コラム詳細

殿様枕症候群~高くて硬い枕は脳卒中の原因?~

16号整形外科院長であり山田朱織枕研究所代表の山田朱織(やまだしゅおり)が解説します。


山田朱織って誰?

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今回は「殿様枕症候群」について、高くて硬い枕は脳卒中の原因になるかもしれませんというお話です。


目次


殿様枕とは?


脳卒中と聞くとちょっと恐い感じがしますが、これは非常にアカデミックなある論文が出たことによって2024年2月に大変話題となりました。

その論文は国立循環器病センターの田中智貴先生という内科の先生が発表されました。

ヨーロピアンストロークジャーナルという、非常にインパクトファクターが高い素晴らしいジャーナルに発表されて注目を浴びている論文となります。

殿様枕と聞くと皆さんどんなものをイメージしますでしょうか。

時代劇で見たような、硬い木の上に綿とかが乗っかってグーンと高いていうイメージかと思うんですけどこんな感じですかね。

私も歴史を調べたところ、殿様が江戸時代に使っていた枕は木の箱のような上に綿が詰めてあるクション性のある部分と2層ぐらいになっていたり、木だけでもあったり、とにかく高い枕が多かったのです。

当時はまげを結っていたというのもあって高くする枕が主流だったようです。

でもそれは決してお殿様のみではなく、庶民の間でも結構流行していたそうです。

当時の記録の中に寿命3寸楽4寸という言葉があります。

健康のためには3寸=9㎝ぐらいの枕がいいんだけど、なんとなく快適なのは4寸=12cmの高い方が楽ということです。

健康のためにはちょっと低い9cmがいいみたいな言葉が残っているのを見ても、当時の人は何かしらその枕に対する見解であったり感想であったり健康に対する意識と枕が関係あるみたいなところには気がついていたのかもしれません。

先生もそのことを言っておられます。


殿様枕症候群とは?

先生の論文の要点をまとめると、枕が高くなると脳卒中、出血の原因の1つである特発性椎骨動脈解離という病気が発生する確率が高くなるというものなんですね。

この論文の中では12cmの枕と15cmの枕の2つの枕を用いて比較しているんですが、特に12cmを使った時には特発性椎骨動脈解離が約2倍起こりやすい。

また、15cmを使うとなんと9倍起こりやすいという驚くべき結果が出ているんです。

ちょっと恐ろしいですよね。


なぜ枕が高いと起きやすいか


先生の考えてらっしゃる内容としては、高い枕をすることで首が引っ張ることが原因と言われています。

さらにそこに寝返りという回旋動作が加わると、首の後ろにある椎骨動脈という血管が引っ張られねじれ、そして物理的に切れやすくなるということです。

私は整形外科医なので、どうしても「枕と神経」について考えてきました。

しかし、血管に与える影響も非常にあるんだっていうことを今回この論文を通して知りました。

すごく驚くとともに、とても重要な知見が今回多くの一般の方々にも、学術系の方々にも知らしられたということは素晴らしく良いことだと思っています。


整形外科枕で作ってみる


整形技科枕で12㎝と15㎝の高さを作ってみると見た目でもかなり高いです。

私からすると考えられない高さです。

当研究所の研究内容では、あくまで平均ですが女性の方が平均6cm、男性の方が7.5cmとなっていますので、15㎝とか12㎝っていうのはその倍ぐらいの高さがあるわけです。

これで一晩寝るなんてちょっと考えられないですよね。


今回は前半として枕の論文のことをご紹介してきましたが、次回では実際に寝たらどうなのか実験をやってみたいと思います。


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