コラム詳細

足底板とインソールの違い|外靴用・室内用の使い分けと枕を装具と考える視点

足底板(医療用インソール)と枕は同じ「装具」の考え方|市販インソールとの違い・外靴用と室内用を整形外科医が解説

16号整形外科 院長・山田朱織枕研究所 代表 山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。 日本整形外科学会専門医 / 医学博士 / 日本腰痛学会会員
オーダーメイド枕・整形外科枕
ドラッグストアやスポーツ用品店で見かける「インソール」と、整形外科で作る「足底板(そくていばん)」。どちらも足の下に入れるものですが、目的も作り方もまったく別物です。さらに、整形外科の装具という視点で見ると、足を支える足底板と、頭と首を支える枕には共通する考え方があります。この記事では、市販インソールと医療用インソール(足底板)の違い、外靴用と室内用の使い分けと付け方、そして枕を「装具のように考える」ことの大切さを、整形外科医の視点でわかりやすく解説します。

装具とは?足底板と枕に共通する考え方

「装具」と聞くと、体に付けて姿勢を整えたり、支えたりするものというイメージをお持ちかもしれません。整形外科のクリニックには「装具外来」があり、そこで適応になる患者様に装具を作ります。

代表的な足の装具が足底板です。足底板は、義肢装具士という国家資格を持った専門の方が、一人ひとりの足の形を見て採寸し、オーダーメイドで足にぴったり合うように作り上げます。

01
足を支える
足底板

足の痛みや変形のある部分の姿勢を整え、足裏のバランスを支えて症状を改善します。

02
頭と首を支える
枕

寝ている間に頭と首を支え、首の姿勢(アライメント)を整えて神経を楽にします。

装具は、体の痛い部分や症状のある部分の姿勢をしっかり整え、解剖学的に良い状態を作ってあげることで、じっとしていても動いてもグラグラ不安定にならないように支え、症状を改善していくものです。この考え方は、実は枕にも当てはまります。詳しくは後半の「枕も装具として考える」でお話しします。

市販インソールと医療用インソール(足底板)の違い

足の下に入れて足を支えている中敷のことを、広く「インソール」と呼びます。その中でも医療用のものを「足底板」と呼びますが、患者様には伝わりにくいため、「医療用のインソール」というイメージを持ってくださいとご説明しています。

ドラッグストアやスポーツ用品店で売られているインソールは、ソフトな履き心地でフィット感があり、歩きやすそうだと興味を持たれる方も多いでしょう。一方で、足のトラブルをお持ちの方は、市販のインソールと医療用のインソールの違いを知っておかないと、どこで何をどう買えばよいのか、どこで作ればよいのかが分かりません。

一般的なインソール(一般用・スポーツ用) 履き心地を重視
疲労回復や、スポーツでのパフォーマンス向上のために使われます。重心バランスを考えた動的なアプローチです。
入手先:ドラッグストア、スポーツ用品店など
医療用インソール(足底板) 痛みの改善など治療が目的
足の障害や症状に対して、痛みを取り、変形の進行を抑えるために使います。静かにしている時の姿勢で整える静的なアプローチです。
入手先:整形外科で診察を受け、義肢装具士が作成
項目 一般的なインソール 医療用インソール(足底板)
目的 履き心地、疲労回復、スポーツのパフォーマンス向上 痛みの改善、変形の進行の抑制、外傷後の予防など
考え方 重心バランスを考えた動的なアプローチ 静止時の姿勢バランスを整える静的なアプローチ
位置づけ 一般用(スポーツ用) 治療の道具
作り方 既製品を購入する 医師が診察して必要性を診断し、義肢装具士が一人ひとりに合わせて採寸して作る

足底板は「治療の道具」です

足底板の最も大きな目的は痛みの改善です。扁平足や外反母趾など、足にはさまざまな病気がありますが、そうした足の障害や症状に対して、変形の進行を抑えたり痛みを取ったりするために使います。

また、足を捻挫したあとに足の痛みが続き、よく見ると足に障害があったという場合にも、外傷の予防などを目的に作ることがあります。そもそも足の裏の形が悪くて障害が起きている場合は、その形を整えることでどれだけ症状を改善できるかが、治療の目的になります。

年齢とともに増える足のトラブル

当院の整形外科でも、小児のお子様や10代から20代の方よりも、50代、60代と年齢が上がるにつれて、足のトラブルで来院される患者様が増える印象があります。足の痛みを我慢せず、まずは違いを知ることから始めましょう。

足底板が使われる症状と受診の目安

足底板の適応になる方で、圧倒的に多いのは扁平足の方です。扁平足と外反母趾が一緒にある方もいれば、片方だけの方もいます。

足底板が適応となる主な症状

  • 扁平足
  • 外反母趾
  • O脚で膝に変形があり、痛みがある場合(変形性膝関節症)
  • 足底腱膜炎(足の裏に痛みが出る病気)
  • 足の捻挫などの外傷後に、足の痛みや障害が続いている場合

O脚で膝に変形がある場合は、足の裏に足底板をつけることで、膝のアライメント(膝の姿勢)を良くすることができます。その結果、痛みが軽くなったり、歩きやすくなったりします。ですから、変形性膝関節症という膝の病気の方も足底板の適応です。

適応症ということは、つまり保険適用の対象になるということです。

朝の足の痛みは、足裏の形が原因のことも

扁平足や外反母趾がある方で、一日の中で足が一番痛くてつらい時間帯は朝です。朝起きて起き上がり、歩こうとした瞬間に一気に体重がかかって痛みが出ます。なかなか歩けず、悩んでいらっしゃる方が多くいらっしゃいます。

逆に言えば、朝一番の足の痛みは、足裏の形が悪くて起こっている場合が多いのです。

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こんな症状があれば整形外科へご相談ください

朝起きてから足が痛い、夕方になると足が疲れて痛みが出て、途中で立ち止まって歩けなくなってしまう。このような症状がある方は、関節に負担がかかっていないか、炎症がすでに起きていないかなどを含めて、整形外科を受診して相談してみてください。足底板の適応になるかもしれません。

足底板は2種類:外靴用と室内用

インソールと聞くと、薄い中敷きのようなものを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、足底板には「外靴用」と「室内用」の2種類があります。

これは、日本では靴を脱いで家の中に上がる生活スタイルだからです。ずっと靴を履いているわけではないので、家にいるときはインソールを使えません。そこで、代わりに何らか足を支えるものが必要になります。

01
外靴用
靴の中に入れる

通勤・通学、運動など、外出時の足の痛みに。靴の中敷きとして使います。

02
室内用
足に装着する

家の中でも痛みが出る方に。ベルトで足の甲に固定し、外反母趾用のサックなどを付属して使います。

どちらを使えばよいか

  • 通学や通勤のときに足が痛い、運動したいが足が痛い、その後に足をつけなくなってしまう場合は「外靴用」
  • 靴を脱いで家の中に上がっても、家の中で痛みが出てしまう場合は「室内用」

とにかく足に装着するという点が、室内用と外靴用の大きな違いです。

医療装具は一度に2つ作ることはできません

外靴用と室内用の両方が必要に感じる方も多いのですが、医療装具は一度に2つを作ることができません。その方の生活スタイルに合わせて、まずどちらか一方を作る形になりますのでご承知おきください。

外靴用・室内用の正しい付け方

外靴用インソールの使い方

  • 靴の中に元々入っている中敷きが薄い場合は、そのまま追加して構いません。とても分厚く、かなり底上げしてしまう場合は、外してから入れるとよいでしょう
  • 少し紐を緩めて、靴の中に敷き込みます
  • かかとがぴったり合っていることが何より大切です。かかとをしっかりフィットさせ、左右にぶれないか確認します。足先は多少余っても大丈夫です
  • 底の厚みが加わった分、履くと足が上に持ち上がり、足の甲が当たって窮屈になります。紐を少し緩めて、締め付けすぎないようにします
  • ただし、横に隙間があいて緩い状態はよくありません。横がある程度ぴったりになるように、適度に締めます

紐の締めすぎに注意

あまりきつく締めすぎると、足の甲がしびれてしまうことがあります。「紐靴障害」と呼ばれるものがあるほどです。適度な締め具合にするとフィット感が出て、とても歩きやすくなります。足底板をつけると、足の裏にかかる負担が減ります。

室内用の付け方

  • 親指の中足骨(ちゅうそくこつ)という骨の頭の部分、少し外に膨らんでいるところに、足底板のへりを当てて装着します。そこからフィットするように設計されています
  • 外反母趾のある方は、親指のサックを装着します。親指にはめてぐるっと巻き、最後にマジックテープで挟んで留めます
  • 巻くときは、足の横側から巻いていきます。外反母趾では親指が内側に巻き込んでいますが、親指を外側に引っ張るような形になります

こうして装着すると、家の中でも扁平足の土踏まずのアーチを支えてくれて、楽になります。

枕も「装具」として考える

ここまで足底板についてお話ししてきましたが、私は足底板と枕は非常によく似ていると考えています。

装具は足を支えるもの。では、枕は何かというと、頭と首を支えるものです。体の痛い部分や症状のある部分の姿勢を整えて、解剖学的に良い状態を作り、不安定にならないように支えて症状を改善していく。この役割は、枕も同じです。

枕は「まだ」医療装具ではありません

現時点では、枕は医療装具として装具外来で作れるようになっているわけではありません。あくまで装具ではまだないのですが、私は枕を「頚椎保護装具のようなもの」と考えています。装具のように考えることが、枕を選ぶうえで重要だと思っています。

医師や整形外科の先生、理学療法士さん、看護師さん、もちろん一般の方も含めて、枕は単なる寝るときのアイテムではなく、義肢装具に近いような位置づけのものだという認識を持っていただきたいのです。医師が患者様を診察して、体格や疾患、病気の状態、たとえば痛みやしびれ、麻痺などを診て、枕を一つずつ処方していくくらいの感覚で捉えていただきたいと思っています。そして、枕はそれだけの効果をしっかりと発揮するものです。

首の神経を守るために、枕の高さが大切です

枕を当てて寝ている状態を考えてみましょう。頭を乗せると首が安定します。首の中には首の骨があり、その後ろには、脳から続く大事な神経が通っています。

もし首がぐらぐらと不安定になったり、高さの合わない枕で首が引っ張られたり、圧迫されたりすると、神経に障害が出て、痛み・しびれ・麻痺が起こってきます。だからこそ、枕という装具のようなものを置くことで、首の姿勢(アライメント)を整え、神経を楽にすることが大切なのです。

人生の3分の1は睡眠です

1日の3分の1は睡眠、つまり人生の3分の1は寝ている時間です。寝ている間にどれだけ体を回復させるか、寝ている間にトラブルを起こさないようにするか。そのために枕は、単なる夜寝るときの道具ではなく、装具として考えるくらい大切なツールなのです。

整形外科枕計測

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私の枕外来には、朝から肩がこる、枕が合わない、何度も目が覚めるという患者様が沢山来院します。
好みで枕を選んでいませんか?首を休めるための枕は、体格によって適合する高さが違います。

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足底板と枕の共通点まとめ

ここまでの内容を、足底板と枕で比較して一覧にまとめました。

項目 足底板 枕
支える部位 足 頭と首
守るもの 足裏のアーチ、膝のアライメント 首の骨と、その後ろを通る神経
不具合のサイン 朝や夕方の足の痛み、歩けなくなる 痛み、しびれ、麻痺、朝から肩がこる
位置づけ 医療装具(医師が診断し、義肢装具士が作成。適応症は保険適用) 現時点では医療装具ではないが、頚椎保護装具のように考える
選ぶときの考え方 生活スタイルに合わせて外靴用か室内用を選ぶ 体格や症状に合わせて、一人ひとりに合う高さを選ぶ

よくある質問(FAQ)

Q インソールと足底板は何が違うのですか?
A
足の下に入れる中敷きを広くインソールと呼び、その中の医療用のものを足底板と呼びます。一般的なインソールは履き心地やスポーツのパフォーマンスを重視しますが、足底板は痛みの改善や変形の進行の抑制を目的とした治療の道具です。
Q 足底板はどこで作れますか?
A
整形外科で医師が診察して必要性を診断したうえで、義肢装具士という国家資格を持った専門の方が、一人ひとりに合わせて採寸して作ります。市販品のように自分で選んで買うものではありません。
Q どんな症状の人が足底板の対象になりますか?
A
圧倒的に多いのは扁平足の方です。そのほか、外反母趾、O脚で膝に変形があり痛みがある変形性膝関節症、足の裏に痛みが出る足底腱膜炎、足の外傷後の障害など、多くの足のトラブルが適応症となっています。
Q 外靴用と室内用はどう違うのですか?
A
外靴用は靴の中に入れて使うタイプで、室内用はベルトで足に装着して使うタイプです。靴を脱いで過ごす家の中でも足を支えるために、室内用があります。外出時に痛む方は外靴用、家の中でも痛む方は室内用が目安です。
Q 外靴用と室内用を一度に両方作ることはできますか?
A
医療装具は一度に2つを作ることができません。その方の生活スタイルに合わせて、まずどちらか一方を作る形になります。
Q 足底板には保険が使えますか?
A
足底板は適応症に対して作る医療装具のため、保険適用の対象になります。適応になるかどうかは、整形外科で診察を受けて診断されます。
Q 外靴用インソールを靴に入れるときの注意点は?
A
かかとをしっかりフィットさせることが何より大切です。底の厚みで足の甲が窮屈になるので紐を少し緩めますが、締めすぎると甲がしびれる紐靴障害の原因になります。一方で、横に隙間があくほど緩いのもよくありません。
Q 枕は医療装具ですか?
A
現時点では、枕は医療装具として装具外来で作れるものではありません。ただし、頭と首を支えて首の姿勢を整えるという役割は装具と共通しており、頚椎保護装具のようなものとして考えることが大切です。
Q なぜ枕の高さが大切なのですか?
A
首の骨の後ろには、脳から続く大事な神経が通っています。高さの合わない枕で首が引っ張られたり圧迫されたりすると、神経に障害が出て、痛み、しびれ、麻痺が起こることがあります。首の姿勢を整えて神経を楽にするために、高さが重要です。
診察をしている山田朱織

「山田朱織(やまだしゅおり)とは?」

16号整形外科院長 医学博士
株式会社山田朱織枕研究所 代表取締役社長 マクラ・エバンジェリスト
治療の一環として枕を指導する「枕外来」を開設し、睡眠姿勢や枕の研究を行っております。
普段から診察室で患者様にお伝えしていることをできるだけそのままお伝えしております。

本コラムの内容は動画でもお話ししています。