    4)松平浩ほか:新たな視点に立った腰痛の原因,危険因子,分類.MB Orthop.25(7):7-13,2012
    5)松平浩:心理社会的ストレスに伴う脳dysfunctionを介した身体化としての腰痛と肩こり.日本心療内科学会誌.17(suppl):59,2013.
    6)Fujii T et al: Associations between neck and shoulder discomfort(Katakori) and job
    demand, job control,and worksite support. Mod Rheumatol.23(6):1198-1204,2013.
    7)高岸憲二ら:肩こりの治療.MB Orthopaedics19:16-19,2006
    8)河合伸也:肩こりの治療のポイント-肩こりの治療指針.クリニシアン44:499-504,1997
    9)山田朱織ほか:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法.東日本整災会誌18:460-465,2006.
    10)山田朱織ほか:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価.東日本整災会誌18:466-471, 2006.
    11)山田朱織ほか:枕調節による肩こり治療.リウマチ科.38(1):64-70,2007.
    12) 山田朱織ほか:頸の姿勢異常と枕.脊椎脊髄ジャーナル.21(12): 1233-1240,2008.
    13) 山田朱織ほか:臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント. J.Spine Res.5(6):944-950,2014.
    14)平泉裕:脊椎矢状面アライメント.脊椎脊髄.18:733-749,2007.
    15) 石澤利晃ほか:モーションキャプチャデータを用いた寝返りのスムーズさに関する分析:第12回SICEシステムインテグレーション部門講演会2M2-4, 2011.
    16)Akinori Sekiguchi et al: Feature Analysis of Turn Over Motion for Adjustment of Pillow Height. 8th International Conference on Humanized Systems (ICHS 2012):405-410,2012.
    発表論文:本論文は2014.2.名古屋脊椎グループ(NSG)頚椎セミナーで既発表

    論文・寄稿 肩こりに対する枕調節の意義
  • 日時 : 2015年5月21日(木)~24日(日)
    場所:神戸国際展示場
    山田朱織枕研究所が展示会に出展致します。
    論文・寄稿 第88回日本整形外科学会学術総会
  • 日時:2015年4月17日(金)
    場所:福岡国際会議場

    至適枕の使用により頸椎症状が改善した症例のMRI画像解析 ―頸椎アライメントと病変部クモ膜下腔の観察―
    山田 朱織(16号整形外科),星 徹(東京工科大学),勝呂 徹(東京医科大学医学総合研究所)

    【目的】我々は就寝中に使用する枕を個人の体格等に適合するように調節し頸椎症状改善の効果を検証してきた。今回は有効性メカニズムを検討するために、MRIで至適枕使用時の頸椎アライメントおよび病変部クモ膜下腔を定量的に評価した。

    【対象】2008~2013年に頚椎症状を訴え来院した患者で、頚椎MRIを撮影した 2757例から無作為に抽出した410例、男195例、女215例、14~93歳平均年齢50.5歳であった。

    【方法】枕はSSS法で仰側臥位を調節し、最もスムーズな寝返りとなる高さを至適枕とする。至適枕使用時の仰臥位MRIのT2強調像を撮影した。頸椎アライメントは仰臥位頸椎傾斜角を計測し、頸髄の評価はA:枕無とB:至適枕の2条件における病変部のクモ膜下腔前後径を計測し比較した。

    【結果】仰臥位頸椎傾斜角(度)は全体平均18.1、男18.1女18.1、年代別では17.1~18.9、疾患別では変形性頚椎症、頚椎椎間板変性症、頚椎椎間板ヘルニア(CDH)、頚部脊柱管狭窄症(CSCS)等で17.8-19.2となり、有意差を認めなかった。次に各高位のクモ膜下腔前後径(mm)を計測した。各高位に病変部を認めたのはC2/3は44例,3/4は211例,4/5は310例,5/6は375例,6/7は342例であった。各高位の前後径の平均値A/Bは.98/9.16,9.19/9.41,9.17/9.55,8.84/9.34,9.19/9.64で、全てBで有意に増加した。男女の前後径に差はなく、男女ともBで優位に増加した。年代別では20代のC3/4、30代のC3/4,70代のC2/3を除く全てBで有意に増加した。疾患別で特徴的なのはCDH、CSCSとも最狭窄部C5/6において最大の増大0.54mm、0.41mmを認めた。

    【考察】至適枕を使用すると仰臥位頸椎傾斜角が個体差によらず約18.1度となり、同時に病変部のクモ膜下腔の有意な増大を認めたことより、臥位における良肢位とよべる頸椎姿勢の存在が示唆された。この姿勢により就寝中の頸椎および頸髄の安静が保たれることが頸椎症状改善のメカニズムの1つと考えられた。










    論文・寄稿 第44回日本脊椎脊髄病学会学術集会 -至適枕の使用により頸椎症状が改善した症例のMRI画像解析
  • 2015年4月17日(金)
    第44回日本脊椎脊髄病学会学術集会
    場所:福岡国際会議場

    就寝中の至適枕使用による頸椎疾患の症状改善の定量的評価
    山田 朱織(16号整形外科),星 徹(東京工科大学),勝呂 徹(東京医科大学医学総合研究所)

    【目的】当院では1971年から約5万人の頚部症状を訴える患者に対し、寝返りが最もスムーズになるよう枕の高さ調節を行い、症状が改善することを経験してきた。今回、経験的医療としての臥位姿勢調節を客観的・定量的に評価するために、症状改善について後ろ向き研究を行った。

    【対象と方法】対象:2008~2013年に当院に頚椎疾患で通院していた患者のうち、枕の高さ調節をSSS法を用いて行い、至適枕を使用して経過観察した410例(男195女215例)、14~93歳平均50.5歳を対象とし後ろ向きに調査した。
    方法:枕使用前後の自覚症状7項目と他覚所見8項目の改善者数/有訴者数(改善者数率、以下IR)および、自覚症状を、2(自覚症状強)、1(自覚症状軽)、0(自覚症状無)の3段階のスコアに分類し枕使用前後の有意差検定を行った。他覚所見も枕使用前後で有意差検定を行った。至適枕の平均使用期間は110.9日であった。自覚症状は①肩こり②頚部痛③肩上肢痛④手のしびれ⑤頭痛⑥眩暈⑦不眠、他覚所見は⑧頸椎ROM伸展(度)⑨頚椎ROM屈曲(度)⑩圧痛点数⑪Jackson test(陽性2、陰性0)⑫Spurling test (陽性2、陰性0)⑬上肢筋力(異常2、正常0) ⑭上肢知覚(異常2、正常0) ⑮握力左右(Kg)である。
    統計解析:IR(改善者数率)を算出すると同時に、自覚症状、他覚所見のスコア等を至適枕使用前/後の値の差の有意差検定を行う。自覚症状と他覚
    所見のノンパラメトリック項目(スコア値比較)に関してWilcoxsonの符号付き順位検定を、パラメトリック項目はt検定を行い有意差を判定する。統計解
    析ソフトはSPSSを用いる。

    【結果】410例の患者データの解析結果をグラフに示す。全員、男女別、MRI所見別に、至適枕使用前/後における症状毎の有訴者数、改善者数およびIR(改善者数率)、さらに至適枕使用前/後症状毎のスコア値等と有意差検定結果を示す。各症状の年代別比較では、スコア値等の至適枕使用前/後の値の推移とそれぞれの有意差検定結果を示す。
    全員:有訴者数が100人以上(全体の1/4以上)であったのは頚部痛、肩こりであった。IRは自覚症状で0.55-0.79、他覚所見で0.43-0.65であった。自覚症状のスコアは全項目で有意に改善、他覚所見ではROM伸展屈曲、圧痛点、Spurling testで有意に改善した。
    男女別:有訴者数の特徴として、男性は眩暈が女性より多く、女性は肩こり、頚部痛、頭痛が男性より多い傾向が見られた。IRは男女で自覚症状・他覚所見とも大きな差は認めなかった。自覚症状のスコアは男女とも自覚症状は全項目で有意に改善、他覚所見は圧痛点とSpurling testは男女とも有意に改善、ROM伸展は女性のみ改善した。
    MRI所見別:MRII所見別症例数は、頚椎椎間板変性96例、頚椎椎間板ヘルニア194例、頚部脊柱菅狭窄58例であった。IRで比較すると、椎間板変性は頭痛において高値を示したが、他は椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄のほうが高値を示す傾向を示した。自覚症状のスコアは椎間板変性の肩こり,頚部痛,肩上肢痛,頭痛、頚椎椎間板ヘルニアの肩こり,頚部痛,肩上肢痛,手のしびれ,頭痛,眩暈、頚部脊柱菅狭窄の頚部痛,肩上肢痛で有意に改善を認めた。他覚所見は、椎間板変性の圧痛点数、Spurling test、椎間板ヘルニアの頸椎ROM屈曲、圧痛点数、Spurling test 、脊柱管狭窄の圧痛点で有意に改善を認めた。
    各症状の年代別:IRは自覚症状の肩こり、頚部痛、肩上肢痛、頭痛、不眠において、50代以降高値を示した。他覚所見は年代による一定の傾向は認めなかった。

    【考察】
    ・当院で経験的医療としておこなってきた臥位姿勢調節を客観的・定量的に評価するために、症状改善について後ろ向き研究を行った。
    ・自覚症状7項目は高値を示し、他覚所見8項目のIRは自覚症状に比して低い値を示した
    ・男女別、MRI所見別、年齢別に改善する症状やIRが異なることが明確になり枕調節による改善を定量的評価することができた。
    ・後ろ向き調査によるサンプリングの不完全性によるバイアスを除くため、本研究を1次調査として、今後は前向きコホート研究を行う予定である。


    論文・寄稿 第44回日本脊椎脊髄病学会学術集会 -就寝中の至適枕使用による頸椎疾患の症状改善の定量的評価~
  • 日時:2015年1月14日(水)
    場所:港区医師会館 2階会議室
    タイトル:「整形外科医が考える至適睡眠姿勢とは?―枕と寝台の調節から考えるー」
    論文・寄稿 港区医師会整形外科医会 講演会
  • 日時:2014年10月10日(金)
    場所:坂戸グランドホテルWIN
    タイトル:「整形外科医が考える至適睡眠姿勢とは?―枕と寝台の調節から考える―」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号14-1852)

    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)(Re)臨床骨代謝フォーラム(第8回梅ノ木フォーラム)
    (1) 宮島 剛
    (2) 平成26年10月10日(金) 18:45~21:00
    (3) 坂戸グランドホテル(埼玉県), 100名
    (4)
    1.
    骨粗鬆症治療の現状と今後の展望 [4][7] SS
    埼玉医大准教授
    宮島 剛
    2.
    整形外科医が考える至適睡眠姿勢とは? -枕と寝台の調節から考える- [8][9] Re
    16号整形外科医院院長
    山田 朱織
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 宮島 剛
    〒350-0451 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
    埼玉医科大学整形外科
    (049-276-1238)
    (8) 認定番号14-1852, 26.6.23受付
    論文・寄稿 第8回 梅の木フォーラム-埼玉西北部「骨と関節」研究会 発表内容
  • 2014年6月25日(水)発行
    Journal of Spine Research vol.5 No.6 日本腰痛学会特集号
    臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント
    山田 朱織、星 徹、小日向 肇、遠藤 裕一郎、勝呂 徹



    Journal of Spine Researchは(一社)日本脊椎脊髄病学会が発行する専門誌です。
    下記は抜粋でございます。全文ご希望の場合は当社までお問い合わせください。

    【はじめに】
    至適睡眠姿勢の定義は確立していない。自分の意志で調節する立位姿勢と異なり、寝具の影響を受け変化する睡眠姿勢においては枕や寝台といった寝具の調節が不可欠である。
    今回は、静的睡眠姿勢のX線学的解析を行った。静的睡眠姿勢すなわち仰臥位および側 臥位の脊椎骨盤アライメント(Spino-Pelvic Align- ment : SPA) については、立位と座位姿勢の報告は国内外で古くから散見され 、さらに近年報告は増えてきている。しかし臥位姿勢の報告は少なく評価指標も決定していない。そこで立位姿勢評価で一般的に使用されているSSPAのパラメータを用いて、臥位姿勢の矢状面アライメントを評価し、臥位姿勢評価として有用であるかを検討したので報告する。

    【対象】
    対象は当院を受診した患者およびボランティアの51名で、男性15名、女性36名であった。平均年齢49.1歳(4~89歳)

    【方法】
    X線撮影は、立位と臥位の全脊椎骨盤側面像を撮影する。立位臥位とも、両上肢は前方挙上(肩関節屈曲60度)とした。寝具環境すなわち枕の高さと寝台の硬さ条件は、当院で開発した Set-up for Spinal Sleep-Total (SSS-T)法を用いた。
    SSPAのパラメータは図1に示すように、1)矢状面バランス Sagittal Balance (SB)、 2 )頚椎傾斜角 Cervical Tilt (CT) 、 3 )頚椎脊曲指数(石原指数)、 4 )胸椎後湾角 Thoracic Kyphosis(TK)、5 )腰椎前湾角 Lumber Lordosis (LL) 、6 )骨盤回旋角Pelvic Tilt (PT)を計測し、有意差検定を行った。なお年齢、別の姿勢特徴を観察した。


    図1 6つのパラメータ(SB、石原指数、CT、TK、LL、PT)
    SBは、C7 plumb line(C7PL)とhip axis vertical line (HAVL)の距離で、C7PL
    がHAの前方に位置する場合を(+)、後方に位置する場合を(-)で表す

    【結果】
    立位と臥位におけるSPAの平均(±SD、P値)は、SB:立位-37.85±38.87、臥位16.99 ± 17.85、(P**) 、CT:8.18±7.86、19.49±5.61、(P**),石原指数:8.62±18.12、2.95±12.21、(P**)TK :42.86±15.81、35.96±11.72、(P**)、LL:49.05±12.12、39.66±10.5、(P**)、PT:15.47±1100、10.44±6.92、(P**)となった。年代別にみると、SBは立位では80代を除いてマイナスバランスであった。臥位では全てプラスバランスで、特に70代、80代は高値であった。CTは全年齢において立位より臥位で高値となった 。80代は立位で高値となり臥位と差が小きかった。石原指数は20代、30代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。 臥位ではO代~60代でOに近く、70代、80代で急に高値となった。TKは40代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。70代80代では立位臥位とも高値となった。LLは全年齢で立位より臥位で低値となった。各年齢聞の差が少なかったPTは20代を除く全年齢で立位より臥位が低値となった。70代80代では立位で高値となった。

    【考察】
    SB、CT、石原指数、TK、LL、PT すべてのパラメ―タは、立位から臥位に有意に変化し、立位姿勢とは異なる一定の傾向を示したことから、臥位SSPAのパラメータとしての有効性が示唆された。
    論文・寄稿 臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント
  • 第43回日本脊椎脊髄病学会
    場所:国立京都国際会館
    寝具調節における睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

    【はじめに】
    一人一人異なる体格の人間が至適睡眠姿勢をとるためには、その人の身体各部に適合する寝具の調節が必要と考える。我々はX-Pの脊椎骨盤アライメント(SPA)計測やモーションキャプチャによる寝返り運動解析から、静的睡眠姿勢(仰側臥位)と、動的睡眠姿勢(寝返り)によって枕と寝台の適合を判定し調節するSSS-T法を考案した。本法で調節した寝具を用いれば、終夜適切な睡眠位置と睡眠姿勢で眠るよう制御が可能かを観察し解析した。

    【対象と方法】
    対象は成人17名(男9名、女8名)、平均年齢42.4歳(30~67歳)。SSS-T法で肉眼的に仰臥位矢状面SPAと左右側臥位冠状面SPAを調整する。SPAの決定において、寝具条件により調節を行うべき身体各部の重要ポイントは、仰臥位の第7頸椎、第7胸椎、第4腰椎、仙骨、側臥位では肩峰、大転子付近である。寝台は各ポイントを個別調節できる3列×3行=9個のばね定数の異なるコイルばねユニットからなる。まず中央列にて仰臥位各ポイントを調節し、次に側臥位となり左右列を調節する。最後に寝返りのスムーズさを確認する。

    寝具条件は寝具Aを調節した至適枕と寝台、寝具Bを調節した至適枕と従来使用の自宅の寝台とした。各3日間終夜ビデオ撮影する。映像から睡眠位置(中央列C、右列R、左列L)と睡眠姿勢(仰臥位s、右側臥位r、左側臥位l)の組み合わせ時間経過を記録する。睡眠位置と睡眠姿勢が一致(C-s、R-r、L-l)した時間割合を一致率とし、A,Bの一致率(平均±2SD)を比較し有意差(p値)を検定する。【結果】 被験者17名中13名(76.5%)の一致率は、A>Bとなり、4名(23.5%)はB>Aとなった。前者13名のAでの一致率は0.85±0.25、Bでの一致率は0.64±0.38で、A,B間に有意差が認められた(P<0.01)。後者4名のAの一致率は0.28±0.40、Bの一致率は0.48±0.35で、A,B間に有意差を認められなかった(P>0.05)。ビデオ解析では、うつぶせ寝や呼吸障害による大きな体動が観察された。

    【考察】
    本結果より、76.5%の被験者において、我々が考案したSSS-T法に基づく寝具調整法により睡眠位置と姿勢を有意に制御できる可能性が示唆された。一方、残りの4例の被験者においては、A,Bとも一致率が低く有意差が見られず、寝具条件以外に影響を及ぼす要因があると考えられた。

    ポイント本文:
    個人に適合する枕と寝台条件を調節し終夜観察と解析を行った。睡眠位置と睡眠姿勢を有意に制御できる可能性が示唆された。

    英語演題名:
    Overnight Observation and Analysis of Sleep Position and Posture Control by Adjusting Pillow and Bed

    論文・寄稿 第43回日本脊椎脊髄病学会 発表内容-寝具調節による睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析-
  • 場所:国立京都国際会館
    寝具調節における睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

    【目的】矢状面脊椎骨盤アライメント(以下SSPA)において、立位と座位姿勢の報告は散見されるが、臥位姿勢の報告は少なく評価指標も決定していない。立位で一般的に使用されている評価指標を用い、臥位を計測し立位と比較した。これまで我々はモーションキャプチャで最適睡眠姿勢の4D解析を行い、最適寝返時の回転中心を仮想体軸と定義し可視化定量化し臥位姿勢の評価に使用してきた。今回は仮想体軸とSSPAの比較も報告する。

    【対象】51名(男15名、女36名)平均年齢50.4歳(4~89歳)【方法】X-Pで立位と臥位の全脊椎骨盤側面像を撮影する。枕と寝台の条件は当院で開発したSSS-T法を用い寝返りのし易い条件とする。パラメータは矢状面バランス(SB)、頸椎弯曲指数(石原指数)、胸椎後弯角(TK)、腰椎前弯角(LL)、骨盤回旋角(PT)を計測した。又仮想体軸をX-Pに描出しSBのC7 plumb line(C7PL)と比較するために、仮想体軸の起始点からC7PLに下ろした垂線の距離(体軸-PL間距離)と、仮想体軸とC7PLのなす角(体軸-PL角)を計測した。いづれも有意差検定を行った。

    【結果】立位と臥位のSSPAの平均(±2SD、P値)はSB: -35.18±83.96, 17.28±36.20、石原指数13.01±31.84, 5.79±22.69、TK: 42.98±32.22, 35.81±23.84、LL: 48.28±23.36, 39.42±21.23、PT: 15.29±22.13、10.42±14.11(全てP<0.01)、体軸PL間距離-8.39±19.77、-11.44±18.14 (P<0.05), 体軸PL角4.96±7.92、-1.58±5.54 (P<0.01)であった。年齢別には、70歳、80歳代では臥位でSBおよびLLは減少するものの有意差は見られなかった(P>0.05)。なお円背例では臥位で体軸-PL角の増大するものがみられた。

    【考察】立位から臥位に姿勢が変化すると、SBはマイナスからプラスにバランスが変わり、頚胸腰椎の弯曲を示す石原指数とTKとLLが減少し直線に近づいた。PTは減少し骨盤が前傾した。以上より立位のパラメータを用いると、臥位姿勢が立位姿勢と異なる一定の傾向を示すことが示唆された。一方仮想体軸とC7PLの一致又はほぼ平行は、臥位の姿勢評価にSBが使用できる可能性を示唆した。加齢に伴い臥位のSBとLLの減少割合が低下し体軸-PL間距離と体軸-PL角が増大することは、脊椎変形や拘縮、円背からも考えられる。今後症例数を増し臥位姿勢のSSPAの最適パラメータを検証したい。

    ポイント本文:臥位姿勢を矢状面脊椎骨盤アライメントで評価し、頚胸腰椎弯曲減少と、矢状面バランスのC7PLと仮想体軸の一致傾向がみられた。

    英語演題名:
    Analysis of Sagittal Spino-Pelvic Alignment in Supine Position -Comparison w ith Sagittal Balance and Virtual Physical Axis-

    論文・寄稿 第43回日本脊椎脊髄病学会 発表内容[臥位姿勢における脊椎骨盤矢状面アライメント-矢状面バランスと仮想体軸の比較-]
  • 2014年2月8日(土)
    第8回NSG頸椎セミナー 
    場所:名古屋大学附属病院
    タイトル:「臥位姿勢における頸椎アライメント―枕と寝台調節による全脊椎骨盤アライメントから考える―」
    論文・寄稿 第8回NSG頸椎セミナー 発表内容
  • 2013年11月2日(土)
    第21回日本腰痛学会
    場所:JPタワー ホール&カンファレンス(東京都)

    臥位姿勢における全脊椎骨盤矢状面アライメント計測の試み
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

    至適睡眠姿勢とは何か?一般的に立位と臥位が同一姿勢という意見もあるが医学的根拠はない。脊椎骨盤アライメント(以下SPA)において、立位と座位の報告は散見されるが臥位は少ない。臥位の冠状面アライメントは冠状面バランス0mm、胸腰椎側弯角0度が基本だが、矢状面アライメントの基準に一定の見解はない。立位と臥位のSPAを評価すべく、立位で一般的に使用されているパラメータを用いて計測し臥位と比較したので報告する。
    【対象】年齢4~89歳、平均41歳。0歳代2名,10歳代2名,20歳代5名,30歳代4名,40歳代14名,50歳代2名,60歳代7名,70歳代4名,80歳代2名,計42名を対象とした。

    【方法】X-Pで立位と臥位の全脊椎骨盤側面像を撮影する。枕の高さと寝台の硬さ条件はSSS-T法を用い寝返りのし易い条件とする。パラメータは1)矢状面のバランスmm,2)頸椎傾斜角,3)胸椎後弯角,4)腰椎前弯角,5)胸椎/腰椎角度比,6)仙骨上縁傾斜角,7)骨盤回旋角を計測し有意差検定を行った。なお年齢別の姿勢特徴を観察した。

    【結果】立位と臥位の平均±2SDと有意差有無を示す。1)-36.04±85.09,14.94 ±33.47,有2)8.02±15.48,19.26±10.6,有3)40.32±27.02,33.92±17.36,無4)46.21±9.61,36.93±16.61,有5)0.91±0.77,0.98±0.85,無6)28.82±13.25,29.07±11.95,無7)13.30±19.48,10.12±14.20,有。年代別では1)立位0~60歳代はマイナスで70~80歳代はプラスだったが、臥位は全例プラスとなった3)加齢とともに立位で増加し臥位で減少する傾向有。70~80代の円背は変化量増大の傾向有5)60~80代で立位と臥位の差が増大傾向有。

    【考察】立位から臥位に姿勢が変化すると1)は0に近づき4)7)が減少した。これは臥床面上で脊椎骨盤が重力を前後方向に受けて臥位SPAが直線化することが示唆された。また年齢別特徴がみられた3)5)は臥位姿勢を考える際に年齢要素を考慮する必要性が考えられた。今後は年齢別症例数を増加し臥位SPAの計測方法確立し基準値を求めたい。
    論文・寄稿 第21回日本腰痛学会 発表内容
  • 2013年5月25日(土)
    第86回日本整形外科学会学術総会
    場所: グリーンアリーナ広島

    枕調節における睡眠姿勢改善の客観的評価―寝返りのモーションキャプチャによる4D解析―
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂 徹(東邦大学整形外科),関口暁宜,石澤利晃,松尾芳樹, 浦上大輔, 井上亮文,星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),三上浩司(東京工科大学メディア学部),堀口悟史(慶應義塾大学大学院),井垣宏(大阪大学情報科学研究科)

    【目的】われわれは、枕調節により夜間の睡眠姿勢調節を改善し、起床時のみならず日中の頚椎症や肩症状等の軽快を検証してきた。2万人以上の枕を目視によるSSS法で計測し、個体差に対応する技術精度を高めてきた。客観的に判断すべくモーションキャプチャ(Mocap)による4D解析を行い、寝返りを可視化し、至適枕の仮想体軸が静的睡眠姿勢に一致することを2010年本学会で発表した。今回は寝返りのスムーズさをMocapデータから求めた速度、加速度および周波数スペクトルを解析し睡眠姿勢改善を評価した。
    【対象と方法】対象は17名(男9名、女8名)、平均年齢21.9歳であった。枕は至適、低、高の3条件、敷物は硬、柔の2条件とし、3回転の寝返りを実施した。37個の光学式マーカーを装着しMocapシステムVicon8で約40秒間ずつ撮影し、マーカー軌跡を4D座標(x,y,z,t)で取得した。数値解析により可視化した速度と加速度から寝返りのスムーズさの特徴を分析した。4D座標データのフーリエ変換(FFT)により周波数スペクトル分析を行い、0-15Hzの全帯域において低周波数成分を求めることで、寝返りのスムーズさの定量比較を行った。
    【結果】低枕で敷物が柔らかいなど寝返りの悪条件において、目視で寝返りがスムーズでないと判断しているフェーズに一致して、速度・加速度の周波数成分が1.5Hz以上で増加傾向が見られた。FFT処理で定量化結果、1例を除く16例において(悪条件での徐派比)/(良条件での徐派比)の値は0.738-0.984(平均0.874)で1より小となった。周波数スペクトルの累積分布曲線においても、悪条件の曲線が良条件の曲線より全帯域で下方表示となった。
    【考察】周波数スペクトルの徐派比とスペクトル累積分布曲線から、寝返りのスムーズさは良し悪しを定量的に判定でき、枕調節により睡眠姿勢を決定する重要な要素である寝返りの客観的な評価方法となりうることが示唆された。

    論文・寄稿 第86回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2013年5月11日(土)
    場所:名鉄犬山ホテル
    「整形外科医が考える正しい睡眠姿勢とは -関節リウマチ患者の枕調節を含めてー」
    論文・寄稿 第4回尾北地区IL-6阻害療法研究会 発表内容
  • 2013年4月27日(土)
    第42回日本脊椎脊髄病学会
    場所:沖縄コンベンションセンター
    「枕調節における睡眠姿勢改善の客観的評価―寝返りのモーションキャプチャによる4D解析―」
    論文・寄稿 第42回日本脊椎脊髄病学会 発表内容
  • 2012年11月24日(土)
    第3回尾北地区 骨と痛みの研究会
    場所:名鉄犬山ホテル
    「整形外科医が考える良い睡眠姿勢とは? -枕と寝台の調節から考えるー 」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号12-2327)

    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)(Re)尾北地区 骨と痛みの研究会(第3回)
    (1) 金村徳相
    (2) 平成24年11月24日(土) 15:00~18:20
    (3) 名鉄犬山ホテル(愛知県), 50名
    (4)
    1.
    当院における膝肩疾患の治療の現状 [9][12] Re
    名大助教
    平岩 秀樹
    2.
    整形外科医が考える睡眠姿勢-枕調整法を用いて- [7][13] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 金村徳相 〔参加事前申込・要〕
    〒483-8704 愛知県江南市高屋町大松原137
    江南厚生病院
    (0587-51-3333)
    (8) 認定番号12-2327, 24.8.22受付
    論文・寄稿 第3回尾北地区 骨と痛みの研究会 発表内容
  • 2011年7月17日(日)-20日(水)
    第55回日本リウマチ学会総会・学術集会
    場所:神戸ポートピアホテル

    寝返りを促す枕調節の意義と睡眠姿勢の改善-関節リウマチの睡眠を考えるー
    16号整形外科 山田朱織


     人間の睡眠のメカニズムを研究する上で、睡眠姿勢の解明は不可欠であり、睡眠姿勢を決定する最も大きな要素である枕の意義を明らかにすることは急務である。しかし世界的にみても、臨床医学的にみてもEBMに基づいた枕の調節機構は確立されていない。
    2足歩行の人間にとって、意識下の立位および起立位においては、重力線から逸脱する姿勢を感知し修復する能力が働き、良い姿勢を維持する。しかし無意識の臥位においては寝具条件がほぼ姿勢を決定するといっても過言ではない。睡眠姿勢は2つに分類して考える必要がある。静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢すなわち寝返りである。我々は2003年から約13,000人以上の枕の調節を、独自に開発したSet-up for Spinal Sleep法(SSS法)で行ってきた。本法は静的睡眠姿勢の仰臥位と側臥位の両方に適合する枕が、寝返りを最小エネルギーで可能にする原理に基づく。仰臥位において頚椎と寝台のなす角すなわち仰臥位頚椎傾斜角は15度前後となる。
    健常者、頚椎疾患、姿勢異常(円背)、関節リウマチ(以下RA)等を対象に、SSS法を施行し、臨床評価Pillow Score(以下PS)、画像評価を行い、その有用性を検証してきた。一方で、枕調節に影響する人間の体格要素を考察してきた。個人単位でも、人間が成長し、更に老化していく過程や、疾患のステージや炎症の有無に適合するよう、枕は再調節が必要である。RAにおいては、約70%が軸椎亜脱臼や中下位頚椎病変など頸椎病変を有し、多くは頸椎症状のため熟睡が出来ず睡眠障害を訴える。RA43名、年齢平均59.7歳の枕をSSS法で調整し、PS、VAS、Face Scaleで評価した。観察期間平均13.6週後、93%は寝返りが容易になり、症状が改善し熟睡感を得た。PSの改善率は43.5%、特にADL52.6%と満足度69.0%は高く改善した。症状改善と仰臥位頚椎傾斜角の間に相関は認めなかった。枕の高さによる症状改善とADI間に相関は認めなかった。睡眠中の至適枕による頚椎の安静は、比較的短期間での脊髄、神経根および椎間関節等の炎症が抑制されると考えられた。また2年以上経過観察し得た中期症例では、頚椎のリアライメントを誘起することが示唆された。このリアライメントに適合するよう適宜枕の再調整が必要である。
    枕の調節において、RA患者や高齢者であっても、僅か3~5mmの高さの違いを直感し、自らの頚椎に適合する高さを選択する能力を持っている。これは人間の代償的姿勢戦略(compensatory postural strategy)つまり、姿勢保持に必要なエネルギー消費を最小にするため、理想的アライメントから逸脱する場合、直ちに修正する機構が働くためと考えられる。このメカニズムをさらに解明していく必要がある。
    論文・寄稿 第55回日本リウマチ学会総会・学術集会 発表内容
  • 2010年9月12日
    岐阜地区女医会
    場所:岐阜都ホテル
    「整形外科医が考える 正しい睡眠とは?-枕調節法による睡眠姿勢の改善-」
    論文・寄稿 岐阜地区女医会 発表内容
  • 2010.5.27(木)~30(日)
    第83回日本整形外科学会学術総会
    場所 東京国際フォーラム

    山田朱織 発表:2010.5.29(土) 13:40~
    オーラル発表「枕調節の意義を寝返りの4D解析から考える―仮想体軸の可視化―
    Significance of Hight Ajdusted Pillow Applying 4D Motion Analysis of Turn Over State in Bed
    - Visualization of the Spinal Body Axis -」


     我々は枕の調節法(SSS法)を用いて9,000人の至適枕の高さ(以下、枕高)を決定し、睡眠姿勢を静的姿勢と動的姿勢すなわち寝返りを確認してきた。今回、静的姿勢に影響を与える要素である人体計測値(身長、体重、肩幅)と枕高の相関を検討した。一方動的姿勢の評価は寝返りをモーションキャプチャで4D(3次元+時間)解析し、最小エネルギーで行う寝返りの仮想体軸を可視化した。

    【対象と方法】
     SSS法で計測した309例(男性94例、女性215例)、年齢は24~81歳を対象とし、身長、体重、肩幅と枕高の相関を調べた。次に頭、肩、骨盤に各4個の光学式マーカーを装着し、寝返りを4DモーションキャプチャーシステムVicon8(光学式赤色光カメラ18台)で毎秒120フレームの速度で、条件ごとに約40秒間ずつ撮影した。枕は至適枕、低枕、高枕の3条件とした。頭肩骨盤の中心を通る体軸を仮想し、CGソフトMotionBuilder 7.5と3ds Max 2008(Autodesk社)で可視化し解析した。

    【結果】
     相関係数は、男性で身長と体重0.533、体重と肩幅0.552、身長と肩幅0.375、枕高と身長0.577、枕高と体重0.616、枕高と肩幅0.559となった。女性は0.484、0.595、0.462、0.482、0.683、0.527となった。男女とも身長、体重、肩幅と枕高が相関し、特に体重と高い相関がみられた。
     4D解析の結果、至適枕の寝返りで仮想体軸がほぼ直線状になる点が確認された。低枕、高枕では仮想体軸は非直線状となり、前者では骨盤が仮想体軸の上方に逸脱し、後者では下方に逸脱した。

    【考察】
     静的姿勢に影響を与える身体各部の相関が分かった。更に、動的姿勢を可視化することで、仮想体軸を逸脱する骨盤の動きが確認された。寝返り動作の駆動力は骨盤から引き起こされると考えると、肩と骨盤の中心点を結ぶ延長線上に頭の回転中心があれば、全身の仮想体軸が直線となり、最小エネルギーで寝返り可能になると考えられた。この頭のポジショニングを行うのが枕調節の意義である。

    <要約>枕の調節法(SSS法)は、至適枕の高さを決定し、静的および動的睡眠姿勢すなわち寝返りを確認する。今回、静的姿勢に影響を与える要素である身長、体重、肩幅と枕高の相関を検討した。動的姿勢の評価は寝返りをモーションキャプチャで4D(3次元+時間)解析し、寝返りの仮想体軸を可視化した。全身の仮想体軸が直線となるとき、最小エネルギーで寝返り可能になると考えられた。この頭のポジショニングを行うのが枕調節の意義である。
    論文・寄稿 第83回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2009.10.25(日) 
    ポスター発表(日本睡眠学会):枕の人間工学-人体計測と整形外科的解析-
    発表:○山田朱織、塩島謙次(福井大学工学部)、小原二郎(千葉工業大学)

    枕の人間工学―整形外科的解析―



    発表:○山田朱織、塩島謙次(福井大学工学部)、小原二郎(千葉工業大学)


    睡眠中使用する枕を、人間工学Human Factorsの立場で小原らは体具と呼ぶ。体具とは、体に接し支持する道具である。人間工学の方法論の基礎は人体計測である。我々は、当院で考案した枕の計測法を用いて約7,000人の至適枕の高さ(以下、枕高)を計測し、頚部臨床症状の改善やMRI画像における脊柱管の拡大を証明してきた。今回無作為に抽出した309人の人体計測と枕高の相関につき検討した。

    【対象と方法】
    2009年に枕高をSSS法で計測した309例(男性94例、女性215例)、年齢は男性24~76歳、女性は25~81歳を対象とし、身長、体重、肩幅、枕高を計測した。

    【結果】
    男性は、身長156~186cm平均171.0cm、体重50~115Kg平均69.2Kg、肩幅39~50.5cm平均44.8cm、枕高は5.0~9.0cm平均7.2cmであった。女性は、身長140~175cm平均156.4cm、体重32~90Kg平均51.9Kg、肩幅34.5~46cm平均39.4cm、枕高は4.5~6.5cm平均5.5cmであった。
    相関係数は、男性は身長と体重0.533、体重と肩幅0.552、身長と肩幅0.375、枕高と身長0.577、枕高と体重0.616、枕高と肩幅0.559となった。女性は0.484、0.595、0.462、0.482、0.683、0.527となった。
    身長、体重、肩幅の各々に中等度の相関がみられ、中でも女性における体重と肩幅の相関はやや大きく、男性における身長と肩幅の相関は小さい傾向となった。男女とも、身長、体重、肩幅が増加すると枕高も増加するが、特に枕高と体重に高い相関がみられた。

    【考察】
    人間の睡眠姿勢の評価は、静的状態と動的状態を考慮しなければならない。前者は今回の人体計測から、体格を構成する各要素と枕高に相関があることが示唆された。後者については、より複雑な寝返り動作を解析する必要がある。
    今後も症例を重ね、日本人の骨格や体系的特徴を反映した枕のプロトタイプを作成すると同時に、その限界を見極め、個体差や疾患別の特殊条件の位置付けを確立することが重要と考える。
    論文・寄稿 第6回アジア睡眠学会・日本睡眠学会第34回定期学術集会 発表内容
  • 2009.10.11(祝・月)
    第12回日本アロマセラピー学会学術総会 発表
    場所 札幌プリンスホテル国際館パミール 

    ワークショップ発表 「不眠症の整形外科治療ー睡眠姿勢の指導とアロマセラピー」山田朱織


    不眠症の整形外科治療ー睡眠姿勢の指導とアロマセラピー


    16号整形外科 山田朱織


    21世紀は日本人の5人に1人、21.4%は不眠症といわれます(厚生労働省調べ)。整形外科臨床の立場から不眠症に対し2つの治療法を応用しています。1つは睡眠姿勢の徹底指導、もう一つはアロマセラピーです。基本的な考え方、使用精油、使用方法、効果等について述べます。

    不眠症とは、様々な原因で眠れないために社会生活が障害されるもので、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害の4つの型に分類されます。週2回以上、1か月以上続いている状態と定義されます。不眠症の原因は精神心理的な要因と考えられがちですが、それだけではありません。大別すると、精神心理的不眠と、身体的不眠、その他の不眠があります。原因別に治療を考えます。
    原発性不眠症(神経性不眠症)は、入眠障害が多く不眠を避けようと過度の不安や恐怖によってさらに睡眠障害が増悪します。本症に対する治療は非薬物療法と薬物療法があり、前者にアロマセラピーが位置付けられます。

    次に身体疾患による不眠症で、呼吸器系、心血管系、消化器系、筋骨格系疾患の一症状として不眠が発現します。各々の原因疾患に対し、代替医療のアロマセラピーを適応することは、2次的に生じる不眠症の治療になります。整形外科領域で最も多いのは、不適切な睡眠姿勢によって起こる不眠です。睡眠姿勢は身体を預ける寝具つまり枕と敷物で約8割の条件が決定します。脊椎動物である人間は、個々の体格、体形、疾患などを考慮し、最小エネルギーで寝返りが可能となるよう寝具を調整すると、日中に疲労した脊椎および神経、筋肉、関節等を回復できます。逆に不適切な睡眠姿勢は、これらの回復を阻害するばかりでなく、痛みやしびれ、筋肉の緊張(凝り、張り感)を惹起します。枕の調整法Sleep Spine Set-up(SSS)法を用 いて睡眠姿勢を整え、その臨床効果を検証します。更にアロマセラピーの併用療法として、就寝前に筋骨格系の痛みやしびれで睡眠が障害されるときは、対症的に有効な精油を選択し、患部へのマッサージも効果がみられます。

    最後に精神疾患による不眠症についてのアロマセラピー応用の注意です。気分障害(うつ病)や不安障害(パニック障害、心的外傷後ストレス障害)にアロマセラピーを応用する場合は、専門医つまり精神科医や心療内科医により総合的な治療計画に基づくべきです。睡眠薬を減量、中止する目的で導入したアロマセラピーに依存する例もあり、適応の限界を知って施行し、自殺企図のあるうつ病には用いるべきでないと認識する必要があります。

    身体的不眠の背景に心理的社会的な要因が複雑に関与することもあり、これらを包括した治療計画こそが、西洋医学を補完代替するアロマセラピーの位置付けと考えます。
    論文・寄稿 第12回日本アロマセラピー学会学術総会 発表内容
  • 2008年11月発行全日本病院出版会「実践 肩のこり・痛みの診かた治しかた」掲載

    ●目次
    ●はじめに
    ●整形外科における睡眠の意義
    ●肩こりを睡眠姿勢から予防・治療する
    ●枕の高さに影響する体格、ほか要素
    ●枕の調節方法(SSS法)
    ●枕を用いた症候性肩こりの予防・治療
    ●枕以外の睡眠環境
    ●おわりに


    はじめに

    これまで整形外科領域において肩こりは重視されることなく、治療を議論する以前に、疾患として原因、病態、定義、診断さえ確立されていなかった。しかし近年、日本整形外科学会学術プロジェクトで肩こり調査部会が立ち上がり、病態の解明と治療の研究が行われている。この肩こり治療の夜明けともいえる現在、当院ではユニークな視点から、しかし根本的な治療になるべき肩こり治療、予防として睡眠姿勢を研究している. 最新の臨床知見を含め紹介する。



    整形外科における睡眠の意義

    整形外科用語集には、睡眠姿勢はおろか睡眠という用語すら記載はない。整形外科領域における睡眠への関心の低さを感じる。生物学的、生理学的そして解剖学的(脳,身体)に睡眠の意義はまだ解明されていない。この段階で、最も最適な睡眠姿勢を定義するのは、その方法論としても問題は山積みである。良い睡眠姿勢の評価とは何を用いるべきか、脳波で観察するのか、終夜ポリソムノグラフィーで測るのか、四肢の筋電図を評価するのか。しかし脊椎動物にとって、睡眠中のみが、脊椎,脊髄に重力が体軸方向にかからず、アライメントの修復、神経や周囲の筋、靱帯、関節ほかあらゆる組織の回復の時間と考えると、まず脊椎、脊髄の画像評価、臨床症状の評価が必要である。

    起立時における良い姿勢の条件を、猪飼ら(1977)は、(1)力学的安定、(2)生理学的に安定、(3)生理学的に疲労しにくいことを挙げている。睡眠姿勢も同様と考えられる. 我々は睡眠姿勢を、静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢(寝返り)の2つの観点で評価してきた。当院で考案した枕の調節法(set-upforspinalsleep法;SSS法、特許第4024152号)を用いて、最少エネルギーで可能な寝返りが可能となることが、心身を回復する良い睡眠姿勢であるという立場から解説する。



    肩こりを睡眠姿勢から予防・治療する

    3,000万年前に二足歩行、直立姿勢をとるようになった人類にとって、肩こりを生じる頚部から肩甲骨周囲は、起立時には解剖学的に不安定な構造にある。現代人は頚部や肩に負担をかける姿勢として、仕事中のうつむき姿勢、パソコンに向かう長時間の座り姿勢、家事や趣味におけるかがみ姿勢などを認識し注意しているが、いずれも起きているときの姿勢である。臥床時のみが、頚椎に平均5~8kgの頭蓋骨の重さがかからず、頚部から肩甲部周囲の筋・靱帯群の支持を必要としない安静位が確保できるが、睡眠姿勢については指針を持たない。有訴者の多くは、睡眠姿勢を決定する寝具条件、とりわけ枕に問題や原因があることに気がついている。2003年4月~2006年9月に当院に枕の相談に来院した患者3,670人について調査すると、主訴として最も多いのは肩こり3,129人(85.3%)、2番目は不眠1,477人(40.2%)、3番目に頭痛1,466人(39.9%)、いびき1,196人(32.6%)、手のしびれ1,070人(29.2%)、無呼吸283人(7.7%)、寝返りがつらい、寝返りで目が覚める、と続く。つまり肩こりの原因が寝具にもある、逆に寝具が適合しないと肩こりが改善しないと考えていると推察される。この症例が使用していた枕の素材は、最も多かったのは低反発ウレタン(24%)、続いて羽毛(20%)、そばがら(18%)、プラスチックチップ(17%)であった。いずれも頚椎の安定、良肢位を獲得できるものではなく、個人に適合する高さや硬さを選択する基準もない。当院の研究から、睡眠姿勢を決定する条件の約7割は枕であると考えている。ほか、敷き物、掛け物、シーツ、寝間着などの形状、素材なども影響する。覚醒時の起立姿勢は自己の意識で決定するものであるが、睡眠時の睡眠姿勢は自己の意識の及ばないところである。つまり身体を預ける寝具の選択が睡眠姿勢を決定するといっても過言ではない。自己に適合する適切な寝具の選択が重要である



    枕の高さに影響する体格,ほか要素

    (1)日本人2,154例の体格(身長、体重)と枕の高さの相関を調べた結果、男性949例では、身長と枕の高さの相関係数(R2)は0.811、体重と枕の高さはR2=0.898、女性1,205例では、身長と枕の高さはR2=0.842、体重と枕の高さはR2=0.737と高い相関を示した。しかし円背においては、男女とも体格と枕の高さに相関はみられなかった(図1).
    (2)当院で1,583例の患者の頭の形状を5つに分類し、起床時の頭位(顔面の向き)との関係を調べた(図2)。A型:円形61例(38.5%),B型:中央が平坦379例(23.9%)、C型:左が平坦171例(10.8%)、D型:中央が凸65例(4.1%)、E型:右が平坦772例(48.8%)、ほか分類不能であり、起床時の頭位が形状に一致している、つまりA型では左右および上向き、B型では上向き、C型は左向き、D型は左右(上向けない)、E型は右向きとなる率は、各59.0%、66.0%、57.3%、75.4%、33.2%、平均58.2%となった. この症例の62.9%が枕の不適合、寝返りのしづらさを自覚していた。
    枕の高さに影響する条件は、身長体重のみでなく、睡眠姿勢における肩幅、頚椎疾患の有無、関節リウマチや頚椎捻挫では炎症期と慢性期の違い、脊椎の変形、特に上位胸椎の姿勢異常(円背、側弯)、頭部変形などがあり、これらを考慮し微調節が必要であることがわかってきた。







    枕の調節方法(SSS法)

    SSS法は、側臥位および仰臥位に適合する枕の高さ決定し、寝返りを容易にする枕の調節方法である。側臥位において、頭部から体幹の中心線が臥床面に水平となり、仰臥位において、仰臥位頚椎傾斜角※注1が15°前後となるよう高さを3~5mmずつ調節する2)3). 図3は、SSS法を用いて仰臥位および側臥位の枕の高さを調節し、X線像とMRIを撮影した。至適枕(本例は50mm)において頚椎および脊髄のアライメントが良好であることが確認される。

    ※注1 大後頭孔前縁中点と第7頚椎の椎体後面を結ぶ線と、臥床面のなす角. 関節リウマチの環軸椎亜脱臼の有無によらず、頭部から頚椎のアライメントを反映する。





    枕を用いた症候性肩こりの予防・治療

    1.対象・方法
    SSS法による枕の調整を行い、治療効果、頚椎のアライメントを単純X線とMRIで評価した。対象は症候性の肩こりで, 3疾患に分類した。A群は交通事故の頚椎捻挫30例(男性5例, 女性25例)、平均年齢45.2歳(28~70歳)、経過観察期間は4~56週で平均20.5週であった。B群は関節リウマチ43例(男性2例、女性41例), 平均59.7歳(31~81歳).経過観察期間は8.5~34週、平均13.6週であった。C群は姿勢異常(円背)50例(男性9名、女性41名)、胸腰椎圧迫骨折を伴う構築性円背15例、伴わない非構築性円背35例で、平均77.1歳(64~88歳)、経過観察期間は平均23.4週(4~107週)であった。夜間使用する枕をアンケート調査した。

    日整会治療成績判定基準を改変したPillowScore(PS)を用いて、頚部症状,睡眠症状全般の評価と、特に肩こりについて抽出し評価した。PSは, 自覚症状, 他覚所見、ADL、満足度を総合的に評価するものである。肩こりに関しては、自覚症状としての問診、他覚所見では肩こりの圧痛点1)、ADLに支障を及ぼす肩こりとして, 寝姿勢が原因となる起床時の肩こりと、日中の姿勢が原因となるうつむき時の肩こりについて聴取した。

    2.結果
    PSは45点満点で、枕調整前平均はA群23.6±7.2点、B群27.3±7.7点、C群26.5±7.4点が、調整後最終観察時、A群35.9±6.6点(スコア改善率57.5%)、B群35±6.1点(43.5%)、C群36.8±7.3点(55.7%)と改善した(Wilcoxon test、p < 0.005)。項目別にみるとスコア改善率は、自覚症状A群62.8%、B群48.4%、C群77.8%、他覚所見A群42.1%,B群29.8%、C群45.7%、ADLはA群64.2%、B群52.6%、C群55.1%であった。特に、自覚症状の肩こりはA群64.6%、B群69.9%、C群78.5%、他覚所見の肩こりの圧痛点はA群26.7%、B群22.4%、C群38.6%、ADLにおいては、起床時の肩こりはA群78.2%、B群77.1%、C群83.2%、日中最も負担のかかるうつむき動作における肩こりはA群48.1%、B群61.2%、C群70.0%と改善した。SSS法を施行し、寝返りが楽になった、または寝返り時に痛みが消失したと自覚した症例は、A群96.0%、B群93.0%、C群92.3%であった。枕調節により満足度が上がった症例は、A群74.1%、B群69.0%、C群92.3%であった。X線仰臥位像で、至適枕における仰臥位頚椎傾斜角はA群13.8°、B群14.6°、C群11.8°(拘縮性8.8°、非拘縮性16.8°)であった(図4)。各代表例のX線、MRIT2強調画像を示した(図5)。至適枕において、くも膜下スペースが椎体各レベルで均等に拡大する傾向がみられ、頚髄のアライメントが良好となった。





    3.考察
    結果から、夜間使用する枕を調整することは、頚部症状と睡眠症状のみならず肩こりが改善することが明らかになった。今回対象とした3疾患は、外傷、慢性炎症、加齢変形と異なる原因であっても主症状に肩こりを訴えるものであり、そのいずれの肩こりにおいても自覚症状の改善率が60~80%と高値であった。他覚所見としての肩こりの圧痛の改善率は20~40%と低値であったが、患部に炎症はあっても自覚やADLの障害は少ないとも考えられる。ADLにおいて、枕の影響を受けやすい起床時の肩こりは改善率80%前後と顕著であるが、睡眠中の寝姿勢の改善が日中の姿勢の負荷による肩こりも50~70%に改善させることは興味深い。

    これまで、日本人に特異的ともいわれる肩こりという症状概念について、その定義、診断、治療が体系化されていなかった。1951年、河邨ら4)がいわゆる肩こりの成因に関する臨床研究を日本整形外科学会誌に第一報してから半世紀以上、エビデンスに基づく肩こりの治療研究はなされていなかった。

    肩こりは病態が多彩であることから、治療もまた幅広く対症的に行わなければならない。高岸ら5)が過去に報告されてきた治療法をまとめている。原因の明らかな症候性肩こりには疾患の確定診断と治療を、明らかでないいわゆる肩こりには、日常生活指導、消炎剤投与、温熱療法や運動療法、局所注射療法等を行う。日常生活指導の中で、不良姿勢の改善が挙げられているが、寝姿勢の改善について詳細は言及されていない。河合6)は、頚椎は頭部と躯幹を連結するという役割を担うゆえに、わずかな変化にも異常を自覚し防御する機構が備わっていると指摘する。また肩こりは原因のみならず、微細な誘因の除去が肩こり再発の予防に必要であると、特に慣習となっている日常生活の姿勢、動作,寝具環境の見直しを挙げている。

    我々がこれまで6,000例以上の枕の調節をしてきて体験したことで、わずか3~5mmの高さの違いを80歳以上の高齢者でも直感し、自らの頚椎に適合する高さを選択する能力を持っている。これは人間の代償的姿勢戦略(compensatorypos-turalstrategy)つまり、姿勢保持に必要なエネルギー消費を最少にするため、理想的アライメントから逸脱する場合、直ちに修正する機構が働くためと考えられる。

    良質な睡眠の条件として枕の至適高さ、大きさ、硬さおよび素材などが重要とされている7)8)。しかし多くの研究の根本的な問題点は、万人に適合する最大公約数を見つけようとする試みと、人間の睡眠中の体位を静止状態で考えていることにある。佐藤ら9)は、枕が頚椎および胸椎のalignmentにどう影響するかをMRIで観察したが、仰臥位つまり矢状断面での静止時の評価のみである。今回の結果から、枕は静止時に個々の体格に側臥位および仰臥位の両方で適合させ、ダイナミックな寝返りを容易にすることが症状改善に必要であった。

    神ら10)は、市販されている枕にみる快適さ、つまり柔らかさや気持ちよさといった感触を重視しすぎることは、頚椎に悪影響を与えうると報告している。我々も、SSS法で高さを決定したのちに、頚椎の安定のため最大の沈み込みを5mm未満に抑える硬さ、寝返りを促す形状つまり凹凸のないフラット構造を推奨している。

    至適枕における仰臥位頚椎傾斜角を計測し、3疾患で比較した。頚椎捻挫,関節リウマチおよび非構築性円背は、約14~16°の範囲内で、健常人の15.2°に近似した。構築性円背のみ8.8°と低値であった。構築性円背は胸椎の拘縮によって仰臥位における枕が高くなると考えられ、側臥位に適合する範囲内で、仰臥位にも許容範囲となる高さが至適高さであり、結果的に仰臥位頚椎傾斜角が減少したと考えられた。MRIの結果から、背柱管を狭窄するさまざまな前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、臨床評価を裏づける1つの根拠となると考えられた。

    SSS法を用いると、夜間の寝返りが90%以上容易になり、肩こりの改善は60~80%と高値であった。睡眠中に,最少のエネルギーで寝返りがうてると、肩こりをきたす頚椎、肩、胸椎など骨関節のレストポジションによる安静と同時に、その周囲の筋肉、靱帯、神経等が、ダイナミックな血流の促進により組織が回復し、肩こりが改善されると示唆された。



    枕以外の睡眠環境

    睡眠姿勢を決定する最も大きな条件である枕について述べた。ほか寝具環境として、敷き物(布団やベッドマットレス等)、掛け物,シーツ、寝間着なども睡眠姿勢に影響する。いずれも,生理的な寝返りを阻害しないことを基準に選択することが重要である。
    (1)敷き物は体圧を適度に分散すると同時に、適切に姿勢を保持する支持力が必要である。これは厳密には個体の体重や筋力によって異なることを考慮しなければならない。さらに身体の各部においても圧は異なる。肥満がなければ、人体の重量比はおよそ、頭を1として、肩が3、腰が4、足が2といわれるが、それぞれの重量に対応する敷き物の素材、構造が理想的である。
    (2)掛け物は軽量で、保温性や通気性に富む素材が望ましい、摩擦抵抗の高い素材は、寝間着や掛け物との間で摩擦を起こし、寝返りをしづらくするので注意が必要である。冬場に毛布をかけるときは、羽毛など身体にまつわりつかない掛け物の上部にかけるようにする。掛け物が複数枚であると各々の間に摩擦抵抗を生じるので、1~2枚が望ましい。また,布団カバーは本体から離れ身体にまつわりつくので注意が必要である。
    (3)寝間着は(2)で述べた理由から素材の注意が必要である。近年よくみかけるフリース素材は、アクリル毛布などと合わせると大変寝返りがうちにくくなる。なお、寝間着の形状の注意として、首周りのフードや厚手素材のハイネックは枕の位置に影響するので避ける。カーディガンやトレーナー、丹前やかいまきなどを着て寝ると身体各部にひずみが起こり、睡眠姿勢における重心が変わるため脱いで寝るようにする。
    (4)シーツなど直接人体が触れるものは、摩擦抵抗が少ないことが1つの条件で、摩擦帯電圧測定の結果ではポリエステルウールは3,500V、シルク1,700V、綿1,000Vで、近年新素材として開発されている竹繊維は82Vである。耐久性や衛生性などと合わせて素材選びが必要である。
    (5)最後に寝方、ベッドパートナーについて調査してみると、肩こりやほかの睡眠障害を起こす症例に、夫婦、子ども、ペットなどと一緒に寝る、または布団の中に抱き枕や湯たんぽ、本や小道具などを置いて寝るケースが散見される。寝返りをうつ幅には、何もないことが望ましい。



    おわりに

    睡眠姿勢についての研究はまだまだ少ない。肩こりの予防と治療についてはもちろん、さまざまな頚椎および脊椎脊髄疾患についても睡眠中の姿勢を調節することにより、治療効果が期待される。その姿勢を決定する条件である寝具について、脊椎の専門である整形外科医の研究が不可欠であると考える。
    (山田朱織, 勝呂徹)



    文献

    1)平林洌:肩こりの病態と治療、臨床と研究.70:199-204,1993.
    2)山田朱織:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法. 東日本整災会誌.18:460-465、2006.
    3)山田朱織:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価. 東日本整災会誌.18:466-471、2006.
    4)河邨文一郎、高橋長雄:所謂肩凝の成因に関する臨床的研究(第一報). 日整会誌.25:19-22、1951.
    5)高岸憲二、荒毅、堤智史ほか:肩こりの治療.MBOrthop.19(4):16-19、2006.
    6)河合伸也:肩こりの治療のポイント―肩こりの治療指針―. クリニシアン.44:499-504、1997.
    7)峰崎フミ子:枕の人間工学的研究(第一報)高さについて. 家政学雑誌.20:187-192、1969.
    8)飯塚幸子、三輪恵美子:まくらを科学する. からだの科学.156:139-144、1991
    9)佐藤公治、村松哲雄、桃崎正行ほか:枕の違いによる頚椎部MRI画像の検討. 中部整災誌.38:995-996、1995.
    10)神興市、平泉裕、藤巻悦夫.頚椎夜間装具としての治療. 日脊椎外会誌.9:S210、1998.
    論文・寄稿 肩こり・痛みの予防治療のための寝具指導
  • 2008.9.13(土)

    枕調節を用いた肩こりの治療評価ーMRIを用いて
    Assessment of therapy of neck pain and stiffness by the adjusted pillow, using MRI



    【はじめに】
    日本国民の最も多い愁訴に肩こりがある。我々は枕調節法SSS法を用いて、寝返りを促す枕の高さを決定し、静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢を整え、肩こりの改善を検証してきた。今回は、症状の改善した症例の静的睡眠姿勢を、MRIを用いて評価した。

    【対象】
    肩こり、頚部痛を訴えて来院した症例の頚椎の動態MRIを撮影した177例、男性62例、女性115例、年齢18~83歳、平均52.9歳を対象とした。仰臥位で枕なしと至適高さの枕における頚部脊柱管および頚髄の状態を評価した。

    【方法】
    MRIT2強調画像矢状断で、解剖学的に脊柱管の広い第3頚椎椎体レベル(C3)と、各症例の病変部である最狭窄部(N)の脊柱管径と、同部における脊髄径を計測し、比較した。背柱管を狭窄する前方要素として椎間板のbulding、herniation、骨棘、後方要素として黄色靱帯の肥厚、骨性狭窄などがある。

    【結果】
    脊柱管径は、枕なしでC3 11.35mm、N 8.71mmが、至適枕でC3 11.56mm、N 9.40mmと拡大した。脊髄径は、枕のない状態でC3 6.48mm、N 5.65mmが、至適枕でC3 6.59mm、N 5.85mmと拡大した。

    【考察】
    至適枕でくも膜下スペースが椎体各レベルで拡大が見られ、頚髄のアライメントが改善した。背柱管を狭窄する前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、臨床評価を裏付けるひとつの根拠となった。
    論文・寄稿 第57回東日本整形災害外科学会  発表内容
  • 2008.6.26(木) 14:00~15:00

    整形外科医が考える睡眠姿勢・・・枕調節法を用いて・・・



    【はじめに】
    整形外科的に至的睡眠姿勢を考えるときに重要なことは、静的睡眠姿勢と、動的睡眠姿勢つまり寝返りの両方の条件を考えることである。我々はこれまでに、枕調節法SSS法を用いて、寝返りを促す仰臥位および側臥位に適合する枕の高さを決定し、SASの症状改善や頚椎疾患の頚部症状や睡眠障害の改善を検証してきた。今回は、この臨床評価の改善が得られた症例における静的睡眠姿勢を、MRIを用いて評価した。

    【対象】
    頚部症状、睡眠障害を訴えて来院し、頚椎の動態MRIを撮影した177例、男性62例、女性115例、年齢18~83歳、平均52.9歳を対象とした。仰臥位で枕のない状態と至適高さの枕における頚部脊柱管および頚髄の状態を評価した。

    【方法】
    MRIT2強調画像矢状断で、解剖学的に脊柱管の広い第3頚椎椎体レベル(C3)と、各症例の病変部である最狭窄部(N)の脊柱管径と、同部における脊髄径を計測し、比較した。背柱管を狭窄する前方要素として椎間板のbulding、herniation、骨棘、後方要素として黄色靱帯の肥厚、骨性狭窄などがある。

    【結果】
    脊柱管径は、枕のない状態でC3 11.35mm、N 8.71mmが、至適枕でC3 11.56mm、N 9.40mmと拡大した。脊髄径は、枕のない状態でC3 6.48mm、N 5.65mmが、至適枕でC3 6.59mm、N 5.85mmと拡大した。

    【考察】
    MRIを用いて静的睡眠姿勢を評価した。至適枕において、くも膜下スペースが椎体各レベルで均等に拡大する傾向が見られ、頚髄のアライメントが良好となった。背柱管を狭窄するさまざまな前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、これまでの臨床評価を裏付けるひとつの根拠となると考えられた。
    論文・寄稿 第33回日本睡眠学会学術集会 発表内容
  • 2007.9.21.(金)

    学会メインテーマ:高齢者にやさしい整形外科
    会場: 軽井沢プリンスホテル

    「高齢者にやさしい睡眠ー円背者に対する枕調節のMRI評価」 16号整形外科 山田朱織
    論文・寄稿 第56回東日本整形災害外科学会 発表内容
  • 2007.5.24(木)-27(日)
    第80回 日本整形外科学会学術総会 発表
    場所: 神戸市
    会場: ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場
    スローガン: 「整形外科のIdentityの確立とFrontierへの挑戦」

    枕治療のEBM を目指して―疾患別枕調節のポイント―




    山田朱織1)、熊谷日出丸1)、勝呂徹2)

    【目的】
    頚椎疾患や姿勢異常の治療として睡眠中の寝姿勢 は重要で適切な枕の使用が求められる。疾患や体格ごとの 至適枕は異なり調節は不可欠である。治療法として枕のエ ビデンスは確立されていない。今回、頚椎捻挫、関節リウ マチ(RA)、円背の頸部症状への影響を知る目的で枕調節 法、効果判定、画像評価、疾患別枕調節を検討する。

    【対象・方法】
    対象は3 疾患、A群:頚椎捻挫33 例、平均年齢46.5 歳、 観察期間22.1 週、B 群:RA43 例、59.7 歳、13.6 週、C 群: 姿勢異常(円背)50 例、77.1 歳、23.4 週で、当院で考案 したSet-up for Spinal Sleep 法(以下SSS 法)で枕を調節 し、至適枕とした。SSS 法は、側臥位で頭部~体幹の中心 線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角が15 度前後とす る方法で寝返りを容易にする。評価はPillow Score(以下 PS)を用い、画像評価としてX-P とMRI で至適枕の頚椎 アライメントを検討した。

    【結果】
    PS は、調整前A 群23.4 点、B 群27.3 点、C 群 26.5 点が調整後36.6 点(改善率61.6 %)、35 点(43.5% )、 36.8 点(55.7% )、自覚症状63.4 %、48.4% 、77.8% 、他 覚所見41.5 %、29.8% 、45.7% 、ADL は68.6 %、52.6% 、55.1% 、満足度83.3 %、69.0 %、92.3 %であった。総合 とADL は頚椎捻挫、自他覚所見は円背、満足度はいずれ も高かった。SSS 法で至適枕調節を行うとPS は有意に改 善(P<0.0001)した。至適枕の傾斜角はA 群14.2 °,B 群 14.6 °,C 群11.8 °(拘縮性8.8 °, 非拘縮性16.8 °)、MRI は 3群とも椎体アライメントが良好、障害部のsubarachnoid space が開大傾向にあった。頚椎捻挫の疼痛を軽減しADL を改善した。RA の寝返り時疼痛は93 %軽快し熟睡感を得 た。円背の92.3% は寝返りが容易になり中途覚醒が減少し た。

    【考察】
    睡眠により頸部筋緊張は回復するが、不適切な枕 では安静のみでなくダイナミックな寝返りも困難である。 SSS 法に基づく至適枕の調整は、睡眠時の関節、軟部組織、 神経を回復させると考えられた。仰臥位頚椎傾斜角は、平 均15.2 °に近似することから至適睡眠時頸椎アライメント と推察された。

    成瀬整形外科+マクラセンター1)、東邦大整形2)
    論文・寄稿 第80回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2006.11.3.(金・祝) -4.(土)
    第9回 日本アロマセラピー学会 学術総会
    場所:さいたま市大宮ソニックシティ
    埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5

    ■市民公開講座 11.3.アロマセラピーの日 16:30-17:00
    (一般のご聴講者のみなさま、どなたでも無料でご参加いただけます。)
    「肩こり解消 -よい眠りとアロマセラピー-」 山田朱織(成瀬整形外科)
    論文・寄稿 第9回 日本アロマセラピー学会 学術総会 発表内容
  • 2006.9.16.(土)
    第55回 東日本整形災害外科学会
    場所:ラディソン都ホテル東京
    パネルディスカッション「肩こりの病態と治療」セッション パネラー:山田朱織

    睡眠中の肩こり治療―エビデンスに基づく枕調節法を用いて―



    The therapy of neck, shoulder pain and stiffness by the evidence based
    adjusted Pillow.-


    【目的】
    肩こりは、原因不詳の所謂肩こりと、原因が明らかな症候性肩こりがある。いずれも睡眠中の頚椎の安静と負担のない寝返りが重要と考える。しかし体格や疾患を考慮した適切な枕の調整方法は確立されていない。不適切な枕は起床時から肩こり他症状を来たす。我々は症候性の肩こりの枕を、SSS法で調節し肩こりの改善を評価した。更に単純X-Pで、睡眠中に症状を改善する頚椎の至適角度を検討した。

    【対象・方法】
    対象は症候性の肩こりで、3疾患に分類した。A群:交通事故の頚椎捻挫25例、平均年齢45.9歳、観察期間20.5週、B群:関節リウマチ43例、59.7歳、13.6週、C群:姿勢異常(円背)50例、77.1歳、23.4週である。夜間使用する枕をアンケート調査した。頚部症状は日整会治療成績判定基準を改変したPillow Score(以下PS)で評価した。PSは、肩こり、頭痛、起床時の不快症状、寝違え、寝返り等を含む症状を問診、自覚他覚所見、満足度等総合的に評価した。SSS法は側臥位で頭部と体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で仰臥位頚椎傾斜角が15°前後となる枕調節法である。

    【結果】
    調節前の枕は羽毛、低反発ウレタン、ソバガラの順で、タオル等で自作する症例もあったが、いずれも高さや硬さを選択する基準はない。PS45点満点で、枕調整前平均はA群23.6点、B群27.3点、C群26.5点が調整後A群35.9点(改善率57.5%)、B群35点(43.5%)、C群36.8点(55.7%)と改善した。項目別改善率は、自覚症状A群62.8%、48.4%、C群77.8%、他覚所見A群42.1%、B群29.8%、C群45.7%、ADLはA群64.2%、B群52.6%、C群55.1%、満足度A群74.1%、B群69.0 %、C群92.3 %であった。至適枕の仰臥位頚椎傾斜角はA群13.8、B群14.6°、C群11.8°(拘縮性8.8°、非拘縮性16.8°)だった。

    【考察】
    脊椎動物における睡眠中の寝返りの意義は解明されていない。しかし今回の結果から、SSS法で寝返りが容易になる枕を調節すると肩こりが改善した。睡眠中に頚椎は、安静のみでなくダイナミックな寝返り動作により関節、軟部組織、神経など組織を回復させ、頚椎のリアライメントを促すと考えられた。仰臥位頚椎傾斜角は、非症候例の平均値15.2°に近似した。疾患別差異は、平均年齢と体格特異性を反映すると考えられた。その傾向を念頭におき、厳密な枕の調節及び再調整が重要と考えられた。
    論文・寄稿 第55回 東日本整形災害外科学会 発表内容
  • 2006.6.29.(木)-30(金)
    第31回 日本睡眠学会学術集会 発表(6.30.)
    場所:滋賀県大津プリンスホテル(滋賀県大津市におの浜4-7-7)

    睡眠障害に対する整形外科的アプローチ
    -睡眠時無呼吸症候群に対する枕調節の試み-




    【はじめに】
    睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の治療法は、中等~重症例に対する経鼻的持続陽圧呼吸法、軽症例には耳鼻科的手術療法、マウスピース、体重コントロール等があるが治療法の選択肢は少ない。当院では整形外科的な頚椎症状に対し枕の調節法を用いて治療を行ってきたが、本法によりSASを合併例に改善例が見られたため、SASの治療の有用性に関する研究を開始した。その試みについて発表する。

    【方法】
    整形外科的な枕調節法とは、寝返りを促す仰臥位および側臥位における枕の高さ、硬さを厳密に調節する。これまでに日整会治療成績判定基準改変Pillow Scoreを用いた我々の研究で、適切な仰臥位頚椎傾斜角は15度前後であり、これを指標に疾患ごとに調節を行う。終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で、調節した枕と調節していない市販の枕の2種類をスプリットナイトでモニタリングし、以下を観察した。1)2003.11.~2004.2.にFirst Night施行した8例、女性3例男性5例、平均年齢41.2歳において、各体位における睡眠時間および仰臥位におけるAHIを観察した。2)2004.11.~2005.10.First Night施行した15例、女性2例男性13例、平均年齢42歳において、AHI、最低SaO2、Stage変化を観察した。

    【結果】
    1.8例中6例(80%)において仰臥位睡眠時間が延長しており、8例の平均仰臥位時間は、不適切な枕において81.2分、適切な枕で164.4分であった。また8例中5例(83.3%)が仰臥位におけるAHIの減少が見られた。2.15例中、AHIは10例(66.7%)に減少を認めた。最低SaO2は9例(60%)に増加を認めた。Stage変化は、9例(60%)はstage1が減少しstage2が増加した。Stage2が増加したがstage3が減少した例も2例見られた。

    【考察】
    今回の研究では、整形外科的な枕調節法を用いることで、仰臥位においても無呼吸が起こりにくい傾向があることが示唆された。また、AHI、最低SaO2、Stage変化においても適切な枕調節が好影響を与えると考えられた。
    論文・寄稿 第31回日本睡眠学会学術集会 発表内容
  • 2006.5.18(金)-21(土)
    第79回 日本整形外科学会学術総会 発表(5.20.)
    場所:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)

    演題名:円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価


    Improvement of sleep disturbance caused of round back using the adjusted pillow.


    【目的】
    脊椎の彎曲異常は日常生活に障害を引き起こす。我々は円背の夜間使用する枕をSSS法で調整し、睡眠障害と脊椎症状の改善を評価した。

    【対象および方法】
    円背50例、男9例女41例、年齢は65歳~88歳平均77.1歳。胸腰椎圧迫骨折を伴う構築性円背15例、非構築性円背35例、観察期間は1~107週平均23.4週。SSS法は側臥位で頭部体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角15度前後とする枕の調節法で適合を寝返りで確認する。単純X線仰臥位頚胸椎側面像で胸椎後弯と頚椎前傾角を検討、日整会治療成績判定基準改変Pillow Score(以下PS)とアンケートで評価した。

    【結果】
    PS45点満点で、枕調整前平均26.5点が調整後36.8点改善55.7%、自覚症状6.3点が8.4点改善77.8%、他覚所見6.5点が8.1 点改善45.7%、ADL8.2点が12.5点改善55.1%、満足度0.7点が1.9点改善92.3 %(全P<0.005)であった。夜間症状は調整後寝返り28例中26例改善!
    92.9%、不眠37例中34例改善91.9%、トイレ回数は3.1回が1.5回改善49.7%、起床時肩こり39例中36例改善92.3%、頭痛17例中16例改善94.1%、手のシビレ19例中17例改善89.5%と有意に改善した。仰臥位頚椎傾斜角は5~25°平均11.6°で、構築性円背8.8。、非構築性円背16.8°で差が大きかった。

    【考察】
    SSS法はPSを有意に改善した。円背が適切な枕で寝返りすることは睡眠障害の改善に重要と考えた。非円背2284例の枕の高さと体格の相関を調べたが男949例で身長と枕は相関係数(以下R2)=0.811、体重と枕R2=0.898、女1205例で身長と枕R2=0.842、体重と枕R2=0.737と高い相関を示した。円背130例男女の体格と枕に相関はなかった。円背は体格から枕の高さ推定は困難だが、構築性、非構築性に分類し仰臥位頚椎傾斜角を知ることが指標になると考えられた。
    論文・寄稿 第79回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2005.9.23(金)-24(土)
    第54回東日本整形災害外科学会 発表
    場所:新高輪プリンスホテル 国際館パミール

    円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価




    【目的】
    脊柱の彎曲異常による病的姿勢は日常生活に様々な支障を引き起こす。我々は高齢者の骨粗鬆症に基づく円背の睡眠障害に着目し、夜間使用する枕の高さをSSS法にて調節し症状改善を評価した。

    【対象および方法】
    対象は円背38例、男5例女33例、年齢は65歳~88歳平均77.1歳。仰臥位において胸椎が伸展を示した非拘縮性円背が31例、胸椎が伸展せず頚椎が代償性に過伸展した拘縮性円背7例であった。観察期間は1~42週平均17.9週。SSS法は側臥位で頭部と体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角を15度前後とする枕の高さ調節法である。単純X線で頚胸椎側面像を撮影し胸椎の後弯と頚椎の前傾角をみた。頚部症状の評価は日整会治療成績判定基準を改変したPillow Score(以下PS)を用い、又睡眠に対する愁訴の改善をアンケート調査した。

    【結果】
    PSは45点満点で、枕調整前平均25点が調整後平均36点(P<0.001)、改善率50%であった。自覚症状5.9点から8.0点、改善率68.8%、他覚所見6.6点から8.4 点、改善率52.9%、ADL7.7点から12点、改善率51.8%、満足度0.5点から1.9点、改善率93.3 %(全てP<0.001)であった。睡眠に関する愁訴で多いのは寝返りし難い、熟睡感がない、夜中に目覚めトイレに何度もいく、いびき等であった。不適切な枕による起床時不快症状は、肩こり、頭痛、手のシビレがある。アンケート結果は、寝返り28例中26例改善92.9%、不眠25例中24例改善96%、トイレ回数は6回が1回になった例もあり平均3.5回が1.4回に減少した。起床時の症状は肩こり28例中26例改善92.9%、頭痛16例中15例改善93.8%、手のシビレ14例中12例改善85.7%と有意に改善していた。調節した枕における仰臥位頚椎傾斜角は5~25°平均14.4°であった。

    【考察】
    SSS法を用いて2284例の枕の高さを計測し体格の相関を調べた。非円背男949例で身長と枕の高さは相関係数(以下R2)R2=0.8119、体重と枕の高さはR2=0.8984、非円背女1205例で身長と枕はR2=0.8421、体重と枕はR2=0.7378と高い相関を示した。一方円背130例中男38例、女92例は体格と枕の高さに相関関係は認めなかった。これより円背は体格から枕の高さの推定は困難で、SSS法を用いて厳密な調節が重要である。本法によりPSおよび睡眠に関する愁訴が改善した。円背において適切な枕で寝返りを打ち熟睡を得ることは、日常生活を改善する重要な問題と考えられた。
    論文・寄稿 第54回東日本整形災害外科学会 発表内容 - 円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価
  • 2005.5.12(木)-15(日)
    第78回日本整形外科学会学術総会 発表
    場所:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)

    関節リウマチの睡眠障害と枕の高さ調節による頚部症状改善の評価


    Improvement of sleep disturbance caused by cervical symptoms of rheumatoid arthritis using the adjusted pillow.

    山田朱織1)、古府照男2)、勝呂徹3)

    【目的】
    関節リウマチ(以下RA)患者の睡眠障害を調査した。頚椎病変を有するRAにおいて、今回我々は一定の基準を用い高さを調節した枕を考案し、画像的評価と臨床症状の改善度について検討した。

    【対象および方法】
    対象は頚椎病変を有するRA20例、全例女性、年齢は31 ~81 歳平均60.6歳。枕の調節法は側臥位において頭部と体幹の中心線が臥床面に水平になり、同時に仰臥位で頚椎が臥床面に対し5 度前後前傾とする。適切な高さを決定し、レントゲンで頚椎側面像を撮影し、環軸椎亜脱臼および中下位頚椎アライメントを確認した。頚部症状について日整会腰痛治療成績判定基準を改変(以下MJOAs),Visual Analog Scale (以下VAS),Face Scale(以下FS)を試行した。

    【結果】
    20例中10例(50%)が、睡眠中の疼痛ほか夜間症状等を訴えていた。寝具の不適合が症状の原因と自覚しているもの5例(25%)あった。症状は首のこわばり17例(85%)、頚部痛15例(75%)、肩および肩周囲の痛み(70%)、寝返りのしにくさ13例(65%)、頭痛11例(55%)、不眠感10例(50%)であった。MJOAs は使用前平均18.5点が使用後平均27点(P<0.005)、改善率は45.9%であった。自覚所見4.9点から6.1点(P<0.01)改善率28.6%、他覚所見3.7点から4.7 点(P<0.05)改善率15.8%、ADL6.8点から11.5点(P<0.01)改善率50.9%、満足度0.7点から1.6点(P<0.05)改善率68.4 %であった。VASは4.5から3.1(P<0.01)、FSは10.1から6.4(P<0.001)と有意に改善していた。

    【考察】
    今回我々は、中下位頚椎のアライメントを重視して睡眠中の頚椎の状態を決定する枕の高さ調節法を考案した。同時に環軸椎亜脱臼も評価したが、ADIが開大する条件は枕の高さではなく顎のポジション(nodding)による影響が大きいと考えられた。MJOAsで、頚部症状の自覚および他覚所見の有意な改善をみたが、特にADLの改善度が高かった。客観的な基準をもった枕の調節法を確立する事は、頚部症状を有するRAの睡眠障害の改善において有用と思われた。


    成瀬整形外科1)、東邦大附属佐倉病院整形2)、東邦大整形3)
    論文・寄稿 第78回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2004.5.27-30
    第53回日本理学療法学会学術総会 発表
    場所:新潟ユニゾンプラザ


    頚部症状を有するラグビー選手へのテイラーメイドの枕の有用性について



    森の里病院 理学療法室
    山口泰成 
    成瀬整形外科
    山田朱織 熊谷日出丸

    【目的】
    コンタクトスポーツの中で特に,ラグビー選手における頭部・頚肩部外傷は多く,それに伴う頚部痛,いわゆる肩こり,しびれなどの頚部症状は高頻度で出現する。今回,頚部症状を有するトップレベルのラグビー選手が一定期間,テイラーメイドの枕(以下 枕)を使用することで頚部症状に改善を認めたか検討を行ったので報告する。

    【方法】
    対象はトップレベルのラグビー選手,男性15例(ヤマハ発動機),年齢は22~39歳,平均28.4歳。15例とも頚椎疾患または頚部スポーツ外傷歴があり何らかの頚部症状を有した。方法は,枕(整形外科枕 株式会社山田朱織枕研究所)を使用。枕の計測および調節は同一検者が行い,各選手の頚椎が仰臥位では臥床面に対し,5~10度前傾位。側臥位では頭部と体幹部の中心線が臥床面に水平となるよう,適当な高さに調節し使用した。使用期間が短期使用群(3週間)6例をA群,中期使用群(6週間)9例をB群とした。頚部症状は日本整形外科学会治療成績判定基準を一部改変した評価(以下MJOAs)を使用。評価内容は自覚症状9点,他覚所見10点,ADL16点,満足度3点の4項目で38点満点とした。

    【結果】
    A群:MJOAsでは枕の使用前平均点が22.0±7.0点,使用後平均27.3±6.0点と有意な差が認められた。(p<0.05)改善率33.1%。しかし自覚症状,他覚所見,ADL,満足度の各項目で,改善は認めたものの有意な差は認められなかった。B群:MJOAsでは使用前平均21.9±5.4点,使用後平均30.3±5.4点と有意な差が認められた。(p<0.01)改善率52.2%。また,ADL項目でも使用前平均9.2±3.0点から使用後平均12.4±2.8点(p<0.01)改善率47.1%,満足度項目でも使用前平均0.1±0.3点から使用後平均2.2±0.9点(p<0.001)改善率72.4%とそれぞれ有意な差が認められた。とりわけ自覚症状の上肢痛・しびれ(p<0.05),他覚所見の頚椎神経根症の圧痛点トリガーポイント(p<0.01)に有意な差が認められた。ADL上では,同一姿勢での背部痛,不眠・熟睡感のなさ,起床時のいわゆる肩こり・頭痛・手のしびれの改善が著明であった。

    【考察】
    テイラーメイドの枕によりトップレベルのラグビー選手の頚部症状に改善を認めた。これは枕のフラット構造と頭頚部の適当な位置により,自然な寝返りと頚部の安定が保持されたためと考えられる。これにより運動療法だけでなく静的な治療も重要な一手段と考えられる。さらに長期使用例に有意な改善がみられたことは継続の意義を示唆するものであり,競技中のパフォーマンスにも好影響を及ぼすものと考えられる
    論文・寄稿 第53回日本理学療法学会学術総会 発表内容
  • 2004.5.20-23
    第77回日本整形外科学会学術総会 発表
    場所:神戸国際会議場

    トップレベルのラグビー選手における枕の高さ調節による頚部症状改善の評価



    山田朱織1)、山口泰成2)、熊谷日出丸1)

    【目的】
    睡眠中使用する枕において、適切な個々への適応基準は未だ確立されていない。今回我々は一定の基準を用い高さを調節した枕を考案した。頚部症状を有するラグビー選手の症状改善度を検討したので報告する。

    【対象および方法】
    対象はトップレベルのラグビー選手(ヤマハ発動機)19 例、全例男性、年齢は22 ~39 歳平均28.4歳うち16 例(84.2% )は頚椎疾患または頚部スポーツ外傷歴があった。本調節法に基づき各選手の体格に適合する枕を作製し、A 群:短期使用群(3 週間)7 例、B 群:中期使用群(6 週間)12 例の症状改善度を評価した。枕の調節法は、側臥位において頭部と体幹の中心線が臥床面に水平になり、同時に仰臥位で頚椎が臥床面に対し5~10 度前傾となるものである。枕の素材はウレタンとフェルトでへたりによる高さ変化を防止した。頚部症状は日整会腰痛治療成績判定基準を一部改変(以下MJOAs )して評価し、自覚症状9 点、他覚所見10 点、日常生活動作(以下ADL)16 点、満足度3 点の4 項目総合38 点満点とした。

    【結果】
    MJOAs は全例で使用前平均21.9 点が使用後平均29.1 点(T-testP<0.0001)、改善率は44.7%であった。使用期間で比較すると、A 群は22 点から27.3 点(P<0.05)改善率33%、B 群は21.8 点から30.3 点(P<0.001)改善率52.5%であった。項目では、他覚所見5.9 点から7.5 点(P<0.01)改善率34.1%、ADL9.8 点から12.2 点(P<0.01)改善率38.7%、満足度0.2 点から1.7 点(P<0.001)改善率53.6 %であった。

    【考察】
    客観的な枕の調節法を用いて、トップレベルのラグビー選手の頚部症状が改善する事が明らかになった。リーグ中の外傷もあって自覚症状改善は優位ではなかったが、他覚所見及びADL 症状の改善は有意であった。満足度の改善率は有意に高値を示した。短期より中期成績の改善率が高い事は、使用を継続する有用性を示唆する。客観的な基準をもった枕の調節法を確立する事は、頚部症状の改善
    において有用と思われた。

    成瀬整形外科1)、森の里病院リハビリテーション科2)
    論文・寄稿 第77回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • ●目次
    ●はじめに
    ●現代人の睡眠満足度
    ●21世紀の快眠市場
    ●不眠症とは
    ●不眠症分類
    ●整形外科的睡眠の研究
    ●寝姿勢を決定する枕の条件
    ●アロマセラピーで熟睡を


    はじめに

    21世紀日本国民の約20%にあたる2400万人、つまり5人に一人が睡眠障害といわれます。昼夜の差のない24時間稼動型社会とは、人間にとって本当に快適な生活なのでしょうか。快適至便に感じる人工的な環境において、人間は動物本来の生理的な能力を失いかけているのかもしれません。人間が生きるための最も基本的な行動を「情動」といいます。食べる、眠る、子孫を残す行動や能力です。快適さ、合理性の中にも、「動物である人間」本来の情動、生体リズムを守ることは不可欠なのです。

    21世紀型睡眠障害の代表として、神経症性不眠症、睡眠覚醒リズム障害、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)などが挙げられます。不眠症は病気の一症状として捕え、早期に治療を要するものもあります。しかし、不眠症に対する日本の医療現場における治療体系は、まだ充分に整っていません。また、歴史的に精神科領域での研究が主体となってきた研究分野のため、不眠症の原因が精神・心理領域のものと考えられがちな傾向ですが、実は大変広い診療科領域の症状なのです。本編では「より良い眠り」を提案するために、まず「眠れない(不眠症)」の理解を促し、そして整形外科の立場から寝姿勢を決定する枕の重要性を解説し、更に熟睡度をあげるアロマセラピーの有用性と実例について示します。



    現代人の睡眠満足度

    2003年3月に花王(東京都中央区)が、首都圏在住の20~40代の女性450人を対象に睡眠満足度調査を施行しました。自分の睡眠に満足と答えたのは46%、不満と答えたのは過半数を超える54%でした(図1)。

    しかし満足と答えた人も含めて「不満要因はありませんか?」と訪ねると、「全く不満要因がない」と答えたのは、わずかに13.8%、残る86.2%は何らかの不満要素を持っているという結果でした(図2)。興味深いのは、その不満要因(複数回答)の内容です。最も多かったのが「睡眠時間が足りない」で54.7%、次に「寝つきが悪い」35.1%、「眠りが浅い」32.4%、「夜中に何度も目が覚める」19.3%と続いています。

    近年、日本人の平均睡眠時間は確かに年々減少傾向にあります。2000年にNHKが行った国民生活時間調査の結果では、日本人の平均睡眠時間は7時間23分です。30~40代の働き盛りの年代層がもっとも睡眠時間が短い結果となっており、約4人に1人が「自分は睡眠不足である」と感じているといいます。しかし睡眠時間が6~7時間という数字は、極端に少ないものではありません。つまり、睡眠の満足度とは単に睡眠時間の多い少ないではなくその質が重要なのです。では、「眠るための工夫」としてどのようなことをしているのでしょう。

    同調査の結果(複数回答)では、第1位はマッサージ、ストレッチで43.6%、第2位は読書で38.2%、そして第3位はアロマセラピー32.7%となっています。アロマセラピーは、1980年代後半から日本人の生活に取り入れられてきました。一時は流行とともにトラブルもありましたが、この結果からも、現在は安全性と有効な使用法が市場にも普及してきた事を感じます。






    21世紀の快眠市場

    睡眠満足度調査の結果を反映するように、「眠り売ります」の快眠産業は全盛を迎えています。1995年以降、アメリカンマーケティングの主流になった快眠産業ですから、日本では他の流行産業同様、約10年後にピークを迎えるというわけです。睡眠薬、睡眠改善薬、サプリメント、健康食品、寝具、枕、照明器具、空調、マッサージチェア、ホテルや寝具ショールームそして企業内の昼寝専用スペース、音楽、香り、ハーブティー、アイマスク、快眠ドリンク剤、快眠パジャマ等々。本道をそれたものも少なからず見受けられます。近い将来3兆円巨大市場へと拡大が予測される快眠市場です。快眠市場が拡大するとは、世の中に眠れない人が増えてしまうという事なのでしょうか。

    2003年4月エスエス製薬が販売開始した「ドリエル」は、医師の処方箋無しで購入できる国内初の睡眠改善薬です。製薬業界では驚異的なヒットを記録しています。日本人は不眠を訴えて、医療機関を受診する事が少ないという報告があります。たとえ病院の敷居をまたいでも、総合受付で「一体、何科にかかればよいのか?」となります。専門の睡眠外来があればよいのですが、この標榜はまだまだ特殊機関にしかありません。まだ医療側も振り分けができるほど、「不眠症」は診断治療において体系化されていない現状です。
    「一日がかりで病院にいっても説明も充分にないし、結局解決にならない」と現行医療への不信も手伝って、手軽に購入できて直ぐ使用できる市販薬のニーズは高まるわけです。風邪薬や抗アレルギー薬の成分中の、眠くなる成分だけを取り出す睡眠改善薬に、副作用の面から肯定しない専門医も少なくありません。この問題解決には、症状に悩む人々の不眠症に対する正しい理解と、これを取り巻く医療や社会の適切な方向への発展が必要です。



    不眠症とは

    睡眠科学の第一人者であり臨床医でもあるウィリアム・C・デメントは「不眠症を治療する時の最大の障壁は、これが深刻な問題だと納得してもらうことだ。」と指摘しています。不眠症とは一つの症状です。病気の種類ではありません。患者様も医者も、不眠症という症状の“原因”を追求するより、安易に睡眠薬でそこそこの対処をする傾向は否めません。この初歩的な認識の誤りが、長期にわたる睡眠負債(不眠状態が蓄積すること)となって悪化していく原因となります。数々の成人病など合併症の引き金となるばかりでなく、活力や認知能力が蝕まれ、個人の生産性を低下させたり、眠気ゆえの思わぬ事故へとつながることにもなります。

    原因の解明が重要です。「眠れない」が始まったその頃にきっかけとなる出来事がなかったか、同時に起こった症状がないか探してみるのです。一過性の心身ストレス、肉親の不幸など心の傷、転居や仕事内容の変化など生活環境の急な変化、騒音や照明といった睡眠環境の悪化、仕事に集中して興奮状態が続くなど、どのようなことでも原因となりうるのです。原因が見つかれば、これをコントロールしたり、排除すべく対処法をこうじることができるのです。また嗜好品のアルコール、カフェイン、ニコチンは不眠の原因に挙げられています。病気の治療で処方された薬剤(血圧降下剤、気管支拡張剤、抗潰瘍剤、ホルモン剤など)の副作用として不眠が起こることも有ります。

    次に病気の一症状です。病気の種類を問わず、夜間に痛みや痒みがあれば睡眠が障害されます。最も多いのが首と腰の疾患があって、首痛、頭痛、手のしびれ、腰痛、足のしびれ、こむら返りなど目が覚める事です。これは寝具や枕の影響が非常に大きいのです。また内蔵痛として胃潰瘍の上腹部痛や、尿管結石などの背部痛なども睡眠が妨害されます。アトピー性皮膚炎の痒みは夜間の掻痒行動として目が覚め、老人性皮膚掻痒症では入眠時に血管が拡張し痒みが出現します。他にも、前立腺肥大や膀胱炎でトイレ回数が増えれば、睡眠が中断されますし、喘息や肺・気管支の病気では咳や呼吸の苦しさで熟睡できなくなります。不安神経症やうつ病の一症状としての不眠症は、早期に専門医に相談することが肝要です。


    不眠症分類

    不眠症分類として、眠れないタイプによるタイプ分類があります。不眠症診断のための1つの情報となります。寝つきの悪い入眠障害、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早くに目が覚め眠れなくなる早朝覚醒、時間的には寝たはずなのに朝起きて熟睡感のない熟眠障害です。例えば、うつ病の不眠症は早朝覚醒とその後の浅睡眠による不快感の訴えが多く、アトピー性皮膚炎の痒みによる不眠症は途中覚醒が多いというように、病気によっては特徴的なパターンを示す傾向がつよいものもあります。ただし、すべてがタイプ別に、一対一対応で特効的な治療が見つかるわけではありません。医師が患者様に睡眠薬を選択し処方するとき、分類に従ってどの時間帯に薬効を発現させるかの指標になります。入眠障害なら超短時間作用型の睡眠薬を選択し、中途覚醒や早朝覚醒のタイプでは、睡眠を維持しなければならないので中間作用型や長時間作用型が有効といえます。



    整形外科的睡眠の研究

    2002~2003年にかけて、当院(整形外科診療所)に来院した患者様260人に対し、「自分の枕に満足ですか?」と質問しました。

    満足と答えたのは12%のみ、どちらでもない26.3%、不満と答えた人は61.7%でした。不満と答えた方に枕調節をしたのち、今度は枕についてではなく、「自分の睡眠に満足ですか?」と質問すると、実に76%が満足、以前より眠りが良くなったと答えました(図3)。

    その改善の理由には、「短時間でもぐっすり深く眠れるようになった」、「夜中に首や肩が痛くて目が覚めていたが、起きなくなったので熟睡できる」「枕に頭をのせると安定感があり、すぐ寝つけるようになった」「枕を換えて、夜中に何度もトイレに起きていたのに行かなくなった。朝方トイレに起きても、又すぐ寝つける」などです。この結果から、枕という単純な物理環境が、眠りの質に影響しているのがかわかります。

    不適切な枕を使用することが原因で睡眠が障害される事を枕不眠と呼びます。枕不眠は、先に示した不眠症タイプ分類のいずれにもありうるのです(図4)。ただ単に枕が不適合なために、首の痛みや頭や腕の置きようがない、そして寝付けないとなります。夜中に目が覚める人も、朝早く起きてしまう人のなかにも、枕が適合していないために下になった肩が痛い、手がしびれる、首の痛みや腰痛などで睡眠深度が浅くなり、とうとう目が覚めてしまう人があるのです。変形する枕では、夜間に寝返りを打つたびに頚椎が不安定になり、上下左右の動きが生じて頚神経を圧迫します。「枕が合わなくて不眠症になる?なぜだろう」疑問に思う方もいるでしょう。



    次に、寝姿勢を決定する枕の条件と、不眠症の関係を説明します。枕とは、就寝時に頭をのせるものと考える方が多いのですが、頭を置いた高さと置く素材によって首(頚椎)の位置を決定されるのです。その理由は、頚椎の解剖にあります。

    図5に、人間の頚椎とその後方の椎間孔(神経の出口となる穴)、そして頭部、頚部、肩~肩甲骨周囲、両上肢まで神経支配する第1~8頚神経の解剖図を示します。睡眠中の不適切な静的寝姿勢や動的寝姿勢つまりダイナミックな寝返りにより、椎間孔が変形し、頚神経が圧迫されると、頭痛、頸肩腕の痛み、背部痛など各部の疼痛、後頭部、頚部、上肢のしびれ、血流異常による首や肩のこり感、手指の冷感などが生じるのです。また、頚椎の位置が異常になると、連続する腰椎にも異常をきたし腰痛や坐骨神経痛、下肢の冷感の原因にもなります。不快な身体症状は、結果的に熟睡を阻害します。熟睡は脳の休息であるノンレム睡眠と関係が深いといわれます。翌朝には体がだるい、やる気が起こらないなどモチベーションの低下や精神的な症状にまでも発展します。




    寝姿勢を決定する枕の条件

    正しい枕の3大条件は、(1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ (2)浮き沈みのないフラット形状 (3)適宜調整(メンテナンス)です。

    (1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ
    個人の体格・寝返りに最適な高さは、枕の最重要ポイントです。高さは、次の2つの条件下で適合していなければなりません。静止時の頭~頚~体の寝姿勢と、運動時つまりダイナミックな寝返り動作をする時の寝姿勢の2つの条件です。この2つを満たすとき、熟睡による心身の回復が得られます。抵抗のない寝返りは、体の体液つまり血液、リンパ液、関節液の循環を促し疲労した組織を修復するとともに、日中起立時に負担のかかる脊椎を休ませ回復させる働きをもつのです。

    静止時の条件ですが、これは上向きと横向きの両方で首の角度が最良になる高さを決定しなければなりません。上向きの適合のみでは、横向きになると下になった肩が痛い、腕の置き所がないという現象がおこります。上向きでドーナツ型枕の中央の低いくぼみに頭が入り、横向きではサイドの高い部分に乗るというのは理論上の話です。頚や肩の痛みのある方は、途中で高い部分への山登りを止めて大きな寝返りを諦める人もいます。横向きでは体の中心軸が床面と並行になるように合わせます。上向きでは床面に対して首が前傾5~10度になるようにします(図6)。

    これは頚椎の後ろにある椎間孔という神経の出る穴が一番大きく開いて、神経がゆるめられ神経を栄養している血液循環がよくなる姿勢なのです。低すぎる枕で後傾姿勢になり、高すぎる枕で前傾が過度になり、先に述べたとおり頚神経が圧迫を受け、こりや痛み、しびれが出現するのです。横向きでも同様に、右に傾くと右の椎間孔が狭くなり、右肩や右手に行く神経が圧迫され、右上半身の痛みやしびれが出現しやすくなります。(図7)左に傾いても同様です。

    最適な高さ調節は5mm刻みで行わなければなりません。人間の深部感覚は5mmの差で、自分に最適な高さを見分ける事ができます。そして、最後の確認は寝返りです。静的寝姿勢を決定した後、動的にも最良かどうかを確認します。5mm高すぎても、低すぎても、「全く抵抗のない寝返り」を打つことができないのです。






    正しい枕の3大条件は、(1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ (2)浮き沈みのないフラット形状 (3)適宜調整(メンテナンス)です。


    (1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ
    個人の体格・寝返りに最適な高さは、枕の最重要ポイントです。高さは、次の2つの条件下で適合していなければなりません。静止時の頭~頚~体の寝姿勢と、運動時つまりダイナミックな寝返り動作をする時の寝姿勢の2つの条件です。この2つを満たすとき、熟睡による心身の回復が得られます。抵抗のない寝返りは、体の体液つまり血液、リンパ液、関節液の循環を促し疲労した組織を修復するとともに、日中起立時に負担のかかる脊椎を休ませ回復させる働きをもつのです。

    静止時の条件ですが、これは上向きと横向きの両方で首の角度が最良になる高さを決定しなければなりません。上向きの適合のみでは、横向きになると下になった肩が痛い、腕の置き所がないという現象がおこります。上向きでドーナツ型枕の中央の低いくぼみに頭が入り、横向きではサイドの高い部分に乗るというのは理論上の話です。頚や肩の痛みのある方は、途中で高い部分への山登りを止めて大きな寝返りを諦める人もいます。横向きでは体の中心軸が床面と並行になるように合わせます。上向きでは床面に対して首が前傾5~10度になるようにします(図6)。

    これは頚椎の後ろにある椎間孔という神経の出る穴が一番大きく開いて、神経がゆるめられ神経を栄養している血液循環がよくなる姿勢なのです。低すぎる枕で後傾姿勢になり、高すぎる枕で前傾が過度になり、先に述べたとおり頚神経が圧迫を受け、こりや痛み、しびれが出現するのです。横向きでも同様に、右に傾くと右の椎間孔が狭くなり、右肩や右手に行く神経が圧迫され、右上半身の痛みやしびれが出現しやすくなります。(図7)左に傾いても同様です。最適な高さ調節は5mm刻みで行わなければなりません。人間の深部感覚は5mmの差で、自分に最適な高さを見分ける事ができます。そして、最後の確認は寝返りです。静的寝姿勢を決定した後、動的にも最良かどうかを確認します。5mm高すぎても、低すぎても、「全く抵抗のない寝返り」を打つことができないのです。


    (2)浮き沈みのないフラット形状
    せっかく高さをジャストに適合させても、睡眠中に形状が変化しては意味がありません。枕の第2の条件は素材の硬さと形状です。硬さは“頭が沈み込まない硬さ”です。素材がソバガラやプラスティックチップなど小さな粒状のものや、羽毛ほか新素材でも頭の重みで沈むものは、いびつな形に変形する可能性が大きいのです。寝返りのたびに頚椎は不安定にぐらつきます。

    枕を感触で選ぶ人がいますが、気持ちがいいと感じるのは寝入るまでの、言ってみれば覚醒時のごく短時間のことです。平均6~7時間の睡眠時間中、不適切な姿勢を強いられても目が覚めないとき、症状は朝に現れます。首が痛くて回らない、頭痛がする、体がだるくて起き上がれないなどひどい症状もあります。自分の体格に合った高さが決定できたら、今度はそれを維持できる素材選びが不可欠です。

    形はフラット形状が最良です。凹凸や彎曲は不必要です。その理由は寝返りを打ちやすくするためです。大きさは横幅50cm位あれば寝返りをしても頭が落ちません。奥行きは30cm前後あれば、まず足りない方はいません。


    (3)適宜調整
    (3)適宜調整とは、これほど精密な調整をしても、使用するうちにさまざまな枕使用条件が変わる事があります。例えば、使用者の体格の変化です。5mm刻みの適合は、体重5kgあたりで変動します。体重が5kg増えれば約5mm枕を高くし、5kg減量したら約5mm低くしなければなりません。成長期の子供の場合は身長の伸びとともに肩など骨格も変化するので、適宜調整が必要になるのです。また寝具(ベッド)や敷物(布団など)の変化によっても、枕の落ち込み具合がかわるので再調整が必要になります。

    以上の適切な枕調節によって、静的寝姿勢と動的寝姿勢の両方を最適な条件にし、副交感神経優位となる熟睡を促し、心身の充分な回復をとってください。


    アロマセラピーで熟睡を

     アロマセラピーを熟睡のために活用する事はよく見受けられます。代表的な精油として真正ラベンダーが挙げられます。リナロールや酢酸リナリルなど鎮静効果の期待される成分を充分に含むものであれば、同様に使用できます。整形外科に通院する患者様で不眠を訴える18症例に、夜間の真正ラベンダー(ハイパープランツ(株)、東京)の使用を薦めました。電気ポットに0.4ml/一晩を滴下し吸入する方法です。15名(83%)が睡眠深度の変化(熟睡度が上がる)や入眠の速さを自覚し、ほか1名は香りに嫌悪感を訴え、残る2名は不変でした(図8)。真正ラベンダーは有意に睡眠の質をあげる結果となりました。また、これまで睡眠薬内服歴のあった5例は、睡眠薬との違いを「朝、眠気が残る感じがない」「ぐっすり眠れるが、朝はすっきり起きることができる」と感想を持っていました。

    症候性の不眠症として、かゆみが原因となることを前述しました。アトピー性皮膚炎や花粉症では、皮膚や目のかゆみ、鼻汁によって途中覚醒を強いられます。ティートリーやユーカリラディアータ、ユーカリグロブルスなどの吸入は有効例も多く、睡眠の継続が可能となります。

    このように不眠症の原因に適切な作用機序でアロマセラピーを選択することは有意義であると考えます。

    最後に枕調節とアロマセラピーが有効であった症例を供覧します。症例1は、77歳女性、頚部および腰部変形性脊椎症および骨粗しょう症による円背(背中が変形して丸くなる状態)の患者様です(写真1)。頚椎の変形が著しく、肩の痛み、首こりと手のしびれを訴えていました。円背のため上を向いて寝ることができず、毎晩横向きのみで寝返りを打てずに寝ていました。寝入るにも時間がかかり、夜間はトイレに何度も起きるため睡眠が分断され、朝から不快感がありました。そこで枕調節と真正ラベンダーの吸入を施行しました。枕の高さは、身長体重からの推定値よりかなり大きなものとなりました。理由は円背によって、上向きで頭が床面から大きく離れているためです。それまで使用していた低い枕では後頭部が落ち込み気道を圧迫するため、上向きでは寝られないか、寝ても夜間に体の各部の痛みで目が覚めていたのです。使用した一晩目から改善が現れ、患者様は寝返りが打てる事に驚いていました。朝には肩こり、頭痛が改善し、体の動きがよくなっているのです。これは不思議な事ではありません。それまでが寝返りも打てない不適切な寝姿勢によって生じていた症状が消失し寝返りによる関節運動により関節液が循環した朝、体が動かしやすくなるのです。トイレに起きる回数も減少しました。高齢者は泌尿器の問題で夜間のトイレ回数が増えるといわれていますが、中には加齢による骨の変形に不良な寝姿勢が加わって痛みのために睡眠深度が浅くなり、目が覚めるのでトイレに起きていくことが習慣になっているケースも多いと思われます。また明け方トイレに一度おきても、アロマセラピーの香りをかぎながら再度入眠するのに時間がかからないといいます。すっかり表情まで明るくなりました。

    現在、不眠症を整形外科の視点から考え、有効と考えられる症例に枕とアロマセラピーを用いた治療を行っているので、その方法の詳細を述べました。今後も増加するだろう不眠症の方々に正確な情報が伝達され、患者様に適切な治療が選択される事を願っています。

    論文・寄稿 枕とアロマセラピー ~より良い眠りのための工夫~
  • 2007.11.9.(金)12:00-13:00
    第35回 日本リウマチ・関節外科学会 ランチョンセミナー
    会場: 品川プリンスホテル アネックスタワー
    「整形外科医に役立つ睡眠と枕の知識」16号整形外科 山田朱織
    論文・寄稿 第35回日本リウマチ・関節外科学会 ランチョンセミナー
  • 2018年12月1日に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、ピアザ淡海(滋賀県立県民センター)にて行われました第11回日本運動器疼痛学会において山田朱織医師が「難治性肩こり・頸部痛および身体化症状に対する枕調節の有効性検討―Somatic Symptom Scale-8を用いて―」を発表いたしました。

    演題名:「難治性肩こり・頸部痛および身体化症状に対する枕調節の有効性検討―Somatic Symptom Scale-8を用いて―」

    セッション名:一般演題12 頚肩上肢痛

    演題番号:O-70

    発表形式:口演

    発表日時:2018年12月2日(日) 13:30~14:20

    難治性肩こり・頸部痛の原因の1つ心理社会的ストレスが、身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼ぶ。肩こり、胃腸不調、背部痛・腰痛、腕・脚・関節痛、頭痛、胸痛・息切れ、めまい、疲れ・元気がない、睡眠支障があり、睡眠中の枕調節による症状改善を検討した。 方法は肩こり・頸部痛を主訴に来院した患者84名(平均年齢50.1歳、男24名、女60名)、罹患期間平均104ヶ月を解析した。身体化の程度を把握する自記式質問票Somatic Symptom Scale-8(以下SSS-8 : 8点以上=中等度, 12点以上=重度, 16点以上=最重度)を施行し8点以上を対象とした。枕を至適高さに調節し、使用開始後2週間後と3か月後の肩こり・頸部痛のNRSとSSS-8を評価しWilcoxonの符号付順序検定を施行した。 2週間後/3ヵ月後の結果はSSS-8は-4.0/-5.0(p<0.001)と有意な改善を認めた。ベースラインのSSS-8重症度別群(中度群39例, 重度群20例, 最重度群:25例)間に、性・年齢・BMI・喫煙率などの背景情報に差はなかった。中等度群、重度群、最重度群の前後変化では-1.0/-3.0, -3.5/-5.0, -6.0/-7.0(p<0.001)とベースラインのSSS-8重症度が高いほど改善度合いが高い傾向にあった。またNRSは-2.0/-3.0 (p<0.001)と著明改善を認め、症状改善度は79%/82%、満足度は83%/88%であった。 本結果より枕調節によって肩こり・頸部痛と身体化症状が軽快し、高い自覚的改善度と治療満足度が得られる可能性が示唆された。

    論文・寄稿 第11回日本運動器疼痛学会|難治性肩こり・頸部痛および身体化症状に対する枕調節の有効性検討―Somatic Symptom Scale-8を用いて―
  • 2018年9月8日に山形国際ホテルにて行われました山形県運動器疼痛研究会(第8回)において山田朱織医師が「慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー」として発表いたしました。

    日時 : 2018年9月8日(土)
    場所 : 山形国際ホテル(山形県)
    発表者 : 山田朱織
    演題名 :「慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号18-1481)

    概要は下記の通りとなっております。
    (S)(SS)山形県運動器疼痛研究会(第8回)
    (1) 田中 靖久
    (2) 平成30年9月8日(土) 17:00~19:10
    (3) 山形国際ホテル(山形県), 80名
    (4)
    1.
    中高年の肩痛ー薬物療法を含めてー [9] S
    医療法人社団丹心会吉岡病院科長
    村 成幸

    2.
    慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー [13] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 田中 靖久
    〒990-8510 山形県山形市和合町3-2-5
    公立学校共済組合東北中央病院
    (023-623-5111)
    (8) 認定番号18-1481, 30.6.11受付
    論文・寄稿 山形県運動器疼痛研究会(第8回)|慢性疼痛治療と睡眠障害における新たな治療ー枕調節による就寝中の姿勢管理ー
  • 2018年7月13日に札幌コンベンションセンターにて行われました日本睡眠学会第43回定期学術集会において山田朱織医師が「睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み」として発表いたしました。

    日時 : 2018年7月13日(金)
    場所 : 札幌コンベンションセンター(北海道)
    発表者 : 山田朱織
    演題名 :「睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み」

    抄録
    睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み
    16号整形外科 山田朱織
    重症-中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP治療が有効であるのは一般的である。しかしいびき・無呼吸を主訴に当院に来院する患者は「CPAPの必要性はわかるが、装着感が不快で外す」「CPAP以外の治療はないか」と訴える傾向にある。そこでCPAP治療以外の治療として、当院では整形外科の視点から睡眠姿勢に着目し、頸椎のアライメントを枕の高さで調節し無呼吸改善の有効性を検討した。当院で開発した整形外科枕とその調節方法SSS法を含め、同意が得られた2つのパイロット研究結果を発表したい。
    1)2003.11.~2004.2.にPSG検査を施行した8例(男性5例、女性3例、平均年齢41.2歳)において、1晩の睡眠の前半は枕なし、後半に整形外科枕を使用して検査を行った。各体位における睡眠時間および仰臥位におけるAHIを観察した。結果は、8例中6例(75%)において仰臥位睡眠時間が延長、平均仰臥位時間は枕なしで81.2分、整形外科枕で164.4分であった(p=0.013)。また8例中5例(62.5%)が仰臥位におけるAHIが減少した(p=0.12)。
    2)2004.11.~2005.10. にPSG検査を施行した19例(男性17例、女性2例、平均年齢43.1歳)において、1晩の睡眠の前半は病院枕、後半に整形外科枕を使用して検査を行った。AHI、最低SaO2、睡眠Stageを観察した。結果は、AHIは40.5±25.8→31.6±21.5(p=0.044)と有意に低下した。最低SaO2は変化なかった(p=0.85)。睡眠Stageは、stage1が47.1±23.8→32.4±17.3(p<0.001)と有意に減少、stage3+4が0.8±1.3→0.2±0.7(p<0.01)で有意に減少し、stage REMが7.0±6.4→25.7±7.9(p<0.0001)と有意に増加した。
    本研究では枕調節法を用いれば仰臥位でも無呼吸が起こりにくい傾向が考えられた。また整形外科枕はAHI、睡眠Stage1の改善により、SASにもある程度の効果が得られると考えられた。今後は、SASの原因別・重症度別に整形外科枕の有用性を検討し、更なる適応を見極めていきたい。

    発表はシンポジウム形式が取られました。
    「Beyond CPAP Therapy CPAP以外の治療方法を再考する!」
    2018年7月13日(金)15:00~16:30/G会場(204会議室)
    ■ オーガナイザー:吉村 力 (福岡大学医学部衛生・公衆衛生学講座/福岡大学病院呼吸器内科)
    趣旨
    閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療として、重症ー中等症の患者に対してCPAP治療が有効であるのは誰もが納得するところである。しかしながら、CPAP治療以外の治療としてマウスピース、耳鼻科的手術、減量、体位療法、ナステントなどの治療の有効性もはっきりしてきており、どのような方にCPAP治療以外の治療が役立つのかを考えたい。本シンポジウム開催により、皆さんとテーラーメイド治療として、各治療の有効性、安全性などを考えたい。

    ■ 座長:安藤 眞一 (九州大学病院 睡眠時無呼吸センター)
    吉村 力 (福岡大学医学部衛生・公衆衛生学講座/福岡大学病院呼吸器内科)

    S27-1「OSASにおいてOral Applianceはどこまで効くのか?」
    ■ 演者:梅本 丈二 (福岡大学病院歯科口腔外科)

    S27-2「OSASにおいて耳鼻科手術はどこまで有効か?」
    ■ 演者:北村 拓朗 (産業医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科)

    S27-3「OSASの適切な減量方法は如何にすべきか?」
    ■ 演者:吉村 力 (福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学講座/福岡大学病院 呼吸器内科)

    S27-4「体位療法はどこまで効くのか?枕、テニスボールなどを使用した研究を解析する」
    ■ 演者:後平 泰信 (医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院循環器内科/
    国家公務員共済組合連合会虎の門病院睡眠呼吸器科)

    S27-5「睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み」
    ■ 演者:山田 朱織 (16号整形外科)

    S27-6「Nasopharyngeal Airway Stent (NAS)の有効性を探る!」
    ■ 演者:佐藤 誠 (筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構)
    論文・寄稿 日本睡眠学会第43回定期学術集会|睡眠時無呼吸症候群に対する枕による睡眠姿勢調節の試み
  • 2018年5月26日(土)に第6回睡眠姿勢研究会を開催致しました。

    日時 : 2018年5月26日(土)
    場所 : ANAクラウンプラザ神戸(兵庫県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:睡眠姿勢と疼痛、睡眠障害について考える
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号18-0379)



    概要は下記の通りとなっております。
    睡眠姿勢研究会(第6回)
    (1) 山田 朱織
    (2) 平成30年5月26日(土) 18:30~21:00
    (3) ANAクラウンプラザ神戸(兵庫県), 40名
    (4)
    1.
    睡眠姿勢と疼痛、睡眠障害について考える [1]
    16号整形外科院長
    山田 朱織

    2.
    頸肩の愁訴と脊椎アライメントについて [7]
    和歌山医大教授
    川上 守
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 橘高 愛貴 〔参加事前申込・要〕
    〒252-0021 神奈川県相模原市中央区高根1丁目3-7
    16号整形外科
    (042-776-2211)
    (8) 認定番号18-0379, 30.2.11受付
    論文・寄稿 睡眠姿勢研究会|睡眠姿勢と疼痛、睡眠障害について考える
  • 2018年4月12日に神戸国際展示場で行われます第47回日本脊椎脊髄病学会学術集会において山田朱織医師が「難治性頚部痛・肩こりに対する枕による睡眠中の頚椎アライメント管理の有効性 ―Somatic Symptom Scale-8を用いて―」としてポスター発表をいたしました。

    日時 : 2018年4月12日(木)
    場所 : 神戸国際展示場(兵庫県)
    発表者 : 山田朱織
    演題名 : 難治性頚部痛・肩こりに対する枕による睡眠中の頚椎アライメント管理の有効性 ―Somatic Symptom Scale-8を用いて―

    抄録本文
    【はじめに】難治性の頚部痛・肩こりの原因は、患者の身体的ストレスと心理社会的ストレスの複合と考えられる。心理社会的ストレスが身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼び、肩こりの他に胃腸不調、背部痛・腰痛、腕・脚・関節痛、頭痛、胸痛・息切れ、めまい、疲れ・元気がない、睡眠支障が挙げられる。枕調節による睡眠中の頚椎アライメント管理を行い、頚部痛・肩こりと随伴する身体化症状が改善するか検討した。【対象と方法】頚部痛・肩こりを主訴に来院した患者で連続登録した95名、最終的に評価可能であった84名(平均年齢50.1歳、男24名、女60名)を解析した。罹患期間は平均104ヶ月、同症状で複数の整形外科や他科に受診していたのは60人であった。身体化の程度を把握する自記式質問票Somatic Symptom Scale.001)と著明改善を認め、症状改善度は79%/82%、満足度は83%/88%であった。【まとめ】本結果より枕調節による睡眠中の頚椎アライメント管理によって、頚部痛・肩こりおよび複数の身体化症状が軽快し、かつ高い自覚的改善度と治療満足度が得られる可能性が示唆された。
    論文・寄稿 日本脊椎脊髄病学会学術集会|難治性頚部痛・肩こりに対する枕による睡眠中の頚椎アライメント管理の有効性
  • 2017年7月16日、17日に京王プラザホテル(新宿)で行われます第30回日本臨床整形外科学会学術集会において山田朱織医師が指定演題シンポジウム「肩こり」に対する治療戦略にて発表を行います。

    日時 : 2017年7月16日(日)
    場所 : 京王プラザホテル(東京都)
    演者 : 山田朱織(シンポジウム)
    タイトル:「肩こり」に対する治療戦略

    第30回日本臨床整形外科学会学術集会
    論文・寄稿 日本臨床整形外科学会学術集会|「肩こり」に対する治療戦略
  • 2017年6月29日、30日にパシフィコ横浜で行われます日本睡眠学会第42回定期学術集会において山田朱織医師が一般演題に採択されました。

    日時 : 2017年6月30日(金)
    場所 : パシフィコ横浜(神奈川県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:不眠など身体化症状を伴う頸部痛・肩こりを有する患者に対する枕調節の有効性―SomaticSymptom Scale-8を用いて―

    日本睡眠学会第42回定期学術集会

    論文・寄稿 日本睡眠学会「不眠など身体化症状を伴う頸部痛・肩こりを有する患者に対する枕調節の有効性―SomaticSymptom Scale-8を用いて―」
  • 2017年5月20日(土)に第5回睡眠姿勢研究会を開催致します。
    整形外科医の先生方につきましてご興味がある方は是非お問い合わせください。

    日時 : 2017年5月20日(土)
    場所 : 仙台勝山館(宮城県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:難治性肩こりに第一選択すべき保存治療 枕調節の理論と実践
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号17-0211)



    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)睡眠姿勢研究会(第5回)
    (1) 山田 朱織
    (2) 平成29年5月20日(土) 18:30~20:30
    (3) 仙台勝山館(宮城県), 30名
    (4) 難治性肩こりに第一選択すべき保存治療 枕調節の理論と実践[7][8] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    変性頸椎由来の痛みと麻痺
    公立学校共済組合東北中央病院 病院長
    田中 靖久
    (5) 2演題1単位
    (6) 1,000円
    (7) 橘高 愛貴 〔参加事前申込・要〕
    〒252-0021 神奈川県相模原市中央区高根1丁目3-7
    16号整形外科
    (042-776-2211)
    (8) 認定番号17-0211, 28.11.26受付
    論文・寄稿 睡眠姿勢研究会「難治性肩こりに第一選択すべき保存治療 枕調節の理論と実践」
  • 2017年4月22日(土)に開催されます第221回広島県臨床整形外科医会研修講演会にて代表の山田朱織医師が講演をすることになりました。

    日時 : 2017年4月22日(土)
    場所 : 広島県医師会館(広島県)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:難治性肩こりに第一選択すべき保存治療ー枕調節の理論と実践ー
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号17-0125)

    概要は下記の通りとなっております。
    広島県臨床整形外科医会研修講演会(第221回)
    (1) 菅田 巌
    (2) 平成29年4月22日(土) 18:30~20:30
    (3) 広島県医師会館(広島県), 500名
    (4)
    1.難治性肩こりに第一選択すべき保存治療ー枕調節の理論と実践ー [7][9]
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    2.臨床現場で実践できるテリパラチドの効果的な使い方 [1][4]
    秋田大助教
    野坂 光司
    (5) 1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 原田 英男
    〒731-0111 広島県広島市安佐南区東野2-21-20
    原田リハビリ整形外科
    (082-870-5555)
    (8) 認定番号17-0125, 28.11.11受付
    論文・寄稿 難治性肩こりに第一選択すべき保存治療ー枕調節の理論と実践ー(広島県臨床整形外科医会研修講演会)
  • 2017年3月11日(土)に開催されます大阪市立大学整形外科開業医会(市整会学術講演会)にて代表の山田朱織医師が講演をすることになりました。

    日時 : 2017年3月11日(土)
    場所 : ホテルモントレグラスミア(大阪府)
    演者 : 山田朱織
    タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践-至適臥位姿勢解明を目指して-
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-3456)

    主に大阪市立大学整形外科出身の開業医の先生方にお集まりいただけるとのことです。


    概要は下記の通りとなっております。
    (R)(SS)大阪市立大学整形外科開業医会(市整会学術講演会)
    (1) 天野 祐一
    (2) 平成29年3月11日(土) 17:00~19:30
    (3) ホテルモントレグラスミア(大阪府), 100名
    (4) 1.リウマチ診療における最新の知見 [6][10] R
    阪大運動器バイオマテリアル学准教授
    冨田 哲也
    2.肩こりに対する枕調節の理論と実践-至適臥位姿勢解明を目指して- [7][9] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5)1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 小竹 志郎
    〒631-0003 奈良県奈良県奈良市中登美が丘6-3-3
    こたけ整形外科
    (0742-52-7779)
    (8) 認定番号16-3456, 28.11.4受付
    論文・寄稿 肩こりに対する枕調節の理論と実践-至適臥位姿勢解明を目指して-(大阪市立大学整形外科開業医会)
  • 皮膚科女性ドクター向けにポーラファルマ様が主催の美肌caféセミナーにて山田朱織の講演会を行わせて頂きました。

    当日は、関西地区の皮膚科女性ドクターの会員様が80名以上お集まり頂きまして、山田朱織の講演をご拝聴頂きました。
    肩コリや睡眠の質の改善に効果的な枕調節について、枕の作り方の実践的な解説も含めた内容となっていましたが、皮膚科の先生方はとても熱心なご様子で、その後の情報交換会でも個別のご相談も多くいただきました。
    山田朱織は整形外科医ですが、睡眠の改善という意味では皮膚科の領域と重なる部分が少なからずあるのではないかと思います。

    講演概要
    日時:2017年 2月18日(土)18:30開始 (18:00開場) 
    場所:ザ・リッツ・カールトン大阪
    演題:「肩こりに第一選択すべき保存治療 ~枕調節の理論と実践~」
    演者:山田朱織

    美肌café活動とは
    ポーラファルマでは、医師として、女性として、いつまでも輝いて活躍していただきたいという思いを込めて、皮膚科女性ドクターのコミュニティをサポートしています。現在、約1,200名のドクターが参加しており、会員誌「美肌Café通信」を通じて診療のお役立ち情報、最新美容科学情報、女性のヘルスケア情報、各地域の女性医師会活動などの情報を発信しています。また、「美肌Caféセミナー」や交流会の開催などにより、スキンケア等の情報提供やドクター同士のコミュニケーション、ネットワークづくりの支援を行っています。
    2015年は東京、大阪にて2回の講演会を実施しました。メイクサービスの提供・講演内容を実感できる体験ブースの設置と他の講演会と一線を画す内容となっております。
    引用:https://www.pola-pharma.co.jp/company/csr/csr02.html
    論文・寄稿 美肌caféにて講演「肩こりに第一選択すべき保存治療―枕調節の理論と実践―」
  • Monthly Book Orthopaedics 2016年9月号 Vol 29(9)「私はこう診る 肩のこり・首の痛み」に論文が掲載されました。



    肩こりに対する私のアプローチ法「枕の調節―理論と実践」 山田 朱織ほか
    肩こり・首の痛みに対する保存的治療の1つとして,就寝中使用する枕の調節について,これまで検証してきた理論を概説し実践方法を示す.

    共著となっております。
    東大22世紀医療センター特任教授 松平浩先生
    倉敷成人病センター 整形部長 戸田巌雄先生
    東京工科大学 名誉教授 星徹先生
    16号整形外科 院長 山田朱織
    論文・寄稿 Monthly Book Orthopaedics 2016年9月号 Vol 29(9)
  • 日時 : 2016年9月10日(土)
    場所 : エーザイ(株)大阪コミュニケーションオフィス
    演者 : 山田朱織
    タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践 -至適臥位姿勢解明を目指して
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-1631)

    整形外科・神経内科・耳鼻科の先生の中で、肩こりに興味のある先生方にお集まり頂けるとのことです。


    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)肩こり研究会(第12回)
    (1) 梶 龍兒
    (2) 平成28年9月10日(土) 15:30~18:30
    (3) エーザイ(株) 大阪コミュニケーションオフィス(大阪府), 80名
    (4) 肩こりに対する枕調節の理論と実践 -至適臥位姿勢解明を目指して-[1][9] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5) 1単位
    (6) 1,000円
    (7) 細野 昇
    〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島4-2-78
    JCHO大阪病院
    (06-6441-5451 内7007)
    (8) 認定番号16-1631, 28.6.29受付
    論文・寄稿 2016年9月10日(土)第12回肩こり研究会
  • 2016年7月20日(水)
    第401回相模医学会
    場所:相模女子大学グリーンホール多目的ホール
    演者:山田朱織
    タイトル:「不眠症対策について~整形外科医の立場から~」

    相模原市医師会が主催する医師、医療従事者向けの講演会でございました。
    精神科医、耳鼻科医、内科医、整形外科医という各科を代表した先生による講演がございましたが、今回、山田朱織は整形外科医を代表して発表を致しました。

    論文・寄稿 2016年7月20日(水) 第401回相模医学会「睡眠障害」
  • 2016年5月20日(金)
    第7回町田市整形外科カンファレンス&学術講演会
    場所:ホテルラポール千寿閣
    演者:山田朱織 タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-0286)

    概要は下記の通りとなっております。
    (Re)町田市整形外科カンファレンス(第7回)
    (1) 石原 裕和
    (2) 平成28年5月20日(金) 19:00~21:00
    (3) ホテル ラポール千寿閣(神奈川県), 50名
    (4)
    1. 肩こりに対する枕調節の理論と実践 [9][13] Re
    16号整形外科院長、山田朱織枕研究所所長
    山田 朱織
    2. 骨粗鬆症の診断と治療 [4]
    北里大主任教授
    高相 晶士
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 石原 裕和
    〒194-0023 東京都町田市旭町2-15-41
    町田市民病院
    (042-722-2230 内042-720-5680)
    (8) 認定番号16-0286, 28.2.18受付
    論文・寄稿 2016年5月20日(金) 第7回町田市整形外科カンファレンス&学術講演会
  • 日時:2016年5月14日(土)-
    場所:パシフィコ横浜
    ポスター発表:山田朱織
    タイトル:就寝中の寝返りのビデオ解析による特徴点の基礎評価―運動器疼痛管理に役立つ至適睡眠姿勢での検討―

    16号整形外科 山田朱織    東京工科大学 星徹  
    東京大学大学院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント 岡敬之 松平浩

    目的
    睡眠障害は疼痛遷延の危険因子であり、運動器疼痛の管理には良質な睡眠が不可欠で、その重要な要素のひとつに就寝中の寝返りがある。寝返りの目的は体液循環、体温調節、脊椎リアライメント等といわれるが、すべてのメカニズムが解明されてはいない。また寝返りの定義や判定基準も一定の共通見解がない。我々は経験医療として、症状を改善する「スムーズな寝返り」を実現する寝具の調節方法Setup for Spinal Sleep Total(SSS-T)を確立した。モーションキャプチャを用いた寝返り動作の4D解析で、至適睡眠姿勢すなわちスムーズな寝返り(回転動作)を定量的に評価し本学会で2010,2013年に発表した。しかしこれらは覚醒状態でのシミュレーションベースの検討であったため、本研究では睡眠状態のリアルなビデオ解析から、実際の寝返りの特徴点の観察および定量的評価を行った。



    対象・方法
    対象は健康なボランティア17名、平均年齢42.5歳、男性9名女性8名であった。SSS-T法(Fig1.)を用いて枕の高さと寝台の沈込を調節した。調節したMAKURAinBED(Fing2.)に寝てビデオ撮影を3日間施行した。目視にて頭と体、頭体同時の3つのパターンについて観察し(Fig3-1.) 、寝返りの角度から臥位姿勢を判定し(Fig3-2.)、 その時間と位置を記録し平均寝返り回数(T)と平均寝返り間隔(TI)を算出した。



    結果
    結果1.平均睡眠時間は6時間で、Tは頭24(5-56)回、体16(3-47)回あり、頭体同時Tは15(2-47)回であった。すなわち、頭のみの寝返り数は頭体同時Tより9回多く、体のみの寝返り数は頭体同時Tよりも1回多かった。頭体同時寝返りを男女比較すると、男性平均17回、女性平均13回で、男女間の有意差はなかった。
    結果2.TIは頭15分、体23分であった。寝返り間隔の時間分布をみると、10分以内に次の寝返りが発生する回数は、頭は14回で全寝返り回数の60%、体は9回で56%であった。寝返り間隔の時間分布を平均的な例、多い例、少ない例について示す。とくに寝返りの多い例では10分以内の寝返りの割合が大きかった。頭のほうが体よりその傾向が強かった。
    結果3.睡眠時間帯(睡眠前半・後半)に分けて寝返り回数を検討すると、頭のTは前半13回、後半11回で、前半に多い例10名(59%)、後半に多い例7名(41%)であった。体のTは前半8回、後半7回で、前半に多い例5名(29%)、後半に多い例11名(65%)、前後半とも同じは1名(6%)であった。いづれも有意差は認めなかった。



    まとめ
    ・我々がこれまで覚醒時に回転動作として動作解析してきた寝返りについて、実際の睡眠中の体動として寝返りをビデオ解析した。先行する睡眠観察研究において一定の寝具条件はなく、選択した寝具(枕や寝台)が結果に影響を与える可能性も考えられる。そこで我々は臨床症状の改善を検証してきたSSS-T法で寝具条件を決定することで、就寝中の至適睡眠姿勢における観察を行った。
    ・睡眠医学において Tは20回前後といわれるが寝返りの定義や頭・体等の身体部位や回転角度の判定基準はない。今回は頭、体。頭体同時に分けて観察したが頭は前記の範囲内であり、体・頭体同時はこれより少ない結果となった。男女の有意差はなく、個人差は大きかった。TIは10分以内が頭、体とも約6割となった。
    ・睡眠は生理学的に2種類の眠りすなわちレム睡眠とノンレム睡眠があるが、ノンレム睡眠からレム睡眠への移行が体動の粗大な動きすなわち寝返りを契機に生じることがあり、両者は関与していると考えられている。明け方にノンレム睡眠が減少しレム睡眠が増加し覚醒するため、寝返りが増加する傾向があるという。今回の結果でも睡眠の前後半の比較で、有意差はないものの、睡眠の後半で体の寝返りが増加する例が多い傾向がみられた。
    ・「寝返り」の研究はリハビリテーション医学と睡眠医学の2つの分野で散見されるが、そのとらえ方や解析方法には大きな差がある。前者では寝返りを覚醒時の「体位変換」や「回転動作」ととらえ運動解析が主である。一方後者では寝返りを睡眠中の「体動」とくに体幹四肢に及ぶ粗大な動きととらえ、生理学的解析(脳波や筋電図等)が主である。我々は覚醒時に最もスムーズな回転動作ができる枕調節を行うことで、就寝中に生理学的にも至適な体動(寝返り)ができるのではないかと仮説を立てている。しかし寝返りのメカニズム等が解明されていないため、本研究では第1歩として寝返りを頭と体に分けて回転角度を定義し観察し、特徴点を定量化し寝返りの基礎評価を示した。
    論文・寄稿 2016年5月14日(土)第89回日本整形外科学会学術総会
  • 日時 : 2016年5月14日(土)
    場所 : ヨコハマプラザホテル
    演者 : 山田朱織 タイトル:肩こりに対する枕調節の理論と実践
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号16-0256)

    睡眠姿勢研究会は現在、「日本整形外科学会学術総会」会期中に、16号整形外科院長・株式会社山田朱織枕研究所代表「山田朱織(やまだしゅおり)」主催により実施しております。主に提携病院の先生方を集めて実施しております。
    2013年から開始した「睡眠姿勢研究会」は4回目となり、今回、公益財団法人日本整形外科学会に認定されました。(認定番号16-0256)

    概要は下記の通りとなっております。

    主催者名1:山田朱織(16号整形外科)
    主催者名2:戸田巌雄(倉敷成人病センター)
    日程:平成28年5月14日(土)
    会場:ヨコハマプラザホテル
    会場収容人員:60名
    開催地(都道府県):神奈川県
    分野:[7] 脊椎・脊髄疾患(1単位)

    演題1:肩こりに対する枕調節の理論と実践 (16号整形外科院長 山田朱織)
    <サマリー>
    肩こりの病態、診断、治療は確立されていない。我々は臥位姿勢における枕の高さを寝返りが最もスムーズになるよう調節し、臨床症状の改善を統計学的に検証してきた。画像検査ではX-Pによる臥位全脊椎骨盤アライメント観察、MRIを用いた頚椎頚髄評価、モーションキャプチャシステムを用いた寝返り動作解析を行ってきた。これまでに明らかとなった枕調節の理論を概説し、また実践方法を紹介する。


    演題2:姿勢、骨盤の傾きを再考する
    東大附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座長 特任准教授 松平浩

    概要は下記の通りとなっております。
    睡眠姿勢研究会(第4回)
    (1) 山田 朱織
    (2) 平成28年5月14日(土) 19:30~21:10
    (3) ヨコハマプラザホテル(神奈川県), 60名
    (4)
    肩こりに対する枕調節の理論と実践[7]
    16号整形外科院長
    山田 朱織

    姿勢、骨盤の傾きを再考する
    東大附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座長 特任教授
    松平 浩
    (5)
    2演題1単位
    (6) 1,000円
    (7) 橘高 愛貴 〔参加事前申込・要〕
    〒252-0021 神奈川県相模原市中央区高根1丁目3-7
    16号整形外科
    (042-776-2211)
    (8) 認定番号16-0256, 28.2.15受付
    論文・寄稿 2016年5月14日(土)第4回 睡眠姿勢研究会
  • 日時 : 2015年11月22日(日)
    タイトル : 第37回日本関節運動学的アプローチ(AKA)医学会学術集会
    場所:姫路市市民会館大ホール
    教育研修講演1「至適睡眠姿勢の解明へ 寝具による全脊椎骨盤アライメント調整より」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号15-1513)

    概要は下記の通りとなっております。
    (S)(SS)(Re)日本AKA医学会学術集会(第37回)
    (1) 平野 裕司
    (2) 平成27年11月22日(日) 09:30~18:00
    (3) 姫路市市民会館大ホール(兵庫県), 800名
    (4)
    1.
    至適睡眠姿勢の解明へ 寝具による全脊椎骨盤アライメント調整より [7][11] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織

    2.
    運動器疾患に対する関節運動学的アプローチによる診断と治療 [8][13] Re
    日本関節運動学的アプローチ医学会会頭
    博田 節夫

    3.
    スポーツ選手への指導を患者指導に生かす 外旋・屈曲動作の進め [2][13] S
    九州共立大スポーツ学科准教授
    木寺 英史
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2),(演題3)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 平野 裕司 〔参加事前申込・要〕
    〒672-8079 兵庫県姫路市飾磨区今在家4丁目25-1
    ひまわり整形外科
    (079-243-2000)
    (8) 認定番号15-1513, 27.5.18受付
    論文・寄稿 第37回日本関節運動学的アプローチ(AKA)医学会学術集会
  • 2015年06月号(58巻 07号) 整形・災害外科~肩こりを考える~金原出版

    企 画 : 松平 浩
    松平浩先生のご紹介、腰痛対策などについて東京大学東大病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座のページをぜひご覧ください。

    「肩こりに対する枕調節の意義」が掲載されました。
    本文のみ抜粋致します。全文(本文および図表)希望の場合は論文をお買い求めください。
    金原出版様購入ページ

    「肩こりを考える」                16号整形外科 山田朱織
    ―肩こりに対する枕調節の意義―
    Ⅰ.現代の慢性肩こりに対する新しい解釈と治療の必要性
    Ⅱ. 経験的医療から得た知見
    Ⅲ. 枕の条件と調節方法
     1.枕の3大条件
     2.枕の調節方法(SSS法)
    3.至適枕と体格の重相関
    Ⅳ.臨床効果
    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    1.至適枕における頚椎および頚髄アライメント
    2.矢状面脊椎骨盤アライメントSSPA
    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    Ⅵ. 肩こりの治療における枕調節の意義
    ________________________________________
    要旨
    現代の慢性肩こりは非特異的肩こり、つまり脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの状態とも考えられる。当院では肩こりの患者にスムーズな寝返りが可能となる枕調節を行い、脊椎症状と身体化症状の改善をみてきた。このメカニズムの解明のために静的および動的臥位姿勢の解析を行った。静的臥位姿勢はMRIで至適枕における仰臥位頚椎傾斜角、クモ膜下腔前後径を計測し、X-Pで臥位矢状面脊椎骨盤アライメントを観察した。結果、頚椎・頚髄アライメント、脊椎骨盤アライメントの基準が分かった。動的臥位姿勢はモーションキャプチャの動作解析を行い、寝返りの定量化とスムーズな寝返りにおける仮想体軸の可視化が可能となった。脊椎アライメントと仮想体軸を比較すると、頭頚部仮想体軸と仰臥位頚椎傾斜角の近似、胸腰椎部仮想体軸と臥位のC7PLが平行に近づいた。枕調節の意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるよう決定することである。

    Ⅰ. 現代の肩こりの新しい解釈と治療の必要性
     厚生労働省の国民生活基礎調査の公表されている最も古い平成7年の結果と最新の平成25年の結果を比較しても、いずれも肩こりは日本国民の有訴者数女性1位、男性2位であり変化がなかった。この事実からも20年以上、肩こりに関する研究や治療は非常に遅れていると考えざるを得ない。21世紀、日本国民の肩こりに対する戦略的な治療の確立を目指して、1日も早く実践的に取り組む必要性を感じる。松平らは、肩こりの病因を的確に突き止め整合性をもって解釈する新しい理論が今必要であると警鐘をならしている1)。2000年ごろから全世界で非特異性腰痛という分類が確立され2)3)4)、腰痛治療にパラダイムシフトが起こりつつある。2大国民病の一方である肩こりも非特異的肩こりとよぶべき病態で、運動器にかかる身体的な負荷による脊椎dysfunctionと脳の機能異常すなわち脳dysfunctionの状態と解釈できるとされている5)6)。脳dysfunctionとは、心理社会的ストレスが身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼び、一般的には明確な器質的異常を伴わない状態である。脊椎dysfunctionが長期間継続したり、あるいは短期間でも他の身体化症状を持っている患者等では脳のdysfunctionが起こりやすいと考えられている。
     我々が行っている肩こりの治療とは、睡眠中使用する寝具によって頭部、脊椎骨盤、下肢の臥位姿勢を調節することで、脳~脊髄、末梢神経のアライメントを至適状態にし、脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの改善を目指すものである。高岸ら7)がまとめた肩こりの治療法によれば、非症候性肩こりには日常生活指導の中で不良姿勢の改善が挙げられている。河合8)は、頚椎は頭部と躯幹を連結するという役割を担うゆえに、わずかな変化にも異常を自覚し防御する機構が備わっている指摘し、微細な誘因の除去が肩こり再発の予防に必要であるとしている。特に習慣になっている日常生活の姿勢、動作、寝具環境の見直しを挙げている。しかし、いずれも臥位姿勢の至適アライメントや調節方法について詳細は言及していない。現在に至るまで、整形外科において臥位姿勢の研究は殆ど行われてこなかった。
    本稿では、我々の解析により分かってきた枕を用いた臥位姿勢調節による脊椎dysfunctionの改善メカニズムについて述べる。

    Ⅱ.経験的医療から得た知見
     当院では1971年から35年以上、約5万人の肩こりを含めた頚部症状を訴える患者に対し、寝返りが最もスムーズになるよう枕の高さ調節を行い、症状が改善することを経験してきた9)10)11)。肩こりについては慢性かつ難治症例が多く、問診では20~30年肩こりが継続していると訴える症例や、肩こりのみならず多数の身体化症状を訴える症例、肩こりを主訴に何軒もドクターショッピングを繰返してきた症例も少なくない。外来では、患者の自宅から持参させた玄関マットやタオルケットなどの素材を使用して、臥位で枕の高さを個々の体格や症状に合わせて調節してきた。患者の症状を診ながら微調節を繰り返し、また中長期的に体格変化に合わせて再調整を行い、症状の改善を継続的に観察してきた。このような作業を繰り返すことにより調節方法を確立し、調節精度を高め、至適枕の条件を確立した。その結果、至適枕を用いた臥位姿勢調節により肩こり、頚部痛、肩上肢痛といった脊椎症状のみならず頭痛、眩暈、不眠など身体化症状の改善が見られた。
     以下、経験的医療から導いた事実すなわち「枕の高さ調節によりスムーズな寝返りが可能な臥位姿勢で眠ると、臨床症状が改善する」ことについて、そのメカニズムを類推し、臥位姿勢の静的および動的解析を行い検証してきた方法と結論を解説する。

    Ⅲ.枕の条件と調節方法
    頸椎症状を訴える患者の枕調節を行ってきた経験から、枕の条件の設定と調節方法の体系化を図ってきた。

    1.枕の3大条件
    至適枕の3大条件は次のように考える。第1は体格に適合した枕の高さである。仰臥位と側臥位の両方に適合する1つの高さを決定する。第2は決定した高さが終夜使用中に5mm以上変化しない適度な硬さである。第3は体格変化や加齢に伴い適宜再調整を行うことである。我々が研究に使用している枕は、縦25cm×横50cm×高さ5mmピッチで厳密に調節を行うためウレタンやポリエチレンのシートを組み合わせた積層構造である。表面は平らな形状である。

    2.枕の調節方法(SSS法)
    枕の調節方法SSS(Set-up for Spinal Sleep)法12)は3つのプロセスからなる。X-PやMRIで確認できればより正確であるが、外来診療では肉眼的に体表面で判断する。第1に仰臥位で両上下肢を伸展位で脱力させる。枕の高さを5mmピッチで変更しながら、頸椎の前傾が15度前後で、患者が呼気、吸気とも楽に感じること、後頭部の感触が不快でないこと、後頸部の筋緊張が弛緩することを聴取しながら高さを調節する。第2に左右側臥位の確認であるが、まず仰臥位で両前腕を前胸部上にクロスして右手を左鎖骨、左手を右鎖骨に触れ、両股関節60度前後、両膝100度前後に屈曲した寝返りの回転ポジションをとり、左右に回転し側臥位になる。額・鼻・顎・胸骨を通る頭頸部の中心線と臥床面が平行になるよう高さ調節する。患者の左右の胸鎖乳頭筋、肩甲挙筋等の攣れ感を聴取することも有益である。左右の最適高さに差がある場合は、次の寝返りで決定する。第3に寝返りのスムーズさを確認する。仰臥位で寝返りの回転ポジションをとり、左右に2~3回回転し、寝返りのスムーズさを比較する。目視におけるスムーズとは、中心軸に対し頭部、胸部、骨盤が同期的に回転する状態である。逆にスムーズでないとは、各部に位相差が生じる状態である。胸部の肩峰と骨盤の大転子をメルクマールに注視すると、いずれかに遅れが生じるか、または遅れを筋力で補正しようと大きな力を入れたり、反動をつけるなどぎこちない動きが観察される。最もスムーズに寝返りができる枕の高さが至適枕である(図1)。患者宅から持参させた素材を折りたたみ積層構造にしても代用可能である。

    3.至適枕と体格の重相関
    2003-2012年にSSS法で調節した成人男女30,252人の、体格(身長、体重)と枕の高さの相関を示す。重相関係数0.79と高値を示し、身長体重が増加するほど枕が高くなることが示された(図2)。男女別では体格の比較的小さな女性は枕が相対的に低めで、体格の比較的大きな男性は高めの傾向がみられる。年齢別でみると60歳以上では身長体重が少ないにも関わらず枕の高さが非常に高い例が散見される。円背による後弯変形や関節硬縮により高い枕が必要になる。

    Ⅳ. 臨床効果
    当院に2004~2013年に来院し頚椎疾患で枕調節を行った患者410例(男性195例、女性215例。14~93歳、平均50.5歳)のカルテデータを後ろ向きに調査、解析した。患者の主訴である「広義の肩こり」と「身体化症状」、および他覚所見について、至適枕使用前後で改善者数/有訴者数(改善者数率、以下IR)を用い評価した。また自覚症状を、2(自覚症状強)、1(自覚症状軽)、0(自覚症状無)の3段階のスコアで回答させ、枕使用前後の有意差検定を行った。他覚所見は、枕使用前後の計測値間で有意差検定を行った。至適枕の平均使用期間は110.9日であった。
    広義の肩こりは①頸肩こり②頚部痛③肩上肢痛の3症状、身体化症状は④頭痛⑤眩暈⑥不眠の3症状、他覚所見は①頸椎ROM伸展②頸椎ROM屈曲③圧痛点数④Spurling test⑤上肢筋力⑥上肢知覚の6項目である。結果を改善者数/有訴者数、改善者数率 IR(%)、枕使用前後のスコアおよび計測値の平均値、P値を示す。例数不足で検定できないものは―とする。全体では自覚症状①頸肩こり78/110、70.9、P<0.01②頚部痛153/201、76.1、P<0.01③肩上肢痛66/81、78.6、P<0.01、身体化症状④頭痛37/57、64.9、P<0.01⑤眩暈15/23、65.2、P<0.01⑥不眠20/26、76.9、P<0.01、他覚所見①ROM伸展84/194、43.3、P>0.05②ROM屈曲80/187、42.8、P<0.05③圧痛点数102/161、63.4、P<0.01④Spurling test 17/21、65.4、P<0.05⑤上肢筋力2/5、40.0、7、P>0.05⑥上肢知覚17/35、48.6、P>0.05であった。図3に、有訴者数、改善者数、改善者数率、スコアおよび計測値の平均値と有意差検定結果を示す。
    自覚症状においては、頚椎疾患の患者が主訴として肩こりの3症状を訴えた割合は、81-201人/410人、すべてIR70%以上となった(図3-1)。身体化症状の3症状を訴えた割合は、23-57人/410人、IR60%以上となった。肩こりの3症状と身体化症状の3症状すべては有意に改善した。一方、他覚所見は異常を認めた項目の軽快または消失を改善としたがIR40-65%であり、ROM、圧痛点数、Spurling testのみ有意に改善した。
    MRI所見別では、頚椎椎間板変性を認めた96例において自覚症状の①②③④、他覚所見の②、頚椎椎間板膨隆・ヘルニアを認めた194例において自覚症状の①②③④⑤、他覚所見の②③④、頚部脊柱菅狭窄を認めた58例において自覚症状の①②③、他覚所見の③において有意に改善した。頚椎椎間板ヘルニアを認めた症例が最も肩こりの3症状を訴える有訴者数が多く、改善者数率も80%以上と高値を示した(図3-2-A~C)。
    年代別にみると、自覚症状は肩こりの3症状および身体化症状の眩暈、不眠は加齢とともに有訴者数が増加し、改善者数率も増加する傾向があるが、他覚所見は加齢に伴う一定の傾向は認めなかった(図4)。
    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    至適枕を用いて最もスムーズな寝返りになるよう臥位姿勢調節を行うことで、肩こりと身体化症状が改善されることを示した。これにより至適枕により調節される至適臥位姿勢の存在が示唆される。
    臥位姿勢は静的臥位姿勢と動的臥位姿勢に分けられる。静的臥位姿勢は仰臥位および側臥位であり、動的臥位姿勢は寝返りである。理論的には、側臥位すなわち冠状面アライメントにおいては側彎角0度、冠状面バランス0cmが基準であるが、仰臥位すなわち矢状面アライメントについては基準がない。至適臥位姿勢の解明のためには至適仰臥位すなわち矢状面アライメントの基準を見つける必要がある。そのために静的臥位姿勢の解析としてX-PとMRIの画像解析と、動的臥位姿勢の解析としてモーションキャプチャによる寝返り動作解析を行った。
    1.至適枕における頸椎および頸髄アライメント
    まず始めに頚椎および頚髄の矢状面アライメントを解析した。仰臥位頚椎傾斜角とは、仰臥位頚椎の矢状面アライメントの指標の1つとして当院で考案した角度である。大後頭孔前縁中点と第7頚椎の椎体後面を結ぶ線と、臥床面のなす角である。正常例のみならず関節リウマチの環軸椎亜脱臼例においても延髄~頚髄のアライメントとして評価できる(図5)。

    当院で2004~2013年に来院した頚椎疾患の患者410例、14~93歳、平均50.5歳を対象に、至適枕における頸椎アライメントをMRIで観察した。仰臥位頚椎傾斜角(度)は、全体平均18.1、男性18.1、女性18.1と差がなく、年齢別では40代をピークに17.1 ~18.9と経度の山型の分布になったが有意差は認めなかった。MRI所見別に頚椎椎間板変性、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄を比較しても、17.9~19.2と有意差は認めなかった(図6)。以上の結果より、仰臥位頚椎傾斜角は男女、年齢、疾患の別によらず、普遍的な一定の角度である可能性が示唆された。
    仰臥位において頚椎のアライメントを調節することは、同時に頚髄のアライメントを調節することに他ならない。大後頭孔を通過する延髄、頚髄も一定の角度で安定化することは、脳脊髄症状改善のメカニズムの1つとも考えられ、病変部のくも膜下腔前後径の計測を行った。病変部高位の症例数は延べC2/3は44例、C3/4は210例、C4/5は309例、C5/6は375例、C6/7は342例であった。各高位の枕無/至適枕のくも膜下腔前後径(mm)は、C2/3は8.98/9.16、C3/4は9.19/9.41、C4/5は9.17/9.55、C5/6は8.84/9.34、C6/7は9.19/9.54ですべての高位で至適枕においてくも膜下腔は増加した(P<0.01)。差分はC2/3は0.18、C3/4は0.22、C4/5は0.39、C5/6は0.50、C6/7は0.45となり、下位頸椎であるC5/6,6/7の増加が大きかった(図7-1)。男女とも至適枕で優位に増大した。年代別では20代のC3/4、30代のC3/4,70代のC2/3を除く全てに有意差を認めた。MRI所見別では頚部椎間板変性、頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄のいずれも下位頚椎病変部のほうが増加の割合が大きかった(図7-2)。特徴的なのは頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄の最狭窄部C5/6において最大の増大0.54、0.41を認めた。至適枕使用時の静的仰臥位姿勢においては頚髄が前後の病変要素から圧迫を受けずに安静が保たれる可能性が考えられた。
    頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、円背例の枕無と至適枕の頚髄アライメントおよびくも膜下腔のMRI像を示す(図8)。

    2.矢状面脊椎骨盤アライメント
     次に頚胸腰椎、骨盤の矢状面アライメントを解析した。至適枕における矢状面脊椎骨盤アライメントSagittal Spino.01)となった(図9)。年代別にみると、SBは立位で80代を除く全ての年齢がマイナスバランスであったが、臥位では全年齢で0からプラスバランスになった。石原指数は全年齢で立位より臥位で低値となった。臥位では0代~60代で0に近く、70代、80代で急に高値となった。TKは40代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。70代、80代では立位臥位とも高値となった。LLは全年齢で立位より臥位で低値となった。PTは全年齢で立位より臥位が低値となった13)。SSPAの立位・臥位比較をX-P像で示す(図10)。
    至適臥位姿勢が立位姿勢と比較して弯曲が減少し直線化に近づくことが明らかになった。立位における正常脊椎の矢状面の弯曲は柔軟な運動性の獲得と、軸方向への耐荷重性能すなわち直立位を維持するための剛性と安定性を供給しているという14)。一方、臥位においては脊椎にかかる軸方向の負荷はなく、運動も寝返りという回転方向になるため、石原指数、胸椎後弯角、腰椎前弯角の減少による脊椎の直線化傾向は、寝返りの回転中心の偏心が減少し寝返りがし易くなる理想的な変化と考えられる。年齢別の特徴として、70代80代では椎間板変性、脊椎変形や圧迫骨折により円背、亀背や関節拘縮等が生じると、臥位においてSB高値、石原指数高値、TK高値、PT高値など、変形のない年齢と比較しSSPAに差異が生じることがわかった。スムーズな寝返りのためには、年齢と個人の変形を考慮して、至適仰臥位すなわちSSPAを調節することが必要である。
    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    目視で行ってきた寝返り動作を定量的に判定するために、モーションキャプチャシステムVicon8を用いて解析を行った。被験者は16名、枕は至適枕、枕無、高枕の3条件、寝台は適(適度な硬さのマット)と悪(柔らかいマット)の2条件とした。頭、肩、骨盤、下肢に光学式マーカー37個を装着し、光学式赤外線カメラ18台で寝返り動作を撮影しマーカーの軌跡データを取得した。コンピュータ解析を行い速度と加速度を求めた。さらに高速フーリエ変換(FFT)により周波数スペクトル解析を行い、スムーズさを表す低周波数成分とスムーズさがない状態を表す高周波数成分に分離し定量化した。図11に1例を示す。速度グラフでは良条件では、寝返り動作中である円内の波形は比較的スムーズであるが、悪条件ではスムーズさがないことが分かる。全数では周波数スペクトルで低周波成分を求めると良条件では平均0.193(19.3%)、悪条件では平均0.168(16.8%)、P<0.01となり有意に変化し定量的判定が可能となった15)16)。
    次に寝返りの回転中心である仮想体軸を可視化した。仮想体軸は、頭、肩、骨盤の各4個のマーカーの中心点を通る線と定義した。頭の中心と肩の中心を結んだ線を頭頚部仮想体軸、肩の中心と骨盤の中心を結んだ線を胸腰椎骨盤仮想体軸と呼ぶ。胸腰椎骨盤仮想体軸を頭側に直線的に延長した線と頭頸部仮想体軸のなす角を、頭頚部体軸角とした。被験者16名の周波数スペクトル解析で定量的に判定したスムーズな寝返りにおける頭頚部体軸角は18.1±3.71 度となり、X-P解析の仰臥位頚椎傾斜角16.8±5.36に近似した(P=0.15)。
    一方、胸腰椎骨盤仮想体軸を、X-P解析の臥位の基準線であるC7 plumb line(C7PL)と比較した。胸腰椎骨盤仮想体軸の起始点からC7PLに下ろした垂線の距離(体軸-PL間距離)と、仮想体軸とC7PLのなす角(体軸-PL角)を計測した。体軸-PL間距離は0~3.0mm、体軸-PL角は-1.58±5.54 °となり、仮想体軸とC7PLはほぼ一致又は平行に近づいた。スムーズな寝返りにおいて、胸腰椎骨盤仮想体軸が臥床面に平行になることが示された。
    以上の結果より、モーションキャプチャ解析における寝返りの回転中心となる頭頚部および胸腰椎骨盤仮想体軸は、X-P解析の人体における頚胸腰椎骨盤の矢状面アライメントに近似する可能性が示唆された。
    Ⅵ. 肩こりの治療における枕調節の意義
    至適枕による臥位姿勢調節について静的臥位姿勢と動的臥位姿勢の観点から解析した結果、枕の高さ調節を行う意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるように決定することであると考える。個々の体格変化や加齢変形、症状推移という変動要素を加味して、適宜再調節が必要なことを強調したい。その結果、寝返りが最もスムーズに行える仰臥位と側臥位において、頭部から頸椎のアライメント、脊椎骨盤アライメントが立位とは異なる一定の基準を持ち、脳から頚髄が安静を保つことで、慢性の肩こりにおける脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの両者の症状軽減がみられるのではないかと考える。本稿で示したのは肩こりの脊椎dysfunctionに対する有効性メカニズムを解明するための第1歩である至適臥位姿勢の解析結果である。今後は筋肉や末梢神経、自律神経についても解析する必要がある。さらには脳dysfunctionの解明のための中枢へのアプローチも行っていきたい。
    文献
    1)松平浩ほか:腰痛と肩こりの実態、危険因子と新たな視点に立った解釈案.日本臨牀72(2):244-250,2014.
    2)Koes,B.W.,et al.:An updated overview of clinical guidelines for management of non-specific low back pain in primary care. Eur Spine J.19:2075-2094,2010.
    3)Krismer, M., van Tulder, M.: Low back pain(non-specific).Best Pract Res Clin Rheumatol.21:77-91,2007.
    4)松平浩ほか:新たな視点に立った腰痛の原因,危険因子,分類.MB Orthop.25(7):7-13,2012
    5)松平浩:心理社会的ストレスに伴う脳dysfunctionを介した身体化としての腰痛と肩こり.日本心療内科学会誌.17(suppl):59,2013.
    6)Fujii T et al: Associations between neck and shoulder discomfort(Katakori) and job
    demand, job control,and worksite support. Mod Rheumatol.23(6):1198-1204,2013.
    7)高岸憲二ら:肩こりの治療.MB Orthopaedics19:16-19,2006
    8)河合伸也:肩こりの治療のポイント-肩こりの治療指針.クリニシアン44:499-504,1997
    9)山田朱織ほか:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法.東日本整災会誌18:460-465,2006.
    10)山田朱織ほか:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価.東日本整災会誌18:466-471, 2006.
    11)山田朱織ほか:枕調節による肩こり治療.リウマチ科.38(1):64-70,2007.
    12) 山田朱織ほか:頸の姿勢異常と枕.脊椎脊髄ジャーナル.21(12): 1233-1240,2008.
    13) 山田朱織ほか:臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント. J.Spine Res.5(6):944-950,2014.
    14)平泉裕:脊椎矢状面アライメント.脊椎脊髄.18:733-749,2007.
    15) 石澤利晃ほか:モーションキャプチャデータを用いた寝返りのスムーズさに関する分析:第12回SICEシステムインテグレーション部門講演会2M2-4, 2011.
    16)Akinori Sekiguchi et al: Feature Analysis of Turn Over Motion for Adjustment of Pillow Height. 8th International Conference on Humanized Systems (ICHS 2012):405-410,2012.
    発表論文:本論文は2014.2.名古屋脊椎グループ(NSG)頚椎セミナーで既発表
    論文・寄稿 整形・災害外科2015年06月号~肩こりを考える~掲載内容
  • 2015年06月号(58巻 07号)
    整形・災害外科~肩こりを考える~金原出版

    企 画 松平 浩
    松平浩先生のご紹介、腰痛対策などについて東京大学東大病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座のページをぜひご覧ください。

    「肩こりに対する枕調節の意義」が掲載されました。
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    「肩こりを考える」
    16号整形外科 山田朱織
    ―肩こりに対する枕調節の意義―
    Ⅰ.現代の慢性肩こりに対する新しい解釈と治療の必要性
    Ⅱ.経験的医療から得た知見
    Ⅲ.枕の条件と調節方法
    1.枕の3大条件
    2.枕の調節方法(SSS法)
    3.至適枕と体格の重相関
    Ⅳ.臨床効果
    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    1.至適枕における頚椎および頚髄アライメント
    2.矢状面脊椎骨盤アライメントSSPA
    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    Ⅵ.肩こりの治療における枕調節の意義
    ________________________________________
    要旨
    現代の慢性肩こりは非特異的肩こり、つまり脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの状態とも考えられる。当院では肩こりの患者にスムーズな寝返りが可能となる枕調節を行い、脊椎症状と身体化症状の改善をみてきた。このメカニズムの解明のために静的および動的臥位姿勢の解析を行った。静的臥位姿勢はMRIで至適枕における仰臥位頚椎傾斜角、クモ膜下腔前後径を計測し、X-Pで臥位矢状面脊椎骨盤アライメントを観察した。結果、頚椎・頚髄アライメント、脊椎骨盤アライメントの基準が分かった。動的臥位姿勢はモーションキャプチャの動作解析を行い、寝返りの定量化とスムーズな寝返りにおける仮想体軸の可視化が可能となった。脊椎アライメントと仮想体軸を比較すると、頭頚部仮想体軸と仰臥位頚椎傾斜角の近似、胸腰椎部仮想体軸と臥位のC7PLが平行に近づいた。枕調節の意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるよう決定することである。

    Ⅰ. 現代の肩こりの新しい解釈と治療の必要性
    厚生労働省の国民生活基礎調査の公表されている最も古い平成7年の結果と最新の平成25年の結果を比較しても、いずれも肩こりは日本国民の有訴者数女性1位、男性2位であり変化がなかった。この事実からも20年以上、肩こりに関する研究や治療は非常に遅れていると考えざるを得ない。21世紀、日本国民の肩こりに対する戦略的な治療の確立を目指して、1日も早く実践的に取り組む必要性を感じる。松平らは、肩こりの病因を的確に突き止め整合性をもって解釈する新しい理論が今必要であると警鐘をならしている1)。2000年ごろから全世界で非特異性腰痛という分類が確立され2)3)4)、腰痛治療にパラダイムシフトが起こりつつある。2大国民病の一方である肩こりも非特異的肩こりとよぶべき病態で、運動器にかかる身体的な負荷による脊椎dysfunctionと脳の機能異常すなわち脳dysfunctionの状態と解釈できるとされている5)6)。脳dysfunctionとは、心理社会的ストレスが身体症状として顕著化した徴候を身体化症状と呼び、一般的には明確な器質的異常を伴わない状態である。脊椎dysfunctionが長期間継続したり、あるいは短期間でも他の身体化症状を持っている患者等では脳のdysfunctionが起こりやすいと考えられている。
    我々が行っている肩こりの治療とは、睡眠中使用する寝具によって頭部、脊椎骨盤、下肢の臥位姿勢を調節することで、脳~脊髄、末梢神経のアライメントを至適状態にし、脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの改善を目指すものである。高岸ら7)がまとめた肩こりの治療法によれば、非症候性肩こりには日常生活指導の中で不良姿勢の改善が挙げられている。河合8)は、頚椎は頭部と躯幹を連結するという役割を担うゆえに、わずかな変化にも異常を自覚し防御する機構が備わっている指摘し、微細な誘因の除去が肩こり再発の予防に必要であるとしている。特に習慣になっている日常生活の姿勢、動作、寝具環境の見直しを挙げている。しかし、いずれも臥位姿勢の至適アライメントや調節方法について詳細は言及していない。現在に至るまで、整形外科において臥位姿勢の研究は殆ど行われてこなかった。
    本稿では、我々の解析により分かってきた枕を用いた臥位姿勢調節による脊椎dysfunctionの改善メカニズムについて述べる。

    Ⅱ.経験的医療から得た知見
    当院では1971年から35年以上、約5万人の肩こりを含めた頚部症状を訴える患者に対し、寝返りが最もスムーズになるよう枕の高さ調節を行い、症状が改善することを経験してきた9)10)11)。肩こりについては慢性かつ難治症例が多く、問診では20~30年肩こりが継続していると訴える症例や、肩こりのみならず多数の身体化症状を訴える症例、肩こりを主訴に何軒もドクターショッピングを繰返してきた症例も少なくない。外来では、患者の自宅から持参させた玄関マットやタオルケットなどの素材を使用して、臥位で枕の高さを個々の体格や症状に合わせて調節してきた。患者の症状を診ながら微調節を繰り返し、また中長期的に体格変化に合わせて再調整を行い、症状の改善を継続的に観察してきた。このような作業を繰り返すことにより調節方法を確立し、調節精度を高め、至適枕の条件を確立した。その結果、至適枕を用いた臥位姿勢調節により肩こり、頚部痛、肩上肢痛といった脊椎症状のみならず頭痛、眩暈、不眠など身体化症状の改善が見られた。
    以下、経験的医療から導いた事実すなわち「枕の高さ調節によりスムーズな寝返りが可能な臥位姿勢で眠ると、臨床症状が改善する」ことについて、そのメカニズムを類推し、臥位姿勢の静的および動的解析を行い検証してきた方法と結論を解説する。

    Ⅲ.枕の条件と調節方法
    頸椎症状を訴える患者の枕調節を行ってきた経験から、枕の条件の設定と調節方法の体系化を図ってきた。

    1.枕の3大条件
    至適枕の3大条件は次のように考える。第1は体格に適合した枕の高さである。仰臥位と側臥位の両方に適合する1つの高さを決定する。第2は決定した高さが終夜使用中に5mm以上変化しない適度な硬さである。第3は体格変化や加齢に伴い適宜再調整を行うことである。我々が研究に使用している枕は、縦25cm×横50cm×高さ5mmピッチで厳密に調節を行うためウレタンやポリエチレンのシートを組み合わせた積層構造である。表面は平らな形状である。

    2.枕の調節方法(SSS法)
    枕の調節方法SSS(Set-up for Spinal Sleep)法12)は3つのプロセスからなる。X-PやMRIで確認できればより正確であるが、外来診療では肉眼的に体表面で判断する。第1に仰臥位で両上下肢を伸展位で脱力させる。枕の高さを5mmピッチで変更しながら、頸椎の前傾が15度前後で、患者が呼気、吸気とも楽に感じること、後頭部の感触が不快でないこと、後頸部の筋緊張が弛緩することを聴取しながら高さを調節する。第2に左右側臥位の確認であるが、まず仰臥位で両前腕を前胸部上にクロスして右手を左鎖骨、左手を右鎖骨に触れ、両股関節60度前後、両膝100度前後に屈曲した寝返りの回転ポジションをとり、左右に回転し側臥位になる。額・鼻・顎・胸骨を通る頭頸部の中心線と臥床面が平行になるよう高さ調節する。患者の左右の胸鎖乳頭筋、肩甲挙筋等の攣れ感を聴取することも有益である。左右の最適高さに差がある場合は、次の寝返りで決定する。第3に寝返りのスムーズさを確認する。仰臥位で寝返りの回転ポジションをとり、左右に2~3回回転し、寝返りのスムーズさを比較する。目視におけるスムーズとは、中心軸に対し頭部、胸部、骨盤が同期的に回転する状態である。逆にスムーズでないとは、各部に位相差が生じる状態である。胸部の肩峰と骨盤の大転子をメルクマールに注視すると、いずれかに遅れが生じるか、または遅れを筋力で補正しようと大きな力を入れたり、反動をつけるなどぎこちない動きが観察される。最もスムーズに寝返りができる枕の高さが至適枕である(図1)。患者宅から持参させた素材を折りたたみ積層構造にしても代用可能である。

    3.至適枕と体格の重相関
    2003-2012年にSSS法で調節した成人男女30,252人の、体格(身長、体重)と枕の高さの相関を示す。重相関係数0.79と高値を示し、身長体重が増加するほど枕が高くなることが示された(図2)。男女別では体格の比較的小さな女性は枕が相対的に低めで、体格の比較的大きな男性は高めの傾向がみられる。年齢別でみると60歳以上では身長体重が少ないにも関わらず枕の高さが非常に高い例が散見される。円背による後弯変形や関節硬縮により高い枕が必要になる。

    Ⅳ. 臨床効果
    当院に2004~2013年に来院し頚椎疾患で枕調節を行った患者410例(男性195例、女性215例。14~93歳、平均50.5歳)のカルテデータを後ろ向きに調査、解析した。患者の主訴である「広義の肩こり」と「身体化症状」、および他覚所見について、至適枕使用前後で改善者数/有訴者数(改善者数率、以下IR)を用い評価した。また自覚症状を、2(自覚症状強)、1(自覚症状軽)、0(自覚症状無)の3段階のスコアで回答させ、枕使用前後の有意差検定を行った。他覚所見は、枕使用前後の計測値間で有意差検定を行った。至適枕の平均使用期間は110.9日であった。
    広義の肩こりは①頸肩こり②頚部痛③肩上肢痛の3症状、身体化症状は④頭痛⑤眩暈⑥不眠の3症状、他覚所見は①頸椎ROM伸展②頸椎ROM屈曲③圧痛点数④Spurling test⑤上肢筋力⑥上肢知覚の6項目である。結果を改善者数/有訴者数、改善者数率 IR(%)、枕使用前後のスコアおよび計測値の平均値、P値を示す。例数不足で検定できないものは―とする。全体では自覚症状①頸肩こり78/110、70.9、P<0.01②頚部痛153/201、76.1、P<0.01③肩上肢痛66/81、78.6、P<0.01、身体化症状④頭痛37/57、64.9、P<0.01⑤眩暈15/23、65.2、P<0.01⑥不眠20/26、76.9、P<0.01、他覚所見①ROM伸展84/194、43.3、P>0.05②ROM屈曲80/187、42.8、P<0.05③圧痛点数102/161、63.4、P<0.01④Spurling test 17/21、65.4、P<0.05⑤上肢筋力2/5、40.0、7、P>0.05⑥上肢知覚17/35、48.6、P>0.05であった。図3に、有訴者数、改善者数、改善者数率、スコアおよび計測値の平均値と有意差検定結果を示す。
    自覚症状においては、頚椎疾患の患者が主訴として肩こりの3症状を訴えた割合は、81-201人/410人、すべてIR70%以上となった(図3-1)。身体化症状の3症状を訴えた割合は、23-57人/410人、IR60%以上となった。肩こりの3症状と身体化症状の3症状すべては有意に改善した。一方、他覚所見は異常を認めた項目の軽快または消失を改善としたがIR40-65%であり、ROM、圧痛点数、Spurling testのみ有意に改善した。
    MRI所見別では、頚椎椎間板変性を認めた96例において自覚症状の①②③④、他覚所見の②、頚椎椎間板膨隆・ヘルニアを認めた194例において自覚症状の①②③④⑤、他覚所見の②③④、頚部脊柱菅狭窄を認めた58例において自覚症状の①②③、他覚所見の③において有意に改善した。頚椎椎間板ヘルニアを認めた症例が最も肩こりの3症状を訴える有訴者数が多く、改善者数率も80%以上と高値を示した(図3-2-A~C)。
    年代別にみると、自覚症状は肩こりの3症状および身体化症状の眩暈、不眠は加齢とともに有訴者数が増加し、改善者数率も増加する傾向があるが、他覚所見は加齢に伴う一定の傾向は認めなかった(図4)。

    Ⅴ.至適臥位姿勢の仮説と検証
    至適枕を用いて最もスムーズな寝返りになるよう臥位姿勢調節を行うことで、肩こりと身体化症状が改善されることを示した。これにより至適枕により調節される至適臥位姿勢の存在が示唆される。
    臥位姿勢は静的臥位姿勢と動的臥位姿勢に分けられる。静的臥位姿勢は仰臥位および側臥位であり、動的臥位姿勢は寝返りである。理論的には、側臥位すなわち冠状面アライメントにおいては側彎角0度、冠状面バランス0cmが基準であるが、仰臥位すなわち矢状面アライメントについては基準がない。至適臥位姿勢の解明のためには至適仰臥位すなわち矢状面アライメントの基準を見つける必要がある。そのために静的臥位姿勢の解析としてX-PとMRIの画像解析と、動的臥位姿勢の解析としてモーションキャプチャによる寝返り動作解析を行った。

    1.至適枕における頸椎および頸髄アライメント
    まず始めに頚椎および頚髄の矢状面アライメントを解析した。仰臥位頚椎傾斜角とは、仰臥位頚椎の矢状面アライメントの指標の1つとして当院で考案した角度である。大後頭孔前縁中点と第7頚椎の椎体後面を結ぶ線と、臥床面のなす角である。正常例のみならず関節リウマチの環軸椎亜脱臼例においても延髄~頚髄のアライメントとして評価できる(図5)。
    当院で2004~2013年に来院した頚椎疾患の患者410例、14~93歳、平均50.5歳を対象に、至適枕における頸椎アライメントをMRIで観察した。仰臥位頚椎傾斜角(度)は、全体平均18.1、男性18.1、女性18.1と差がなく、年齢別では40代をピークに17.1 ~18.9と経度の山型の分布になったが有意差は認めなかった。MRI所見別に頚椎椎間板変性、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄を比較しても、17.9~19.2と有意差は認めなかった(図6)。以上の結果より、仰臥位頚椎傾斜角は男女、年齢、疾患の別によらず、普遍的な一定の角度である可能性が示唆された。
    仰臥位において頚椎のアライメントを調節することは、同時に頚髄のアライメントを調節することに他ならない。大後頭孔を通過する延髄、頚髄も一定の角度で安定化することは、脳脊髄症状改善のメカニズムの1つとも考えられ、病変部のくも膜下腔前後径の計測を行った。病変部高位の症例数は延べC2/3は44例、C3/4は210例、C4/5は309例、C5/6は375例、C6/7は342例であった。各高位の枕無/至適枕のくも膜下腔前後径(mm)は、C2/3は8.98/9.16、C3/4は9.19/9.41、C4/5は9.17/9.55、C5/6は8.84/9.34、C6/7は9.19/9.54ですべての高位で至適枕においてくも膜下腔は増加した(P<0.01)。差分はC2/3は0.18、C3/4は0.22、C4/5は0.39、C5/6は0.50、C6/7は0.45となり、下位頸椎であるC5/6,6/7の増加が大きかった(図7-1)。男女とも至適枕で優位に増大した。年代別では20代のC3/4、30代のC3/4,70代のC2/3を除く全てに有意差を認めた。MRI所見別では頚部椎間板変性、頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄のいずれも下位頚椎病変部のほうが増加の割合が大きかった(図7-2)。特徴的なのは頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄の最狭窄部C5/6において最大の増大0.54、0.41を認めた。至適枕使用時の静的仰臥位姿勢においては頚髄が前後の病変要素から圧迫を受けずに安静が保たれる可能性が考えられた。
    頚部椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、円背例の枕無と至適枕の頚髄アライメントおよびくも膜下腔のMRI像を示す(図8)。

    2.矢状面脊椎骨盤アライメント
    次に頚胸腰椎、骨盤の矢状面アライメントを解析した。至適枕における矢状面脊椎骨盤アライメントSagittal Spino.01)となった(図9)。年代別にみると、SBは立位で80代を除く全ての年齢がマイナスバランスであったが、臥位では全年齢で0からプラスバランスになった。石原指数は全年齢で立位より臥位で低値となった。臥位では0代~60代で0に近く、70代、80代で急に高値となった。TKは40代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。70代、80代では立位臥位とも高値となった。LLは全年齢で立位より臥位で低値となった。PTは全年齢で立位より臥位が低値となった13)。SSPAの立位・臥位比較をX-P像で示す(図10)。
    至適臥位姿勢が立位姿勢と比較して弯曲が減少し直線化に近づくことが明らかになった。立位における正常脊椎の矢状面の弯曲は柔軟な運動性の獲得と、軸方向への耐荷重性能すなわち直立位を維持するための剛性と安定性を供給しているという14)。一方、臥位においては脊椎にかかる軸方向の負荷はなく、運動も寝返りという回転方向になるため、石原指数、胸椎後弯角、腰椎前弯角の減少による脊椎の直線化傾向は、寝返りの回転中心の偏心が減少し寝返りがし易くなる理想的な変化と考えられる。年齢別の特徴として、70代80代では椎間板変性、脊椎変形や圧迫骨折により円背、亀背や関節拘縮等が生じると、臥位においてSB高値、石原指数高値、TK高値、PT高値など、変形のない年齢と比較しSSPAに差異が生じることがわかった。スムーズな寝返りのためには、年齢と個人の変形を考慮して、至適仰臥位すなわちSSPAを調節することが必要である。

    3.モーションキャプチャを用いた寝返り動作解析と仮想体軸の可視化
    目視で行ってきた寝返り動作を定量的に判定するために、モーションキャプチャシステムVicon8を用いて解析を行った。被験者は16名、枕は至適枕、枕無、高枕の3条件、寝台は適(適度な硬さのマット)と悪(柔らかいマット)の2条件とした。頭、肩、骨盤、下肢に光学式マーカー37個を装着し、光学式赤外線カメラ18台で寝返り動作を撮影しマーカーの軌跡データを取得した。コンピュータ解析を行い速度と加速度を求めた。さらに高速フーリエ変換(FFT)により周波数スペクトル解析を行い、スムーズさを表す低周波数成分とスムーズさがない状態を表す高周波数成分に分離し定量化した。図11に1例を示す。速度グラフでは良条件では、寝返り動作中である円内の波形は比較的スムーズであるが、悪条件ではスムーズさがないことが分かる。全数では周波数スペクトルで低周波成分を求めると良条件では平均0.193(19.3%)、悪条件では平均0.168(16.8%)、P<0.01となり有意に変化し定量的判定が可能となった15)16)。
    次に寝返りの回転中心である仮想体軸を可視化した。仮想体軸は、頭、肩、骨盤の各4個のマーカーの中心点を通る線と定義した。頭の中心と肩の中心を結んだ線を頭頚部仮想体軸、肩の中心と骨盤の中心を結んだ線を胸腰椎骨盤仮想体軸と呼ぶ。胸腰椎骨盤仮想体軸を頭側に直線的に延長した線と頭頸部仮想体軸のなす角を、頭頚部体軸角とした。被験者16名の周波数スペクトル解析で定量的に判定したスムーズな寝返りにおける頭頚部体軸角は18.1±3.71 度となり、X-P解析の仰臥位頚椎傾斜角16.8±5.36に近似した(P=0.15)。
    一方、胸腰椎骨盤仮想体軸を、X-P解析の臥位の基準線であるC7 plumb line(C7PL)と比較した。胸腰椎骨盤仮想体軸の起始点からC7PLに下ろした垂線の距離(体軸-PL間距離)と、仮想体軸とC7PLのなす角(体軸-PL角)を計測した。体軸-PL間距離は0~3.0mm、体軸-PL角は-1.58±5.54 °となり、仮想体軸とC7PLはほぼ一致又は平行に近づいた。スムーズな寝返りにおいて、胸腰椎骨盤仮想体軸が臥床面に平行になることが示された。
    以上の結果より、モーションキャプチャ解析における寝返りの回転中心となる頭頚部および胸腰椎骨盤仮想体軸は、X-P解析の人体における頚胸腰椎骨盤の矢状面アライメントに近似する可能性が示唆された。

    Ⅵ. 肩こりの治療における枕調節の意義
    至適枕による臥位姿勢調節について静的臥位姿勢と動的臥位姿勢の観点から解析した結果、枕の高さ調節を行う意義は、頭と胸腰椎骨盤を結ぶジャンクションである頚椎の角度を最もスムーズな寝返りができるように決定することであると考える。個々の体格変化や加齢変形、症状推移という変動要素を加味して、適宜再調節が必要なことを強調したい。その結果、寝返りが最もスムーズに行える仰臥位と側臥位において、頭部から頸椎のアライメント、脊椎骨盤アライメントが立位とは異なる一定の基準を持ち、脳から頚髄が安静を保つことで、慢性の肩こりにおける脊椎dysfunctionと脳dysfunctionの両者の症状軽減がみられるのではないかと考える。本稿で示したのは肩こりの脊椎dysfunctionに対する有効性メカニズムを解明するための第1歩である至適臥位姿勢の解析結果である。今後は筋肉や末梢神経、自律神経についても解析する必要がある。さらには脳dysfunctionの解明のための中枢へのアプローチも行っていきたい。

    文献
    1)松平浩ほか:腰痛と肩こりの実態、危険因子と新たな視点に立った解釈案.日本臨牀72(2):244-250,2014.
    2)Koes,B.W.,et al.:An updated overview of clinical guidelines for management of non-specific low back pain in primary care. Eur Spine J.19:2075-2094,2010.
    3)Krismer, M., van Tulder, M.: Low back pain(non-specific).Best Pract Res Clin Rheumatol.21:77-91,2007.
    4)松平浩ほか:新たな視点に立った腰痛の原因,危険因子,分類.MB Orthop.25(7):7-13,2012
    5)松平浩:心理社会的ストレスに伴う脳dysfunctionを介した身体化としての腰痛と肩こり.日本心療内科学会誌.17(suppl):59,2013.
    6)Fujii T et al: Associations between neck and shoulder discomfort(Katakori) and job
    demand, job control,and worksite support. Mod Rheumatol.23(6):1198-1204,2013.
    7)高岸憲二ら:肩こりの治療.MB Orthopaedics19:16-19,2006
    8)河合伸也:肩こりの治療のポイント-肩こりの治療指針.クリニシアン44:499-504,1997
    9)山田朱織ほか:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法.東日本整災会誌18:460-465,2006.
    10)山田朱織ほか:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価.東日本整災会誌18:466-471, 2006.
    11)山田朱織ほか:枕調節による肩こり治療.リウマチ科.38(1):64-70,2007.
    12) 山田朱織ほか:頸の姿勢異常と枕.脊椎脊髄ジャーナル.21(12): 1233-1240,2008.
    13) 山田朱織ほか:臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント. J.Spine Res.5(6):944-950,2014.
    14)平泉裕:脊椎矢状面アライメント.脊椎脊髄.18:733-749,2007.
    15) 石澤利晃ほか:モーションキャプチャデータを用いた寝返りのスムーズさに関する分析:第12回SICEシステムインテグレーション部門講演会2M2-4, 2011.
    16)Akinori Sekiguchi et al: Feature Analysis of Turn Over Motion for Adjustment of Pillow Height. 8th International Conference on Humanized Systems (ICHS 2012):405-410,2012.
    発表論文:本論文は2014.2.名古屋脊椎グループ(NSG)頚椎セミナーで既発表

    論文・寄稿 肩こりに対する枕調節の意義
  • 日時 : 2015年5月21日(木)~24日(日)
    場所:神戸国際展示場
    山田朱織枕研究所が展示会に出展致します。
    論文・寄稿 第88回日本整形外科学会学術総会
  • 日時:2015年4月17日(金)
    場所:福岡国際会議場

    至適枕の使用により頸椎症状が改善した症例のMRI画像解析 ―頸椎アライメントと病変部クモ膜下腔の観察―
    山田 朱織(16号整形外科),星 徹(東京工科大学),勝呂 徹(東京医科大学医学総合研究所)

    【目的】我々は就寝中に使用する枕を個人の体格等に適合するように調節し頸椎症状改善の効果を検証してきた。今回は有効性メカニズムを検討するために、MRIで至適枕使用時の頸椎アライメントおよび病変部クモ膜下腔を定量的に評価した。

    【対象】2008~2013年に頚椎症状を訴え来院した患者で、頚椎MRIを撮影した 2757例から無作為に抽出した410例、男195例、女215例、14~93歳平均年齢50.5歳であった。

    【方法】枕はSSS法で仰側臥位を調節し、最もスムーズな寝返りとなる高さを至適枕とする。至適枕使用時の仰臥位MRIのT2強調像を撮影した。頸椎アライメントは仰臥位頸椎傾斜角を計測し、頸髄の評価はA:枕無とB:至適枕の2条件における病変部のクモ膜下腔前後径を計測し比較した。

    【結果】仰臥位頸椎傾斜角(度)は全体平均18.1、男18.1女18.1、年代別では17.1~18.9、疾患別では変形性頚椎症、頚椎椎間板変性症、頚椎椎間板ヘルニア(CDH)、頚部脊柱管狭窄症(CSCS)等で17.8-19.2となり、有意差を認めなかった。次に各高位のクモ膜下腔前後径(mm)を計測した。各高位に病変部を認めたのはC2/3は44例,3/4は211例,4/5は310例,5/6は375例,6/7は342例であった。各高位の前後径の平均値A/Bは.98/9.16,9.19/9.41,9.17/9.55,8.84/9.34,9.19/9.64で、全てBで有意に増加した。男女の前後径に差はなく、男女ともBで優位に増加した。年代別では20代のC3/4、30代のC3/4,70代のC2/3を除く全てBで有意に増加した。疾患別で特徴的なのはCDH、CSCSとも最狭窄部C5/6において最大の増大0.54mm、0.41mmを認めた。

    【考察】至適枕を使用すると仰臥位頸椎傾斜角が個体差によらず約18.1度となり、同時に病変部のクモ膜下腔の有意な増大を認めたことより、臥位における良肢位とよべる頸椎姿勢の存在が示唆された。この姿勢により就寝中の頸椎および頸髄の安静が保たれることが頸椎症状改善のメカニズムの1つと考えられた。










    論文・寄稿 第44回日本脊椎脊髄病学会学術集会 -至適枕の使用により頸椎症状が改善した症例のMRI画像解析
  • 2015年4月17日(金)
    第44回日本脊椎脊髄病学会学術集会
    場所:福岡国際会議場

    就寝中の至適枕使用による頸椎疾患の症状改善の定量的評価
    山田 朱織(16号整形外科),星 徹(東京工科大学),勝呂 徹(東京医科大学医学総合研究所)

    【目的】当院では1971年から約5万人の頚部症状を訴える患者に対し、寝返りが最もスムーズになるよう枕の高さ調節を行い、症状が改善することを経験してきた。今回、経験的医療としての臥位姿勢調節を客観的・定量的に評価するために、症状改善について後ろ向き研究を行った。

    【対象と方法】対象:2008~2013年に当院に頚椎疾患で通院していた患者のうち、枕の高さ調節をSSS法を用いて行い、至適枕を使用して経過観察した410例(男195女215例)、14~93歳平均50.5歳を対象とし後ろ向きに調査した。
    方法:枕使用前後の自覚症状7項目と他覚所見8項目の改善者数/有訴者数(改善者数率、以下IR)および、自覚症状を、2(自覚症状強)、1(自覚症状軽)、0(自覚症状無)の3段階のスコアに分類し枕使用前後の有意差検定を行った。他覚所見も枕使用前後で有意差検定を行った。至適枕の平均使用期間は110.9日であった。自覚症状は①肩こり②頚部痛③肩上肢痛④手のしびれ⑤頭痛⑥眩暈⑦不眠、他覚所見は⑧頸椎ROM伸展(度)⑨頚椎ROM屈曲(度)⑩圧痛点数⑪Jackson test(陽性2、陰性0)⑫Spurling test (陽性2、陰性0)⑬上肢筋力(異常2、正常0) ⑭上肢知覚(異常2、正常0) ⑮握力左右(Kg)である。
    統計解析:IR(改善者数率)を算出すると同時に、自覚症状、他覚所見のスコア等を至適枕使用前/後の値の差の有意差検定を行う。自覚症状と他覚
    所見のノンパラメトリック項目(スコア値比較)に関してWilcoxsonの符号付き順位検定を、パラメトリック項目はt検定を行い有意差を判定する。統計解
    析ソフトはSPSSを用いる。

    【結果】410例の患者データの解析結果をグラフに示す。全員、男女別、MRI所見別に、至適枕使用前/後における症状毎の有訴者数、改善者数およびIR(改善者数率)、さらに至適枕使用前/後症状毎のスコア値等と有意差検定結果を示す。各症状の年代別比較では、スコア値等の至適枕使用前/後の値の推移とそれぞれの有意差検定結果を示す。
    全員:有訴者数が100人以上(全体の1/4以上)であったのは頚部痛、肩こりであった。IRは自覚症状で0.55-0.79、他覚所見で0.43-0.65であった。自覚症状のスコアは全項目で有意に改善、他覚所見ではROM伸展屈曲、圧痛点、Spurling testで有意に改善した。
    男女別:有訴者数の特徴として、男性は眩暈が女性より多く、女性は肩こり、頚部痛、頭痛が男性より多い傾向が見られた。IRは男女で自覚症状・他覚所見とも大きな差は認めなかった。自覚症状のスコアは男女とも自覚症状は全項目で有意に改善、他覚所見は圧痛点とSpurling testは男女とも有意に改善、ROM伸展は女性のみ改善した。
    MRI所見別:MRII所見別症例数は、頚椎椎間板変性96例、頚椎椎間板ヘルニア194例、頚部脊柱菅狭窄58例であった。IRで比較すると、椎間板変性は頭痛において高値を示したが、他は椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄のほうが高値を示す傾向を示した。自覚症状のスコアは椎間板変性の肩こり,頚部痛,肩上肢痛,頭痛、頚椎椎間板ヘルニアの肩こり,頚部痛,肩上肢痛,手のしびれ,頭痛,眩暈、頚部脊柱菅狭窄の頚部痛,肩上肢痛で有意に改善を認めた。他覚所見は、椎間板変性の圧痛点数、Spurling test、椎間板ヘルニアの頸椎ROM屈曲、圧痛点数、Spurling test 、脊柱管狭窄の圧痛点で有意に改善を認めた。
    各症状の年代別:IRは自覚症状の肩こり、頚部痛、肩上肢痛、頭痛、不眠において、50代以降高値を示した。他覚所見は年代による一定の傾向は認めなかった。

    【考察】
    ・当院で経験的医療としておこなってきた臥位姿勢調節を客観的・定量的に評価するために、症状改善について後ろ向き研究を行った。
    ・自覚症状7項目は高値を示し、他覚所見8項目のIRは自覚症状に比して低い値を示した
    ・男女別、MRI所見別、年齢別に改善する症状やIRが異なることが明確になり枕調節による改善を定量的評価することができた。
    ・後ろ向き調査によるサンプリングの不完全性によるバイアスを除くため、本研究を1次調査として、今後は前向きコホート研究を行う予定である。


    論文・寄稿 第44回日本脊椎脊髄病学会学術集会 -就寝中の至適枕使用による頸椎疾患の症状改善の定量的評価~
  • 日時:2015年1月14日(水)
    場所:港区医師会館 2階会議室
    タイトル:「整形外科医が考える至適睡眠姿勢とは?―枕と寝台の調節から考えるー」
    論文・寄稿 港区医師会整形外科医会 講演会
  • 日時:2014年10月10日(金)
    場所:坂戸グランドホテルWIN
    タイトル:「整形外科医が考える至適睡眠姿勢とは?―枕と寝台の調節から考える―」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号14-1852)

    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)(Re)臨床骨代謝フォーラム(第8回梅ノ木フォーラム)
    (1) 宮島 剛
    (2) 平成26年10月10日(金) 18:45~21:00
    (3) 坂戸グランドホテル(埼玉県), 100名
    (4)
    1.
    骨粗鬆症治療の現状と今後の展望 [4][7] SS
    埼玉医大准教授
    宮島 剛
    2.
    整形外科医が考える至適睡眠姿勢とは? -枕と寝台の調節から考える- [8][9] Re
    16号整形外科医院院長
    山田 朱織
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 宮島 剛
    〒350-0451 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
    埼玉医科大学整形外科
    (049-276-1238)
    (8) 認定番号14-1852, 26.6.23受付
    論文・寄稿 第8回 梅の木フォーラム-埼玉西北部「骨と関節」研究会 発表内容
  • 2014年6月25日(水)発行
    Journal of Spine Research vol.5 No.6 日本腰痛学会特集号
    臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント
    山田 朱織、星 徹、小日向 肇、遠藤 裕一郎、勝呂 徹



    Journal of Spine Researchは(一社)日本脊椎脊髄病学会が発行する専門誌です。
    下記は抜粋でございます。全文ご希望の場合は当社までお問い合わせください。

    【はじめに】
    至適睡眠姿勢の定義は確立していない。自分の意志で調節する立位姿勢と異なり、寝具の影響を受け変化する睡眠姿勢においては枕や寝台といった寝具の調節が不可欠である。
    今回は、静的睡眠姿勢のX線学的解析を行った。静的睡眠姿勢すなわち仰臥位および側 臥位の脊椎骨盤アライメント(Spino-Pelvic Align- ment : SPA) については、立位と座位姿勢の報告は国内外で古くから散見され 、さらに近年報告は増えてきている。しかし臥位姿勢の報告は少なく評価指標も決定していない。そこで立位姿勢評価で一般的に使用されているSSPAのパラメータを用いて、臥位姿勢の矢状面アライメントを評価し、臥位姿勢評価として有用であるかを検討したので報告する。

    【対象】
    対象は当院を受診した患者およびボランティアの51名で、男性15名、女性36名であった。平均年齢49.1歳(4~89歳)

    【方法】
    X線撮影は、立位と臥位の全脊椎骨盤側面像を撮影する。立位臥位とも、両上肢は前方挙上(肩関節屈曲60度)とした。寝具環境すなわち枕の高さと寝台の硬さ条件は、当院で開発した Set-up for Spinal Sleep-Total (SSS-T)法を用いた。
    SSPAのパラメータは図1に示すように、1)矢状面バランス Sagittal Balance (SB)、 2 )頚椎傾斜角 Cervical Tilt (CT) 、 3 )頚椎脊曲指数(石原指数)、 4 )胸椎後湾角 Thoracic Kyphosis(TK)、5 )腰椎前湾角 Lumber Lordosis (LL) 、6 )骨盤回旋角Pelvic Tilt (PT)を計測し、有意差検定を行った。なお年齢、別の姿勢特徴を観察した。


    図1 6つのパラメータ(SB、石原指数、CT、TK、LL、PT)
    SBは、C7 plumb line(C7PL)とhip axis vertical line (HAVL)の距離で、C7PL
    がHAの前方に位置する場合を(+)、後方に位置する場合を(-)で表す

    【結果】
    立位と臥位におけるSPAの平均(±SD、P値)は、SB:立位-37.85±38.87、臥位16.99 ± 17.85、(P**) 、CT:8.18±7.86、19.49±5.61、(P**),石原指数:8.62±18.12、2.95±12.21、(P**)TK :42.86±15.81、35.96±11.72、(P**)、LL:49.05±12.12、39.66±10.5、(P**)、PT:15.47±1100、10.44±6.92、(P**)となった。年代別にみると、SBは立位では80代を除いてマイナスバランスであった。臥位では全てプラスバランスで、特に70代、80代は高値であった。CTは全年齢において立位より臥位で高値となった 。80代は立位で高値となり臥位と差が小きかった。石原指数は20代、30代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。 臥位ではO代~60代でOに近く、70代、80代で急に高値となった。TKは40代を除く全年齢で立位より臥位で低値となった。70代80代では立位臥位とも高値となった。LLは全年齢で立位より臥位で低値となった。各年齢聞の差が少なかったPTは20代を除く全年齢で立位より臥位が低値となった。70代80代では立位で高値となった。

    【考察】
    SB、CT、石原指数、TK、LL、PT すべてのパラメ―タは、立位から臥位に有意に変化し、立位姿勢とは異なる一定の傾向を示したことから、臥位SSPAのパラメータとしての有効性が示唆された。
    論文・寄稿 臥位姿勢における矢状面脊椎骨盤アライメント
  • 第43回日本脊椎脊髄病学会
    場所:国立京都国際会館
    寝具調節における睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

    【はじめに】
    一人一人異なる体格の人間が至適睡眠姿勢をとるためには、その人の身体各部に適合する寝具の調節が必要と考える。我々はX-Pの脊椎骨盤アライメント(SPA)計測やモーションキャプチャによる寝返り運動解析から、静的睡眠姿勢(仰側臥位)と、動的睡眠姿勢(寝返り)によって枕と寝台の適合を判定し調節するSSS-T法を考案した。本法で調節した寝具を用いれば、終夜適切な睡眠位置と睡眠姿勢で眠るよう制御が可能かを観察し解析した。

    【対象と方法】
    対象は成人17名(男9名、女8名)、平均年齢42.4歳(30~67歳)。SSS-T法で肉眼的に仰臥位矢状面SPAと左右側臥位冠状面SPAを調整する。SPAの決定において、寝具条件により調節を行うべき身体各部の重要ポイントは、仰臥位の第7頸椎、第7胸椎、第4腰椎、仙骨、側臥位では肩峰、大転子付近である。寝台は各ポイントを個別調節できる3列×3行=9個のばね定数の異なるコイルばねユニットからなる。まず中央列にて仰臥位各ポイントを調節し、次に側臥位となり左右列を調節する。最後に寝返りのスムーズさを確認する。

    寝具条件は寝具Aを調節した至適枕と寝台、寝具Bを調節した至適枕と従来使用の自宅の寝台とした。各3日間終夜ビデオ撮影する。映像から睡眠位置(中央列C、右列R、左列L)と睡眠姿勢(仰臥位s、右側臥位r、左側臥位l)の組み合わせ時間経過を記録する。睡眠位置と睡眠姿勢が一致(C-s、R-r、L-l)した時間割合を一致率とし、A,Bの一致率(平均±2SD)を比較し有意差(p値)を検定する。【結果】 被験者17名中13名(76.5%)の一致率は、A>Bとなり、4名(23.5%)はB>Aとなった。前者13名のAでの一致率は0.85±0.25、Bでの一致率は0.64±0.38で、A,B間に有意差が認められた(P<0.01)。後者4名のAの一致率は0.28±0.40、Bの一致率は0.48±0.35で、A,B間に有意差を認められなかった(P>0.05)。ビデオ解析では、うつぶせ寝や呼吸障害による大きな体動が観察された。

    【考察】
    本結果より、76.5%の被験者において、我々が考案したSSS-T法に基づく寝具調整法により睡眠位置と姿勢を有意に制御できる可能性が示唆された。一方、残りの4例の被験者においては、A,Bとも一致率が低く有意差が見られず、寝具条件以外に影響を及ぼす要因があると考えられた。

    ポイント本文:
    個人に適合する枕と寝台条件を調節し終夜観察と解析を行った。睡眠位置と睡眠姿勢を有意に制御できる可能性が示唆された。

    英語演題名:
    Overnight Observation and Analysis of Sleep Position and Posture Control by Adjusting Pillow and Bed

    論文・寄稿 第43回日本脊椎脊髄病学会 発表内容-寝具調節による睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析-
  • 場所:国立京都国際会館
    寝具調節における睡眠位置と睡眠姿勢制御の終夜観察と解析
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

    【目的】矢状面脊椎骨盤アライメント(以下SSPA)において、立位と座位姿勢の報告は散見されるが、臥位姿勢の報告は少なく評価指標も決定していない。立位で一般的に使用されている評価指標を用い、臥位を計測し立位と比較した。これまで我々はモーションキャプチャで最適睡眠姿勢の4D解析を行い、最適寝返時の回転中心を仮想体軸と定義し可視化定量化し臥位姿勢の評価に使用してきた。今回は仮想体軸とSSPAの比較も報告する。

    【対象】51名(男15名、女36名)平均年齢50.4歳(4~89歳)【方法】X-Pで立位と臥位の全脊椎骨盤側面像を撮影する。枕と寝台の条件は当院で開発したSSS-T法を用い寝返りのし易い条件とする。パラメータは矢状面バランス(SB)、頸椎弯曲指数(石原指数)、胸椎後弯角(TK)、腰椎前弯角(LL)、骨盤回旋角(PT)を計測した。又仮想体軸をX-Pに描出しSBのC7 plumb line(C7PL)と比較するために、仮想体軸の起始点からC7PLに下ろした垂線の距離(体軸-PL間距離)と、仮想体軸とC7PLのなす角(体軸-PL角)を計測した。いづれも有意差検定を行った。

    【結果】立位と臥位のSSPAの平均(±2SD、P値)はSB: -35.18±83.96, 17.28±36.20、石原指数13.01±31.84, 5.79±22.69、TK: 42.98±32.22, 35.81±23.84、LL: 48.28±23.36, 39.42±21.23、PT: 15.29±22.13、10.42±14.11(全てP<0.01)、体軸PL間距離-8.39±19.77、-11.44±18.14 (P<0.05), 体軸PL角4.96±7.92、-1.58±5.54 (P<0.01)であった。年齢別には、70歳、80歳代では臥位でSBおよびLLは減少するものの有意差は見られなかった(P>0.05)。なお円背例では臥位で体軸-PL角の増大するものがみられた。

    【考察】立位から臥位に姿勢が変化すると、SBはマイナスからプラスにバランスが変わり、頚胸腰椎の弯曲を示す石原指数とTKとLLが減少し直線に近づいた。PTは減少し骨盤が前傾した。以上より立位のパラメータを用いると、臥位姿勢が立位姿勢と異なる一定の傾向を示すことが示唆された。一方仮想体軸とC7PLの一致又はほぼ平行は、臥位の姿勢評価にSBが使用できる可能性を示唆した。加齢に伴い臥位のSBとLLの減少割合が低下し体軸-PL間距離と体軸-PL角が増大することは、脊椎変形や拘縮、円背からも考えられる。今後症例数を増し臥位姿勢のSSPAの最適パラメータを検証したい。

    ポイント本文:臥位姿勢を矢状面脊椎骨盤アライメントで評価し、頚胸腰椎弯曲減少と、矢状面バランスのC7PLと仮想体軸の一致傾向がみられた。

    英語演題名:
    Analysis of Sagittal Spino-Pelvic Alignment in Supine Position -Comparison w ith Sagittal Balance and Virtual Physical Axis-

    論文・寄稿 第43回日本脊椎脊髄病学会 発表内容[臥位姿勢における脊椎骨盤矢状面アライメント-矢状面バランスと仮想体軸の比較-]
  • 2014年2月8日(土)
    第8回NSG頸椎セミナー 
    場所:名古屋大学附属病院
    タイトル:「臥位姿勢における頸椎アライメント―枕と寝台調節による全脊椎骨盤アライメントから考える―」
    論文・寄稿 第8回NSG頸椎セミナー 発表内容
  • 2013年11月2日(土)
    第21回日本腰痛学会
    場所:JPタワー ホール&カンファレンス(東京都)

    臥位姿勢における全脊椎骨盤矢状面アライメント計測の試み
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂徹(東京医科大学整形外科),星徹(東京工科大学),小日向肇(山田朱織枕研究所),遠藤裕一郎(山田朱織枕研究所)

    至適睡眠姿勢とは何か?一般的に立位と臥位が同一姿勢という意見もあるが医学的根拠はない。脊椎骨盤アライメント(以下SPA)において、立位と座位の報告は散見されるが臥位は少ない。臥位の冠状面アライメントは冠状面バランス0mm、胸腰椎側弯角0度が基本だが、矢状面アライメントの基準に一定の見解はない。立位と臥位のSPAを評価すべく、立位で一般的に使用されているパラメータを用いて計測し臥位と比較したので報告する。
    【対象】年齢4~89歳、平均41歳。0歳代2名,10歳代2名,20歳代5名,30歳代4名,40歳代14名,50歳代2名,60歳代7名,70歳代4名,80歳代2名,計42名を対象とした。

    【方法】X-Pで立位と臥位の全脊椎骨盤側面像を撮影する。枕の高さと寝台の硬さ条件はSSS-T法を用い寝返りのし易い条件とする。パラメータは1)矢状面のバランスmm,2)頸椎傾斜角,3)胸椎後弯角,4)腰椎前弯角,5)胸椎/腰椎角度比,6)仙骨上縁傾斜角,7)骨盤回旋角を計測し有意差検定を行った。なお年齢別の姿勢特徴を観察した。

    【結果】立位と臥位の平均±2SDと有意差有無を示す。1)-36.04±85.09,14.94 ±33.47,有2)8.02±15.48,19.26±10.6,有3)40.32±27.02,33.92±17.36,無4)46.21±9.61,36.93±16.61,有5)0.91±0.77,0.98±0.85,無6)28.82±13.25,29.07±11.95,無7)13.30±19.48,10.12±14.20,有。年代別では1)立位0~60歳代はマイナスで70~80歳代はプラスだったが、臥位は全例プラスとなった3)加齢とともに立位で増加し臥位で減少する傾向有。70~80代の円背は変化量増大の傾向有5)60~80代で立位と臥位の差が増大傾向有。

    【考察】立位から臥位に姿勢が変化すると1)は0に近づき4)7)が減少した。これは臥床面上で脊椎骨盤が重力を前後方向に受けて臥位SPAが直線化することが示唆された。また年齢別特徴がみられた3)5)は臥位姿勢を考える際に年齢要素を考慮する必要性が考えられた。今後は年齢別症例数を増加し臥位SPAの計測方法確立し基準値を求めたい。
    論文・寄稿 第21回日本腰痛学会 発表内容
  • 2013年5月25日(土)
    第86回日本整形外科学会学術総会
    場所: グリーンアリーナ広島

    枕調節における睡眠姿勢改善の客観的評価―寝返りのモーションキャプチャによる4D解析―
    山田朱織(16号整形外科 ),勝呂 徹(東邦大学整形外科),関口暁宜,石澤利晃,松尾芳樹, 浦上大輔, 井上亮文,星徹(東京工科大学コンピューターサイエンス学部),三上浩司(東京工科大学メディア学部),堀口悟史(慶應義塾大学大学院),井垣宏(大阪大学情報科学研究科)

    【目的】われわれは、枕調節により夜間の睡眠姿勢調節を改善し、起床時のみならず日中の頚椎症や肩症状等の軽快を検証してきた。2万人以上の枕を目視によるSSS法で計測し、個体差に対応する技術精度を高めてきた。客観的に判断すべくモーションキャプチャ(Mocap)による4D解析を行い、寝返りを可視化し、至適枕の仮想体軸が静的睡眠姿勢に一致することを2010年本学会で発表した。今回は寝返りのスムーズさをMocapデータから求めた速度、加速度および周波数スペクトルを解析し睡眠姿勢改善を評価した。
    【対象と方法】対象は17名(男9名、女8名)、平均年齢21.9歳であった。枕は至適、低、高の3条件、敷物は硬、柔の2条件とし、3回転の寝返りを実施した。37個の光学式マーカーを装着しMocapシステムVicon8で約40秒間ずつ撮影し、マーカー軌跡を4D座標(x,y,z,t)で取得した。数値解析により可視化した速度と加速度から寝返りのスムーズさの特徴を分析した。4D座標データのフーリエ変換(FFT)により周波数スペクトル分析を行い、0-15Hzの全帯域において低周波数成分を求めることで、寝返りのスムーズさの定量比較を行った。
    【結果】低枕で敷物が柔らかいなど寝返りの悪条件において、目視で寝返りがスムーズでないと判断しているフェーズに一致して、速度・加速度の周波数成分が1.5Hz以上で増加傾向が見られた。FFT処理で定量化結果、1例を除く16例において(悪条件での徐派比)/(良条件での徐派比)の値は0.738-0.984(平均0.874)で1より小となった。周波数スペクトルの累積分布曲線においても、悪条件の曲線が良条件の曲線より全帯域で下方表示となった。
    【考察】周波数スペクトルの徐派比とスペクトル累積分布曲線から、寝返りのスムーズさは良し悪しを定量的に判定でき、枕調節により睡眠姿勢を決定する重要な要素である寝返りの客観的な評価方法となりうることが示唆された。

    論文・寄稿 第86回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2013年5月11日(土)
    場所:名鉄犬山ホテル
    「整形外科医が考える正しい睡眠姿勢とは -関節リウマチ患者の枕調節を含めてー」
    論文・寄稿 第4回尾北地区IL-6阻害療法研究会 発表内容
  • 2013年4月27日(土)
    第42回日本脊椎脊髄病学会
    場所:沖縄コンベンションセンター
    「枕調節における睡眠姿勢改善の客観的評価―寝返りのモーションキャプチャによる4D解析―」
    論文・寄稿 第42回日本脊椎脊髄病学会 発表内容
  • 2012年11月24日(土)
    第3回尾北地区 骨と痛みの研究会
    場所:名鉄犬山ホテル
    「整形外科医が考える良い睡眠姿勢とは? -枕と寝台の調節から考えるー 」
    公益財団法人日本整形外科学会に認定された研修会です(認定番号12-2327)

    概要は下記の通りとなっております。
    (SS)(Re)尾北地区 骨と痛みの研究会(第3回)
    (1) 金村徳相
    (2) 平成24年11月24日(土) 15:00~18:20
    (3) 名鉄犬山ホテル(愛知県), 50名
    (4)
    1.
    当院における膝肩疾患の治療の現状 [9][12] Re
    名大助教
    平岩 秀樹
    2.
    整形外科医が考える睡眠姿勢-枕調整法を用いて- [7][13] SS
    16号整形外科院長
    山田 朱織
    (5)
    1演題1単位 (演題1),(演題2)
    (6) 1単位1,000円
    (7) 金村徳相 〔参加事前申込・要〕
    〒483-8704 愛知県江南市高屋町大松原137
    江南厚生病院
    (0587-51-3333)
    (8) 認定番号12-2327, 24.8.22受付
    論文・寄稿 第3回尾北地区 骨と痛みの研究会 発表内容
  • 2011年7月17日(日)-20日(水)
    第55回日本リウマチ学会総会・学術集会
    場所:神戸ポートピアホテル

    寝返りを促す枕調節の意義と睡眠姿勢の改善-関節リウマチの睡眠を考えるー
    16号整形外科 山田朱織


     人間の睡眠のメカニズムを研究する上で、睡眠姿勢の解明は不可欠であり、睡眠姿勢を決定する最も大きな要素である枕の意義を明らかにすることは急務である。しかし世界的にみても、臨床医学的にみてもEBMに基づいた枕の調節機構は確立されていない。
    2足歩行の人間にとって、意識下の立位および起立位においては、重力線から逸脱する姿勢を感知し修復する能力が働き、良い姿勢を維持する。しかし無意識の臥位においては寝具条件がほぼ姿勢を決定するといっても過言ではない。睡眠姿勢は2つに分類して考える必要がある。静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢すなわち寝返りである。我々は2003年から約13,000人以上の枕の調節を、独自に開発したSet-up for Spinal Sleep法(SSS法)で行ってきた。本法は静的睡眠姿勢の仰臥位と側臥位の両方に適合する枕が、寝返りを最小エネルギーで可能にする原理に基づく。仰臥位において頚椎と寝台のなす角すなわち仰臥位頚椎傾斜角は15度前後となる。
    健常者、頚椎疾患、姿勢異常(円背)、関節リウマチ(以下RA)等を対象に、SSS法を施行し、臨床評価Pillow Score(以下PS)、画像評価を行い、その有用性を検証してきた。一方で、枕調節に影響する人間の体格要素を考察してきた。個人単位でも、人間が成長し、更に老化していく過程や、疾患のステージや炎症の有無に適合するよう、枕は再調節が必要である。RAにおいては、約70%が軸椎亜脱臼や中下位頚椎病変など頸椎病変を有し、多くは頸椎症状のため熟睡が出来ず睡眠障害を訴える。RA43名、年齢平均59.7歳の枕をSSS法で調整し、PS、VAS、Face Scaleで評価した。観察期間平均13.6週後、93%は寝返りが容易になり、症状が改善し熟睡感を得た。PSの改善率は43.5%、特にADL52.6%と満足度69.0%は高く改善した。症状改善と仰臥位頚椎傾斜角の間に相関は認めなかった。枕の高さによる症状改善とADI間に相関は認めなかった。睡眠中の至適枕による頚椎の安静は、比較的短期間での脊髄、神経根および椎間関節等の炎症が抑制されると考えられた。また2年以上経過観察し得た中期症例では、頚椎のリアライメントを誘起することが示唆された。このリアライメントに適合するよう適宜枕の再調整が必要である。
    枕の調節において、RA患者や高齢者であっても、僅か3~5mmの高さの違いを直感し、自らの頚椎に適合する高さを選択する能力を持っている。これは人間の代償的姿勢戦略(compensatory postural strategy)つまり、姿勢保持に必要なエネルギー消費を最小にするため、理想的アライメントから逸脱する場合、直ちに修正する機構が働くためと考えられる。このメカニズムをさらに解明していく必要がある。
    論文・寄稿 第55回日本リウマチ学会総会・学術集会 発表内容
  • 2010年9月12日
    岐阜地区女医会
    場所:岐阜都ホテル
    「整形外科医が考える 正しい睡眠とは?-枕調節法による睡眠姿勢の改善-」
    論文・寄稿 岐阜地区女医会 発表内容
  • 2010.5.27(木)~30(日)
    第83回日本整形外科学会学術総会
    場所 東京国際フォーラム

    山田朱織 発表:2010.5.29(土) 13:40~
    オーラル発表「枕調節の意義を寝返りの4D解析から考える―仮想体軸の可視化―
    Significance of Hight Ajdusted Pillow Applying 4D Motion Analysis of Turn Over State in Bed
    - Visualization of the Spinal Body Axis -」


     我々は枕の調節法(SSS法)を用いて9,000人の至適枕の高さ(以下、枕高)を決定し、睡眠姿勢を静的姿勢と動的姿勢すなわち寝返りを確認してきた。今回、静的姿勢に影響を与える要素である人体計測値(身長、体重、肩幅)と枕高の相関を検討した。一方動的姿勢の評価は寝返りをモーションキャプチャで4D(3次元+時間)解析し、最小エネルギーで行う寝返りの仮想体軸を可視化した。

    【対象と方法】
     SSS法で計測した309例(男性94例、女性215例)、年齢は24~81歳を対象とし、身長、体重、肩幅と枕高の相関を調べた。次に頭、肩、骨盤に各4個の光学式マーカーを装着し、寝返りを4DモーションキャプチャーシステムVicon8(光学式赤色光カメラ18台)で毎秒120フレームの速度で、条件ごとに約40秒間ずつ撮影した。枕は至適枕、低枕、高枕の3条件とした。頭肩骨盤の中心を通る体軸を仮想し、CGソフトMotionBuilder 7.5と3ds Max 2008(Autodesk社)で可視化し解析した。

    【結果】
     相関係数は、男性で身長と体重0.533、体重と肩幅0.552、身長と肩幅0.375、枕高と身長0.577、枕高と体重0.616、枕高と肩幅0.559となった。女性は0.484、0.595、0.462、0.482、0.683、0.527となった。男女とも身長、体重、肩幅と枕高が相関し、特に体重と高い相関がみられた。
     4D解析の結果、至適枕の寝返りで仮想体軸がほぼ直線状になる点が確認された。低枕、高枕では仮想体軸は非直線状となり、前者では骨盤が仮想体軸の上方に逸脱し、後者では下方に逸脱した。

    【考察】
     静的姿勢に影響を与える身体各部の相関が分かった。更に、動的姿勢を可視化することで、仮想体軸を逸脱する骨盤の動きが確認された。寝返り動作の駆動力は骨盤から引き起こされると考えると、肩と骨盤の中心点を結ぶ延長線上に頭の回転中心があれば、全身の仮想体軸が直線となり、最小エネルギーで寝返り可能になると考えられた。この頭のポジショニングを行うのが枕調節の意義である。

    <要約>枕の調節法(SSS法)は、至適枕の高さを決定し、静的および動的睡眠姿勢すなわち寝返りを確認する。今回、静的姿勢に影響を与える要素である身長、体重、肩幅と枕高の相関を検討した。動的姿勢の評価は寝返りをモーションキャプチャで4D(3次元+時間)解析し、寝返りの仮想体軸を可視化した。全身の仮想体軸が直線となるとき、最小エネルギーで寝返り可能になると考えられた。この頭のポジショニングを行うのが枕調節の意義である。
    論文・寄稿 第83回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2009.10.25(日) 
    ポスター発表(日本睡眠学会):枕の人間工学-人体計測と整形外科的解析-
    発表:○山田朱織、塩島謙次(福井大学工学部)、小原二郎(千葉工業大学)

    枕の人間工学―整形外科的解析―



    発表:○山田朱織、塩島謙次(福井大学工学部)、小原二郎(千葉工業大学)


    睡眠中使用する枕を、人間工学Human Factorsの立場で小原らは体具と呼ぶ。体具とは、体に接し支持する道具である。人間工学の方法論の基礎は人体計測である。我々は、当院で考案した枕の計測法を用いて約7,000人の至適枕の高さ(以下、枕高)を計測し、頚部臨床症状の改善やMRI画像における脊柱管の拡大を証明してきた。今回無作為に抽出した309人の人体計測と枕高の相関につき検討した。

    【対象と方法】
    2009年に枕高をSSS法で計測した309例(男性94例、女性215例)、年齢は男性24~76歳、女性は25~81歳を対象とし、身長、体重、肩幅、枕高を計測した。

    【結果】
    男性は、身長156~186cm平均171.0cm、体重50~115Kg平均69.2Kg、肩幅39~50.5cm平均44.8cm、枕高は5.0~9.0cm平均7.2cmであった。女性は、身長140~175cm平均156.4cm、体重32~90Kg平均51.9Kg、肩幅34.5~46cm平均39.4cm、枕高は4.5~6.5cm平均5.5cmであった。
    相関係数は、男性は身長と体重0.533、体重と肩幅0.552、身長と肩幅0.375、枕高と身長0.577、枕高と体重0.616、枕高と肩幅0.559となった。女性は0.484、0.595、0.462、0.482、0.683、0.527となった。
    身長、体重、肩幅の各々に中等度の相関がみられ、中でも女性における体重と肩幅の相関はやや大きく、男性における身長と肩幅の相関は小さい傾向となった。男女とも、身長、体重、肩幅が増加すると枕高も増加するが、特に枕高と体重に高い相関がみられた。

    【考察】
    人間の睡眠姿勢の評価は、静的状態と動的状態を考慮しなければならない。前者は今回の人体計測から、体格を構成する各要素と枕高に相関があることが示唆された。後者については、より複雑な寝返り動作を解析する必要がある。
    今後も症例を重ね、日本人の骨格や体系的特徴を反映した枕のプロトタイプを作成すると同時に、その限界を見極め、個体差や疾患別の特殊条件の位置付けを確立することが重要と考える。
    論文・寄稿 第6回アジア睡眠学会・日本睡眠学会第34回定期学術集会 発表内容
  • 2009.10.11(祝・月)
    第12回日本アロマセラピー学会学術総会 発表
    場所 札幌プリンスホテル国際館パミール 

    ワークショップ発表 「不眠症の整形外科治療ー睡眠姿勢の指導とアロマセラピー」山田朱織


    不眠症の整形外科治療ー睡眠姿勢の指導とアロマセラピー


    16号整形外科 山田朱織


    21世紀は日本人の5人に1人、21.4%は不眠症といわれます(厚生労働省調べ)。整形外科臨床の立場から不眠症に対し2つの治療法を応用しています。1つは睡眠姿勢の徹底指導、もう一つはアロマセラピーです。基本的な考え方、使用精油、使用方法、効果等について述べます。

    不眠症とは、様々な原因で眠れないために社会生活が障害されるもので、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害の4つの型に分類されます。週2回以上、1か月以上続いている状態と定義されます。不眠症の原因は精神心理的な要因と考えられがちですが、それだけではありません。大別すると、精神心理的不眠と、身体的不眠、その他の不眠があります。原因別に治療を考えます。
    原発性不眠症(神経性不眠症)は、入眠障害が多く不眠を避けようと過度の不安や恐怖によってさらに睡眠障害が増悪します。本症に対する治療は非薬物療法と薬物療法があり、前者にアロマセラピーが位置付けられます。

    次に身体疾患による不眠症で、呼吸器系、心血管系、消化器系、筋骨格系疾患の一症状として不眠が発現します。各々の原因疾患に対し、代替医療のアロマセラピーを適応することは、2次的に生じる不眠症の治療になります。整形外科領域で最も多いのは、不適切な睡眠姿勢によって起こる不眠です。睡眠姿勢は身体を預ける寝具つまり枕と敷物で約8割の条件が決定します。脊椎動物である人間は、個々の体格、体形、疾患などを考慮し、最小エネルギーで寝返りが可能となるよう寝具を調整すると、日中に疲労した脊椎および神経、筋肉、関節等を回復できます。逆に不適切な睡眠姿勢は、これらの回復を阻害するばかりでなく、痛みやしびれ、筋肉の緊張(凝り、張り感)を惹起します。枕の調整法Sleep Spine Set-up(SSS)法を用 いて睡眠姿勢を整え、その臨床効果を検証します。更にアロマセラピーの併用療法として、就寝前に筋骨格系の痛みやしびれで睡眠が障害されるときは、対症的に有効な精油を選択し、患部へのマッサージも効果がみられます。

    最後に精神疾患による不眠症についてのアロマセラピー応用の注意です。気分障害(うつ病)や不安障害(パニック障害、心的外傷後ストレス障害)にアロマセラピーを応用する場合は、専門医つまり精神科医や心療内科医により総合的な治療計画に基づくべきです。睡眠薬を減量、中止する目的で導入したアロマセラピーに依存する例もあり、適応の限界を知って施行し、自殺企図のあるうつ病には用いるべきでないと認識する必要があります。

    身体的不眠の背景に心理的社会的な要因が複雑に関与することもあり、これらを包括した治療計画こそが、西洋医学を補完代替するアロマセラピーの位置付けと考えます。
    論文・寄稿 第12回日本アロマセラピー学会学術総会 発表内容
  • 2008年11月発行全日本病院出版会「実践 肩のこり・痛みの診かた治しかた」掲載

    ●目次
    ●はじめに
    ●整形外科における睡眠の意義
    ●肩こりを睡眠姿勢から予防・治療する
    ●枕の高さに影響する体格、ほか要素
    ●枕の調節方法(SSS法)
    ●枕を用いた症候性肩こりの予防・治療
    ●枕以外の睡眠環境
    ●おわりに


    はじめに

    これまで整形外科領域において肩こりは重視されることなく、治療を議論する以前に、疾患として原因、病態、定義、診断さえ確立されていなかった。しかし近年、日本整形外科学会学術プロジェクトで肩こり調査部会が立ち上がり、病態の解明と治療の研究が行われている。この肩こり治療の夜明けともいえる現在、当院ではユニークな視点から、しかし根本的な治療になるべき肩こり治療、予防として睡眠姿勢を研究している. 最新の臨床知見を含め紹介する。



    整形外科における睡眠の意義

    整形外科用語集には、睡眠姿勢はおろか睡眠という用語すら記載はない。整形外科領域における睡眠への関心の低さを感じる。生物学的、生理学的そして解剖学的(脳,身体)に睡眠の意義はまだ解明されていない。この段階で、最も最適な睡眠姿勢を定義するのは、その方法論としても問題は山積みである。良い睡眠姿勢の評価とは何を用いるべきか、脳波で観察するのか、終夜ポリソムノグラフィーで測るのか、四肢の筋電図を評価するのか。しかし脊椎動物にとって、睡眠中のみが、脊椎,脊髄に重力が体軸方向にかからず、アライメントの修復、神経や周囲の筋、靱帯、関節ほかあらゆる組織の回復の時間と考えると、まず脊椎、脊髄の画像評価、臨床症状の評価が必要である。

    起立時における良い姿勢の条件を、猪飼ら(1977)は、(1)力学的安定、(2)生理学的に安定、(3)生理学的に疲労しにくいことを挙げている。睡眠姿勢も同様と考えられる. 我々は睡眠姿勢を、静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢(寝返り)の2つの観点で評価してきた。当院で考案した枕の調節法(set-upforspinalsleep法;SSS法、特許第4024152号)を用いて、最少エネルギーで可能な寝返りが可能となることが、心身を回復する良い睡眠姿勢であるという立場から解説する。



    肩こりを睡眠姿勢から予防・治療する

    3,000万年前に二足歩行、直立姿勢をとるようになった人類にとって、肩こりを生じる頚部から肩甲骨周囲は、起立時には解剖学的に不安定な構造にある。現代人は頚部や肩に負担をかける姿勢として、仕事中のうつむき姿勢、パソコンに向かう長時間の座り姿勢、家事や趣味におけるかがみ姿勢などを認識し注意しているが、いずれも起きているときの姿勢である。臥床時のみが、頚椎に平均5~8kgの頭蓋骨の重さがかからず、頚部から肩甲部周囲の筋・靱帯群の支持を必要としない安静位が確保できるが、睡眠姿勢については指針を持たない。有訴者の多くは、睡眠姿勢を決定する寝具条件、とりわけ枕に問題や原因があることに気がついている。2003年4月~2006年9月に当院に枕の相談に来院した患者3,670人について調査すると、主訴として最も多いのは肩こり3,129人(85.3%)、2番目は不眠1,477人(40.2%)、3番目に頭痛1,466人(39.9%)、いびき1,196人(32.6%)、手のしびれ1,070人(29.2%)、無呼吸283人(7.7%)、寝返りがつらい、寝返りで目が覚める、と続く。つまり肩こりの原因が寝具にもある、逆に寝具が適合しないと肩こりが改善しないと考えていると推察される。この症例が使用していた枕の素材は、最も多かったのは低反発ウレタン(24%)、続いて羽毛(20%)、そばがら(18%)、プラスチックチップ(17%)であった。いずれも頚椎の安定、良肢位を獲得できるものではなく、個人に適合する高さや硬さを選択する基準もない。当院の研究から、睡眠姿勢を決定する条件の約7割は枕であると考えている。ほか、敷き物、掛け物、シーツ、寝間着などの形状、素材なども影響する。覚醒時の起立姿勢は自己の意識で決定するものであるが、睡眠時の睡眠姿勢は自己の意識の及ばないところである。つまり身体を預ける寝具の選択が睡眠姿勢を決定するといっても過言ではない。自己に適合する適切な寝具の選択が重要である



    枕の高さに影響する体格,ほか要素

    (1)日本人2,154例の体格(身長、体重)と枕の高さの相関を調べた結果、男性949例では、身長と枕の高さの相関係数(R2)は0.811、体重と枕の高さはR2=0.898、女性1,205例では、身長と枕の高さはR2=0.842、体重と枕の高さはR2=0.737と高い相関を示した。しかし円背においては、男女とも体格と枕の高さに相関はみられなかった(図1).
    (2)当院で1,583例の患者の頭の形状を5つに分類し、起床時の頭位(顔面の向き)との関係を調べた(図2)。A型:円形61例(38.5%),B型:中央が平坦379例(23.9%)、C型:左が平坦171例(10.8%)、D型:中央が凸65例(4.1%)、E型:右が平坦772例(48.8%)、ほか分類不能であり、起床時の頭位が形状に一致している、つまりA型では左右および上向き、B型では上向き、C型は左向き、D型は左右(上向けない)、E型は右向きとなる率は、各59.0%、66.0%、57.3%、75.4%、33.2%、平均58.2%となった. この症例の62.9%が枕の不適合、寝返りのしづらさを自覚していた。
    枕の高さに影響する条件は、身長体重のみでなく、睡眠姿勢における肩幅、頚椎疾患の有無、関節リウマチや頚椎捻挫では炎症期と慢性期の違い、脊椎の変形、特に上位胸椎の姿勢異常(円背、側弯)、頭部変形などがあり、これらを考慮し微調節が必要であることがわかってきた。







    枕の調節方法(SSS法)

    SSS法は、側臥位および仰臥位に適合する枕の高さ決定し、寝返りを容易にする枕の調節方法である。側臥位において、頭部から体幹の中心線が臥床面に水平となり、仰臥位において、仰臥位頚椎傾斜角※注1が15°前後となるよう高さを3~5mmずつ調節する2)3). 図3は、SSS法を用いて仰臥位および側臥位の枕の高さを調節し、X線像とMRIを撮影した。至適枕(本例は50mm)において頚椎および脊髄のアライメントが良好であることが確認される。

    ※注1 大後頭孔前縁中点と第7頚椎の椎体後面を結ぶ線と、臥床面のなす角. 関節リウマチの環軸椎亜脱臼の有無によらず、頭部から頚椎のアライメントを反映する。





    枕を用いた症候性肩こりの予防・治療

    1.対象・方法
    SSS法による枕の調整を行い、治療効果、頚椎のアライメントを単純X線とMRIで評価した。対象は症候性の肩こりで, 3疾患に分類した。A群は交通事故の頚椎捻挫30例(男性5例, 女性25例)、平均年齢45.2歳(28~70歳)、経過観察期間は4~56週で平均20.5週であった。B群は関節リウマチ43例(男性2例、女性41例), 平均59.7歳(31~81歳).経過観察期間は8.5~34週、平均13.6週であった。C群は姿勢異常(円背)50例(男性9名、女性41名)、胸腰椎圧迫骨折を伴う構築性円背15例、伴わない非構築性円背35例で、平均77.1歳(64~88歳)、経過観察期間は平均23.4週(4~107週)であった。夜間使用する枕をアンケート調査した。

    日整会治療成績判定基準を改変したPillowScore(PS)を用いて、頚部症状,睡眠症状全般の評価と、特に肩こりについて抽出し評価した。PSは, 自覚症状, 他覚所見、ADL、満足度を総合的に評価するものである。肩こりに関しては、自覚症状としての問診、他覚所見では肩こりの圧痛点1)、ADLに支障を及ぼす肩こりとして, 寝姿勢が原因となる起床時の肩こりと、日中の姿勢が原因となるうつむき時の肩こりについて聴取した。

    2.結果
    PSは45点満点で、枕調整前平均はA群23.6±7.2点、B群27.3±7.7点、C群26.5±7.4点が、調整後最終観察時、A群35.9±6.6点(スコア改善率57.5%)、B群35±6.1点(43.5%)、C群36.8±7.3点(55.7%)と改善した(Wilcoxon test、p < 0.005)。項目別にみるとスコア改善率は、自覚症状A群62.8%、B群48.4%、C群77.8%、他覚所見A群42.1%,B群29.8%、C群45.7%、ADLはA群64.2%、B群52.6%、C群55.1%であった。特に、自覚症状の肩こりはA群64.6%、B群69.9%、C群78.5%、他覚所見の肩こりの圧痛点はA群26.7%、B群22.4%、C群38.6%、ADLにおいては、起床時の肩こりはA群78.2%、B群77.1%、C群83.2%、日中最も負担のかかるうつむき動作における肩こりはA群48.1%、B群61.2%、C群70.0%と改善した。SSS法を施行し、寝返りが楽になった、または寝返り時に痛みが消失したと自覚した症例は、A群96.0%、B群93.0%、C群92.3%であった。枕調節により満足度が上がった症例は、A群74.1%、B群69.0%、C群92.3%であった。X線仰臥位像で、至適枕における仰臥位頚椎傾斜角はA群13.8°、B群14.6°、C群11.8°(拘縮性8.8°、非拘縮性16.8°)であった(図4)。各代表例のX線、MRIT2強調画像を示した(図5)。至適枕において、くも膜下スペースが椎体各レベルで均等に拡大する傾向がみられ、頚髄のアライメントが良好となった。





    3.考察
    結果から、夜間使用する枕を調整することは、頚部症状と睡眠症状のみならず肩こりが改善することが明らかになった。今回対象とした3疾患は、外傷、慢性炎症、加齢変形と異なる原因であっても主症状に肩こりを訴えるものであり、そのいずれの肩こりにおいても自覚症状の改善率が60~80%と高値であった。他覚所見としての肩こりの圧痛の改善率は20~40%と低値であったが、患部に炎症はあっても自覚やADLの障害は少ないとも考えられる。ADLにおいて、枕の影響を受けやすい起床時の肩こりは改善率80%前後と顕著であるが、睡眠中の寝姿勢の改善が日中の姿勢の負荷による肩こりも50~70%に改善させることは興味深い。

    これまで、日本人に特異的ともいわれる肩こりという症状概念について、その定義、診断、治療が体系化されていなかった。1951年、河邨ら4)がいわゆる肩こりの成因に関する臨床研究を日本整形外科学会誌に第一報してから半世紀以上、エビデンスに基づく肩こりの治療研究はなされていなかった。

    肩こりは病態が多彩であることから、治療もまた幅広く対症的に行わなければならない。高岸ら5)が過去に報告されてきた治療法をまとめている。原因の明らかな症候性肩こりには疾患の確定診断と治療を、明らかでないいわゆる肩こりには、日常生活指導、消炎剤投与、温熱療法や運動療法、局所注射療法等を行う。日常生活指導の中で、不良姿勢の改善が挙げられているが、寝姿勢の改善について詳細は言及されていない。河合6)は、頚椎は頭部と躯幹を連結するという役割を担うゆえに、わずかな変化にも異常を自覚し防御する機構が備わっていると指摘する。また肩こりは原因のみならず、微細な誘因の除去が肩こり再発の予防に必要であると、特に慣習となっている日常生活の姿勢、動作,寝具環境の見直しを挙げている。

    我々がこれまで6,000例以上の枕の調節をしてきて体験したことで、わずか3~5mmの高さの違いを80歳以上の高齢者でも直感し、自らの頚椎に適合する高さを選択する能力を持っている。これは人間の代償的姿勢戦略(compensatorypos-turalstrategy)つまり、姿勢保持に必要なエネルギー消費を最少にするため、理想的アライメントから逸脱する場合、直ちに修正する機構が働くためと考えられる。

    良質な睡眠の条件として枕の至適高さ、大きさ、硬さおよび素材などが重要とされている7)8)。しかし多くの研究の根本的な問題点は、万人に適合する最大公約数を見つけようとする試みと、人間の睡眠中の体位を静止状態で考えていることにある。佐藤ら9)は、枕が頚椎および胸椎のalignmentにどう影響するかをMRIで観察したが、仰臥位つまり矢状断面での静止時の評価のみである。今回の結果から、枕は静止時に個々の体格に側臥位および仰臥位の両方で適合させ、ダイナミックな寝返りを容易にすることが症状改善に必要であった。

    神ら10)は、市販されている枕にみる快適さ、つまり柔らかさや気持ちよさといった感触を重視しすぎることは、頚椎に悪影響を与えうると報告している。我々も、SSS法で高さを決定したのちに、頚椎の安定のため最大の沈み込みを5mm未満に抑える硬さ、寝返りを促す形状つまり凹凸のないフラット構造を推奨している。

    至適枕における仰臥位頚椎傾斜角を計測し、3疾患で比較した。頚椎捻挫,関節リウマチおよび非構築性円背は、約14~16°の範囲内で、健常人の15.2°に近似した。構築性円背のみ8.8°と低値であった。構築性円背は胸椎の拘縮によって仰臥位における枕が高くなると考えられ、側臥位に適合する範囲内で、仰臥位にも許容範囲となる高さが至適高さであり、結果的に仰臥位頚椎傾斜角が減少したと考えられた。MRIの結果から、背柱管を狭窄するさまざまな前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、臨床評価を裏づける1つの根拠となると考えられた。

    SSS法を用いると、夜間の寝返りが90%以上容易になり、肩こりの改善は60~80%と高値であった。睡眠中に,最少のエネルギーで寝返りがうてると、肩こりをきたす頚椎、肩、胸椎など骨関節のレストポジションによる安静と同時に、その周囲の筋肉、靱帯、神経等が、ダイナミックな血流の促進により組織が回復し、肩こりが改善されると示唆された。



    枕以外の睡眠環境

    睡眠姿勢を決定する最も大きな条件である枕について述べた。ほか寝具環境として、敷き物(布団やベッドマットレス等)、掛け物,シーツ、寝間着なども睡眠姿勢に影響する。いずれも,生理的な寝返りを阻害しないことを基準に選択することが重要である。
    (1)敷き物は体圧を適度に分散すると同時に、適切に姿勢を保持する支持力が必要である。これは厳密には個体の体重や筋力によって異なることを考慮しなければならない。さらに身体の各部においても圧は異なる。肥満がなければ、人体の重量比はおよそ、頭を1として、肩が3、腰が4、足が2といわれるが、それぞれの重量に対応する敷き物の素材、構造が理想的である。
    (2)掛け物は軽量で、保温性や通気性に富む素材が望ましい、摩擦抵抗の高い素材は、寝間着や掛け物との間で摩擦を起こし、寝返りをしづらくするので注意が必要である。冬場に毛布をかけるときは、羽毛など身体にまつわりつかない掛け物の上部にかけるようにする。掛け物が複数枚であると各々の間に摩擦抵抗を生じるので、1~2枚が望ましい。また,布団カバーは本体から離れ身体にまつわりつくので注意が必要である。
    (3)寝間着は(2)で述べた理由から素材の注意が必要である。近年よくみかけるフリース素材は、アクリル毛布などと合わせると大変寝返りがうちにくくなる。なお、寝間着の形状の注意として、首周りのフードや厚手素材のハイネックは枕の位置に影響するので避ける。カーディガンやトレーナー、丹前やかいまきなどを着て寝ると身体各部にひずみが起こり、睡眠姿勢における重心が変わるため脱いで寝るようにする。
    (4)シーツなど直接人体が触れるものは、摩擦抵抗が少ないことが1つの条件で、摩擦帯電圧測定の結果ではポリエステルウールは3,500V、シルク1,700V、綿1,000Vで、近年新素材として開発されている竹繊維は82Vである。耐久性や衛生性などと合わせて素材選びが必要である。
    (5)最後に寝方、ベッドパートナーについて調査してみると、肩こりやほかの睡眠障害を起こす症例に、夫婦、子ども、ペットなどと一緒に寝る、または布団の中に抱き枕や湯たんぽ、本や小道具などを置いて寝るケースが散見される。寝返りをうつ幅には、何もないことが望ましい。



    おわりに

    睡眠姿勢についての研究はまだまだ少ない。肩こりの予防と治療についてはもちろん、さまざまな頚椎および脊椎脊髄疾患についても睡眠中の姿勢を調節することにより、治療効果が期待される。その姿勢を決定する条件である寝具について、脊椎の専門である整形外科医の研究が不可欠であると考える。
    (山田朱織, 勝呂徹)



    文献

    1)平林洌:肩こりの病態と治療、臨床と研究.70:199-204,1993.
    2)山田朱織:頚椎病変を有する関節リウマチに対する睡眠中の枕調節法. 東日本整災会誌.18:460-465、2006.
    3)山田朱織:円背者における枕の高さ調節による睡眠・頚椎症状改善の評価. 東日本整災会誌.18:466-471、2006.
    4)河邨文一郎、高橋長雄:所謂肩凝の成因に関する臨床的研究(第一報). 日整会誌.25:19-22、1951.
    5)高岸憲二、荒毅、堤智史ほか:肩こりの治療.MBOrthop.19(4):16-19、2006.
    6)河合伸也:肩こりの治療のポイント―肩こりの治療指針―. クリニシアン.44:499-504、1997.
    7)峰崎フミ子:枕の人間工学的研究(第一報)高さについて. 家政学雑誌.20:187-192、1969.
    8)飯塚幸子、三輪恵美子:まくらを科学する. からだの科学.156:139-144、1991
    9)佐藤公治、村松哲雄、桃崎正行ほか:枕の違いによる頚椎部MRI画像の検討. 中部整災誌.38:995-996、1995.
    10)神興市、平泉裕、藤巻悦夫.頚椎夜間装具としての治療. 日脊椎外会誌.9:S210、1998.
    論文・寄稿 肩こり・痛みの予防治療のための寝具指導
  • 2008.9.13(土)

    枕調節を用いた肩こりの治療評価ーMRIを用いて
    Assessment of therapy of neck pain and stiffness by the adjusted pillow, using MRI



    【はじめに】
    日本国民の最も多い愁訴に肩こりがある。我々は枕調節法SSS法を用いて、寝返りを促す枕の高さを決定し、静的睡眠姿勢と動的睡眠姿勢を整え、肩こりの改善を検証してきた。今回は、症状の改善した症例の静的睡眠姿勢を、MRIを用いて評価した。

    【対象】
    肩こり、頚部痛を訴えて来院した症例の頚椎の動態MRIを撮影した177例、男性62例、女性115例、年齢18~83歳、平均52.9歳を対象とした。仰臥位で枕なしと至適高さの枕における頚部脊柱管および頚髄の状態を評価した。

    【方法】
    MRIT2強調画像矢状断で、解剖学的に脊柱管の広い第3頚椎椎体レベル(C3)と、各症例の病変部である最狭窄部(N)の脊柱管径と、同部における脊髄径を計測し、比較した。背柱管を狭窄する前方要素として椎間板のbulding、herniation、骨棘、後方要素として黄色靱帯の肥厚、骨性狭窄などがある。

    【結果】
    脊柱管径は、枕なしでC3 11.35mm、N 8.71mmが、至適枕でC3 11.56mm、N 9.40mmと拡大した。脊髄径は、枕のない状態でC3 6.48mm、N 5.65mmが、至適枕でC3 6.59mm、N 5.85mmと拡大した。

    【考察】
    至適枕でくも膜下スペースが椎体各レベルで拡大が見られ、頚髄のアライメントが改善した。背柱管を狭窄する前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、臨床評価を裏付けるひとつの根拠となった。
    論文・寄稿 第57回東日本整形災害外科学会  発表内容
  • 2008.6.26(木) 14:00~15:00

    整形外科医が考える睡眠姿勢・・・枕調節法を用いて・・・



    【はじめに】
    整形外科的に至的睡眠姿勢を考えるときに重要なことは、静的睡眠姿勢と、動的睡眠姿勢つまり寝返りの両方の条件を考えることである。我々はこれまでに、枕調節法SSS法を用いて、寝返りを促す仰臥位および側臥位に適合する枕の高さを決定し、SASの症状改善や頚椎疾患の頚部症状や睡眠障害の改善を検証してきた。今回は、この臨床評価の改善が得られた症例における静的睡眠姿勢を、MRIを用いて評価した。

    【対象】
    頚部症状、睡眠障害を訴えて来院し、頚椎の動態MRIを撮影した177例、男性62例、女性115例、年齢18~83歳、平均52.9歳を対象とした。仰臥位で枕のない状態と至適高さの枕における頚部脊柱管および頚髄の状態を評価した。

    【方法】
    MRIT2強調画像矢状断で、解剖学的に脊柱管の広い第3頚椎椎体レベル(C3)と、各症例の病変部である最狭窄部(N)の脊柱管径と、同部における脊髄径を計測し、比較した。背柱管を狭窄する前方要素として椎間板のbulding、herniation、骨棘、後方要素として黄色靱帯の肥厚、骨性狭窄などがある。

    【結果】
    脊柱管径は、枕のない状態でC3 11.35mm、N 8.71mmが、至適枕でC3 11.56mm、N 9.40mmと拡大した。脊髄径は、枕のない状態でC3 6.48mm、N 5.65mmが、至適枕でC3 6.59mm、N 5.85mmと拡大した。

    【考察】
    MRIを用いて静的睡眠姿勢を評価した。至適枕において、くも膜下スペースが椎体各レベルで均等に拡大する傾向が見られ、頚髄のアライメントが良好となった。背柱管を狭窄するさまざまな前後要素による脊髄の圧排が解除され、脊髄刺激症状が減少することが画像的に証明され、これまでの臨床評価を裏付けるひとつの根拠となると考えられた。
    論文・寄稿 第33回日本睡眠学会学術集会 発表内容
  • 2007.9.21.(金)

    学会メインテーマ:高齢者にやさしい整形外科
    会場: 軽井沢プリンスホテル

    「高齢者にやさしい睡眠ー円背者に対する枕調節のMRI評価」 16号整形外科 山田朱織
    論文・寄稿 第56回東日本整形災害外科学会 発表内容
  • 2007.5.24(木)-27(日)
    第80回 日本整形外科学会学術総会 発表
    場所: 神戸市
    会場: ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場
    スローガン: 「整形外科のIdentityの確立とFrontierへの挑戦」

    枕治療のEBM を目指して―疾患別枕調節のポイント―




    山田朱織1)、熊谷日出丸1)、勝呂徹2)

    【目的】
    頚椎疾患や姿勢異常の治療として睡眠中の寝姿勢 は重要で適切な枕の使用が求められる。疾患や体格ごとの 至適枕は異なり調節は不可欠である。治療法として枕のエ ビデンスは確立されていない。今回、頚椎捻挫、関節リウ マチ(RA)、円背の頸部症状への影響を知る目的で枕調節 法、効果判定、画像評価、疾患別枕調節を検討する。

    【対象・方法】
    対象は3 疾患、A群:頚椎捻挫33 例、平均年齢46.5 歳、 観察期間22.1 週、B 群:RA43 例、59.7 歳、13.6 週、C 群: 姿勢異常(円背)50 例、77.1 歳、23.4 週で、当院で考案 したSet-up for Spinal Sleep 法(以下SSS 法)で枕を調節 し、至適枕とした。SSS 法は、側臥位で頭部~体幹の中心 線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角が15 度前後とす る方法で寝返りを容易にする。評価はPillow Score(以下 PS)を用い、画像評価としてX-P とMRI で至適枕の頚椎 アライメントを検討した。

    【結果】
    PS は、調整前A 群23.4 点、B 群27.3 点、C 群 26.5 点が調整後36.6 点(改善率61.6 %)、35 点(43.5% )、 36.8 点(55.7% )、自覚症状63.4 %、48.4% 、77.8% 、他 覚所見41.5 %、29.8% 、45.7% 、ADL は68.6 %、52.6% 、55.1% 、満足度83.3 %、69.0 %、92.3 %であった。総合 とADL は頚椎捻挫、自他覚所見は円背、満足度はいずれ も高かった。SSS 法で至適枕調節を行うとPS は有意に改 善(P<0.0001)した。至適枕の傾斜角はA 群14.2 °,B 群 14.6 °,C 群11.8 °(拘縮性8.8 °, 非拘縮性16.8 °)、MRI は 3群とも椎体アライメントが良好、障害部のsubarachnoid space が開大傾向にあった。頚椎捻挫の疼痛を軽減しADL を改善した。RA の寝返り時疼痛は93 %軽快し熟睡感を得 た。円背の92.3% は寝返りが容易になり中途覚醒が減少し た。

    【考察】
    睡眠により頸部筋緊張は回復するが、不適切な枕 では安静のみでなくダイナミックな寝返りも困難である。 SSS 法に基づく至適枕の調整は、睡眠時の関節、軟部組織、 神経を回復させると考えられた。仰臥位頚椎傾斜角は、平 均15.2 °に近似することから至適睡眠時頸椎アライメント と推察された。

    成瀬整形外科+マクラセンター1)、東邦大整形2)
    論文・寄稿 第80回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2006.11.3.(金・祝) -4.(土)
    第9回 日本アロマセラピー学会 学術総会
    場所:さいたま市大宮ソニックシティ
    埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5

    ■市民公開講座 11.3.アロマセラピーの日 16:30-17:00
    (一般のご聴講者のみなさま、どなたでも無料でご参加いただけます。)
    「肩こり解消 -よい眠りとアロマセラピー-」 山田朱織(成瀬整形外科)
    論文・寄稿 第9回 日本アロマセラピー学会 学術総会 発表内容
  • 2006.9.16.(土)
    第55回 東日本整形災害外科学会
    場所:ラディソン都ホテル東京
    パネルディスカッション「肩こりの病態と治療」セッション パネラー:山田朱織

    睡眠中の肩こり治療―エビデンスに基づく枕調節法を用いて―



    The therapy of neck, shoulder pain and stiffness by the evidence based
    adjusted Pillow.-


    【目的】
    肩こりは、原因不詳の所謂肩こりと、原因が明らかな症候性肩こりがある。いずれも睡眠中の頚椎の安静と負担のない寝返りが重要と考える。しかし体格や疾患を考慮した適切な枕の調整方法は確立されていない。不適切な枕は起床時から肩こり他症状を来たす。我々は症候性の肩こりの枕を、SSS法で調節し肩こりの改善を評価した。更に単純X-Pで、睡眠中に症状を改善する頚椎の至適角度を検討した。

    【対象・方法】
    対象は症候性の肩こりで、3疾患に分類した。A群:交通事故の頚椎捻挫25例、平均年齢45.9歳、観察期間20.5週、B群:関節リウマチ43例、59.7歳、13.6週、C群:姿勢異常(円背)50例、77.1歳、23.4週である。夜間使用する枕をアンケート調査した。頚部症状は日整会治療成績判定基準を改変したPillow Score(以下PS)で評価した。PSは、肩こり、頭痛、起床時の不快症状、寝違え、寝返り等を含む症状を問診、自覚他覚所見、満足度等総合的に評価した。SSS法は側臥位で頭部と体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で仰臥位頚椎傾斜角が15°前後となる枕調節法である。

    【結果】
    調節前の枕は羽毛、低反発ウレタン、ソバガラの順で、タオル等で自作する症例もあったが、いずれも高さや硬さを選択する基準はない。PS45点満点で、枕調整前平均はA群23.6点、B群27.3点、C群26.5点が調整後A群35.9点(改善率57.5%)、B群35点(43.5%)、C群36.8点(55.7%)と改善した。項目別改善率は、自覚症状A群62.8%、48.4%、C群77.8%、他覚所見A群42.1%、B群29.8%、C群45.7%、ADLはA群64.2%、B群52.6%、C群55.1%、満足度A群74.1%、B群69.0 %、C群92.3 %であった。至適枕の仰臥位頚椎傾斜角はA群13.8、B群14.6°、C群11.8°(拘縮性8.8°、非拘縮性16.8°)だった。

    【考察】
    脊椎動物における睡眠中の寝返りの意義は解明されていない。しかし今回の結果から、SSS法で寝返りが容易になる枕を調節すると肩こりが改善した。睡眠中に頚椎は、安静のみでなくダイナミックな寝返り動作により関節、軟部組織、神経など組織を回復させ、頚椎のリアライメントを促すと考えられた。仰臥位頚椎傾斜角は、非症候例の平均値15.2°に近似した。疾患別差異は、平均年齢と体格特異性を反映すると考えられた。その傾向を念頭におき、厳密な枕の調節及び再調整が重要と考えられた。
    論文・寄稿 第55回 東日本整形災害外科学会 発表内容
  • 2006.6.29.(木)-30(金)
    第31回 日本睡眠学会学術集会 発表(6.30.)
    場所:滋賀県大津プリンスホテル(滋賀県大津市におの浜4-7-7)

    睡眠障害に対する整形外科的アプローチ
    -睡眠時無呼吸症候群に対する枕調節の試み-




    【はじめに】
    睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の治療法は、中等~重症例に対する経鼻的持続陽圧呼吸法、軽症例には耳鼻科的手術療法、マウスピース、体重コントロール等があるが治療法の選択肢は少ない。当院では整形外科的な頚椎症状に対し枕の調節法を用いて治療を行ってきたが、本法によりSASを合併例に改善例が見られたため、SASの治療の有用性に関する研究を開始した。その試みについて発表する。

    【方法】
    整形外科的な枕調節法とは、寝返りを促す仰臥位および側臥位における枕の高さ、硬さを厳密に調節する。これまでに日整会治療成績判定基準改変Pillow Scoreを用いた我々の研究で、適切な仰臥位頚椎傾斜角は15度前後であり、これを指標に疾患ごとに調節を行う。終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で、調節した枕と調節していない市販の枕の2種類をスプリットナイトでモニタリングし、以下を観察した。1)2003.11.~2004.2.にFirst Night施行した8例、女性3例男性5例、平均年齢41.2歳において、各体位における睡眠時間および仰臥位におけるAHIを観察した。2)2004.11.~2005.10.First Night施行した15例、女性2例男性13例、平均年齢42歳において、AHI、最低SaO2、Stage変化を観察した。

    【結果】
    1.8例中6例(80%)において仰臥位睡眠時間が延長しており、8例の平均仰臥位時間は、不適切な枕において81.2分、適切な枕で164.4分であった。また8例中5例(83.3%)が仰臥位におけるAHIの減少が見られた。2.15例中、AHIは10例(66.7%)に減少を認めた。最低SaO2は9例(60%)に増加を認めた。Stage変化は、9例(60%)はstage1が減少しstage2が増加した。Stage2が増加したがstage3が減少した例も2例見られた。

    【考察】
    今回の研究では、整形外科的な枕調節法を用いることで、仰臥位においても無呼吸が起こりにくい傾向があることが示唆された。また、AHI、最低SaO2、Stage変化においても適切な枕調節が好影響を与えると考えられた。
    論文・寄稿 第31回日本睡眠学会学術集会 発表内容
  • 2006.5.18(金)-21(土)
    第79回 日本整形外科学会学術総会 発表(5.20.)
    場所:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)

    演題名:円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価


    Improvement of sleep disturbance caused of round back using the adjusted pillow.


    【目的】
    脊椎の彎曲異常は日常生活に障害を引き起こす。我々は円背の夜間使用する枕をSSS法で調整し、睡眠障害と脊椎症状の改善を評価した。

    【対象および方法】
    円背50例、男9例女41例、年齢は65歳~88歳平均77.1歳。胸腰椎圧迫骨折を伴う構築性円背15例、非構築性円背35例、観察期間は1~107週平均23.4週。SSS法は側臥位で頭部体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角15度前後とする枕の調節法で適合を寝返りで確認する。単純X線仰臥位頚胸椎側面像で胸椎後弯と頚椎前傾角を検討、日整会治療成績判定基準改変Pillow Score(以下PS)とアンケートで評価した。

    【結果】
    PS45点満点で、枕調整前平均26.5点が調整後36.8点改善55.7%、自覚症状6.3点が8.4点改善77.8%、他覚所見6.5点が8.1 点改善45.7%、ADL8.2点が12.5点改善55.1%、満足度0.7点が1.9点改善92.3 %(全P<0.005)であった。夜間症状は調整後寝返り28例中26例改善!
    92.9%、不眠37例中34例改善91.9%、トイレ回数は3.1回が1.5回改善49.7%、起床時肩こり39例中36例改善92.3%、頭痛17例中16例改善94.1%、手のシビレ19例中17例改善89.5%と有意に改善した。仰臥位頚椎傾斜角は5~25°平均11.6°で、構築性円背8.8。、非構築性円背16.8°で差が大きかった。

    【考察】
    SSS法はPSを有意に改善した。円背が適切な枕で寝返りすることは睡眠障害の改善に重要と考えた。非円背2284例の枕の高さと体格の相関を調べたが男949例で身長と枕は相関係数(以下R2)=0.811、体重と枕R2=0.898、女1205例で身長と枕R2=0.842、体重と枕R2=0.737と高い相関を示した。円背130例男女の体格と枕に相関はなかった。円背は体格から枕の高さ推定は困難だが、構築性、非構築性に分類し仰臥位頚椎傾斜角を知ることが指標になると考えられた。
    論文・寄稿 第79回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2005.9.23(金)-24(土)
    第54回東日本整形災害外科学会 発表
    場所:新高輪プリンスホテル 国際館パミール

    円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価




    【目的】
    脊柱の彎曲異常による病的姿勢は日常生活に様々な支障を引き起こす。我々は高齢者の骨粗鬆症に基づく円背の睡眠障害に着目し、夜間使用する枕の高さをSSS法にて調節し症状改善を評価した。

    【対象および方法】
    対象は円背38例、男5例女33例、年齢は65歳~88歳平均77.1歳。仰臥位において胸椎が伸展を示した非拘縮性円背が31例、胸椎が伸展せず頚椎が代償性に過伸展した拘縮性円背7例であった。観察期間は1~42週平均17.9週。SSS法は側臥位で頭部と体幹の中心線が臥床面に水平、仰臥位で頚椎傾斜角を15度前後とする枕の高さ調節法である。単純X線で頚胸椎側面像を撮影し胸椎の後弯と頚椎の前傾角をみた。頚部症状の評価は日整会治療成績判定基準を改変したPillow Score(以下PS)を用い、又睡眠に対する愁訴の改善をアンケート調査した。

    【結果】
    PSは45点満点で、枕調整前平均25点が調整後平均36点(P<0.001)、改善率50%であった。自覚症状5.9点から8.0点、改善率68.8%、他覚所見6.6点から8.4 点、改善率52.9%、ADL7.7点から12点、改善率51.8%、満足度0.5点から1.9点、改善率93.3 %(全てP<0.001)であった。睡眠に関する愁訴で多いのは寝返りし難い、熟睡感がない、夜中に目覚めトイレに何度もいく、いびき等であった。不適切な枕による起床時不快症状は、肩こり、頭痛、手のシビレがある。アンケート結果は、寝返り28例中26例改善92.9%、不眠25例中24例改善96%、トイレ回数は6回が1回になった例もあり平均3.5回が1.4回に減少した。起床時の症状は肩こり28例中26例改善92.9%、頭痛16例中15例改善93.8%、手のシビレ14例中12例改善85.7%と有意に改善していた。調節した枕における仰臥位頚椎傾斜角は5~25°平均14.4°であった。

    【考察】
    SSS法を用いて2284例の枕の高さを計測し体格の相関を調べた。非円背男949例で身長と枕の高さは相関係数(以下R2)R2=0.8119、体重と枕の高さはR2=0.8984、非円背女1205例で身長と枕はR2=0.8421、体重と枕はR2=0.7378と高い相関を示した。一方円背130例中男38例、女92例は体格と枕の高さに相関関係は認めなかった。これより円背は体格から枕の高さの推定は困難で、SSS法を用いて厳密な調節が重要である。本法によりPSおよび睡眠に関する愁訴が改善した。円背において適切な枕で寝返りを打ち熟睡を得ることは、日常生活を改善する重要な問題と考えられた。
    論文・寄稿 第54回東日本整形災害外科学会 発表内容 - 円背の睡眠障害と枕の高さ調節による症状改善の評価
  • 2005.5.12(木)-15(日)
    第78回日本整形外科学会学術総会 発表
    場所:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)

    関節リウマチの睡眠障害と枕の高さ調節による頚部症状改善の評価


    Improvement of sleep disturbance caused by cervical symptoms of rheumatoid arthritis using the adjusted pillow.

    山田朱織1)、古府照男2)、勝呂徹3)

    【目的】
    関節リウマチ(以下RA)患者の睡眠障害を調査した。頚椎病変を有するRAにおいて、今回我々は一定の基準を用い高さを調節した枕を考案し、画像的評価と臨床症状の改善度について検討した。

    【対象および方法】
    対象は頚椎病変を有するRA20例、全例女性、年齢は31 ~81 歳平均60.6歳。枕の調節法は側臥位において頭部と体幹の中心線が臥床面に水平になり、同時に仰臥位で頚椎が臥床面に対し5 度前後前傾とする。適切な高さを決定し、レントゲンで頚椎側面像を撮影し、環軸椎亜脱臼および中下位頚椎アライメントを確認した。頚部症状について日整会腰痛治療成績判定基準を改変(以下MJOAs),Visual Analog Scale (以下VAS),Face Scale(以下FS)を試行した。

    【結果】
    20例中10例(50%)が、睡眠中の疼痛ほか夜間症状等を訴えていた。寝具の不適合が症状の原因と自覚しているもの5例(25%)あった。症状は首のこわばり17例(85%)、頚部痛15例(75%)、肩および肩周囲の痛み(70%)、寝返りのしにくさ13例(65%)、頭痛11例(55%)、不眠感10例(50%)であった。MJOAs は使用前平均18.5点が使用後平均27点(P<0.005)、改善率は45.9%であった。自覚所見4.9点から6.1点(P<0.01)改善率28.6%、他覚所見3.7点から4.7 点(P<0.05)改善率15.8%、ADL6.8点から11.5点(P<0.01)改善率50.9%、満足度0.7点から1.6点(P<0.05)改善率68.4 %であった。VASは4.5から3.1(P<0.01)、FSは10.1から6.4(P<0.001)と有意に改善していた。

    【考察】
    今回我々は、中下位頚椎のアライメントを重視して睡眠中の頚椎の状態を決定する枕の高さ調節法を考案した。同時に環軸椎亜脱臼も評価したが、ADIが開大する条件は枕の高さではなく顎のポジション(nodding)による影響が大きいと考えられた。MJOAsで、頚部症状の自覚および他覚所見の有意な改善をみたが、特にADLの改善度が高かった。客観的な基準をもった枕の調節法を確立する事は、頚部症状を有するRAの睡眠障害の改善において有用と思われた。


    成瀬整形外科1)、東邦大附属佐倉病院整形2)、東邦大整形3)
    論文・寄稿 第78回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • 2004.5.27-30
    第53回日本理学療法学会学術総会 発表
    場所:新潟ユニゾンプラザ


    頚部症状を有するラグビー選手へのテイラーメイドの枕の有用性について



    森の里病院 理学療法室
    山口泰成 
    成瀬整形外科
    山田朱織 熊谷日出丸

    【目的】
    コンタクトスポーツの中で特に,ラグビー選手における頭部・頚肩部外傷は多く,それに伴う頚部痛,いわゆる肩こり,しびれなどの頚部症状は高頻度で出現する。今回,頚部症状を有するトップレベルのラグビー選手が一定期間,テイラーメイドの枕(以下 枕)を使用することで頚部症状に改善を認めたか検討を行ったので報告する。

    【方法】
    対象はトップレベルのラグビー選手,男性15例(ヤマハ発動機),年齢は22~39歳,平均28.4歳。15例とも頚椎疾患または頚部スポーツ外傷歴があり何らかの頚部症状を有した。方法は,枕(整形外科枕 株式会社山田朱織枕研究所)を使用。枕の計測および調節は同一検者が行い,各選手の頚椎が仰臥位では臥床面に対し,5~10度前傾位。側臥位では頭部と体幹部の中心線が臥床面に水平となるよう,適当な高さに調節し使用した。使用期間が短期使用群(3週間)6例をA群,中期使用群(6週間)9例をB群とした。頚部症状は日本整形外科学会治療成績判定基準を一部改変した評価(以下MJOAs)を使用。評価内容は自覚症状9点,他覚所見10点,ADL16点,満足度3点の4項目で38点満点とした。

    【結果】
    A群:MJOAsでは枕の使用前平均点が22.0±7.0点,使用後平均27.3±6.0点と有意な差が認められた。(p<0.05)改善率33.1%。しかし自覚症状,他覚所見,ADL,満足度の各項目で,改善は認めたものの有意な差は認められなかった。B群:MJOAsでは使用前平均21.9±5.4点,使用後平均30.3±5.4点と有意な差が認められた。(p<0.01)改善率52.2%。また,ADL項目でも使用前平均9.2±3.0点から使用後平均12.4±2.8点(p<0.01)改善率47.1%,満足度項目でも使用前平均0.1±0.3点から使用後平均2.2±0.9点(p<0.001)改善率72.4%とそれぞれ有意な差が認められた。とりわけ自覚症状の上肢痛・しびれ(p<0.05),他覚所見の頚椎神経根症の圧痛点トリガーポイント(p<0.01)に有意な差が認められた。ADL上では,同一姿勢での背部痛,不眠・熟睡感のなさ,起床時のいわゆる肩こり・頭痛・手のしびれの改善が著明であった。

    【考察】
    テイラーメイドの枕によりトップレベルのラグビー選手の頚部症状に改善を認めた。これは枕のフラット構造と頭頚部の適当な位置により,自然な寝返りと頚部の安定が保持されたためと考えられる。これにより運動療法だけでなく静的な治療も重要な一手段と考えられる。さらに長期使用例に有意な改善がみられたことは継続の意義を示唆するものであり,競技中のパフォーマンスにも好影響を及ぼすものと考えられる
    論文・寄稿 第53回日本理学療法学会学術総会 発表内容
  • 2004.5.20-23
    第77回日本整形外科学会学術総会 発表
    場所:神戸国際会議場

    トップレベルのラグビー選手における枕の高さ調節による頚部症状改善の評価



    山田朱織1)、山口泰成2)、熊谷日出丸1)

    【目的】
    睡眠中使用する枕において、適切な個々への適応基準は未だ確立されていない。今回我々は一定の基準を用い高さを調節した枕を考案した。頚部症状を有するラグビー選手の症状改善度を検討したので報告する。

    【対象および方法】
    対象はトップレベルのラグビー選手(ヤマハ発動機)19 例、全例男性、年齢は22 ~39 歳平均28.4歳うち16 例(84.2% )は頚椎疾患または頚部スポーツ外傷歴があった。本調節法に基づき各選手の体格に適合する枕を作製し、A 群:短期使用群(3 週間)7 例、B 群:中期使用群(6 週間)12 例の症状改善度を評価した。枕の調節法は、側臥位において頭部と体幹の中心線が臥床面に水平になり、同時に仰臥位で頚椎が臥床面に対し5~10 度前傾となるものである。枕の素材はウレタンとフェルトでへたりによる高さ変化を防止した。頚部症状は日整会腰痛治療成績判定基準を一部改変(以下MJOAs )して評価し、自覚症状9 点、他覚所見10 点、日常生活動作(以下ADL)16 点、満足度3 点の4 項目総合38 点満点とした。

    【結果】
    MJOAs は全例で使用前平均21.9 点が使用後平均29.1 点(T-testP<0.0001)、改善率は44.7%であった。使用期間で比較すると、A 群は22 点から27.3 点(P<0.05)改善率33%、B 群は21.8 点から30.3 点(P<0.001)改善率52.5%であった。項目では、他覚所見5.9 点から7.5 点(P<0.01)改善率34.1%、ADL9.8 点から12.2 点(P<0.01)改善率38.7%、満足度0.2 点から1.7 点(P<0.001)改善率53.6 %であった。

    【考察】
    客観的な枕の調節法を用いて、トップレベルのラグビー選手の頚部症状が改善する事が明らかになった。リーグ中の外傷もあって自覚症状改善は優位ではなかったが、他覚所見及びADL 症状の改善は有意であった。満足度の改善率は有意に高値を示した。短期より中期成績の改善率が高い事は、使用を継続する有用性を示唆する。客観的な基準をもった枕の調節法を確立する事は、頚部症状の改善
    において有用と思われた。

    成瀬整形外科1)、森の里病院リハビリテーション科2)
    論文・寄稿 第77回日本整形外科学会学術総会 発表内容
  • ●目次
    ●はじめに
    ●現代人の睡眠満足度
    ●21世紀の快眠市場
    ●不眠症とは
    ●不眠症分類
    ●整形外科的睡眠の研究
    ●寝姿勢を決定する枕の条件
    ●アロマセラピーで熟睡を


    はじめに

    21世紀日本国民の約20%にあたる2400万人、つまり5人に一人が睡眠障害といわれます。昼夜の差のない24時間稼動型社会とは、人間にとって本当に快適な生活なのでしょうか。快適至便に感じる人工的な環境において、人間は動物本来の生理的な能力を失いかけているのかもしれません。人間が生きるための最も基本的な行動を「情動」といいます。食べる、眠る、子孫を残す行動や能力です。快適さ、合理性の中にも、「動物である人間」本来の情動、生体リズムを守ることは不可欠なのです。

    21世紀型睡眠障害の代表として、神経症性不眠症、睡眠覚醒リズム障害、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)などが挙げられます。不眠症は病気の一症状として捕え、早期に治療を要するものもあります。しかし、不眠症に対する日本の医療現場における治療体系は、まだ充分に整っていません。また、歴史的に精神科領域での研究が主体となってきた研究分野のため、不眠症の原因が精神・心理領域のものと考えられがちな傾向ですが、実は大変広い診療科領域の症状なのです。本編では「より良い眠り」を提案するために、まず「眠れない(不眠症)」の理解を促し、そして整形外科の立場から寝姿勢を決定する枕の重要性を解説し、更に熟睡度をあげるアロマセラピーの有用性と実例について示します。



    現代人の睡眠満足度

    2003年3月に花王(東京都中央区)が、首都圏在住の20~40代の女性450人を対象に睡眠満足度調査を施行しました。自分の睡眠に満足と答えたのは46%、不満と答えたのは過半数を超える54%でした(図1)。

    しかし満足と答えた人も含めて「不満要因はありませんか?」と訪ねると、「全く不満要因がない」と答えたのは、わずかに13.8%、残る86.2%は何らかの不満要素を持っているという結果でした(図2)。興味深いのは、その不満要因(複数回答)の内容です。最も多かったのが「睡眠時間が足りない」で54.7%、次に「寝つきが悪い」35.1%、「眠りが浅い」32.4%、「夜中に何度も目が覚める」19.3%と続いています。

    近年、日本人の平均睡眠時間は確かに年々減少傾向にあります。2000年にNHKが行った国民生活時間調査の結果では、日本人の平均睡眠時間は7時間23分です。30~40代の働き盛りの年代層がもっとも睡眠時間が短い結果となっており、約4人に1人が「自分は睡眠不足である」と感じているといいます。しかし睡眠時間が6~7時間という数字は、極端に少ないものではありません。つまり、睡眠の満足度とは単に睡眠時間の多い少ないではなくその質が重要なのです。では、「眠るための工夫」としてどのようなことをしているのでしょう。

    同調査の結果(複数回答)では、第1位はマッサージ、ストレッチで43.6%、第2位は読書で38.2%、そして第3位はアロマセラピー32.7%となっています。アロマセラピーは、1980年代後半から日本人の生活に取り入れられてきました。一時は流行とともにトラブルもありましたが、この結果からも、現在は安全性と有効な使用法が市場にも普及してきた事を感じます。






    21世紀の快眠市場

    睡眠満足度調査の結果を反映するように、「眠り売ります」の快眠産業は全盛を迎えています。1995年以降、アメリカンマーケティングの主流になった快眠産業ですから、日本では他の流行産業同様、約10年後にピークを迎えるというわけです。睡眠薬、睡眠改善薬、サプリメント、健康食品、寝具、枕、照明器具、空調、マッサージチェア、ホテルや寝具ショールームそして企業内の昼寝専用スペース、音楽、香り、ハーブティー、アイマスク、快眠ドリンク剤、快眠パジャマ等々。本道をそれたものも少なからず見受けられます。近い将来3兆円巨大市場へと拡大が予測される快眠市場です。快眠市場が拡大するとは、世の中に眠れない人が増えてしまうという事なのでしょうか。

    2003年4月エスエス製薬が販売開始した「ドリエル」は、医師の処方箋無しで購入できる国内初の睡眠改善薬です。製薬業界では驚異的なヒットを記録しています。日本人は不眠を訴えて、医療機関を受診する事が少ないという報告があります。たとえ病院の敷居をまたいでも、総合受付で「一体、何科にかかればよいのか?」となります。専門の睡眠外来があればよいのですが、この標榜はまだまだ特殊機関にしかありません。まだ医療側も振り分けができるほど、「不眠症」は診断治療において体系化されていない現状です。
    「一日がかりで病院にいっても説明も充分にないし、結局解決にならない」と現行医療への不信も手伝って、手軽に購入できて直ぐ使用できる市販薬のニーズは高まるわけです。風邪薬や抗アレルギー薬の成分中の、眠くなる成分だけを取り出す睡眠改善薬に、副作用の面から肯定しない専門医も少なくありません。この問題解決には、症状に悩む人々の不眠症に対する正しい理解と、これを取り巻く医療や社会の適切な方向への発展が必要です。



    不眠症とは

    睡眠科学の第一人者であり臨床医でもあるウィリアム・C・デメントは「不眠症を治療する時の最大の障壁は、これが深刻な問題だと納得してもらうことだ。」と指摘しています。不眠症とは一つの症状です。病気の種類ではありません。患者様も医者も、不眠症という症状の“原因”を追求するより、安易に睡眠薬でそこそこの対処をする傾向は否めません。この初歩的な認識の誤りが、長期にわたる睡眠負債(不眠状態が蓄積すること)となって悪化していく原因となります。数々の成人病など合併症の引き金となるばかりでなく、活力や認知能力が蝕まれ、個人の生産性を低下させたり、眠気ゆえの思わぬ事故へとつながることにもなります。

    原因の解明が重要です。「眠れない」が始まったその頃にきっかけとなる出来事がなかったか、同時に起こった症状がないか探してみるのです。一過性の心身ストレス、肉親の不幸など心の傷、転居や仕事内容の変化など生活環境の急な変化、騒音や照明といった睡眠環境の悪化、仕事に集中して興奮状態が続くなど、どのようなことでも原因となりうるのです。原因が見つかれば、これをコントロールしたり、排除すべく対処法をこうじることができるのです。また嗜好品のアルコール、カフェイン、ニコチンは不眠の原因に挙げられています。病気の治療で処方された薬剤(血圧降下剤、気管支拡張剤、抗潰瘍剤、ホルモン剤など)の副作用として不眠が起こることも有ります。

    次に病気の一症状です。病気の種類を問わず、夜間に痛みや痒みがあれば睡眠が障害されます。最も多いのが首と腰の疾患があって、首痛、頭痛、手のしびれ、腰痛、足のしびれ、こむら返りなど目が覚める事です。これは寝具や枕の影響が非常に大きいのです。また内蔵痛として胃潰瘍の上腹部痛や、尿管結石などの背部痛なども睡眠が妨害されます。アトピー性皮膚炎の痒みは夜間の掻痒行動として目が覚め、老人性皮膚掻痒症では入眠時に血管が拡張し痒みが出現します。他にも、前立腺肥大や膀胱炎でトイレ回数が増えれば、睡眠が中断されますし、喘息や肺・気管支の病気では咳や呼吸の苦しさで熟睡できなくなります。不安神経症やうつ病の一症状としての不眠症は、早期に専門医に相談することが肝要です。


    不眠症分類

    不眠症分類として、眠れないタイプによるタイプ分類があります。不眠症診断のための1つの情報となります。寝つきの悪い入眠障害、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早くに目が覚め眠れなくなる早朝覚醒、時間的には寝たはずなのに朝起きて熟睡感のない熟眠障害です。例えば、うつ病の不眠症は早朝覚醒とその後の浅睡眠による不快感の訴えが多く、アトピー性皮膚炎の痒みによる不眠症は途中覚醒が多いというように、病気によっては特徴的なパターンを示す傾向がつよいものもあります。ただし、すべてがタイプ別に、一対一対応で特効的な治療が見つかるわけではありません。医師が患者様に睡眠薬を選択し処方するとき、分類に従ってどの時間帯に薬効を発現させるかの指標になります。入眠障害なら超短時間作用型の睡眠薬を選択し、中途覚醒や早朝覚醒のタイプでは、睡眠を維持しなければならないので中間作用型や長時間作用型が有効といえます。



    整形外科的睡眠の研究

    2002~2003年にかけて、当院(整形外科診療所)に来院した患者様260人に対し、「自分の枕に満足ですか?」と質問しました。

    満足と答えたのは12%のみ、どちらでもない26.3%、不満と答えた人は61.7%でした。不満と答えた方に枕調節をしたのち、今度は枕についてではなく、「自分の睡眠に満足ですか?」と質問すると、実に76%が満足、以前より眠りが良くなったと答えました(図3)。

    その改善の理由には、「短時間でもぐっすり深く眠れるようになった」、「夜中に首や肩が痛くて目が覚めていたが、起きなくなったので熟睡できる」「枕に頭をのせると安定感があり、すぐ寝つけるようになった」「枕を換えて、夜中に何度もトイレに起きていたのに行かなくなった。朝方トイレに起きても、又すぐ寝つける」などです。この結果から、枕という単純な物理環境が、眠りの質に影響しているのがかわかります。

    不適切な枕を使用することが原因で睡眠が障害される事を枕不眠と呼びます。枕不眠は、先に示した不眠症タイプ分類のいずれにもありうるのです(図4)。ただ単に枕が不適合なために、首の痛みや頭や腕の置きようがない、そして寝付けないとなります。夜中に目が覚める人も、朝早く起きてしまう人のなかにも、枕が適合していないために下になった肩が痛い、手がしびれる、首の痛みや腰痛などで睡眠深度が浅くなり、とうとう目が覚めてしまう人があるのです。変形する枕では、夜間に寝返りを打つたびに頚椎が不安定になり、上下左右の動きが生じて頚神経を圧迫します。「枕が合わなくて不眠症になる?なぜだろう」疑問に思う方もいるでしょう。



    次に、寝姿勢を決定する枕の条件と、不眠症の関係を説明します。枕とは、就寝時に頭をのせるものと考える方が多いのですが、頭を置いた高さと置く素材によって首(頚椎)の位置を決定されるのです。その理由は、頚椎の解剖にあります。

    図5に、人間の頚椎とその後方の椎間孔(神経の出口となる穴)、そして頭部、頚部、肩~肩甲骨周囲、両上肢まで神経支配する第1~8頚神経の解剖図を示します。睡眠中の不適切な静的寝姿勢や動的寝姿勢つまりダイナミックな寝返りにより、椎間孔が変形し、頚神経が圧迫されると、頭痛、頸肩腕の痛み、背部痛など各部の疼痛、後頭部、頚部、上肢のしびれ、血流異常による首や肩のこり感、手指の冷感などが生じるのです。また、頚椎の位置が異常になると、連続する腰椎にも異常をきたし腰痛や坐骨神経痛、下肢の冷感の原因にもなります。不快な身体症状は、結果的に熟睡を阻害します。熟睡は脳の休息であるノンレム睡眠と関係が深いといわれます。翌朝には体がだるい、やる気が起こらないなどモチベーションの低下や精神的な症状にまでも発展します。




    寝姿勢を決定する枕の条件

    正しい枕の3大条件は、(1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ (2)浮き沈みのないフラット形状 (3)適宜調整(メンテナンス)です。

    (1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ
    個人の体格・寝返りに最適な高さは、枕の最重要ポイントです。高さは、次の2つの条件下で適合していなければなりません。静止時の頭~頚~体の寝姿勢と、運動時つまりダイナミックな寝返り動作をする時の寝姿勢の2つの条件です。この2つを満たすとき、熟睡による心身の回復が得られます。抵抗のない寝返りは、体の体液つまり血液、リンパ液、関節液の循環を促し疲労した組織を修復するとともに、日中起立時に負担のかかる脊椎を休ませ回復させる働きをもつのです。

    静止時の条件ですが、これは上向きと横向きの両方で首の角度が最良になる高さを決定しなければなりません。上向きの適合のみでは、横向きになると下になった肩が痛い、腕の置き所がないという現象がおこります。上向きでドーナツ型枕の中央の低いくぼみに頭が入り、横向きではサイドの高い部分に乗るというのは理論上の話です。頚や肩の痛みのある方は、途中で高い部分への山登りを止めて大きな寝返りを諦める人もいます。横向きでは体の中心軸が床面と並行になるように合わせます。上向きでは床面に対して首が前傾5~10度になるようにします(図6)。

    これは頚椎の後ろにある椎間孔という神経の出る穴が一番大きく開いて、神経がゆるめられ神経を栄養している血液循環がよくなる姿勢なのです。低すぎる枕で後傾姿勢になり、高すぎる枕で前傾が過度になり、先に述べたとおり頚神経が圧迫を受け、こりや痛み、しびれが出現するのです。横向きでも同様に、右に傾くと右の椎間孔が狭くなり、右肩や右手に行く神経が圧迫され、右上半身の痛みやしびれが出現しやすくなります。(図7)左に傾いても同様です。

    最適な高さ調節は5mm刻みで行わなければなりません。人間の深部感覚は5mmの差で、自分に最適な高さを見分ける事ができます。そして、最後の確認は寝返りです。静的寝姿勢を決定した後、動的にも最良かどうかを確認します。5mm高すぎても、低すぎても、「全く抵抗のない寝返り」を打つことができないのです。






    正しい枕の3大条件は、(1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ (2)浮き沈みのないフラット形状 (3)適宜調整(メンテナンス)です。


    (1)個人の体格・寝返りにジャストフィットする高さ
    個人の体格・寝返りに最適な高さは、枕の最重要ポイントです。高さは、次の2つの条件下で適合していなければなりません。静止時の頭~頚~体の寝姿勢と、運動時つまりダイナミックな寝返り動作をする時の寝姿勢の2つの条件です。この2つを満たすとき、熟睡による心身の回復が得られます。抵抗のない寝返りは、体の体液つまり血液、リンパ液、関節液の循環を促し疲労した組織を修復するとともに、日中起立時に負担のかかる脊椎を休ませ回復させる働きをもつのです。

    静止時の条件ですが、これは上向きと横向きの両方で首の角度が最良になる高さを決定しなければなりません。上向きの適合のみでは、横向きになると下になった肩が痛い、腕の置き所がないという現象がおこります。上向きでドーナツ型枕の中央の低いくぼみに頭が入り、横向きではサイドの高い部分に乗るというのは理論上の話です。頚や肩の痛みのある方は、途中で高い部分への山登りを止めて大きな寝返りを諦める人もいます。横向きでは体の中心軸が床面と並行になるように合わせます。上向きでは床面に対して首が前傾5~10度になるようにします(図6)。

    これは頚椎の後ろにある椎間孔という神経の出る穴が一番大きく開いて、神経がゆるめられ神経を栄養している血液循環がよくなる姿勢なのです。低すぎる枕で後傾姿勢になり、高すぎる枕で前傾が過度になり、先に述べたとおり頚神経が圧迫を受け、こりや痛み、しびれが出現するのです。横向きでも同様に、右に傾くと右の椎間孔が狭くなり、右肩や右手に行く神経が圧迫され、右上半身の痛みやしびれが出現しやすくなります。(図7)左に傾いても同様です。最適な高さ調節は5mm刻みで行わなければなりません。人間の深部感覚は5mmの差で、自分に最適な高さを見分ける事ができます。そして、最後の確認は寝返りです。静的寝姿勢を決定した後、動的にも最良かどうかを確認します。5mm高すぎても、低すぎても、「全く抵抗のない寝返り」を打つことができないのです。


    (2)浮き沈みのないフラット形状
    せっかく高さをジャストに適合させても、睡眠中に形状が変化しては意味がありません。枕の第2の条件は素材の硬さと形状です。硬さは“頭が沈み込まない硬さ”です。素材がソバガラやプラスティックチップなど小さな粒状のものや、羽毛ほか新素材でも頭の重みで沈むものは、いびつな形に変形する可能性が大きいのです。寝返りのたびに頚椎は不安定にぐらつきます。

    枕を感触で選ぶ人がいますが、気持ちがいいと感じるのは寝入るまでの、言ってみれば覚醒時のごく短時間のことです。平均6~7時間の睡眠時間中、不適切な姿勢を強いられても目が覚めないとき、症状は朝に現れます。首が痛くて回らない、頭痛がする、体がだるくて起き上がれないなどひどい症状もあります。自分の体格に合った高さが決定できたら、今度はそれを維持できる素材選びが不可欠です。

    形はフラット形状が最良です。凹凸や彎曲は不必要です。その理由は寝返りを打ちやすくするためです。大きさは横幅50cm位あれば寝返りをしても頭が落ちません。奥行きは30cm前後あれば、まず足りない方はいません。


    (3)適宜調整
    (3)適宜調整とは、これほど精密な調整をしても、使用するうちにさまざまな枕使用条件が変わる事があります。例えば、使用者の体格の変化です。5mm刻みの適合は、体重5kgあたりで変動します。体重が5kg増えれば約5mm枕を高くし、5kg減量したら約5mm低くしなければなりません。成長期の子供の場合は身長の伸びとともに肩など骨格も変化するので、適宜調整が必要になるのです。また寝具(ベッド)や敷物(布団など)の変化によっても、枕の落ち込み具合がかわるので再調整が必要になります。

    以上の適切な枕調節によって、静的寝姿勢と動的寝姿勢の両方を最適な条件にし、副交感神経優位となる熟睡を促し、心身の充分な回復をとってください。


    アロマセラピーで熟睡を

     アロマセラピーを熟睡のために活用する事はよく見受けられます。代表的な精油として真正ラベンダーが挙げられます。リナロールや酢酸リナリルなど鎮静効果の期待される成分を充分に含むものであれば、同様に使用できます。整形外科に通院する患者様で不眠を訴える18症例に、夜間の真正ラベンダー(ハイパープランツ(株)、東京)の使用を薦めました。電気ポットに0.4ml/一晩を滴下し吸入する方法です。15名(83%)が睡眠深度の変化(熟睡度が上がる)や入眠の速さを自覚し、ほか1名は香りに嫌悪感を訴え、残る2名は不変でした(図8)。真正ラベンダーは有意に睡眠の質をあげる結果となりました。また、これまで睡眠薬内服歴のあった5例は、睡眠薬との違いを「朝、眠気が残る感じがない」「ぐっすり眠れるが、朝はすっきり起きることができる」と感想を持っていました。

    症候性の不眠症として、かゆみが原因となることを前述しました。アトピー性皮膚炎や花粉症では、皮膚や目のかゆみ、鼻汁によって途中覚醒を強いられます。ティートリーやユーカリラディアータ、ユーカリグロブルスなどの吸入は有効例も多く、睡眠の継続が可能となります。

    このように不眠症の原因に適切な作用機序でアロマセラピーを選択することは有意義であると考えます。

    最後に枕調節とアロマセラピーが有効であった症例を供覧します。症例1は、77歳女性、頚部および腰部変形性脊椎症および骨粗しょう症による円背(背中が変形して丸くなる状態)の患者様です(写真1)。頚椎の変形が著しく、肩の痛み、首こりと手のしびれを訴えていました。円背のため上を向いて寝ることができず、毎晩横向きのみで寝返りを打てずに寝ていました。寝入るにも時間がかかり、夜間はトイレに何度も起きるため睡眠が分断され、朝から不快感がありました。そこで枕調節と真正ラベンダーの吸入を施行しました。枕の高さは、身長体重からの推定値よりかなり大きなものとなりました。理由は円背によって、上向きで頭が床面から大きく離れているためです。それまで使用していた低い枕では後頭部が落ち込み気道を圧迫するため、上向きでは寝られないか、寝ても夜間に体の各部の痛みで目が覚めていたのです。使用した一晩目から改善が現れ、患者様は寝返りが打てる事に驚いていました。朝には肩こり、頭痛が改善し、体の動きがよくなっているのです。これは不思議な事ではありません。それまでが寝返りも打てない不適切な寝姿勢によって生じていた症状が消失し寝返りによる関節運動により関節液が循環した朝、体が動かしやすくなるのです。トイレに起きる回数も減少しました。高齢者は泌尿器の問題で夜間のトイレ回数が増えるといわれていますが、中には加齢による骨の変形に不良な寝姿勢が加わって痛みのために睡眠深度が浅くなり、目が覚めるのでトイレに起きていくことが習慣になっているケースも多いと思われます。また明け方トイレに一度おきても、アロマセラピーの香りをかぎながら再度入眠するのに時間がかからないといいます。すっかり表情まで明るくなりました。

    現在、不眠症を整形外科の視点から考え、有効と考えられる症例に枕とアロマセラピーを用いた治療を行っているので、その方法の詳細を述べました。今後も増加するだろう不眠症の方々に正確な情報が伝達され、患者様に適切な治療が選択される事を願っています。

    論文・寄稿 枕とアロマセラピー ~より良い眠りのための工夫~
  • 2007.11.9.(金)12:00-13:00
    第35回 日本リウマチ・関節外科学会 ランチョンセミナー
    会場: 品川プリンスホテル アネックスタワー
    「整形外科医に役立つ睡眠と枕の知識」16号整形外科 山田朱織
    論文・寄稿 第35回日本リウマチ・関節外科学会 ランチョンセミナー