パワーナップの効果は?目を瞑るだけでも大丈夫?

パワーナップの効果は?目を瞑るだけでも大丈夫?

午後2時あたりの強烈な眠気で仕事効率が半減している方へ。「パワーナップ」というごく短時間の昼寝が脳や身体の疲労改善に役立つと言われています。

パワーナップは積極的仮眠という意味で社会心理学者が提唱した短時間の仮眠のことです。NASAが実証実験を行った「26分間のパワーナップ」は、認知能力を向上させるという結果がでました。

参考:The benefits of napping for safety&How quickly can the brain wake-up from sleep?

まだ実践しているビジネスパーソンが多くないといわれている短時間休息のメリットや、オフィスでもやりやすい方法を解説します。 明日からすぐにでも始められる昼休み後の集中力低下を減らせる方法です。

正しいパワーナップの方法をマスターして、午後の生産性を改善していきましょう。

目次

パワーナップの効果を数値で実感

パワーナップとは

パワーナップはアメリカの社会心理学者ジェームス・マースが研究し提唱した「12時から15時くらいにとる15分~20分ほどの睡眠」のことです。一部の世界的企業がオフィスに仮眠スペースを設けたり、いわゆる「昼寝休憩」をとれるようにしたりしています。

参考:昼寝の功罪とパワーナップ

パワーナップの科学的効果を実証したのはNASAで、1995年頃からNASA Napsという睡眠研究を行っています。

午後の眠気に襲われて集中力が落ちた経験がある方は多いのではないのでしょうか。短時間の戦略的な仮眠が驚くほどの効果をもたらすとされています。

26分の仮眠で認知能力34%・注意力54%向上効果

NASAの研究チームは1994年、極度の集中力を要求される航空機パイロットを対象とした「NASA Naps」と呼ばれる睡眠研究を実施しました。

日中の短時間仮眠によって認知能力が34%、注意力が54%向上したという結果が出ています。

参考:香りにおける仮眠支援システムの提案と評価

うとうとした状態のN1や浅い睡眠である睡眠段階N2の昼寝でも眠気やパフォーマンスの改善効果は確認されています。

参考:昼寝の功罪とパワーナップ

昼寝時に睡眠段階がN3に入ると、夜のN3が減少してしまいます。これは1日の中でN3が出現する時間の長さが決まっているためです。

そのため、昼寝をパワーナップとして活用するためには、N3に睡眠段階が到達する前、つまり15分から20分を超えない範囲に留めることが肝心となります。

睡眠の仕組みがパワーナップに関係している

睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、睡眠の深いノンレム睡眠がパワーナップを左右します。

ノンレム睡眠はさらに眠りの深さに応じて3つのステージがあり、それぞれN1からN3に分かれています。また4段階に分ける分け方もありますが、その場合は段階1と2が浅い睡眠、段階3と4が深い睡眠となっています。

睡眠の段階眠りの状態
N1うとうとした状態
N2眠りが進み体温がわずかに低下し、心拍数と呼吸が遅くなる
N3深い眠り(徐波睡眠)最も深くリラックスした状態で心身や疲労の回復に役割を果たす

参考:日本睡眠学会 2つの睡眠

眠ってすぐに現れるのはノンレム睡眠で、ノンレム睡眠以外はレム睡眠に該当します。睡眠の前半に多く現れるノンレム睡眠の際に自律神経活動(交感神経)が休息するとされています。

また自分でリフレッシュしたと感じる睡眠はN2、段階では2以上がある程度持続したときに得られるとされています。

参考:睡眠に関する基礎知識

夜の睡眠と異なるパワーナップの疲労回復効果

疲労回復の仕組みにも違いがあります。夜間の深い睡眠では全身の修復が行われますが、パワーナップは脳の疲労に特化したリフレッシュを行います。

エピソード学習能力で昼寝後にプラスの相関が示されたデータもあります。午前中の業務で疲れた頭をいったん休ませることで、午後の仕事に再び全力で取り組める状態を短時間で作り出せるのです。

ただし、これは時間的な効率の観点での比較であり、夜の深い眠りが持つ心身への多様な効果を否定するものではありません。

パワーナップは夜間睡眠を補完する戦略的な休息法として理解することが重要といえるでしょう。

世界的企業も導入しているパワーナップ

パワーナップを導入している企業は、世界的な企業はもちろん日本の企業も増えています。仮眠スペースやパワーナップ専用マシンなどを設置して、質の高いパワーナップを社員に提供しています。

Googleでは福利厚生の一環として、EnergyPodという昼寝専用チェアを導入したことがニュースにもなりました。

Microsoftでも、大阪のオフィスに仮眠スペースを設けて積極的にパワーナップを推奨しています。

日本企業でも具体的な成果が報告されています。GMOインターネットグループでは2012年から「おひるねスペースGMO Siesta」をオープンしました。福利厚生の一環としてですが、生産性を上げたりリフレッシュしたりするためのスペースです。

昼寝を制度として取り入れるのは、導入のハードルが低いことも企業にとって魅力的です。専用設備がなくても、会議室の一部を仮眠用として活用したり、デスクでアイマスクを使用したりするだけで効果を得られます。

まずは試験的に導入し、効果を測定しながら本格運用へと発展させる企業が多く見られます。

パワーナップの活用法と応用方法

パワーナップの活用法と応用方法

パワーナップをしっかりと導入している会社に勤務していなくても、うまく取り入れてみたい方が試しやすい方法をご紹介します。

肝心なのは仮眠する長さと時間帯です。午後1時から午後3時の間に15分から20分程度行いましょう。

仮眠しやすい椅子やアイマスクなどを上手に使えば、あまり場所を問わずにパワーナップを活用できるでしょう。効果的な方法やさらに効果を高める応用方法を解説します。

ステップ1:10分間の浅い休息で疲労軽減

まずは10分間の浅い休息にチャレンジしてみましょう。10分間という時間は、軽い疲労を回復させながらも深い睡眠に入り過ぎない絶妙なバランスを保てるとされています。

目を閉じるだけでなく軽いうとうと状態に入ることを目指します。ただし、深く眠り込まないよう注意が必要です。

アラームを設定して時間を管理し、起きた後にぼんやり感が残らないよう調整してください。10分間の浅い休息により、午前中に蓄積された疲労感が軽減され、午後の作業効率向上が期待できるでしょう。

座った姿勢のまま机に軽く伏せたり、椅子の背もたれに寄りかかったりする程度の体勢で行うのがおすすめです。

ステップ2:15~20分の本格パワーナップで完全回復

上級者向けの本格的なパワーナップは、15~20分間という時間設定で行います。30分以上になると深い睡眠に入ってしまい、目覚めが悪くなる可能性があるため、時間管理が大切です。

どのような環境で仮眠をとるのかも重視してください。静かすぎず、うるさすぎないところを選びましょう。またなるべく明るくないところがよいので、難しい場合はアイマスクを活用してください。

30分以上寝ないために、必ずアラームをかけて睡眠を取るようにします。仮眠スペースがあれば理想的ですが、難しければデスクや車などを使用しましょう。

眠れないときに目を瞑ると得られる効果

以前は眠れないときに目を閉じているだけでも効果があると言われていました。現在は、身体はあまり休まらないといわれています。

パワーナップでも2~3分であっても睡眠2段階(N2)に入る必要があるとされています。しかし目を瞑るとリラックス効果を得ることや、眼精疲労の軽減にはつながります。

眠れない方は「必ず眠らなければ」という強迫観念を手放し、目を瞑って休息するだけでもネガティブな気持ちは切り替えられるでしょう。集中力や判断力が落ちてきたと感じたときに目を瞑ってみましょう。

コーヒーナップで目覚めスッキリ!カフェイン活用術

コーヒーナップは、パワーナップの前にコーヒーを飲むことで目覚めの質を劇的に改善する上級テクニックです。カフェインの効果は摂取後約15~30分で現れるとされています。

コーヒーなどを飲んで短時間仮眠をとると、起きたころにちょうどカフェインの効果が現れるといわれています。

参考:午後の眠気対策としての短時間仮眠

コーヒー摂取と仮眠の組み合わせにより、通常のパワーナップよりも高い覚醒効果とスッキリ感が得られるとされています。

失敗例から学ぶ!パワーナップを成功させる管理術

パワーナップの実践で「効果がない」「夜眠れなくなった」といった経験がある方もいます。短時間の仮眠が注目される一方で、正しい方法を知らずに失敗する人も少なくありません。

パワーナップは眠気を抑えたりパフォーマンスをアップさせたりするのに高い効果が期待できます。ですが、時間管理や実践方法を間違えると逆効果になってしまいます。 

効果的なパワーナップを身につけるためには、やってはいけない失敗パターンを知っておくと参考になります。

やってはいけない4つの失敗パターンと対策

パワーナップでよくある失敗パターンには以下のものがあります。

  1. 時間が長くなり目覚めが悪くなる
  2. 姿勢によって深すぎる眠りに入ってしまう
  3. 15時以降に仮眠をとってしまう
  4. 環境が悪く質の悪い睡眠になってしまう

まずパワーナップの時間を管理ミスし、30分以上眠ってしまうと深いノンレム睡眠のステージ4に入ります。仮眠時間が長ければ、起床後のだるさや夜の睡眠障害を引き起こします。必ずアラームなどを設定して時間をオーバーしないようにしてください。

パワーナップは実は姿勢も重要といわれています。完全に横になると深い眠りに入りやすく、起きられなくなるリスクが高まります。仮眠しやすい椅子などがおすすめです。

パワーナップが推奨されている時間帯よりも遅い時間、つまり夜に近い時間に仮眠をとってしまうと、夜の睡眠に悪影響を与えます。時間はどんなに遅くても15時までに終わらせるようにしましょう。

明るすぎる場所や騒音は睡眠の質を下げます。イヤフォンやアイマスクなどを上手に活用してください。

単に昼食後に眠ればよいと考えず、計画的なパワーナップの活用が必要です。また勤務先でも協力を依頼できるかどうかを確認するのもよい方法でしょう。

夜型や睡眠不足の方は要注意

もともと夜型の生活リズムの人や、慢性的な睡眠不足をパワーナップだけで補おうとする人も注意が必要です。パワーナップは夜間の睡眠不足を補うためのものではありません。

夜型の方はパワーナップの時間も遅くずれてしまいやすい傾向です。行うなら15分から20分以内というルールを厳守してください。

また午後にパフォーマンスが低下する現象は、睡眠傾向と関連しているといわれています。サーカディアンリズムに影響を受けているものと考えられています。

参考:The post-lunch dip in performance

夜の睡眠をきちんと確保すること、姿勢や仮眠環境を整えることを守ってパワーナップを行いましょう。

深い眠りに落ちすぎた時の緊急対処法

予定より長く眠ってしまい深い睡眠状態から目覚めた場合、睡眠慣性によるだるさや頭重感が現れます。身体を動かすなどして眠気を覚ますようにしましょう。

仮眠から起きたときにだるいと感じたら、まず冷たい水で顔を洗います。首や肩を回すストレッチで身体を動かすと眠気を覚ますことができます。

水分補給も効果的で、冷たい水や少量のカフェインで覚醒を促します。ただし過度なカフェイン摂取は避けたほうがよいでしょう。

職場では難しいかもしれませんが、少し階段を上り下りすると血流改善に役立ちます。できるだけ早くだるさを解消し、その日の夜間睡眠への影響を最小限に抑えましょう。

効果が感じられない人向け改善チェックリスト

パワーナップの効果を実感できない場合、どのような実践方法なのか見直しが必要です。

まず時間の長さを確認しましょう。5~10分では軽い疲労回復効果を感じる方もいますが、30分以上では逆効果になりがちです。15~20分が最適とされています。

環境面では、適度な暗さと静けさが重要です。完全に無音である必要はなく、ホワイトノイズ(雨音や波音など)が効果的な場合もあります。

パワーナップは即効性があるといわれています。短い時間で疲労回復や認知機能の向上が見込めるでしょう。

午後の眠気は病気のサインのことも

日中に極端に眠くなる、だるさがずっとある方は睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。午後のパフォーマンスの状態が悪いのは、睡眠に問題を抱えているのかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、自分で気づかない方も多くいます。パワーナップを試しても午後のパフォーマンスが改善されない、疲労感が続いているといった場合には一度疑ってみたほうがよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群は、検査と治療により改善が期待できます。家族に睡眠中のいびきを確認する、セルフチェックできるアプリを利用するのもよいでしょう。

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