夕方のコーヒーが原因で、夜なかなか眠れなくなった経験はありませんか。睡眠への影響を避けるなら、カフェインは午後3時頃までに摂取するのが目安です。
カフェインの半減期(摂取したカフェインの血中濃度が半分になるまでにかかる時間)は、数時間かかると言われています。仕事や勉強でパフォーマンスを維持したい方、夜はぐっすり眠りたい方にとって、カフェイン摂取のタイミングは注意したい点といえるでしょう。
本記事では、カフェインが体内に残る時間や個人差による調整方法を解説します。就寝時刻から逆算したリミットの時間を知っておくと、安心してコーヒーやお茶を楽しみながら、質の高い睡眠を確保できるようになります。
すぐに実践できる内容ですので、ぜひ参考にしてください。
カフェインの摂取リミットは就寝何時間前まで?

カフェインを楽しみながらも、質の高い睡眠を守るためには、摂取のタイミングが何より大切です。睡眠への影響は個人差があるものの、どんなに遅くとも就寝の6時間前までにカフェイン摂取を終えましょう。
研究によると就寝6時間前のカフェイン摂取でも入眠などに影響が出たという結果もあります。そのためあまり遅い時間にカフェインを摂取するのは避けたほうがよいのです。
参考:Caffeine Effects on Sleep Taken 0,3,or 6 Hours before Going to Bed
カフェインはアデノシンという物質の働きを妨げて覚醒を促します。そのため入眠までの時間を延ばし、深い眠りを減少させ、夜中に目が覚める回数を増やすなど、睡眠の質に複数の悪影響を及ぼすといわれています。
安全に摂取できるのは15時頃が目安
日本人の平均的な就寝時刻を23時前後と考えると、最も長い半減期を考慮すれば15時頃までに飲むのが目安時間となります。半減期の個人差や、就寝時刻の違いも考慮して何時まで飲めるか考えておくとよいでしょう。
15時までにコーヒー1杯(約170ml・カフェイン100mg)を飲んだ場合、就寝時刻の23時には体内のカフェイン量が安全な範囲まで減少していることが期待できます。自分の生活リズムに合わせた摂取時刻を見つけましょう。
カフェインの半減期について注意しておきたいこと
カフェインは摂取後、体内で徐々に減少していきます。半減期は年齢や体質、喫煙者かどうかなどによっても異なります。夜にコーヒーを飲んでも眠れる人と眠れなくなる人がいるのは、個人差によるものです。
例えば健康な成人の方は、半減期は約5時間とされています。100mgのカフェインを摂取すると、4〜5時間後には50mgに、さらに4〜5時間後に25mgに、というように徐々に減少していくとされます。
ただし完全に体外へ排出されるまでには、10〜12時間以上かかることも珍しくありません。
参考:Caffeine for the Sustainment of Mental Task Performance: Formulations for Military Operations.
就寝時にカフェインが50mg以上残ると睡眠の質が低下
睡眠の質に影響を与える体内カフェイン残量の目安は、就寝時点で50mg以上とされています。
カフェイン摂取時間の目安
カフェイン100mg・半減期5時間の場合
| カフェイン摂取15時 | 100mg |
|---|---|
| 20時 | 50mg |
15時にコーヒーなどを飲んだ場合、半減期が5時間程度の方なら20時ならまだ影響が残っている状態です。その後さらに減っていきますので、23時に寝る場合にはかなり影響が抑えられるでしょう。
| カフェイン摂取18時 | 100mg |
|---|---|
| 23時 | 50mg |
18時にカフェインを摂ってしまうと、23時の就寝時にはまだ影響が大きく残っています。
さらに遅い時間のカフェインには要注意です。たとえば20時に夕食を取り、その後コーヒーを飲んでしまうと就寝時にはかなりカフェインが残っている状態です。
寝つきが悪くなったり、深い睡眠が減少したり、夜中に何度も目が覚めたりする可能性が高まってしまうでしょう。夕方以降はできるだけカフェインが少ないハーブティー、あるいはデカフェの飲み物などを選んでください。
朝型・夜型とカフェインの関係
体内時計の個人差であるクロノタイプが朝型か夜型かによって、カフェインへの感受性は異なるとされています。カフェイン使用障害は夜型と関連しているという研究結果もあります。
参考:Morningness-eveningness and caffeine consumption: A largescale path-analysis study
しかし、カフェイン入りコーヒーと身体能力に関する研究では、朝と夜に実施したテストでカフェイン入りコーヒーは、クロノタイプにかかわらず握力や背筋力など平均筋力を向上させました。
時間帯やクロノタイプを問わず一定の効果があったということは、カフェイン入りコーヒーは上手に利用すれば朝型、夜型どちらの方もパフォーマンスを発揮できる効果が期待できるといえます。
睡眠の質に注意しながら上手にカフェインと付き合っていきましょう。
飲み物別カフェイン量と摂取目安量
コーヒーだけでなく、緑茶やエナジードリンク、さらにはココアにもカフェインが含まれていることをご存じでしょうか。
知らず知らずのうちに、夕方以降も複数の飲料からカフェインを摂取している可能性があります。お茶類も意外と多くのカフェインを含んでいるのです。
| 飲み物 | カフェイン量 |
|---|---|
| コーヒー (100ml) | 60mg |
| インスタントコーヒー (2g使用・熱湯140ml) | 57mg |
| ウーロン茶 (100ml) | 20mg |
| 玄米茶 (100ml) | 20mg |
| 紅茶 (100ml) | 30mg |
| エナジードリンク (100ml) | 32mg~300mg (製品により異なる) |
普段飲んでいる飲料のカフェイン量を把握しておくと、取り過ぎを防げます。トータルでのカフェイン摂取量を把握しましょう。
睡眠の質を守りながら、上手にカフェインと付き合う方法を見ていきましょう。
コーヒーは1日3~4杯までを目安に
コーヒーは最も身近なカフェイン源です。ドリップコーヒー1杯(150ml)には約90mgのカフェインが含まれているとされています。
コーヒーの種類によってカフェイン含有量は少し異なります。例えば、ドリップコーヒーは100mlあたり約60mg、インスタントコーヒーは1杯(2g使用)熱湯140mlで約57mgのカフェインを含みます。
健康な成人は最大400mgのカフェインを限度とするようカナダ保健省が注意喚起を行っています。
参考:厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
カフェインの摂取許容量は個人差が大きいことなどから、厳密には設定されていません。摂取許容量とは一生摂取し続けたとしても健康に悪影響が生じないとされる量です。
そのため、3杯なら大丈夫とは考えず飲んだあとの睡眠などを考慮して自分に最適な量を考えていきましょう。なお妊婦、授乳中の方はカフェインの影響がより大きいとされます。
緑茶やウーロン茶も意外と多い点に気を付けよう
お茶類のカフェイン含有量を侮ってはいけません。煎茶、ほうじ茶、ウーロン茶、玄米茶はいずれも100mlあたり約20mgのカフェインを含みます。
「お茶だから安心」という思い込みは危険です。湯呑み1杯(約200ml)を2杯飲めば80mgとなるので、コーヒー1杯分(150ml・90mg)に近い分量のカフェインを摂取することになります。
夕食時に何気なく飲んでいるお茶が、実は睡眠を妨げている可能性があるのです。また、気軽に自動販売機やコンビニで買ってしまうペットボトルのお茶は容量が多い点に注意しましょう。
500mlを飲むとカフェインを約100mg摂取することになります。気づかないうちに大量のカフェインを摂っている場合があるため、夕方以降は麦茶などノンカフェインの飲料に切り替えることをおすすめします。
紅茶も100mlあたり約30mgのカフェインを含むため、緑茶よりやや多めです。午後のティータイムでも、時間帯には気をつける必要があります。
エナジードリンク1本でカフェイン目安摂取量を超える危険性
エナジードリンクのカフェイン量には注意が必要です。製品によって大きな差があり、100mlあたり32mg~300mg程度となっています。
栄養ドリンクは容量も大きくなくジュースではないと理解している方も多いでしょう。しかしエナジードリンクはジュース感覚で飲んでいる方もいます。1本飲むだけでその日カフェイン摂取許容量の大半を摂ることになってしまうエナジードリンクもあるので要注意です。
仕事や勉強の追い込みで夕方以降にエナジードリンクを飲む方も多いのではないでしょうか。午後以降に摂取すると、高濃度のカフェインが睡眠に与える影響はやはり大きくなってしまいます。
複数本飲む習慣がある方は、カフェインの過剰摂取になる可能性が高いため注意が必要です。健康な成人でもカフェインは1日400mg以下が推奨されているため、表記のカフェイン量をきちんと確認してください。
エナジードリンクは連続して飲まず、飲む場合も1日1本程度にしておきましょう。
ココアやチョコレートに含まれる見落としがちなカフェイン
ココアやチョコレートにもカフェインが含まれています。
ピュアココア(純ココア)では100gあたりカフェインが0.2g含まれています。1杯(5g使用)であればカフェイン量は約10mgとなります。
世界保健機関(WHO)は「紅茶、ココア、コーラ飲料はほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれている」としています。
またミルクチョコレート100g中のカフェインは微量、スイートチョコレートは0.1gとなっています。
単体ではカフェイン量が少量でも、コーヒーやお茶と組み合わせると総摂取量が増加します。例えば、コーヒーを飲みながらチョコレートを食べると、トータルでのカフェイン摂取量は増えることになるでしょう。
特に夜のリラックスタイム(21時以降)にココアやチョコレートを摂る習慣がある方は、睡眠への影響を考慮する必要があります。就寝前の一杯としてココアを選ぶなら、カフェインレスタイプを選ぶと安心です。
カフェイン感受性の個人差と注意すべき人

同じコーヒーを飲んでも、眠れなくなる人とそうでない人がいることをご存じでしょうか。
カフェインの代謝速度や感受性には、非常に大きな個人差があります。実は15時までや16時までという基準が、すべての人に当てはまるわけではないのです。
特に子供や高齢者、妊婦・授乳中の方は、健康な成人の方より慎重に摂取量を考える必要があります。自分の体質を理解し、カフェイン摂取計画を立てる方法を解説していきましょう。
代謝速度は人によって大きく異なる
カフェインの半減期は個人差が非常に大きく幅があります。成人、妊娠中の女性、喫煙者などによって半減期は大きく変動するのです。また子どもも半減期は長くなるため要注意です。
自分の代謝速度を知る簡易的な方法として、実際に夕方にコーヒーを飲んだときの反応を何度か観察するとよいでしょう。15〜16時にコーヒーを飲んで夜眠れなくなる場合は代謝が遅いタイプ、問題なく眠れる場合は代謝が早いタイプと判断できます。
半減期が4時間の人と8時間の人では、体内からカフェインが抜けるまでの時間が大きく異なります。体質に合わせて調整していきましょう。
子供と高齢者は14時以降の摂取を避ける
子供はカフェインの代謝が成人より明らかに遅くなります。カナダ保健省では、4〜6歳は1日45mg、7〜9歳は62.5mg、10〜12歳は85mgまでと、年齢別のカフェイン上限を定めています。
高齢者(65歳以上)はカフェイン摂取量に関して成人と同様の量が目安となっており、特に制限されているわけではありません。ただし加齢に伴う肝機能や腎機能の低下により、カフェインの影響を受けやすい傾向があります。
またコーヒーなどカフェイン飲料は利尿作用が高いので、脱水のリスクを高める可能性もあります。睡眠の質を含めて身体への影響も考慮してどれくらいの量をどんなタイミングで摂取するのか決めましょう。
妊婦・授乳中は1日200mg~300mg以下に
妊娠中・授乳中の女性に対して、英国食品基準庁(FSA)では1日200mg以下に制限するよう求めています。またカナダ保健省では300mg以下としています。
目安量を200mgから300mg程度と考え、妊娠中の方は飲み過ぎないように注意したり、カフェインレスやハーブティーなどに切り替えたりしましょう。
農林水産省の資料によると、米国疾病予防管理センター(CDC)ではカフェインは母乳を通じて母親から乳児に少量ずつ移行するとしています。ただし母親のカフェイン摂取量が300mg以下であれば通常は乳児には悪影響は及ぼさないとも伝えています。
授乳中の方も摂取量には気を付け、コーヒーを含めたカフェイン飲料を飲み過ぎないようにしましょう。
夕方以降のカフェイン対策と代替飲料の選び方
夕方以降もコーヒーや紅茶を楽しみたいけれど、睡眠への影響が気になってやめている方もいるのではないでしょうか。しかし、リラックスタイムに好きな飲み物を完全に我慢する必要はありません。
賢く選べば夕方以降も安心して楽しめますので、睡眠の質を守れる実践的な方法をご紹介します。デカフェやノンカフェイン飲料の選び方、そしてどうしても飲みたい時の工夫やカフェインを使った裏技まで、幅広く解説していきましょう。
15時以降はデカフェやノンカフェインに切り替え
午後15時を過ぎたら、デカフェコーヒーや紅茶へ切り替えましょう。
デカフェとは、カフェインを取り除いた飲み物のことです。ただし、カフェインを完全に取り除くことは難しいため、カフェインを90%以上除去した飲料をデカフェやカフェインレスと呼んでいます。
デカフェも最近では通常のコーヒーと変わらない味が楽しめるようになっています。またデカフェは雑味が少なくすっきりとしているので人気も高まりつつあります。
15時から17時頃までにはデカフェやカフェインレスの飲み物に切り替えれば、就寝時までに体内のカフェインがかなり減った状態となります。睡眠の質を下げたくないときにはおすすめの方法です。
麦茶やハーブティーなど安心して飲めるものを選ぶ
完全にカフェインを避けたい方には、ノンカフェイン飲料がおすすめです。麦茶やルイボスティーは、元々カフェインを含まない穀物や植物から作られているため、就寝直前でも安心して飲めます。
ハーブティーには、リラックス効果が期待できる成分が含まれています。カモミールティーに含まれるアピゲニンは、睡眠の質を改善する可能性があるとされています。
他にも、レモンバーム、ラベンダーティー、黒豆茶などもカフェインを含まないお茶ですから睡眠の質を下げないためにも最適です。夕方以降だけでなく、寝る前のリラックスタイムの飲み物としてもよいでしょう。
どうしても飲みたい時はミルクで薄める工夫
夕方以降にどうしてもコーヒーや紅茶を飲みたい場合は、ミルクで薄める方法があります。ミルクを加えると、カフェイン濃度を1/2から1/3程度に下げることができます。
例えば、コーヒーを200ml飲むのではなくコーヒーを減らして100mlにし、ミルク100mlを加えればカフェイン量は半分にできます。さらに、ミルクに含まれるカルシウムには、交感神経の働きを抑えて副交感神経を優位にする作用があります。
リラックス効果も期待できるためカフェオレやミルクティーにすれば、カフェインの影響を抑えながら、温かい飲み物でほっと一息つけます。コーヒーを完全に諦めるのが難しい場合には、少量に抑える方法を試してみてください。
裏技!仮眠前30分のカフェイン活用法
午後の眠気対策として、仮眠前にカフェインを摂取する「カフェインナップ」というテクニックがあります。通常カフェインの覚醒効果は、摂取後15~30分で現れ始めます。
覚醒効果を利用して、15~20分の短時間仮眠の直前にコーヒーや緑茶を飲むと、目覚めた時にちょうど覚醒効果が得られるのです。コーヒーの覚醒効果を逆手に取った方法です。
参考:生理心理学と精神生理学 「午後の眠気対策としての短時間睡眠」
カフェインと仮眠を上手に組み合わせれば、午後のパフォーマンス向上に役立ちます。
